米国株
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2022/12/02 20:00
【尾畑秀一のマクロの視点】米国株復調の条件を再点検
この動画では、野村證券の尾畑秀一シニアストラテジストが市場の注目するテーマに着目し、マクロ・トップダウンの観点から金融市場の先行きや、投資戦略を考える上でのポイントを解説いたします。 ご投資にあたっての注意点
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2022/11/28 20:00
【今週の米国株】年末商戦は小売株投資のチャンスか?(11/28)
11月18日~11月25日の騰落:中国コロナ感染拡大が重石も、米金利低下受け上昇 中国本土で新型コロナウイルスの新規感染者数が増加し、一部主要都市で都市封鎖(ロックダウン)を実施したと伝わったことで、中国の経済活動鈍化への懸念が広がりました。一方で、23日(水)に公表された11月FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨で、「かなり多数」の参加者が「利上げペースの減速が間もなく適切になる」と判断していたことが示され、金融引締めに対する警戒感が和らぎ、米長期金利が低下傾向となったことが株価を支えました。米長期金利(10年国債利回り)は18日終値の3.825%に対し、25日は3.686%まで低下しています。 米長期金利が3.6%台を付けたのは10月初旬以来であり、当時のS&P 500は3700ポイント台でした。同じ長期金利水準でも現在の株価(S&P500 で4000ポイント超)と当時より高水準で推移しています。10年国債利回りが低下した主因は市場のインフレ期待の低下ですが、株式市場はインフレの減速が利上げペースの鈍化を通じて米国株の支援材料になるとみているようです。インフレ減速が”本物か”が12月FOMC(13-14日開催)までの焦点となりそうです。 ①経済指標・金融政策:2日(金)、インフレの鍵握る雇用統計 雇用統計、なぜ注目される? 2日(金)に11月雇用統計が発表されます。労働需給がひっ迫した状況(就業希望者より、企業の求人数が多い状態)だと、賃金が上昇しやすくなります。賃金が上昇すると人々の購買力が上がり、モノ(財)・サービスのインフレが進みやすくなります。モノ・サービスのインフレが続くと企業活動は活発化し、求人数はさらに増加、賃金は上昇しやすくなります。これを「賃金・物価スパイラル」と言い、インフレの過熱が懸念される現在、金融市場から警戒されるメカニズムです。これが、雇用統計に注目が集まる一因です。 今の雇用はインフレを助長?抑制? 非農業部門雇用者数(以下、「雇用者数」)の市場予想は前月比+20.0万人(10月は同+26.1万人)と、減速するとはいえ依然として堅調です。野村の小清水ストラテジストの試算によれば、インフレを加速させない雇用者数は同+15万人程度です。市場予想通りかそれ以上の雇用者増となればインフレを助長する可能性が高いため、12月FOMCの議論のタカ派化に注意が必要となります。 注目指標目白押し、FRB高官発言にも注視 13日(火)・14日(水)開催の12月FOMCに向けて、3日(土)からは沈黙期間(FOMCの投票権を持つメンバーが金融政策に関して発言を自粛する期間)に入るため、今週のFOMC関係者の発言には注目でしょう。11月30日(水)に予定されているパウエル議長講演のテーマは「経済見通しと労働市場」です。労働市場が堅調である限りインフレ鎮静化が見込み難い旨が強調される可能性があります。 注目指標の発表が集中しますが、特に1日(木)の10月個人消費支出・所得統計で発表される、コアPCE(個人消費支出)デフレーター(市場予想は前年比+5.0%、9月:+5.1%)はFRBがインフレの基準とする指標でもあり、注目されます。 ②決算:28日(月)サイバーマンデー、年末商戦は小売株投資のチャンスか? 感謝祭の週末、小売に注目集まる 先週25日(金)はブラックフライデー、28日(月)はサイバーマンデー(感謝祭明けの大規模なオンラインショッピング上でのセール)です。これらを踏まえ、29日には、NRF(全米小売業協会)が感謝祭週末の小売売上の状況について会見を行う予定です。一部報道によれば、ブラックフライデーのインターネット通販の消費額は前年比+2%となったとされています。小売セクターにとっては、年末商戦は追い風となるでしょうか? まず、小売の推計やデータは、売上高(単価×数量)の数字であることに留意が必要です。前述の通り「前年比プラス」であっても、インフレ(価格転嫁)がけん引しているケースと、値引き(単価寄与はマイナス)であるものの数量が値引き以上に増加しているケース、いずれの可能性も考えられます。ただ、米最大手小売りのウォルマート(WMT)はじめ各企業が在庫増加とその消化見通しについて多くコメントをしていることを踏まえれば、後者の可能性が高いでしょう。 企業決算を振り返る 企業決算から見るとどうでしょうか。先週は、家電大手のベストバイ(BBY)、”1ドルショップ”のダラーツリー(DLTR)、高級百貨店のノードストローム(JWN)が発表を終えています。 家電大手のベストバイの株価は決算発表後上昇しました。EPS(一株当たり利益)が市場予想を上回ったことに加え、通期の予想を引き上げたことが好感されました。 一方、”1ドルショップ”のダラーツリーの株価は決算発表後下落しました。通期見通しのレンジを前回の会社予想から引き下げました。 また、高級百貨店のノードストロームも、通期見通しを据え置いたことが株価下落に繋がりました。先々週に決算発表を終えたメイシーズ(M)は通期予想を引き上げた一方、コールズ(KSS)は通期ガイダンスを撤回と、百貨店業界内でも見通しはまちまちです。 EPS”見通し”と在庫管理が重要、消費者の目線は「必需品」か このように見ていくと、まず一株当たり利益(EPS)の見通しで市場予想を上回ることができるかが市場に重視されていることが分かります。次に、顧客層に関しては高/低価格帯向けのいずれかが良いとは一概に言えず、「個別企業ごとの在庫管理の巧拙」が影響しているようです。最後に商材別では、ウォルマートが食品事業で好調であることや、ベストバイで家電が復調ということを鑑みれば、消費者が実質的に必需品に近い品目に絞って年末商戦に臨んでいる可能性が考えられます。 上記の仮定が年明けまで継続するとすれば、年末商戦をきっかけに小売セクター全体が上昇する、というストーリーは描きにくそうです。あくまで、EPSと在庫消化に関する見通しと商品構成を確認しながらの選別投資が主力となりそうです。今週1日(木)には、前述のダラーツリーの競合ダラーゼネラル(DG)や、大手スーパーのクローガー(KR)、化粧品のアルタ・ビューティー(ULTA)が決算を発表します。 年末商戦が金融政策にも影響? 株価全体への影響について、堅調な年末商戦が株価の下押し材料となるとの指摘もあります。野村證券の池田チーフ・エクイティ・ストラテジストは、「FRBは年末商戦にブレーキがかかることを確認するまでハト派転換しない」と予想しています。現在の株価は「FRBのハト派転換」を再度織り込んだ結果反発していると言えます。「堅調な年末商戦」がコンセンサスとなった場合、FRBが市場をけん制する目的で「タカ派姿勢をアピールし、株価調整を促す」行動をし得る点には注意が必要です。 (FINTOS!米国株/小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/11/21 20:00
【今週の米国株】”PER主導”の株価上昇は続くか?/半導体株復調の背景を考える(11/21)
今週24日(木)は、米国では感謝祭の祝日です。米国株式市場は当日休場、翌25日(金)には短縮取引となります。取引にご注意ください。 11月11日~11月18日の騰落:減速するインフレ指標とタカ派的なFRB発言の綱引き 先週の米国株式市場は、一進一退となりました。 15日(火)に発表された10月PPI(生産者物価指数)は、前月比+0.2%と市場予想の同+0.4%を下回りました。先週発表された10月CPI(消費者物価指数)に続き、主要な米国のインフレ指標が市場予想を下回ったことから、インフレのピークアウト期待が高まりました。 一方、FRB(米連邦準備理事会)は、金融市場がインフレのピークアウト観測を先取りしすぎることを警戒しています。FOMC(米連邦公開市場委員会、米国の政策金利を決定する機関)で投票権を持つセントルイス連銀のブラード総裁は17日に開かれた講演で、米政策金利について「今年はかなり大きく引き上げてきたが、まだ十分に制限的な水準に達していない」と述べ、金融緩和への期待が後退しました。 11月FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、次回12月、あるいはその次の会合で利上げ幅を0.50%ポイントに縮小する可能性があることを示唆した一方、政策金利の最終到達地点を上方修正する可能性に言及しました。市場の目線を目前のFOMCから最終的な政策金利の到達地点に変えることで、相場の転換期待に対して釘を刺す意図を持って行われた面があると考えられます。 インフレのピークアウト期待と、タカ派的なFRB高官発言の綱引きが続いています。 ①経済指標・金融政策:23日(水)、ミシガン大のインフレ期待調査 注目の経済指標はミシガン大のインフレ期待調査(確報値) 23日(水)に11月のミシガン大学消費者態度指数確報値が発表されます。先々週の米国株急騰のきっかけとなったCPIは足元かつ単月の数字ですが、同大調査で発表される期待インフレ率調査(今回は改定値)は、将来のインフレに対する人々の期待に関する調査です。消費者のインフレ期待が自己実現的にインフレを引き起こし得るため、金融政策当局が重視しており、市場参加者の注目度も高い統計です。 野村のストラテジスト予想「米株反発は息切れへ」 当シリーズでは何度か触れていますが、株価は基本的に 予想EPS × PER EPS…1株当たり利益 PER…株価収益率 で計算されます。この視点で改めて整理してみます。 PERを考える 11月の株価上昇は、概ねPERの上昇で説明ができます。PERは、米長期金利(10年債利回り)との逆相関が認められる指標です。つまり、長期金利が低下するとPERが上がり、PERが上がると株価が上がる、という関係になります。さらに、先週の解説でも見てきた通り、長期金利を方向付けているのは米政策金利(の到達点)であり、政策金利はインフレ動向に左右されます。 では、インフレがピークアウトしさえすれば、政策金利は低下に向かうのでしょうか?11月18日時点で米金利市場の織り込む政策金利期待は、FOMCコンセンサスの政策金利予想とほぼ一致しています。そして、FOMCコンセンサスでは年末から来年を通じてインフレ率が順調に低下することを予想したうえで、2023年末まで政策金利を据え置きとしています。このため、野村の宍戸ストラテジストは「FRBが予想する程度のインフレ低下ではこれ以上の金利低下材料にはなりづらい」と指摘しています。なお、”FRBが予想する程度のインフレ低下”とは、9月FOMC時点・コアPCE(個人消費支出)デフレーター基準で、2023年末:前年同期比+3.1%、2024年末:同+2.1%です。この数字を上回るペースでインフレが鈍化することが政策金利低下の条件、ということです。 予想EPSを考える もちろん、FOMCコンセンサスに比べ「早期のインフレ鈍化」が達成される可能性もあります。しかし、そのためには本格的な需要減少=景気後退が生じる必要があります。こうした環境はPERの低下が期待できる一方で、企業業績(EPS)の下押し圧力は高まります。宍戸ストラテジストは、こうしたPERの上昇とEPSの低下が同時に起こる状況では「差し引きで株価にプラスとは言いにくい」とコメントしています。 ②決算:エヌビディア、アプライド・マテリアルズ…半導体株上昇の背景は PERが上昇しているセクターは? では、個別セクターではどうでしょうか。前項と同じく「予想EPS×PER」の考え方に基づいて、PERが上昇しているセクターに注目してみたいと考えます。足元では、銀行、エネルギー、素材、資本財、半導体といったセクターでPERが上昇しています。銀行・エネルギー・素材のPER上昇はコロナ禍の巻き戻しとも捉えられますが、コロナで追い風を受けたはずの資本財・半導体で同様の現象が起きているのはなぜでしょうか。 これには、アナリストの予想が集中する1年先予想のEPSは低下し続けているものの、これをさらに先取りする形で株価が上昇しているという背景が考えられます。投資家が(予想)EPSの下げ止まりを先取りしようと試みること自体は、マーケットをアウトパフォームしようとするならば当然の行動と言え、予想EPSと株価の逆行自体は不自然な現象とは言えません。これが根拠のあるものなのかを見るために、半導体に関するいくつかの数字を確認してみたいと考えます。 (メモリー)半導体価格は 足元、主要な半導体製品であるメモリー市況は一層悪化しています。10月の大口価格はDRAM(電源を落とすとデータが消去されるメモリー半導体)で前月比22%下落、NAND (電源を落としてもデータが保存されるメモリー半導体) で同4%下落しました。野村では2023年前半までメモリー価格の大幅下落が続き、2023年後半は市況が回復すると予想しています。一方、アナログ半導体各社の決算発表ではこれまでの所、自動車のサプライチェーンの復旧に伴って需要が好転しているとのコメントが散見されます。 注目される需要先「クラウド・サービス・プロバイダー」の設備投資は堅調 データセンター向け(ロジック半導体や、前述のメモリー半導体も一部含まれる)では、クラウド・サービス・プロバイダー(CSP)大手5社(マイクロソフト、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、アップル、アルファベット)の動向が注目されます。CSP大手5社の7-9月期設備投資金額は前年同期比+19%となり、投資方針を維持しています。 サーバー向け半導体メーカーの環境は厳しいがCSP向けは相対的に底堅い サプライチェーン上流に目を向けると、サーバー向けCPUで寡占状態にある2社(インテル(INTC)とAMD(AMD))のデータセンターセグメント売上高合計は、それぞれ前四半期比5%減、前年同期比16%減となりました。ただし、AMDの決算発表時のコメントによれば、データセンター顧客の中ではクラウドサービスプロバイダーが最も堅調で、2023年も前年比プラス成長が見込まれるとコメントしています。 大手半導体企業の業績は 先週発表された半導体企業の業績は、半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズ(AMAT)、ロジック半導体大手のエヌビディア(NVDA)、いずれも8-10月の売上高が市場予想を上回り翌営業日の株価は上昇しました。一方、メモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)は、DRAMとNANDのウエハーの生産を2022年6-8月期比約20%削減すると発表し株価は下落しました。 根拠ある上昇だが、底打ちとなるかは今後に注視 まだ不確定要因が多い中で、半導体株が底打ちしたと見るのは時期尚早との声も聞こえます。しかし、製造装置大手やロジック半導体大手が低いハードルながら決算発表を「市場予想超え」で終えたことや、クラウドサービス向けや自動車向けなど特定製品への需要に限ってみれば良い材料も出ていることは事実です。今週は、サンクス・ギビング・デーでハイテク企業の決算発表は多くありませんが、22日(火)に決算を発表するアナログ半導体大手のアナログ・デバイセズ(ADI)などの業績を確認しながらの、投資先選定が求められます。 (FINTOS!米国株/小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/11/17 12:11
<米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):株価は+2.20%、データセンター向けは堅調維持
11月16日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 エヌビディア(NVDA) データセンター向けは堅調維持 ※ 会社発表、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成※ 実績は2022年8-10月期※ EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益※ 11月16日引け後決算発表。発表後の株価は、16日の時間外取引における16日終値比での騰落率(米国東部時間19時59分現在) データセンターやゲーム、AI、グラフィックス向けなどの半導体の設計・販売を行うエヌビディアの2022年8-10月期決算は、中国向け在庫の評価減などによりEPSは市場予想を下回りました。データセンター向け売上高は、前年同期比31%増で市場予想を上回りました。米国による中国向け半導体の輸出規制の売上高への影響について会社は、一部製品は悪影響を受けたもののほかの製品が相殺したことをコメントしました。また、売上高が前年同期比で51%減少したゲーム向け売上高は、会社は仮想通貨イーサリアムが計算量が少ない仕様へ変更したことで当社製品の必要性が低下したことをコメントしましたが、事前に引き下げられていた市場予想を上回りました。 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱) <野村の米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):株価は4.33%下落、マクロ経済や仮想通貨向けに不透明感 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2022/11/16 11:21
<米国株決算速報>ホーム・デポ(HD):株価は+1.63%、業者向けが堅調
11月15日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ホーム・デポ(HD) 業者向けが堅調 ※ 会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成※ 実績は2022年8-10月期※ EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益※ 11月15日寄り前決算発表。発表後の株価は、15日の前日比騰落率 消費者、業者向けのホームセンター事業を行うホーム・デポの2022年8-10月期決算は、市場予想を上回りました。会社は、建設やリフォームを行う業者向けが堅調となるなど、インフレによる単価の上昇による恩恵が数量の減少による悪影響を上まわったことをコメントしました。また、2022年11月-2023年1月期について、住宅市場への不透明感はあるものの、既存店売上高成長率は前年同期比でプラスを維持するとの見通しを示しました。 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱) <野村の米国株決算速報>ホーム・デポ(HD):株価は4.06%上昇、売上高・純利益が四半期で過去最高 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2022/11/16 10:00
<米国株決算速報>ウォルマート(WMT):株価は+6.54%、食料品が好調、通期見通し上方修正
11月15日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ウォルマート(WMT) 食料品が好調、通期見通し上方修正 ※ 会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成※ 実績は2022年8-10月期※ EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益※ 11月15日寄り前決算発表。発表後の株価は、15日の前日比騰落率 店舗小売、Eコマース事業を運営するウォルマートの2022年8-10月期決算は特に米国でのシェアを伸ばした食料品の売れ行きが好調で、売上高は前年同期比+8.7%と市場予想を上回り、売上高の好調を反映しEPSも市場予想を上回りました。在庫削減が進み、2023年1月通期の連結営業利益の見通しについても上方修正しました。 (文責:野村證券 投資情報部・ 岩崎晴弥 ) <野村の米国株決算速報>ホーム・デポ(HD):株価は4.06%上昇、売上高・純利益が四半期で過去最高 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2022/11/14 20:00
【今週の米国株】CPI下振れで米国株急騰のワケ/小売決算のみどころは(11/14)
※「今週の米国株」は、より多くのお客様の米国株投資の参考としていただくために、無料版としてリニューアルいたしました。米国株初心者の方には分かりやすく、経験者の方にはインプリケーションのある記事を目指して執筆して参ります。引き続きご愛読いただければ幸いです。 11月4日~11月11日の騰落:米国株は中間選挙で一進一退の後、CPI結果を受け大幅上昇 米国株式市場では、10日(木)の米CPI(消費者物価指数)の発表を受け、主要株価指数が軒並み上昇しました。CPIは米国の代表的なインフレ指標であり、インフレの加速は現在の米国、世界経済にとって最も大きな懸念となっています。中でも変動の大きい食料品やエネルギーを除いた「コアCPI」が注目されますが、この数字が前月比+0.3%と市場予想(同+0.5%)を下回ったことで、物価上昇のピークアウトの兆しではないかとの見方が広がりました。10日の上昇幅1201ドルは、NYダウで歴代6位です(上位5位は全て2020年のコロナ禍からの戻り局面) 。 一方、CPIに比べると米中間選挙は株価への影響は限定的でした。上下院とも未確定の議席が多かったためです。(但し、週末に民主党が上院で過半数を維持(カマラ・ハリス副大統領を入れて過半数)することが決定しています)。なお、閣僚・政府高官、FRB議長・副議長・理事等の人事の決定権は上院のみが有するため、引き続き民主党寄りの人事が行われるものと考えられます。 ①経済指標・金融政策:CPIに対するFRB高官の発言が重要 なぜインフレになると米国株が下がるのか? 現在、FRB(米連邦準備理事会)は、インフレ退治のためには景気悪化も辞さない姿勢を明確にしています。FRBの主要なインフレ対策は政策金利を引き上げることですが、利上げによって米国の預金や債券などの市中の金利も上がります。市中金利の上昇は、米国の預金や債券など利子が発生する資産の魅力を高める一方で、株式の魅力を低下させます。基本的には、インフレの上昇(低下)が金利上昇(低下)の大きな要因ですので、米国株下落(上昇)に繋がります。もちろん、金利上昇が景気後退を引き起こし、結果として企業業績自体が悪化することも、株価下落の一因となります。 インフレ率減速の原因は3つあった では、10月CPIに話を戻します。10月CPIの上昇率が減速した背景には、3つの項目、すなわち「医療保険」「中古車」「家賃」の3点の減速がありました。このうち医療保険の下落は、年次改定によるテクニカルな要因です。中古車価格は、中古自動車市場における需給の緩和を反映したものとみられます。部品不足などの供給制約緩和から新車生産台数が増加した(いわゆるサプライチェーン問題の解消)ことが、中古自動車市場にも波及しており、インフレ解消にはポジティブな傾向です。今回の株価上昇の原因の一つと言ってよいでしょう。 他方、議論が必要なのは家賃です。確かに家賃は前月から鈍化しましたが、野村グループのNY駐在の雨宮エコノミストの分析によれば「大幅に上昇していた西部の小都市の反落を反映しているように見え(中略)下落トレンドの始まりではないと考えられる」としています。調査方法の制約から、家賃は遅行指標(景気動向に比べて遅く数値に反映される指標)であり、単体の指標・単月のみで見極めることは難しい状況です。雨宮エコノミストは「借家賃料と持家帰属家賃の上昇率は、今後数ヶ月は前月比+0.6~0.7%で高止まりする」と予想しています。従って株価の本格上昇を考える上では、12月FOMC(12/13~14)までの追加の数字を確認する必要がありそうです。 今週は、FRB高官発言が重要 こうした経済統計を受け、FRBが今後どう判断するかが一番の注目点です。今週は、14日(月)のブレイナードFRB副議長をはじめ、多くのFRB高官発言が予定されています。上記のCPIを踏まえて、これまでの積極的な利上げ姿勢に変化がみられるか否か、FRB高官の発言が株価を左右する展開が続きそうです。なお、野村證券は今回のCPIを踏まえても政策金利見通しを変更していません。政策金利の到達点は「5.50~5.75%」と市場コンセンサスよりも高く、到達時期を「2023年5月」と同じく市場予想より長い利上げ機関を予想しており、前述の家賃の高止まりなどを背景として、FRBのタカ派(景気よりインフレ抑制を重視する)姿勢は続くと考えています。 ②決算:5-7月期決算発表スタート、小売決算の見どころは? 米国では今週から、5-7月期決算発表が始まります。 16日(水)のシスコシステムズ(CSCO)やエヌビディア(NVDA)などハイテクも気になるところですが、今号では小売に注目してみましょう。15日のホーム・デポ(HD)、ウォルマート(WMT)、16日のターゲット(TGT)、TJX(TJX)、17日のメーシーズ(M)などが決算発表を予定しています。 消費に関わる企業は「足元好調」「先行き慎重」 既に決算発表(7-9月期)を終えたクレジットカード各社(ビザ(V)、マスターカード(MA)、アメリカン・エキスプレス(AMEX))の実績は好調で、足元で個人消費は堅調です。ただ、3社とも売上高見通しは市場予想を下回り、先行きには慎重でした。アマゾン・ドットコム(AMZN)も低調な年末商戦を予想し、決算発表後に株価は下落しました。 注目は「年末商戦」と「製品カテゴリーごとの強弱」 これらの結果を踏まえると、年末商戦を含む各社の2022年11月-2023年1月の見通しが、米国株の予想EPS(一株当たり利益)の修正方向、ひいては株価の先行きを考える上での注目点と言えるでしょう。小売業セクターのEPS見通しは全体として厳しいものとなることが予想されますが、コストコントロールや商品戦略において上手く対処できている企業を見つけ出すチャンスにもなり得ます。一方、製品カテゴリーごとの強弱も重要です。9月の小売売上高を前年同月比でみた場合、「電気製品」や「百貨店」が低調だった一方、「飲食店」は高い伸びを示しました。コロナ禍で伸びた製品カテゴリーや高額品カテゴリーは苦戦している可能性があり、慎重に確認したいと考えます。 なお、16日(水)には、10月の小売売上高も発表されます。市場では予想は前月比+0.9%と高い伸びが予想されていますが、当指標は売上高(=単価×数量)であるため、コストを価格転嫁していることにより、売上高が膨らんでいることも想定されます。業界では積み上がった在庫を解消するために、年末商戦を前倒しで行っているとの報道もあり、内容をマクロの経済統計とミクロである小売業の決算と突き合せながら、確認していきたいところです。 (FINTOS!米国株/小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2022/11/11 20:00
米国株、重要イベント通過 相場転換のポイントを探る(尾畑秀一のマクロの視点)
米国金融市場は11月に入り、1日、2日にFOMC会合、4日に雇用統計、8日に中間選挙、10日に消費者物価指数と重要イベントを次々にこなしてきました。現時点で中間選挙の結果は明らかにはなっていませんが、今後の市場動向を考えるうえで最も重要なのは、FOMCにおけるパウエル議長の発言だったとみています。議長発言のポイントを踏まえ、重要イベント後の米国金融市場の見方、相場転換のポイントは何かを動画で解説いたします。 ご投資にあたっての注意点
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2022/11/09 11:00
<米国株決算速報>ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS):株価は-6.81%、コスト増が重石
11月8日に発表された米国株の四半期決算をお送りいたします。 ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS) コスト増が重石 ※ 会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成※ 実績は2022年7-9月期※ EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益※ 11月8日引け後決算発表。発表後の株価は、8日の時間外取引における8日終値比での騰落率(米国東部時間19時59分現在) 世界的なエンターテインメント企業であるウォルト・ディズニー・カンパニーの2022年7-9月期決算は市場予想を下回りました。会社は、インフレによるディズニーランドのコスト増や国内TV広告の軟調が重石で、動画ストリーミング配信事業のディズニー・プラスについては、加入者純増が堅調で赤字幅は2022年7-9月期がピークであることをコメントしました。 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱) <野村の米国株決算速報>ディズニー(DIS):株価は4%超上昇、ディズニープラスの加入堅調 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点