米国株
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10/26 09:09
【米国株決算速報】メタ・プラットフォームズ(META):AIビジネスへのシフト順調・中東情勢が広告収入に悪影響、株価は-1.91%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月25日引け後に、「フェイスブック」や「インスタグラム」などSNS広告事業を行うメタ・プラットフォームズ(META US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.7%上回り、EPSは市場予想を20.9%上回りました。 AIビジネスへのシフト順調・中東情勢が広告収入に悪影響 会社は、2023年12月期通期の費用見通しを引き下げ、メタバースなどの不採算事業のコスト削減が順調であることを示しました。一方で2024年12月期通期の費用見通しは今年度を上回り、AIを含むサーバー事業への投資を拡大させることを決算書でコメントしました。 会社の2023年10-12月期売上高見通しは市場予想を下回りました。会社は10月に中東で紛争が勃発して以降、広告収入が軟調になっていると決算説明会でコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で下落 メタ・プラットフォームズの株価は、前日比4.17%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、一時上昇した後下落に転じ、終値比1.91%安の293.82ドルで推移しています(NY時間18:14)。 中東情勢が広告収入へ悪影響を及ぼしている、とのコメントに反応していると考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月25日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。2023年10-12月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月24日時点。(出所)会社発表、LSEG (旧リフィニティブ) より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】メタ・プラットフォームズ(META):ユーザー数の純増・広告主のアクティビティは堅調、株価は+7.41%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/25 11:24
【米国株決算速報】ビザ(V):消費堅調継続・四半期見通しはやや市場予想を下回る、株価は-0.67%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.9期第4四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月24日引け後に、決済テクノロジー企業であるビザ(V US)が2023年7-9月期(2023.9期第4四半期)決算を発表しました。営業収益は市場予想を0.7%上回り、EPSは市場予想を3.9%上回りました。 消費堅調継続も四半期見通しはやや市場予想を下回る 会社は、コロナ禍からの個人消費や海外旅行の需要の回復は継続しており、最近の地政学的、また、経済的な不確実性はあるものの、今後の決済市場について楽観的とコメントしました。 当社が決算書で示した2024年9月期通期の見通しは市場予想とほぼ一致する内容だった一方、決算説明会でコメントした2023年10-12月期四半期の営業収益見通しはやや市場予想を下回りました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ビザの株価は、前日比1.35%高で引けた後、時間外取引では、決算発表直後は上昇したものの、その後下落に転じ、終値比0.67%安の233.07ドルで推移しています(NY時間19:51)。 四半期見通しに反応したと考えられます。10-12月は年末商戦にあたることから、地政学リスクやインフレによる個人消費への影響の点で次回の当社の決算には注目したいと考えます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月24日時点。(注3)営業収益(事業会社の売上高にあたる決済手数料などから顧客特典費用を差し引いた収益)とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月23日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ) より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ビザ(V):消費堅調・中国への旅行者数は回復初期、株価は-0.25%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/25 10:21
【米国株決算速報】アルファベット(GOOGL):ネット広告堅調もクラウド部門が市場予想を下回る、株価は-6.33%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月24日引け後に、「グーグル」や「ユーチューブ」といったインターネット広告事業やクラウド事業などを行うアルファベット(GOOGL US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を1.0%上回り、EPSは市場予想を6.8%上回りました。 ネット広告堅調も、クラウド部門が市場予想を下回る 部門別売上高では、サービス部門は市場予想を上回り、会社は検索広告やユーチューブ広告、ユーチューブのサブスクリプションなどが好調だったとコメントしました。一方でクラウド部門の売上高は市場予想を下回り、会社はクラウドへの設備投資を2024年度に拡大させるとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 アルファベットの株価(A株)は、前日比1.69%高で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比6.33%安の130.02ドルで推移しています(NY時間19:13)。 クラウド部門の売上高実績が市場予想を下回ったためと考えられます。なお、同日発表されたマイクロソフトのクラウド部門は市場予想を上回ったことから、今後の当社の決算では、クラウド部門の成長が同業他社と比較して遅れていないかに注目する必要があると考えます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月24日時点。株価はA株の価格。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月23日時点。(出所)会社発表、 LSEG(旧リフィニティブ) より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・ 竹綱 宏行) 【米国株決算速報】アルファベット(GOOGL):ネット広告・クラウド堅調、生成AI活用が進もう、株価+7.70% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/25 09:30
【米国株決算速報】マイクロソフト(MSFT):コパイロットのリリースを前にクラウド事業堅調、株価は+3.47%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2024.6期第1四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月24日引け後に、「Office」や「ウインドウズ」、クラウドソフトの「Azure(アジュール)」などで知られるソフトウェア企業であるマイクロソフト(MSFT US)が2023年7-9月期(2024.6期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を3.7%上回り、EPSは市場予想を12.7%上回りました。 また、会社の2023年10-12月期部門別売上高見通しは各部門とも市場予想を上回りました。 コパイロットのリリースを前にクラウド事業堅調 会社はアジュールを中心にクラウド事業が堅調であることを決算書で強調しました。また、11月1日から大手企業向けに正式リリースする生成AI機能をビジネスソフトに追加した製品である「コパイロット」によって、AI時代を現実のものにさせようとしている、とサティア・ナデラCEOはコメントしました。 コパイロットの正式リリースを前に企業が同サービスの導入に向けて準備を行うなど、生成AIが企業のIT投資のきっかけになっていると推察致します。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 マイクロソフトの株価は、前日比0.37%高で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比3.47%高の342.00ドルで推移しています(NY時間18:13)。 市場予想を上回る実績や会社見通しに反応していると考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月24日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月23日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ) より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】マイクロソフト(MSFT):生成系AIの評判は良好、株価は+8.45%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/19 10:00
【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る、株価は+2.58%
決算概要:2023年7-9月期(2024.6期第1四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月18日寄り前に、ブランド化された消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(PG US)が2023年7-9月期(2024.6期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.4%上回り、EPSは市場予想を6.4%上回りました。 2024年6月期通期の売上高見通しは+2%~+4%と、為替の不確実性を理由に従来の+3%~+4%から下限を引き下げました。 値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る状況が継続 前年同期比での売上高成長率(+6%)の要因は、値上げが+7%、数量が-1%、為替が-1%、製品構成が+1%と、値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る状況が継続していることが確認されました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 プロクター・アンド・ギャンブルの株価は、前日比2.58%高で引けました。 高いブランド価値により、インフレで消費者の購買力が低下する中でも当社が市場予想を上回る実績を残したことに株価は反応したと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。 (出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):販売数量減を値上げが補う、株価は+2.83% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/19 09:45
【米国株決算速報】ASML:受注急減・半導体市況好転はやや後ずれ、株価は-4.17%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月18日寄り前に、リソグラフィー(半導体の回路パターンを基盤に焼き付ける装置)などの半導体製造装置の製造を行う蘭ASML(ASML US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.6%下回り、EPSは市場予想を4.8%上回りました。 会社の2023年10-12月期売上高見通しは市場予想を上回りました。 受注急減、半導体市況好転は2025年 純受注額は26.02億ユーロと、2023年4-6月期の45.00億ユーロや、前年同期の89.20億ユーロから急減しました。 会社は、顧客である半導体メーカーは年内(2023年10-12月期)に半導体市況が底打ちすると予想している、とコメントしました。一方で、保守的な見方としながらも、当社の2024年12月期通期の売上高は2023年12月期通期に近い水準で、大幅な成長は2025年12月期通期とコメントし、半導体市況の回復に時間がかかることを示唆しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ASMLの株価(米国上場のドル建てADR価格)は、前日比4.17%安で引けました。 低調な受注額と、半導体市況の回復が後ずれするとの見通しに反応したと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:米国上場のADR価格(ドル建て)。データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。2023年10-12月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。 (出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ASML:EUV売上高見通しを引き下げ、株価は5.45%安 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/19 09:30
【米国株決算速報】テスラ(TSLA):サイバートラックの出荷や年間生産台数の目標を維持、株価は-2.13%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を下回った 米国時間10月18日引け後に、EVの製造販売や太陽光発電事業を行うテスラ(TSLA US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を3.1%下回り、EPSは市場予想を9.0%下回りました。 会社は、設備の刷新で一部の生産ラインが停止したことや、部品の供給拡大が間に合わず米テキサス州工場での電動SUVの「モデルY」の生産拡大のペースが緩やかになっているとコメントしました。 サイバートラックの出荷時期と年間生産目標を維持 会社は、電動ピックアップトラックの「サイバートラック」の出荷を2023年10-12月期に開始することや、EVの生産台数を年間50%増加させる長期目標に沿って2023年12月期通期に180万台を生産する見通しを改めて示しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 テスラの株価は、前日比4.78%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比2.13%安の237.52ドルで推移しています(NY時間18:00)。 株価は決算発表当初上昇したものの、決算説明会でサイバートラックの黒字化には1年半程度かかるとコメントしたことなどに反応して下落に転じたと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】テスラ(TSLA):自動運転技術を他社へ提供へ、株価は-4.11%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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10/16 20:00
【今週の米国株】ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか?ネットフリックスやテスラが決算発表 (10/16)
先週:米長期金利の上昇一服が支えに 米長期金利(10年国債利回り)に、株価が左右される展開が続いています。10月6日(金)に4.8%台まで上昇していた米長期金利は、13日(金)には4.6%前後まで低下し、米国株主要3指数の下支えとなりました。FRB(米連邦準備理事会)高官が、相次ぎ「長期金利が上昇していることが金融引き締めの役割を果たし、追加利上げの必要性が低下している」とのコミュニケーションを取ったことが、長期金利の上昇が一服した背景にあります。 一方、イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突で中東での地政学リスクが高まったことは株価の重石となり、株価は週を通して一進一退の展開でした。 今週のPoint1. ハマス・イスラエル問題で株価は下落するか? 中東戦争と何が違うか 一般論として、大規模な戦争・紛争に発展すれば世界的な政治・経済の停滞リスクの高まりから株価は大きく下落すると考えられます。ただし、足元の株式市場は崩れることなく、比較的落ち着いた推移です。 この理由として、今回の衝突が第1次石油ショックを引き起こした1973年の第4次中東戦争と本質的に異なっていることが挙げられます。野村の吉本シニア・エコノミストは「軍事衝突の規模には差があるとはいえ、2006年、2008年、2014年、2021年に見られたイスラエル軍とハマスのガザ地区における戦闘に連なるものと見るのが妥当」と分析しています。 第4次中東戦争は、エジプト、シリアの両軍(アラブ側)がイスラエル軍を攻撃したことが契機であり、サウジアラビアなど多くのイスラム教国、アラブ民族国家が、アラブ側を支援・支持しましたが、今回はそうした宗教・民族の全面対立という構図を作り出すには至っていません。 それでも原油価格が重要な理由 こうした環境下で米国株に最も影響を与えるとすれば、原油価格の上昇→米長期金利の上昇→米国株の下落といった経路でしょう。リスクシナリオの位置づけでありますが、仮に紛争が激化し、湾岸諸国全体の原油生産・輸送体制にまで悪影響が及べば、原油価格の高騰によって米国のインフレ再燃リスクが高まりかねません。また、米国において国防支出増加への賛同を示す議員が増える可能性もあります。財政赤字拡大は米金利上昇材料となるため、紛争がエスカレートするか当面は注目する必要があります。 下記は、S&P500の株式益回り(A)と米長期金利(B)、両社の差である「イールドスプレッド」(B-A)を表示した図となります。 ※株式益回り…一株当たり純利益/株価(PERの逆数) イールドスプレッドが大きいほど(プラス幅が大きくなるほど)、債券に比べて株式が割高であること示し、逆に小さければ (マイナス幅が大きくほど) 債券に比べて株式が割安であることを示します。この図では、足元の株価には2000年のITバブル期ほどの割高感はないものの、ITバブル崩壊後~2008年のリーマンショック直前までの水準に上昇しています。 さらなる金利上昇を引き起こしかねないハマス・イスラエル問題には引き続き注視が必要です。 Point2. FRB高官発言に警戒 ネガティブ・サプライズとなった2指標 先週発表された2つのインフレ指標はいずれも、インフレ再加速を懸念させる内容でした。9月コアCPI(消費者物価指数)は、FRBが注視するサービス価格のインフレが継続し、市場予想を上回りました。また、10月ミシガン大学調査による消費者期待インフレ率(1年先)は9月確報値の前年比+3.2%から同+3.8%に再加速しました。 高官発言の重要性が高まる週 先週FRB高官からなされた「利上げの必要性が低下した」という発信とインフレ指標との関係は、ややちぐはぐな状態です。今週はFRB高官による講演が相次ぐため、発言内容に注目が集まります。 加えて、21日(土)からは10月31日(火)・11月1日(水)に行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)前の沈黙期間(FOMC参加者が金融政策に関する発言を控える期間)となるため、FOMC前の発言という観点でも注目が集まりそうです。パウエルFRB議長は、19日(木)に講演を予定しています。 景気指標としては、17日(火)の9月小売売上高に注目が集まります。市場では、コア指数ベースで前月比-0.1%と8月の+0.1%から低下すると予想されています。 Point3.7-9月期決算発表が本格化 以下の通り、主要企業の決算発表が相次ぎます。 金融:カテゴリごとの明暗を確認したい 今週、バンク・オブ・アメリカ(BAC)やゴールドマンサックス(GS)など大半の金融機関が決算発表を迎え、現在の金融環境を踏まえた各ビジネス部門の業績動向が判別されるようになると見込まれます。先週一足先に決算発表を終えた業界最大手のJPモルガン・チェース(JPM)は2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げました。その理由として、貸倒額が想定を下回ったこと、分母にあたるカードローン残高の増加を挙げました。一方、4-6月期決算では堅調であった株式市場部門の純収益は、前期比・前年同期比で減少しました。 決算詳細はこちら 半導体:反転見えるか? 半導体セクターにも注目です。銘柄としては、18日(水)寄り前にASMLホールディング(ADRのティッカーは「ASML」)、同日引け後にあるラムリサーチ(LRC)など半導体製造装置に始まり、19日(木)の世界最大のファウンドリー(製造受託企業)TSMC(台湾セミコンダクター,ADRのティッカーは「TSM」)が決算発表を予定しており、今後の半導体セクターの先行きを見通すうえで重要な示唆を得る機会となりそうです。先週いち早く決算速報を発表したサムスン電子(米国上場なし)は、売上高・営業利益ともに市場予想を上回りました。なお、野村では、半導体市況を左右するメモリー半導体の平均単価について、DRAMは7-9月期に、NANDは10-12月期から回復すると予想しています。半導体業界の業績反転の兆しが足元の決算発表で見えるか、確認したいと考えます。 他にも、各セクターを代表する企業が目白押し 上記の他、メディア・娯楽セクターではネットフリックス(NFLX)、自動車セクターのテスラ(TSLA)、生活必需品セクターのプロクター&ギャンブル(P&G、ティッカーは「PG」)など、各セクターを代表する銘柄が決算発表を迎えます。 企業業績がけん引し、株価が上昇する展開になるか、注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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10/16 10:00
【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者信用の悪化懸念が和らぐ、株価は+1.50%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月13日寄り前に、金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。純収益は市場予想を2.7%上回り、EPSは市場予想を13.7%上回りました。 金利上昇が追い風、消費者信用の悪化懸念が和らぐ 会社は、2023年12月期通期の市場部門を除く純金利収入の見通しを、従来の870億ドルから890億ドルへ上方修正し、米国の金利上昇が業績に追い風となったとコメントしました。また会社は、通期のカードサービスの純貸倒率見通しを従来の2.6%から2.5%へ引き下げ、貸倒額が想定を下回ったことや分母にあたるカードローン残高の増加を理由として挙げました。 一方で、株式市場部門の純収益は、前期比、前年同期比で減少しました。 純利益とEPSの推移 株価は上昇 JPモルガン・チェースの株価は、前日比1.50%高で引けました。 会社は純金利収入の増加や低い純貸倒率は一時的で今後正常化するとコメントしたものの通期の業績見通しが上方修正されたことが株価の上昇につながったと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。EPSは、市場予想との比較のため本社部門の投資損失を除いた値で、報告書の実績値は4.33ドル。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月13日時点。(注3)純収益とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月12日時点。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者の財務状況は健全であることを確認、株価は+0.60% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点