米国株
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06/02 10:05
【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):AI関連が成長をけん引、株価は-1.61%(時間外取引)
決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間6月1日引け後に、通信向けを中心とした半導体・インフラストラクチャーソフトウェアの設計、開発、販売を行うブロードコム(AVGO US)が2023年2-4月期(2023.10期第2四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を0.3%上回り、EPSは市場予想を2.4%上回りました。 また、会社の2023年5-7月期売上高見通しは市場予想1.5%を上回りました。 AI関連が成長をけん引 会社は、大規模なAIネットワーク整備が成長の要因であり、AI関連の売上高が5-7月期には売上高見通しの約11%以上に、2024年10月通期売上高の2割(半導体売上高の25%)以上になる可能性がある、とコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ブロードコムの株価は、前日比2.23%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では終値を挟んだ値動きとなった後、終値比1.61%安の777.25ドルで推移しています(NY時間18:36)。 決算の実績・見通しとも市場予想を上回ったものの、生成AIブームやアップル(AAPL US)との長期契約の発表を受け、5月月間で29%上昇するなど、既にこうした好材料が株価に織り込まれていたためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年6月1日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年2-4月期(2023/4)。2023年5-7月期の売上高の白丸は会社見通し。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年5-7月期以降の予想は2023年5月31日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ブロードコム(AVGO):半導体関連が好調、株価は+0.43% 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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05/29 20:00
【1分で読める今週の米国株】「ハイテク株優位」は続くか?セールスフォースなど2-4月期決算発表は終盤戦(5/29)
本日29日(月)はメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)で休場です。 1分で読める今週の米国株 5月19日~26日の振り返り 米国政府の法定債務上限問題が重石となり、一進一退となりました。セクター別では、エヌビディア(NVDA)やマーベル・テクノロジーグループ(MVRL)など半導体株の好決算を受けて情報技術が上昇しました。 今週のPoint1.債務上限問題、先週末に基本合意 米連邦政府の法定債務上限問題については、週末にバイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長による妥協点を見い出す努力が行われ、基本合意に至ったことが複数のメディアで報じられました。両氏の間では基本合意に達したものの、民主党左派、共和党強硬派などからは、譲歩し過ぎとの不満がそれぞれの陣営から出ていると報じられており、議会で法案が成立するかは予断を許さず、引き続き注意が必要です。 今週のPoint2.「ハイテク株優位」続くかは景気×インフレの組み合わせ次第 なお年初来、ハイテク株が景気敏感株をアウトパフォームしています。ChatGPTなどの生成AI(人工知能)の普及と、それに伴う半導体や関連製品の需要拡大に対する期待で株価が上昇していると考えられます。さらに、これをサポートする投資環境として典型的には2つのパターンが挙げられます。 1つが、景気は相応に堅調でインフレも抑制的な「ゴルディロックス(適温)」のパターン、もう1つが景気悪化がインフレを抑制する「景気後退(危機)」のパターンです。この2つのパターンは同時には起こりませんが、金利について先々の低下・維持を想起させやすい点で共通しています。2023年は経済指標が堅調な中でのインフレ率の鈍化、銀行不安など上記の2類型を繰り返す中でハイテク株が相対的に有利な環境が続いてきたと言えます。 6月1日(木)には5月ISM製造業景気指数が、2日(金)には5月雇用統計が発表されます。各々、景況感とインフレを考える上で重要度の高い指標であり注目が集まります。 今週のPoint3.ソフトウェア企業の決算発表相次ぐ 今週もセールスフォース(CRM)などのソフトウェア企業を中心に2023年2-4月期決算発表が続きます。 (以上、「1分で読める今週の米国株」) もっと知りたい!経済指標&金融政策 「雇用」が最大の注目指標 2日(金)に5月米雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数の市場予想は前月比+18.0万人(4月同+25.3万人)と、前月からの鈍化が予想されています。市場予想通りとなれば、FOMC参加者の多くは6月利上げ休止を支持すると考えられます。一方、同+20万人超となれば、労働市場が依然として過熱していると判断されることから、6月追加利上げの可能性が高まります。 雇用への注目度が高いことから、1日(木)に発表される民間統計5月ADP全米雇用レポートも重視されるでしょう。 沈黙期間直前の高官発言は注目度が高い なお、6月13・14日開催予定の6月FOMCを前に、6月3日(土)から沈黙期間(金融政策に関する公の場でのコメントを控える期間)に入るため、FOMC前の最後の機会としてFRB高官の講演への注目度も高まると見られます。 もっと知りたい!決算発表 2023年2-4月期決算発表は終盤戦に差し掛かり、ソフトウェア大手〜中堅企業の決算発表が相次ぎます。中でも、BtoB(法人向け)ソフトウェアを手がけるセールスフォースは同分野の中でリーダーに位置付けられ、同セクターの経済状況を見通す上で注目が集まります。 セールスフォースの事業内容 当社は、クラウド型で企業向けに営業支援や顧客関係管理のCRM(Customer Relationship Management)システムを提供する世界最大手です。当社ソフトウェアのユーザー企業は、営業や顧客に関するデータを一元管理することで、部門内や部門間、経営上層部と現場との間で情報共有ができます。そして、営業の効率化や、より迅速かつ的確な経営判断が可能となります。 主なセグメントは5つ 当社の主要なセグメントは5つあり、ソフトウェア各領域の成長性を横断して見られる点は重要でしょう。営業支援を行う「セールス」、既存顧客を中心にサポートを行う「サービス」、潜在顧客の開拓及びデジタル販売を担う「マーケティング及びコマース」の3部門で売上の半分以上を占めます。他方、残る2つの部門はここ数年での買収で拡大した事業です。 買収の果実実るか チャットなどで知られるスラックを買収して拡大した「プラットフォーム」、データ統合・分析で知られるタブローソフトウェア、ミュールソフトを統合した「データ」の2部門が業容拡大中であり、足元で既に全社売上高の3割強を占めます。前述の3部門も併せた主要5部門全てにおいて売上高が前年比2桁成長を継続しており、各ソフトウェア領域の成長性に注目が集まります。当社の個別要因としては、毎年のように積極的な買収を続けてきたことや人員整理などの構造改革費用で悪化していたキャッシュフローが再拡大すると見込まれる局面でもあり、関心が集まります。 ※数字は2023年1月期通期ベース ITセキュリティにも注目 なお今週は、5月31日(水)のクラウドストライク・ホールディングス(CRWD)、オクタ(OKTA)、6月1日(木)のゼットスケーラー(ZS)など、ITセキュリティ関連銘柄の決算発表が集中します。ITセキュリティは昨今の世界情勢から鑑みても重要度の高いテーマですが、前回決算発表となる2-3月時点ではマクロ環境の悪化による逆風(受注の減少、ソフトウェアの選別)が見られました。業績に再拡大の兆しが見られるか、内容をよく見て投資判断に活かしたいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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05/25 09:46
【米国株決算速報】エヌビディア(NVDA):生成AI向け需要急増、株価は+27%(時間外取引)
決算概要 売上高・EPS実績、売上高見通しは市場予想を上回った 米国時間5月24日引け後に、グラフィックスや、AI、データセンター向けなどの半導体の設計・販売を行うエヌビディア(NVDA US)が2023年2-4月期(2024.1期第1四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を10.3%上回り、EPSは市場予想を18.6%上回りました。 2023年5-7月期(第2四半期)について会社は、売上高は110億ドル±2%との見通しを示し、中間値は市場予想(71.51億ドル)を53.8%上回りました。また、粗利率(売上高営業利益率)見通しは68.6%~70.0%と、23年2-4月期の66.8%から上昇するとの見方を示しました。 生成AI向けの需要堅調 データセンター向けの売上高実績は過去最高となりました。会社は、生成AIと大規模言語モデル向け製品の、大手テクノロジー企業からの需要急増に対応して供給能力を大幅に高めていることをコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外で最高値更新 エヌビディアの株価は、前日比0.49%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比26.79%高の387.19ドルで推移(NY時間18:07)しています。「生成AI向け半導体製品を実際に収益化できるのか」、という一部の市場参加者の懸念を、堅調な実績や、市場予想を大きく上回る売上高見通しにより払拭したことに反応していると考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年5月24日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年2-4月期(2023/4)。2023年5-7月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年5-7月期以降の予想は2023年5月23日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <米国株決算速報>エヌビディア(NVDA):AI用半導体への期待高まる、株価は+14.02% 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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05/22 20:00
【1分で読める今週の米国株】債務上限で揺れる市場、エヌビディアなど2-4月期決算が本格化(5/22)
1分で読める今週の米国株 5月12日~19日の振り返り:債務上限で揺れる市場 米国株主要3指数は週半ばまでは一進一退でしたが、米政府債務上限問題の進展への期待で、週後半にかけて上昇しました。 Point1.債務上限問題は今週がヤマ場 今週も、引き続き債務上限問題が相場を左右しそうです。政府が資金繰りに行き詰まるまでの期限は、早ければ6月1日(米財務省)であることを考えれば、週末が合意の目処と見込まれます。先週金曜日の協議中には共和党側交渉者が突然退席するなど、協議は難航している模様です。バイデン大統領とマッカーシー下院議長(共和党)は22日(月)午後にも会談する予定となっています。トップ会談での合意期待は残っていますが、週を通した株式市場の不安定化要因となりそうです。 Point2.FOMC議事要旨 次の注目点は、24日(水)発表の5月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨です。FOMCは年内利下げを示唆していませんが、市場は依然として年内の利下げを織り込んでいます。議事要旨でFOMCの潜在的な次のアクションの想定が利下げではなく利上げであることが強調されれば、先々での利下げ期待は一旦縮小すると考えられます。 Point3.景気後退の兆候を確認 もっとも、市場が利下げを期待する背景には、過去のインフレや労働市場のデータよりも、今後起こるであろうリセッションを先んじて織り込んでいることが挙げられます。23日(火)の5月S&PグローバルPMI(速報値)といった経済指標や小売・情報技術セクターの企業決算発表が市場の景気後退予想にどのように影響を及ぼすかに注目です。 (以上、「1分で読める米国株」) 補足1:28日(金)発表のコアPCEデフレーター コアPCEデフレーターとは コアPCEデフレーターは、FRB(米連邦準備理事会)が金融政策を決定する上で重視しているインフレ指標です。足元では、エネルギー・食品を含む総合指数を、エネルギー・食品を除くコア指数が上回っています。このことは、サプライチェーンの問題に端を発するエネルギー・食品のインフレが落ち着いてきていることを示す一方で、家賃やサービス価格などではインフレが続いていることも示唆しています。 利下げとの関係は 2023年3月FOMCで示された見通しによれば、利下げが予定される2024年末のコアPCEデフレーター予想は前年比+2.6%で、これを月次換算すると前月比+0.2%程度となります。足元のコア指数は同+0.3%前後で推移しており、一段のインフレ鈍化が、利下げの条件となると考えられます。 補足2:24日(水)のエヌビディア 2022年2-4月期決算発表が本格化します。決算発表企業数では小売セクターが多くなりますが、情報技術セクターにも目立つ企業が散見されます。今回は半導体大手のエヌビディアに注目し、同セクターを見通すヒントにしたいと考えます。 前四半期の実績・会社予想を超えられるか 会社は、2023年1月期通期決算発表において2022年2-4月期の売上高を、中央値で65億ドルと予想しています。前年同期比では22%減となりますが、前四半期比では+7%となる水準で、業績の底打ちを予想していることになります。前四半期の売上高では、ゲーム用(暗号通貨のマイニング用途が大きい)が前年同期比46%減となる一方で、データセンター用がチャットGPTなどのAI需要で前年同期比+11%と下支えしました。データセンター用で高い成長を維持できるかに注目が集まります。 競合企業のデータセンター部門にも底打ち感 同社のGPUにおいて直接的な競合となるのは、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)です。AMDは1-3月期決算発表をすでに終えており、データセンター用は前年同期比ほぼ横ばいとなっています。GPU市場においては、エヌビディアの方が支配的な立場にあることから、エヌビディアの売上高が前年同期比プラスとなる可能性は十分にあると考えられます。 在庫水準はどうか 在庫水準は大きく増加しており、前年同期比+98%の52億ドルまで積み上がっています。成長領域とは言え、年後半に景気後退が見込まれる中で高い在庫水準が続けば株価には下押し圧力となります。半導体セクター全体の株価変動にも影響しうるため、注視する必要があります。 半導体は2023年の牽引役となっているセクターです。米国株全体を見る上でも、試金石となる決算発表になりそうです。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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05/19 09:54
【米国株決算速報】ウォルマート(WMT):グローバルで販売好調、株価は+1.30%
決算概要 実績は予想を上回り、通期見通しを引き上げ米国時間5月18日寄り前に、店舗小売、Eコマース事業を運営するウォルマート(WMT US)が2023年2-4月期(2024.1期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を2.4%上回り、EPSは市場予想を11.4%上回りました。 会社は、2024年1月期通期の売上高とEPS見通しを、従来の見通しからそれぞれ上方修正しました。 グローバルで販売好調、米国でシェア拡大 グローバルで販売が好調で、特に中国やウォルメックス(メキシコの小売部門)、フリップカート(インドのEコマース部門)で売上高が前年同期比で2桁成長となったことを会社は強調しました。また、米国では生活必需品でのシェアを、特に高額所得層や若年層で継続的に高めていることを会社はコメントしました。 インフレによる消費者の節約志向により、利益率の低い食料品や消耗品の売上高に占める割合が上昇したことから、売上高総利益率は前年同期比で低下したものの、生産性の向上などにより売上高成長を上回るEPS成長を達成しました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 ウォルマートの株価は、前日比1.30%高で引けました。好調な実績と、通期見通しの上方修正を市場は好感したと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年5月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年2-4月期(2023/4)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年5-7月期以降の予想は2023年5月17日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <米国株決算速報>ウォルマート(WMT):食料品が好調、株価は+0.61% 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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05/17 09:02
【米国株決算速報】ホーム・デポ(HD):住宅関連需要軟調で見通し下方修正、株価は-2.15%
決算概要 木材価格下落や悪天候で売上高は市場予想を下回る 米国時間5月16日寄り前に、消費者、業者向けのホームセンター事業を行うホーム・デポ(HD US)が2023年2-4月期(2024.1期第1四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を2.7%下回り、EPSは市場予想を0.6%上回りました。会社は減収について、木材価格の下落とカリフォルニア州を中心とした悪天候を理由に挙げました。また、需要について、消費者がアウトドア家具やバーベキューグリル、家電などの裁量的支出を延期したり、リフォームの規模を縮小したりする傾向がみられることをコメントしました。一方で、金融政策による金利上昇による悪影響は受けているものの、長期的な住宅関連消費セクターの健全性に自信を持っているとコメントしました。 通期見通しを引き下げ 2024年1月期通期について会社は、住宅関連消費の需要に対する不確実性などを理由に、売上高見通しを従来の前年度比同水準から同-5%~-2%へ、EPS見通しを従来の前年度比一桁台半ばの減少から同-13%~-7%へそれぞれ下方修正しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ホーム・デポの株価は、前日比2.15%安で引けました。需要の軟化を背景に通期見通しを引き下げたためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年5月16日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年2-4月期(2023/4)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年5-7月期以降の予想は2023年5月15日時点。(注4)見通しの市場予想比は金額ベースで、会社見通し中間値と市場予想との比較。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <米国株決算速報>ホーム・デポ(HD):株価は+1.63%、業者向けが堅調 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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05/15 20:00
【今週の米国株】小売やソフトウェア企業の決算発表が始まる (5/15)
①5月5日~12日の振り返り:インフレ指標には安心感、景気後退懸念と債務上限問題が重石 CPIは無事通過 市場が注目していた4月CPI(消費者物価指数)などのインフレ指標は、概ね市場予想並みかそれ以下となり、インフレ懸念を再燃させる内容ではありませんでした。市場での6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ停止及び、今年後半の利下げ期待は継続しています。 債務上限問題は株価の重石に 他方、米国の債務上限問題が株価の重石となりました。イエレン財務長官は政府による資金繰り策が6月1日に行き詰まるとの見方を示しており、米国政府が現在の財政政策を継続するためにはその期日までに法的対応(上限の引き上げや、一定期間債務上限を適用しない措置)が必要となります。しかし現在、下院は共和党、上院は民主党が過半数を占めるねじれ状態にあり、両党合意が難航していることから市場に懸念が広がっています。2013年の場合、10月上旬が期限と目される中で9月19日から株価が下落に転じ、10月1日に政府閉鎖となって下げが加速、17日に財政合意・政府閉鎖解除となりました。2011年の場合、債務上限引き上げ合意に至ったのは8月2日で、7月8日以降に株安局面に入りました。政府閉鎖に至るXデーを基準にした場合、1カ月から2週間前あたりに株安影響が始まったと言え、今回は6月1日がXデーですから、市場の不安心理は高まる期間に入っていると言えます。 景気敏感株に逆風 また、先週のNYダウ(前週末比で下落)、ナスダック総合(同小幅上昇)を考えると、景気後退の影響も見逃せません。NYダウの構成銘柄には景気敏感株が多く、景気後退の影響を受けやすいとされています。先週のミシガン大学調査の5月消費者態度指数速報値は57.4と4月確報値の63.5から低下し、市場予想も下回りました。同時に発表された消費者期待インフレ率は、1年先は4月確報値の4.6%から4.5%に小幅に低下したものの、5年先については3.2%と、4月確報値の3.0%から上昇しました。インフレ期待が加速する中で、スタグフレーション(インフレ下での景気後退)のリスクにも警戒が高まっています。 ②今週の気になる経済指標:景気を測る各指標に注目 6月FOMCで金融政策が据え置かれた場合、それは雇用増加ペースや失業率の水準、や株価動向の面から見れば、過去と比べてかなり早い段階での利上げ停止となります。5月FOMCからは、雇用・インフレなど過去のデータに基づいて政策決定を行う姿勢から、信用逼迫による景気減速を考慮する将来のデータ予測を重視する姿勢へと変化していることが読み取れます。 インフレ指標の上振れへの警戒は怠れませんが、景気動向の重要度が増している局面と考えられます。5月NY連銀製造業景気指数(15日,月)で企業の景況感を、4月小売売上高(16日,火)等で個人消費の動向、4月鉱工業生産で生産活動の動向を確認することが重要でしょう。 ③今週の気になる決算発表:18日(木)のウォルマート 今週から、米国の2023年2-4月期決算が本格化します。17日(水)に発表を予定しているソフトウェアのシスコ・システムズや、18日(木)に発表を予定している半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズ(AMAT)などハイテクセクターも目立ちますが、今週は小売に注目したいと考えます。 小売では、16日(水)のホームデポがスターターとなり、18日(木)のウォルマートと続きます。特に、米小売最大手のウォルマートの決算から消費の先行きに対するインプリケーション(含意)を注意して読み解きたいと考えます。 力強かった前四半期の「既存店増収率」は持続するか 前四半期決算(2022年11月-2023年1月期)を振り返ると、米国ウォルマート事業の既存店増収率は前年同期比+8.3%と、市場予想(同+4.7%)やガイダンス(同+約3%)を上回りました。インフレによる買い控えが懸念されましたが、客単価は同+6.3%、来店客数は同+1.8%といずれも増加しました。同社のEDLP (エブリデー・ロープライス)戦略が、支出を抑えたい消費者の需要をたと言えそうです。 利益率は下げ止まるか 一方、同四半期での米国事業の営業利益率は4.7%と、市場予想の5.0%を下回りました。粗利益率は前年同期比1%ポイント強低下し、低下幅は一つ前の四半期(2022年8月-10月期)の0.77%ポイントから拡大しました。値引き販売や、利益率の低い食料雑貨へのシフトが利益率を下押ししたと見られます。競争力を有する食料雑貨やプライベート・ブランドカテゴリーでのウエイトの高さが、利益率には影を落としている形です。 増収率ガイダンスは「4%」に近づけるか 2023年1月期決算発表時の会社ガイダンスで、2024年1月期の連結ベースの増収率見通しを発表しています。為替調整後で前年同期比+2.5~3.0%、米国 Walmart 事業の既存店増収率は同+2.0~2.5%(市場予想 3.0%、下期よりも上期の方が増収率が高くなる見通し)とされています。当社の長期目標は増収率で同+4%であり、前四半期の増収率は目標を下回っていますが、2025年1月期以降は目標の範囲内に戻る見込みです。今回の決算で修正の有無に注目が集まります。 「エブリデー・ローコスト」戦略は進展しているか 当社は、EDLP (エブリデー・ロープライス)戦略を引き続き重視していますが、これはEDLC (エブリデー・ローコスト)によって支えられています。自動化を通じたサプライチェーンと在庫管理の円滑化は、残業時間、在庫評価損、並びに値下げの削減に繋がり、コスト競争力を更に高めるため、今後さらに踏み込んだ施策が講じられるかに注目が集まります。4月に開かれ投資家向け説明会では、荷揚げ作業等を自動化する先端物流施設を公開しています。当社によれば、施設改装後は離職率が平均7%ポイント低下すると見込まれるとのことで、この動きが広がれば雇用がひっ迫する米労働市場における働き手の確保にも一役買う可能性がありそうです。 米国の在庫状況は健全か 4月の投資家向け説明会では、足元の在庫水準は良好な一方、依然としてアパレルなどの一部の分野で在庫がだぶついているとのコメントがありました。小売在庫の多寡は個人消費のバロメーターともなるため、16日(火)の4月小売売上高などのマクロ指標と共に、米消費動向を見通す上で注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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05/08 20:00
【今週の米国株】利上げ再開はありうるか、インフレ指標に注目 (5/8)
①4月30日~5月5日の振り返り:中堅銀行の経営不安への警戒感が重石となり今後の景気の不透明感も嫌気された 先週の米国株式市場は、中堅銀行の経営不安を巡る警戒感が相場の重石となりました。5月FOMC(米連邦公開市場委員会)の利上げ幅は0.25%ポイントと市場予想通りで、声明文で利上げ打ち止めの可能性が示唆されました。しかし、記者会見でパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長はインフレ懸念を背景に早期の利下げを否定したことから、FRBの利下げ転換が遅れ、米景気や企業業績を冷やすとの見方が意識されました。 5日には、株価が急落していた中堅銀行の株価が反発しましたが、依然として株式市場には中堅・地域銀行の経営に対する警戒感は残っています。何らかの事象をきっかけに、中堅・地域銀行の経営不安が再燃する可能性は十分考えられ、引き続き注意が必要でしょう。 ②今週の気になる経済指標:10日(水)の4月CPI(消費者物価指数) 5日発表の4月雇用統計は、非農業部門雇用者純増数が市場予想を大幅に上回り、失業率は市場予想を下回り、平均賃金上昇率も加速しました。これらを受けて米長期金利は上昇したものの、この日の株式市場では、雇用市場の堅調さは、米景気悪化への警戒を和らげる方に受け取られたようで、相場全体を押し上げる方向に働きました。 ただし、インフレの長期化や再加速と、それに伴うFRBによる利上げ継続に対する警戒感は、株式市場には引き続き残っていると推察され、10日発表の4月CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。 3月CPIでは、総合指数がおよそ2年ぶりの低い伸びとなる前年同月比+5.0%まで鈍化したことが市場で注目されました。しかし、エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率は同+5.6%と高止まりしています。 前月比で見ても、コア指数が総合指数を上回っています。 その他にも、11日に4月PPI(生産者物価指数)、12日に5月ミシガン大学消費者信頼感指数と同時に発表される期待インフレ率速報値などが注目されます。もしこれらの指標が市場予想を上回れば、インフレ鎮静化のためにFRBが利上げを継続するとの観測が強まり、株式市場がネガティブに反応する可能性が考えられます。6月以降の金融政策の方向性を見極めるうえで、これらインフレ関連の経済指標を確認したいと考えます。 ③今週の気になる決算発表:10日(水)のウォルト・ディズニー・カンパニー 堅調さ続く1-3月期決算 先週までにS&P500構成企業のうち8割以上が1-3月期(2022年11月-2023年1月、2022年12月-2023年2月を含む)の決算発表を終えました。 ポジティブ・サプライズ比率(S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率)は、直近4四半期の平均を上回っています。 企業見通しは慎重、大底は4-6月期へ 一方、実績は堅調でも慎重な見通しを示す企業も多く、リビジョン・インデックス(下図、直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数)は上方修正優位となる1.0以上にはなっていません。 これらを受け予想EPS(一株当たり利益)は、1-3月期が上昇、4-6月期以降が低下しました。結果として、前年同期比増減率の「底」が1-3月期から4-6月期へと移っています。 次の4-6月期決算発表が業績の底打ちとなるかが株価反転の一つのきっかけとなりそうです。 ウォルト・ディズニー・カンパニー、3つの注目点 大手企業の多くは決算発表を終えていますが、ウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)が10日に決算を控えています。 ①ディズニー・プラスは純増を維持できるか? 動画配信サービス「Disney+」の加入者純増数の市場予想は 270 万件です。ただし、既に決算発表のあったネットフリックスでも解約の影響が出ている他、ディズニー経営陣も「最近の料金引き上げの影響で解約率が上昇しており、また海外の一部の市場で伸びが予想を下回っているため、中核の加入者は第 1 四半期と同様に緩やかなペースで伸びる」との見方を示したこともあり、慎重に見る必要がありそうです。 ②テーマパークの視線は「海外」に 国内パークは好調さが続いていましたが、成長は鈍化してきたとみられます。ただ、日本、中国などコロナ政策からの反動や一部アトラクションでの値上げ効果が期待できるパークの貢献に注目が集まります。海外パークの営業利益はコロナ前の水準を大きく上回ると見られています。 ③インド事業の影響は インド事業のDisney+Hotstar では、プレミアリーグ(IPL、クリケットのプロリーグ)の放映権やHBO Maxのライセンスを手放すことによる加入者純減が続いています。3月末には、昨年同時期の開幕に合わせて年間契約をした加入者が契約の更新を前に解約するケースもあると考えられます。ただし、インド事業の加入数 1,200 万失っても売上高は約 1.2 億米ドル下押しされるに過ぎず、IPL の放映権と HBO Max のライセンスを手放したことによるコスト削減効果の方が遥かに大きいことが指摘できます。 引き続き厳しい競争環境の中で、エンターテイメント業界の戦略をフォローアップしてゆきたいと思います。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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05/08 09:39
【米国株決算速報】アップル(AAPL):iPhoneが新興国で好調、株価は+4.69%
決算概要 EPSは市場予想を上回る 米国時間5月4日引け後に、モバイル端末の製造販売とクラウドサービス事業を行うアップル(AAPL US)が2023年1-3月期(2023.9期第2四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を2.0%上回り、EPSは市場予想を6.0%上回りました。 会社は2023年4-6月期の売上高について、前年同期比の成長率が1-3月期と同程度とコメントし、これは金額で市場予想を下回るものの、売上高総利益率の見通しは市場予想を上回りました。 iPhone売上高が新興国で好調 会社は、主力製品のiPhoneについてインドなどの新興国での販売が好調だったことや、最新のiPhone14シリーズの高性能カメラへの消費者の評価が高いことをコメントしました。一方で、MacとiPadについては、前年同期に新型チップ「M1」を搭載した商品が好調だったことで前年同期比の売上高成長率がマイナスになったことをコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 アップルの株価は、翌5日の取引で前日比4.69%高となりました。マクロ経済や、インフレによる財消費についての不透明感がある中で、高いブランド価値や消費者の需要を背景に売上高とEPSの実績が市場予想を上回ったことや、市場予想を上回る利益率見通しを示したことに反応していると推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年5月5日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年1-3月期(2023/3)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年4-6月期以降の予想は2023年5月3日時点。(注4)製品別売上高の、「サービス」はアップルケア(保証)、広告、iCloud、appストア、決済等で、「ウェアラブル・ホーム&アクセサリ」はイヤホン、アップルウォッチ等。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <米国株決算速報>アップル(AAPL):株価は3.24%安、サービス事業好調も製品は供給制約を受けた 野村の米国株決算リンク集:2022年8-10月期・9-11月期・10-12月期 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点