米国株
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07/18 11:09
【米国株決算速報】ユナイテッドヘルス・グループ(UNH):医療費支払い増加の懸念は行き過ぎ、株価は+7.24%
決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間7月14日寄り前に、医療保険給付や薬局サービス、コンサルティングなどヘルスケアサービスを行うユナイテッドヘルス・グループ(UNH US)が2023年4-6月期(2023.12期第2四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を2.1%上回り、EPSは市場予想を2.6%上回りました。 2023.12月期通期のEPSについて会社は、従来の24.50~25.00ドルから下限を引き上げ、24.70~25.00ドルとの見通しを示し、中間値は市場予想(24.82ドル)とほぼ一致しました。 アフターコロナによる手術数増加による医療費支払い増加の懸念は行き過ぎ 会社は6月14日に、コロナ禍により延期されていた高齢者の手術の再開により医療費支払いが増えるとコメントしました。4-6月期の医療費の保険料に対する支払い率は、83.2%と1-3月期の82.2%や前年同期の81.5%からは増加しましたが、市場予想をやや下回りました。会社は、増加は整形外科手術と心臓手術に限定されているとコメントしました。 会社は健康保険加入者数について、価格戦略などにより今後も市場を上回るペースで増加するとの見通しを示しました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 ユナイテッドヘルス・グループの株価は、前日比7.24%高で引けました。EPS見通しの引き上げなどにより、一部の投資家の医療費支払い率の急増の懸念が和らいだためと推察致します。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年7月14日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年4-6月期(2023/6)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年7-9月期以降の予想は2023年7月13日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ユナイテッドヘルス・グループ(UNH):通期EPS見通しが市場予想を下回る、株価は-2.74% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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07/18 09:24
【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):消費者の財務状況は健全であることを確認、株価は+0.60%
決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間7月14日寄り前に、金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM US)が2023年4-6月期(2023.12期第2四半期)決算を発表しました。純収益は市場予想を8.8%上回り、破綻したファーストリパブリック銀行の買収関連など特殊要因を除いた非米国会計基準のEPSは市場予想を9.4%上回りました。 会社は、2023.12月期通期の市場部門を除いた純金利収入の見通しを、従来の810億ドルから870億ドルに引き上げました。また、通期のカード部門の貸倒率を2.60%で据え置きました。 消費者の状況は健全 カード部門の貸倒率実績は、2023年1-3月期の2.07%から、4-6月期には2.41%に上昇しました。 ジェイミー・ダイモンCEOは、「米国経済は引き続き底堅い。消費者のバランスシートは健全な状態を維持しており、消費者の支出はやや緩やかではあるが増加している」と、コメントしました。今後、カードローン残高の伸びが止まったり、返済に回ることで残高が減少したりした際に、GDPの約7割を占める個人消費に悪影響が出る懸念がありますが、足元では急速な悪化は見られないことが確認された形です。 投資銀行部門は、株式・債券の引受や債券トレーディングの純収入が市場予想を上回りました。 純利益とEPSの推移 株価は上昇 JPモルガン・チェースの株価は、前日比0.60%高で引けました。純収入・EPSの実績や、純金利収入と貸倒率の見通しが市場予想より良好だったためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益で、破綻したファーストリパブリック銀行の買収に関連した資産の割安価格での取得による利益や追加の引当金積み増しによる損失、投資評価減などの特殊要因を除く。特殊要因を含んだEPSは4.75ドル。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年7月14日時点。(注3)純収益とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年4-6月期(2023/6)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年7-9月期以降の予想は2023年7月13日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):金融不安を和らげる好決算、株価は+7.55% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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07/14 09:25
【米国株決算速報】ペプシコ(PEP):インフレの中でも消費者が選び続けるブランド、株価は+2.38%
決算概要 売上高・EPS実績は市場予想を上回り、通期見通し引き上げ 米国時間7月13日寄り前に、「ペプシコーラ」や「Lay’sポテトチップス」で知られる世界的な食品・飲料会社のペプシコ(PEP US)が2023年4-6月期(2023.12期第2四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を2.7%上回り、EPSは市場予想を6.5%上回りました。 会社は、2023.12期通期の調整後売上高とEPSの見通しを上方修正しました。 インフレの中でも消費者が選び続けるブランド 売上高成長率の寄与度の内訳は、値上げ分が前年同期+15%、数量が同-2.5%、為替が同-2.5%で、値上げ分ほど数量が落ちなかったことが好業績につながったことが確認されました。会社はカンファレンスコールで、特に低所得層の消費者がインフレにより予算の最適化を行っているにもかかわらず当社のカテゴリー・ブランド内に留まっている、と需要の好調をコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 ペプシコの株価は、前日比2.38%高で引けました。当社はインフレで財消費が減速する中でも、スナック菓子や飲料のブランド価値を利用してインフレ下でも業績を向上させていることが市場に評価されたためと考えます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年7月13日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年4-6月期(2023/6)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年7-9月期以降の予想は2023年7月12日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ペプシコ(PEP):値上げ分ほど需要落ちず、株価は+2.27% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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07/10 20:00
【1分で読める今週の米国株】JPモルガン・チェースなど4-6月期決算発表、始まる(7/10)
1分で読める今週の米国株 6月30日~7月7日の振り返り 先週は、欧州や中国の経済指標では世界経済の減速が意識された一方、米国では市場予想を上回る経済指標が多く、利上げ継続観測が強まり、週後半に株式市場は下落しました。 今週のPoint1. 6月雇用統計は「7月利上げ」を後押し 2023年6月の非農業部門雇用者数(事業所調査)の伸びは事前の予想を下回り、民間部門雇用者数の伸びは低調でした。ただし、雇用者数の予想外の弱さを除くと、今回の雇用統計は全体的に堅調な内容であったと言えます。5月に大幅に上昇した失業率は3.6%に低下した上、賃金・所得の伸びも力強く、時間当たり平均賃金は前月比+0.4%となりました。野村では今回の雇用統計を受け、7月25日(火)-26日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)において、0.25%ポイントの利上げとなる可能性が高まったと考えています。FRB高官講演では、昨年以降の利上げ議論に先行してきたウォラー理事の講演が14日に予定されており、注目が集まります。 今週のPoint2. 12日(水)のCPIに注目 6月後半は、インフレ鈍化(期待)と堅調な景気が組み合わさったことで株価が上昇する場面が目立ちましたが、7月初週の先週は、4%を超えた米長期金利(10年国債利回り)が株価の重石となりました。野村では、2023年後半に経済や雇用が減速していくとのメインシナリオに立ち、7月FOMCが今局面での最後の利上げとなると考えています。一方でリスクシナリオとして、 雇用が堅調(例えば、非農業部門雇用者数が2023年末まで月+15万を上回るような状態)となり、利下げ開始時期の市場織り込みが2024年初から2024年後半まで後ずれするようなケースでは、米長期金利は一時的には4.5%前後までの上昇余地があると見込まれます。こうした環境では、金利上昇に弱いハイテク株が下押し圧力を受けやすい点には注意が必要でしょう。今週は12日(水)に発表されるインフレ指標の6月CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。 今週のPoint3.4-6月期決算発表、始まる もっとも、足元のハイテク企業業績は底打ちの兆しもあり、金利上昇の圧力をはねのけEPS(一株当たり利益)の成長で株価上昇となる可能性も秘めています。今週からいよいよ、S&P500企業の8割以上が決算発表を行う4-6月期決算シーズンに突入します。13日にはデルタ航空(DAL)やペプシコ(PEP)、14日にはJPモルガン・チェース(JPM)やシティグループ(C)、ウェルズファーゴ(WFC)などの大手銀行、大手資産運用会社のブラックロック(BLK)、その他、ダウ指数構成銘柄では医療保険のユナイテッド(UNH)などが発表を予定しています。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 12日(水)発表のCPIに注目 今週は12日(水)に発表されるインフレ指標の6月CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。足元のデータは、6月のインフレ圧力緩和を示唆しています。野村では、6月のコア消費者物価(CPI)上昇率が前月比+0.2%(四捨五入前:+0.160%)へ、5月の同+0.4%(同:+0.436%)からコロナ禍以降最低の水準まで顕著に減速すると予想しています。 減速の主要因の1つは中古車価格であり、2ヶ月連続で大幅に上昇した後、再び下落に転じると予想されます。さらに、宿泊費や航空運賃などの観光関連も6月は前月比で下落したと考えられます。借家家賃と持家帰属家賃の上昇率は、緩やかな減速を続けたとみられます。スーパーコア・インフレ率、すなわち賃料関連を除いたコアサービスCPI上昇率は、5月の前月比+0.24%から6月は同0.0%に急減速したとみています。 いくつかの下落要因は今後数ヶ月で部分的に反転する可能性がありますが、消費者のサービス支出の勢い低下、賃貸住宅市場の供給過剰、自動車販売関連の信用引き締めにより、緩やかなディスインフレのプロセスが始まったと考えています。連邦準備制度理事会(FRB)が単月のデータに反応する可能性は低いものの、6月のCPIは7月のFOMC後の追加利上げの可能性を低下させる可能性が高まっています。これは7月に予想される政策金利の引き上げが現在の利上げ局面における最後の利上げになるだろうとの野村の見方に沿っています。 もっと知りたい!決算発表 決算発表を迎えるにあたり、各セクターの産業グループ別EPS前年比増減益率を確認してみましょう。産業グループ別のカテゴリは名前だけではわかりづらいですが、どの企業がどのグループに入るかを理解すると、分野ごとの動向を理解するのに役立ちます。例えば、下図で1位の消費者サービスグループには、外食、ホテル、クルーズ船運航企業などが含まれます。今年の増減益率で2位につけている小売産業グループには、アマゾン・ドットコム、イーベイ、ブッキング・ホールディングス、エクスペディアなどが含まれます。また4位のメディア・娯楽産業グループには、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、ネットフリックスなどのインターネット関連企業が含まれます。これらは、総じて2024年予想(後述)でも好調な企業が多く、今期の実績と来期以降の実績、いずれも注目が集まります。 翻って半導体・半導体製造装置は24業種中の下位から数えて5位に位置します。一方、2024年予想では増減益率で1位となっており、足元の株価上昇は来期以降の業績反転や、生成AI(人工知能)やクラウドサービスなど長期の成長性が期待されていることが示唆されます。こうしたセクターの決算発表では、実績も重要ながら、会社見通しが株価を大きく左右します。 今週発表が相次ぐ銀行セクターは、2023年こそ上位に位置していますが、2024年には景気後退や金利低下の影響を受け、唯一の減益グループと市場に予想されています。こうした見方を覆すことができるか、注視したいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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07/03 20:00
【1分で読める今週の米国株】「景気好調&インフレ鈍化」はいつまで続く/雇用統計に注目(7/3)
1分で読める今週の米国株 6月23日~30日の振り返り 28日(水)にECB(欧州中央銀行)フォーラムでパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が、政策金利の引き上げを1会合おきではなく連続で実施する可能性があると指摘し、株式市場ではFRBの利上げが続くとの見方が強まりました。 一方で、先週発表された経済指標は市場予想を上回るものが多く、これまでFRBが積極的に利上げしてきたにも拘わらず米国景気は底堅さを維持していることが示されました。企業業績の堅調さにつながることが期待され、株式市場は金利上昇を伴いながら、週後半にかけて堅調に推移しました。 今週のPoint1. ゴルディロックス(適温)と景気過熱懸念の間で 市場でインフレ懸念が高まった時期には、好調な経済指標はインフレを助長し、長期金利を上昇させるとの見方から株価の下押し材料となっていました。足元では、インフレ指標が総じて市場予想より下振れしていることから、ゴルディロックス(適温経済:過熱も冷え込みもしない景気)の相場となっています。基本的には株価にポジティブですが、好調な景気がインフレを再燃させないかに注視が必要です。月初の重要なマクロ指標である3日(月)の6月ISM製造業景気指数、6日(木)の6月ISMサービス業景気指数に注目が集まります。 今週のPoint2. インフレの粘着性を見る雇用統計 インフレの粘着性を判断する上で重要なのが雇用環境です。最注目は7日(金)の6月雇用統計で、観測気球となる6日(木)の6月ADP全米雇用レポート、7月1日の週の新規失業保険申請件数にも市場の関心が集まります。 6月雇用統計の非農業部門雇用者数の市場予想は前月比+22.5万人(5月同+33.9万人)と、前月の高い伸びは一時的であったとはいえ堅調な雇用増加が続くことが予想されています。 今週のPoint3. 4-6月期決算に向けた業績の位置を確認 3-5月期決算発表がほぼ終わり、決算発表の谷間の週です。リビジョン・インデックス(アナリストの業績予想の方向を示す指数)は3か月ごとに上下を繰り返しており、企業決算発表前に保守的に見直される傾向があります。足元も7月の決算発表シーズンを前にして、下方修正優位です。さらに、一株当たり利益の前年同期比の増減率では4-6月期が底であり、7-9月期には減益率が縮小する見通しとなっています。7-9月期からの反転傾向が明確になれば株価にポジティブに作用すると考えられます。決算においては、実績だけでなく、会社見通しにも注目したいと考えます。 なお、7月4日(火)は、独立記念日の祝日で休場となります。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 夏場の米金利低下は起こるか? リーマンショック以降、米長期金利が7・8月に低下しやすいという季節性が強まっています。背景としては、同時期に経済指標が下振れやすいなどの理由が挙げられます。「リーマンショック後には、雇用統計を中心に経済指標において季節調整の歪みが生じた結果、特に作用しやすくなった」(野村の小清水ストラテジスト)と考えられます。リーマンショック後には年末年始に雇用が大きく落ち込んだことで、季節調整においてこの落ち込みが一部季節性と認識されてしまった結果、季節調整値が年末年始には大きめに押し上げられやすく、逆に年央に大きめに押し下げられやすいというクセが生まれました。加えてコロナ後には、雇用統計において3~5月分の季節調整済み系列が例年対比で上振れやすく、逆に6・7月分は下振れやすいというクセが発生しています。 雇用情勢は依然として底堅く推移しているものの、5月分の雇用の伸びは実勢対比で過度に高かった面があると見られます。逆に6・7月分が下振れれば、景気に対して過度に楽観的な見方が修正され、米金利が低下しうると予想されます。一方、もし6月分でも最新5月分の前月比+33.9万人のような高い伸びが続いた場合、純粋に景気が堅調であることが示唆されます。この場合、市場は7月以降も利上げが続くとの見方を強め、米金利は一旦上昇しそうです。 もっと知りたい!決算発表 今週は決算発表の谷間となるため、個別企業の決算ではなく市場予想の現在地を確認したいと考えます。米国企業のリビジョンインデックス(直近4週間にアナリストが業績を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で示される値)は、概ね3ヵ月周期で循環的に動く傾向がみられます。大多数の企業の決算発表が集中する7月後半~8月前半を前に、業績予想は従来のパターン通り下方修正優位になっています。 四半期EPS(一株当たり利益)を見てみると、4-6月期は前年同期比-8.2%、7-9月期は同-0.2%と減益幅が小さくなっており、4-6月期が前年同期比EPS増減率で見た業績の底です。4-6月期決算においては実績はもちろん、7-9月期以降見通しがどちらの方向に修正されるかに注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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06/26 20:00
【1分で読める今週の米国株】インフレ指標に目配りを/マイクロンに見る半導体株の決算(6/26)
1分で読める今週の米国株 6月16日~23日の振り返り 注目されたパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の半期議会証言の内容は、前週に開催された6月FOMC(米連邦公開市場委員会)から大きな変化はなかったものの、追加利上げの可能性が改めて意識され、株式市場は軟調に推移しました。 今週のPoint1. パウエルFRB議長の意図は? 現在、FRBはこれまでの利上げの効果を見極めている段階とみられます。パウエル議長が今後の利上げ可能性を改めて示唆した背景には、今後も追加利上げがないという姿勢を明確に打ち出してしまうと、市場参加者はその先の利下げ開始時期などを織り込み始めてしまい、これまで行ってきた金融引締めの効果が減殺されてしまうことへの警戒があると見られます。 今週のPoint2. 高官発言への目配り継続を 28日(水)及び29日(木)にはパウエル議長がECB(欧州中央銀行)年次フォーラム等の討論会に参加する予定ですが、利上げ期待をさらに強めるを働きかけるような発言は見込みにくいと考えられます。なおパウエル議長は、「今後の金融政策はデータ次第」としていることから、インフレが徐々に鈍化していけば、実際には追加利上げが行われないということも、十分あり得ると予想されます。今週は、30日(金)発表の5月個人消費支出コアデフレーターや6月ミシガン大学消費者期待インフレ率確報値等が注目されます。 今週のPoint3. マイクロンなど3-5月決算が終盤戦へ 3-5月期決算発表が後半戦に入っています。 26日(月)にはクルーズ船大手のカーニバル(CCL)、28日(水)にはメモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)、29日(木)にはスポーツ・アパレル大手のナイキ(NKE)が決算発表を予定しています。いずれもセクターを代表する銘柄であり、市場の関心が集まります。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 ミシガン大学の「消費者期待インフレ率」 30日(金)に、ミシガン大学消費者マインド調査が発表されます。前段でもお伝えした通り、FRBの金融政策は「データ次第」という見方が市場に浸透していることから、インフレデータを含む同統計は株式市場に影響を与えています。 同統計は速報値が月中ごろ、確報値が月末に発表されます。景気の先行指数として「消費者信頼感指数」が注目されるほか、コロナ禍以降にインフレが市場の関心事になってからは「期待インフレ率」が関心を集めています。 6月16日に発表された消費者期待インフレ率の6月速報値は、1年先、5年先ともに5月確報値から鈍化しました(前年同期比)。 このまま鈍化が続けば金利低下に依拠した株価上昇は続きますが、前年同月比+3%前後の水準が続き根強いインフレ期待が示されれば、株価の上値を抑える一因となりそうです。 もっと知りたい!決算発表 今週は、2023年3-5月期決算発表の終盤戦です。26日(月)にはクルーズ船大手のカーニバル、29日(木)にはスポーツ・アパレル大手のナイキなど大手が決算発表を予定しています。ここでは、28日(水)に発表が予定されるメモリー半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)を見てみましょう。当社の業績は、2023年の米国株のけん引役である半導体セクターを見通すうえで注目が集まります。 マイクロン・テクノロジーとは 当社はメモリーとストレージの大手であり、製品はPCからスマートフォンまで様々な電子機器に利用されています。日本では、エルピーダメモリを2013年に買収したことでも知られています。メモリーとストレージの出荷総数でみた世界シェアは、サムスン電子、SKハイニクスに次ぐ第3位です。売上高の約70%をDRAM(電源が入った状態でのみデータの高速な書き込み・読み出しが可能)、残りをNAND型フラッシュメモリー(電源を切ってもデータが消えないが、DRAMより高価で書き込み・読み出しが遅い)が占めています。メモリー業界は競争が熾烈なだけでなく、好不調の波も激しいため、単価・利益率が市場動向に大きく左右されます。 2024年は半導体はV字回復も、メモリーは回復途上 6月6日にWSTS(世界半導体市場統計)が、2023年春季の半導体市場の見通しを発表しました。半導体市場全体は、2022年実績と2023年の予測が、前回発表時点(2022年11月)よりも下方修正となっていますが、今回新たに示された2024年については拡大に転じ、V字回復すると予想されています。EVや再生エネルギー、AI向けなどがけん引役です。 内訳別に見てみると論理演算に使われるエヌビディアなどのロジック半導体や、エネルギー関連に使われるディスクリート半導体は2024年に過去最高値を更新する予想となっている一方で、メモリーは2022年の水準に届かない見込みです。 上記表の通り、メモリー半導体市場は大きく、半導体市場全体に大きな影響を及ぼします。マイクロン・テクノロジーの2022年12月-2023年2月期決算では、売上高が前四半期比-10%と市場予想を下回りましたが、3-5月期の会社見通しは前四半期比横ばいとされ、底打ちへの期待は高まりました。今回の決算発表でも、3-5月期の実績とともに6-8月期の会社見通しにも注目が集まります。 また、ロジック半導体のほとんどのメーカーがファブレス(工場を持たない)形式である一方、メモリー半導体では自ら生産設備を保有しているメーカーが大半です。製造装置も含めた半導体セクター全体を見るうえでは、当社の業績や設備投資動向は重要な示唆になりそうです。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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06/21 20:00
【1分で読める今週の米国株】今夜のパウエル議長の議会証言が観測気球に、アクセンチュア決算にも注目(6/21)
1分で読める今週の米国株 6月9日~20日の振り返り (19日は、ジューンティーンス(奴隷解放記念日)で米国株式市場は休場でした) 注目された6月FOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利が据え置かれた一方、年内2回の追加利上げの可能性が示唆されました。タカ派的なサプライズとなったにも関わらず、週を通せば米国株の主要3指数は揃って上昇しました。 今週のPoint1. なぜタカ派サプライズでも上昇したのか FOMC後の記者会見でパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は、政策金利を据え置いた理由について「これまでの政策金利引き上げの効果を見極めるため」「今後の政策金利についてはデータ次第」と言及しました。FRBは、政策スタンスそのものを従前から大きく変えなかったとも考えられます。加えて、先週発表の5月CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)はともに市場予想を下回り、インフレ鈍化を示唆するものでした。市場は総じてこれらを安心材料と捉えたようです。 今週のPoint2.パウエル議長の議会証言 FRBが今後の利上げ可能性を示唆した背景には、6月FOMCで利上げを見送り、今後も追加利上げがないという姿勢を明確に打ち出すと、市場参加者は、その先の利下げ開始時期などを織り込み始めるなど、これまで行ってきた金融引締めの効果が減殺されてしまうことから、そのような事態を避けたいとの考えがあると推察されます。 こうした意図と株式市場の上昇での反応を考えると、21日(水)と22日(木)に予定されているパウエルFRB議長による半期議会証言は重要です。FRBの現状認識と市場へのメッセージを改めて確認したいと考えます。 今週のPoint3.アクセンチュアなど3-5月期決算発表が相次ぐ 3-5月期決算発表が本格化します。先週2-5月期決算を発表したソフトウェアセクターのオラクルやアドビなどは市場予想を上回る決算を発表しており、こうした流れが続けば、S&P500構成企業の8割以上を占める4-6月期企業決算へも期待が高まります。まずは、22日(木)発表のアクセンチュアに注目したいと考えます。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 長期金利4%超えはありうるか? 6月FOMCでパウエルFRB議長は明確なフォワードガイダンス(先行きの指針)を示しませんでしたが、年内あと2回の利上げが想定されていることが示唆されました。これに対して、市場は年内あと1回の利上げしか想定していません。計0.5%ポイントの追加利上げが必要になるほど景気・インフレが堅調に推移し続ければ、市場では年内の利上げ期待が高まるだけでなく、2024年の利下げ時期が後ずれし、米10年国債利回りが4%超となるリスクが高まると考えられます。利回りが4%に接近する過程は、2022年末にかけて米国株が下落した期間とも重なるため、仮に市場が4%超を織り込めば、株価の変動も大きくなることが予想されます。 ただし、野村では2023年後半以降には景気減速が強まり利上げは7月の0.25%ポイントが最終と想定しています。よって、4%超はリスクシナリオの位置づけです。また、11月の利上げ判断には7月以降3ヶ月分の指標が必要となるため、利上げ期待が目先で急拡大することは考えにくい状態です。 もっと知りたい!決算発表 3-5月期決算発表が本格化します。足元のソフトウェアセクターの業績はおおむね好調であり、今週は22日(木)発表のアクセンチュアに注目したいと考えます。 アクセンチュアとは 当社は世界的なコンサルティングサービス大手で、IT分野に強みを持ちます。売上高では、コンサルティングとマネージドサービス(バックオフィス)のセグメントで二分されています。 アクセンチュアを見る意義は各セクター・地域の「強さ」が分かること 2022年12月-2023年2月期決算の売上高は現地通貨建て前年同期比+9%と、ガイダンスの上限となりました。マネージドサービスが同 +12%と2桁増収を記録し、コンサルティングが一桁台半ばの減収となったことをカバーしました。業種別では、5つのうち3つの業種(金融・ヘルスケア・資源)で2桁増収を記録しています(製造・流通は同 9%増、通信・メディア・ハイテクは同横ばい)。こうしたセクターごとの強弱は、他セクターの銘柄を見るうえでも参考になります。また、地域別では米国がけん引したほか、欧州も売上高で同+12%と予想外の底堅さをみせ、ドイツ、イタリア、フランスが好調でした。 受注は好調だが、会社は慎重 2022年12月-2023年2月期の受注は220億ドルと2022年9月-11月期の160億ドルから増加し、過去最高を更新しています。会社は2023年3-5月期の受注について、北米の通信・メディアからの需要が弱いことに加え、全体的に契約規模が縮小傾向にあることから、伸びが鈍化するとの見通しを示しており、ガイダンスは成長率の上限を1%ポイント下方修正しています。当社がこうした見通しを上回ることができれば、当社の株価だけでなくソフトウェアセクター全体にも追い風となるでしょう。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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06/12 20:00
【1分で読める今週の米国株】14日(水)のFOMCに熱視線、オラクル&アドビ決算にも注目(6/12)
1分で読める今週の米国株 6月2日~9日の振り返り FOMC(米連邦公開市場委員会)を翌週に控え、米国株主要3指数は一進一退でした。 今週のPoint1. 5月CPIで改めてインフレをチェック 先週は、FOMC参加メンバーが沈黙期間(金融政策に関する公での発言を控える期間)に入りインフレ・金融政策見極めに材料を欠く一週間でした。5日(月)に発表された5月ISMサービス業景気指数は前月の51.9に対し50.3と、市場予想の52.2に反して前月から悪化しました(インフレにとっては鈍化要因)。一方、2会合連続で利上げを見送っていたカナダの中央銀行であるカナダ銀行が再度利上げに踏み切ったことは、FRBの利上げ再開観測を強める材料となりました。 13日(火)には、米CPI(消費者物価指数)が発表されます※。13日(火)-14日(水)に開催される6月FOMCの議論に大きな影響を与えると見られ、注目が集まります。 ※詳しくは次項目「もっと知りたい!経済指標」参照 今週のPoint2.FOMCの見どころは 今週は日米欧の中央銀行が金融政策の決定会合を開催します。日米のプレビューはこちらの記事(【注目トピック】日銀会合・FOMC 直前予想:米国は利上げ休止、日本は緩和継続の可能性)に詳しく解説しておりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。 6月FOMCは利上げ見送りとの観測が強まる中で、市場の関心はどの程度明確に7月以降の利上げ再開の可能性が示されるかに集まっています。毎年3月・6月・9月・12月のFOMCは参加者の政策金利見通し(ドッツ)が発表されます。3月時点で5.125%となっていた2023年末ドッツ中央値の上方修正があれば、市場は7月以降の利上げ期待を高め、株価には下押し材料となります。一方、ドッツ中央値に変化がなく、声明文やパウエル議長記者会見を通じて利上げ再開の可能性を示唆する程度に留まれば、7月以降の利上げの可能性を高めない場合、株式市場にとっては好材料でしょう。 今週のPoint3.アドビ、オラクルが決算を発表 米国は、早くも3-5月期決算が発表されます。オラクルやアドビなどソフトウェアの主力の発表が予定され、米企業の決算発表が集中する4-6月期の発表(7月中旬~)の前哨戦として注目されます。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 13日(火)のCPI 5日(月)に5月ISMサービス業景気指数が発表されます。 CPIは高止まりが予想される 13日(火)に5月のCPI(消費者物価指数)が発表されます。5月コアCPI(食料エネルギー除く)の市場予想は前月比+0.4%(4月同+0.4%)と、引き続き高い伸びが予想されています。自動車や変動の大きい一部の項目の影響により、コアCPIが全体としても上振れるリスクがあります。CPI上振れの場合、翌日のFOMC結果発表でもタカ派的なコミュニケーションが予想されます。 「スーパーコア・インフレ率」を気にしなくてよい理由 なお、パウエル議長の講演などから、市場ではインフレの持続性を測る指標として、借家賃料と持家帰属家賃を除くCPIコアサービス・インフレ率(スーパーコア・インフレ率)が注目されています。野村の試算によれば、4月の前月比+0.1%から同+0.5%に上昇したとみています。予想通りとなればFOMCのタカ派化要因ですが、宿泊料金や航空運賃など変動の激しい項目や一過性の要因によって増幅された可能性が高いことや、FRBが政策決定をより将来を見据えて行うようになっていると考えられることから、野村では年内の追加利上げはないとみています、 もっと知りたい!決算発表 オラクル&アドビ 今週発表が予定される中でも、オラクルはクラウド・ソフトウェア業界、アドビはAI・マーケティング・オートメーション・ソフトウェア業界とハイテクセクターの業績へのインプリケーションが大きく、注目が集まります。 オラクルの「後発者利得」はどこまで続くか オラクルは、12日(月)に2023年5月期通期の決算発表を予定しています。3月に発表された2022年12月-2023年2月期決算は好調で、売上高はガイダンスの中央値とほぼ一致し、うち、クラウド売上高は前年同期比+45%と高成長が続きました。オラクル・クラウド・インフラストラクチャー(OCI)がクラウド売上高を牽引しています。会社の前四半期のガイダンスからは、第4四半期のクラウドの増収率が為替調整後で約 35%へと加速することが示唆されます。同社は、クラウドアプリケーションもこれまでのところマクロ環境悪化の影響は出ていないようです。 なぜ、OCIは堅調なのか アマゾン・ドットコムのAWSやマイクロソフトのAzureなどの成長が鈍化する中でなぜOCIが堅調かは必ずしも明確ではありません。OCIに関する説明会に参加した米ウルフリサーチ社のアナリストは「当社がクラウドインフラの二番手としてサービスを開始したことが有利に働いている」としています。 マルチクラウド戦略の追い風は続くか 冒頭に挙げた他社のサービスは主に「パブリッククラウド」として知られ、原則はサービス全体を同一のクラウド内で管理・処理することを前提としています。一方、OCIはパブリッククラウドと顧客企業側が自社で構築するプライベートクラウドを併用する「マルチクラウド」を前提に構築されていることから、足元の顧客企業側によるクラウドソフトウェアの取捨選択の流れが追い風となっているようです。こうしたクラウド最適化の動きは数四半期で終わるものか、トレンドとして続くものかを、当社決算を通じて確認したいと考えます。 アドビにとってAIは向かい風か?追い風か? 15日(木)に決算発表を予定しているアドビではAI戦略に注目です。前回の四半期(2022年12月-2023年2月期)決算では、売上高・利益ともに市場予想を上回りました。それにも関わらず、当社は画像や動画に関連するクリエイターや企業を多く顧客に持つため、ここ半年の「生成AI」(特に、画像生成AI)の流れの中で、画像・動画制作市場自体が縮小するとの懸念から、株価は伸び悩んでいます。 アドビならではのAI戦略は 一方、同社は「sensei」というAI技術を持つほか、画像生成ソフトウェアの「Adbe Firefly」を発表しています。見方を変えれば、生成AIはクリエイターの人口を増加させると同時にプロのクリエイターのワークフローに付加価値を付加するものにもなり得ます。当社は膨大なデータやエコシステム、そして権利関係などの規制対応上の強みを持つことから、商業的に有望な生成AI製品が開発できれば同社と顧客に大きな付加価値をもたらす可能性があります。同社の戦略に関心が集まります。 これら2銘柄は、独自の強みが注目されるとともに、4-6月期に集中するクラウド関連企業、マーケティング・オートメーション・ソフトウェア、AI関連いずれにとっても大きな示唆情報になり得ます。金融政策を注視しつつ、企業決算からも目が離せません。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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06/05 20:00
【1分で読める今週の米国株】インフレ鈍化は本物か?決算発表はドキュサインなど、アップル開発者会議も(6/5)
1分で読める今週の米国株 5月26日~6月2日の振り返り 米国株主要3指数は週半ばまで一進一退でしたが、週後半には上昇しました。2023年財政責任法が成立し米連邦政府の法定債務上限問題がひとまず解決しました。法定上限は2025年1月1日まで適用除外とされ、2024年11月の大統領・議会選挙前に政争の具となる事態を避けることが出来るようになったことは金融市場にとって朗報です。 今週のPoint1.経済指標は「期待通りに悪化」するか? 1日(木)に発表されたISM製造業景気指数は46.9と景気拡大・縮小の境目とされる50を下回りました。市場では、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ停止に向けた好材料と捉えられました。今週は5日(月)にISMサービス景気指数が発表されます。財(モノ)よりもサービスのインフレが懸念される足元の環境では、従来以上に市場の関心が集まります。 今週のPoint2.雇用統計は総じてインフレ鈍化を示唆 2日(金)に5月雇用統計が発表されました。「非農業部門雇用者数」は前月比+33.9万人と、市場予想の19.5万人を大きく上回りました。一方で、失業率は4月の3.4%を0.3%ポイント上回る3.7%に上昇しました。 「雇用者」増でも失業率増加のワケ 「雇用者数」は増えているにも関わらず「失業率」が上昇している理由は、失業率が事業所調査ではなく、家計調査の就業者数を基に計算されていることが背景にあります。自営業従事者は家計調査の就業者に含まれますが、非農業部門雇用者数には含まれません。野村の雨宮エコノミストは「インターネットを経由して仕事を受注するギグワーカーなど、法人化されていない自営業従事者が減少している可能性がある」とコメントしてます。 平均時給は鈍化 5月雇用統計では、総労働時間や平均時給が市場予想を下回ったこともあり、総じて労働市場の需給緩和(インフレ圧力緩和)が示唆されました。 今週のPoint3.端境期に決算を振り返る 今週は、2023年2-4月期に決算発表を予定する企業も数社を残すのみとなります。足元の決算発表を振り返ると、直近4四半期平均よりもポジティブ・サプライズ比率(実績が市場予想を上回る比率)の高い四半期となりました。業績が株価のけん引になるか、注目が集まります。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 5日(月)のISMサービス業景気指数 5日(月)に5月ISMサービス業景気指数が発表されます。 ISMサービス業景気指数の概要 全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)が算出する非製造業の景況感を示す指数のひとつで、毎月第3営業日に発表されます。毎月発表される米国の主要指標の中で最も早い「ISM製造業景況感指数(毎月第1営業日発表)」とともに、米国の景気先行指標として注目されています。非製造業(375社以上)の購買・供給管理の責任者を対象に、各企業の受注や在庫、価格など10項目についてアンケート調査を実施しています。 三者択一の回答から集計 「良くなっている」、「同じ」、「悪くなっている」の三者択一の回答結果を集計し、季節調整を施した事業活動・新規受注・雇用・入荷遅延の4つの指数をもとに、ISM非製造業景況感の総合指数を算出します。ISM製造業景況感指数と同様に、0から100までのパーセンテージで表し、50%が景気の拡大・後退の分岐点となり、50%を上回ると景気拡大、50%を下回ると景気後退を示します。 市場の目線と注目ポイント 市場予想は52.5(4月51.9)と、前月からの小幅上昇が予想されています。市場予想通りとなれば、サービス業は回復傾向を辿っているものの、3月の銀行経営不安以前ほどの勢いは見られず、6月13日(火)・14日(水)に予定されているFOMCの利上げ停止期待へ支援材料となりそうです。 もっと知りたい!決算発表 底堅い決算内容は株価に追い風 2023年1-3月期(リフィニティブによる集計では、同四半期には2022年12月-2023年2月期、2023年2-4月期を含む)の決算がほぼ出揃ってきました。S&P500 指数構成企業のポジティブ・サプライズ比率は売上高で73%、純利益で76%と、直近4四半期の平均である70%、73%をそれぞれ上回っています。市場予想よりも底堅い内容であり、株価には好影響となります。 アナリストの株価予想を示すリビジョン・インデックスも、今期・来期がともに1.0を超え、上方修正が優勢となりました。 端境期でも、残る決算発表に注目 8日(木)に予定される電子署名ソフトウェア大手のドキュサインなどに注目が集まります。先週のセールスフォースの決算発表では、実績は堅調な内容であったにも関わらず、見通しを据置いたことや株価が年初から大幅に上昇していたことによる利益確定とみられる売りで株価は下落しました。実績では、全5カテゴリで前年同期比2ケタ成長を維持しましたが、マーケティング&コマース部門等、景気全体の動向に連動しやすい部門で成長率が鈍化しました。また、BtoB(法人向け)ソフトウェアは、引き続き顧客側で選別姿勢が続いている状況です。個別企業、セグメント、商品ごとの状況を確認して投資に活かしたいと考えます。 アップルの開発者会議が開かれる また、5日(月)から9日(金)までアップルの世界開発者会議(WWDC)が開催されています。一部報道によれば、VR(仮想現実)端末を発表するとの話もあり、注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点