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03/25 20:00

【今週の米国株】FOMC通過後の注目点/住宅株は隠れたアウトパフォーマー?(3/25)

先週:FOMCを無難に通過し、3指数は史上最高値圏へ FOMC(米連邦公開市場委員会)を無難に通過したことを受け、米国株主要3指数は最高値を更新しました。FOMCで注目された政策金利見通し(19名のメンバーの見通し中央値)では、2024年中に0.75%ポイント、1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとした場合、3回の利下げ見通しが示されました。米国ではコア消費者物価(除く食品・エネルギー)の上昇率が2ヶ月連続で市場予想を上回るなど、インフレに想定以上の粘着性が見受けられたことから、市場では今回のFOMCでは2024年中の利下げ見通しが2回に修正されるとの見方が高まっていました。前回2023年12月の利下げ見通しが維持されたことは、株式市場からポジティブに受け止められました。 FOMC、インフレへ警戒 ただ、政策金利見通しの内訳をみると、4回以上の大幅利下げを予想したFOMCメンバーは前回の5名から1名に減少、2025年の利下げ回数も4回から3回に減少するなど、全体的には利下げに慎重な見方が強まっています。また、2024年の実質GDP成長率、コアインフレ率見通しがともに上方修正されました。FRBメンバーは、緩和姿勢を維持しつつも、想定以上に強い景気とインフレの粘着性に対する警戒感を持っているとみられます。景気が強含む中、利下げがFRBの見通し通りに行われることでインフレが再燃するリスクにも注視が必要です。 AI関連の話題は尽きず 個別企業で先週市場の注目を集めたのは、引き続きAI(人工知能)関連でした。GPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアの新製品発表会では、従来製品よりも40%単価が高いAIサーバー向け半導体「B100」を発表しました。メモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジーは2023年12月-2024年2月期決算を発表し、AIサーバー向けを中心に販売が好調で平均販売価格が上昇傾向にあることを示しました。通信向け半導体大手のブロードコムは、AIサーバー向けの新規受注を発表しました。3社ともに発表後に株価上昇、市場はAI関連のビジネス拡大を好感しています。エヌビディアのGPUがサーバーに必要とされていることはよく知られていますが、メモリー半導体(今回のマイクロン発表に該当)や、顧客仕様にカスタマイズされたASICと呼ばれる半導体(今回のブロードコムに該当)へも好影響が波及しつつあることが示され、改めて材料視されています。 今週のポイントは2点です。 ①2つのインフレ指標とパウエル議長講演に注目 直近のインフレ指標では、28日(木)の3月ミシガン大学調査消費者期待インフレ率確報値、29日(金)の2月コアPCE(個人消費支出)デフレーターが注目されます。コアPCEデフレーターは、FRBが最も重視するインフレ指標として知られています。また、29日のPCE発表後には、パウエルFRB議長の講演が予定されています。データ公表を受けて、利下げに対する見方がアップデートされるとみられます。コアPCEデフレーターが大幅に上振れない限り、パウエル議長は引き続き利下げ開始の意向を示唆すると予想されます。 ②堅調な住宅市場、需要を確認 米利上げ停止~利下げへの流れの中で、住宅ローン金利低下の恩恵を受ける米住宅株は隠れたアウトパフォーマーとなっています。 株価堅調の背景には、利下げ期待に加え、住宅に対する旺盛な需要に供給が追い付いていないため、需給ひっ迫により住宅価格が低下しづらいことも挙げられます。今週は、住宅関連指標の発表が相次ぎます。25日(月)には2月新築住宅販売件数、28日(木)には2月中古住宅販売仮契約が予定されており、堅調な傾向が続くかを確認したいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点 野村オリジナル記事の配信スケジュール