米国株
232件
-
04/24 20:00
【今週の米国株】遂にGAF(A)M決算発表、業績の大底は見えるか?(4/24)
※来週5月1日(月)は「今週の米国株」に代わり、特別企画として「FOMCプレビュー」を予定しております。 ①4月14日~21日の振り返り:大型株決算が相場を左右 先週発表された経済指標の方向感はまちまちで、週を通した株価の上下を決定づける材料にはなりませんでした。日毎に見ると、20日(水)が比較的大きく下落しました。前日19日に決算を発表したテスラ(TSLA)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、AT&T(T)の株価下落が指数の重石となりました。 ②今週の気になる経済指標:28日(金)の コアPCEデフレーター 市場のインフレへの警戒感は続いています。 28日(金)公表の3月コアPCE(個人消費支出)デフレーター(食料エネルギー除く)の市場予想は前月比+0.3%(2月同+0.3%)、1-3月期雇用コスト指数の市場予想は前期比+1.1%(10-12月期同+1.0%)と、いずれも減速の兆しが見られないと予想されています。 雇用コスト指数はFOMC(連邦公開市場委員会)が賃金インフレ圧力を評価する際に重視している指標の一つです。既に市場では5月FOMC(3日結果発表)での0.25%ポイント利上げが概ね織り込まれていますが、前述の2指標が市場予想を上回ると、利上げ期待が上方修正され得るため注意が必要です。 ③今週の気になる決算発表:大型ハイテク株の決算発表相次ぐ 今週は、25日(火)のマイクロソフト(MSFT)とアルファベット(GOOGL)、26日(水)のメタ・プラットフォームズ(FB)、27日(木)のアマゾン・ドットコム(AMZN)など大手ハイテク株の決算発表が予定されています(アップルは5月4日)。これら企業の業績ならびに見通しに市場の注目が集まります。 ここまでの決算、純利益ベースでは直近1年に比べ”ポジティブ” 先々週、先週の決算を振り返ると、金融では大手銀行が比較的好調な一方、中堅・中小銀行では軟調な決算も散見されました。また、受注や在庫などから見ると半導体ではまだ最悪期は続いているものの、受託生産のTSMC(台湾セミコンダクター,TSM)が設備投資計画を維持するなど、半導体製造装置銘柄にはポジティブな材料もありました。 これまでにS&P500企業の2割強が決算発表を終えました。ポジティブサプライズ比率(注1)を見ると、売上高は直近4四半期平均を下回っているものの、純利益は直近4四半期の平均を上回っています。 アナリストの予想は大きく下方修正されていない 結果として、リビジョン・インデックス(RI,直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数)は下方修正優位ではあるものの、前四半期ほどに落ち込むことなく推移しています。 市場は「1-3月期が底」見通しを継続 S&P500の四半期ごとの予想EPSは2023年1-3月期が前年同期比-7.1%、4-6月期が同-6.3%と、依然として1-3月期が底との見通しが維持されています。 今決算期の注意点は、足元の決算発表における純利益が「実績好調だが、見通し慎重」と仮になった場合、純利益の前年比成長率の「底」が4-6月期に移りうる点です。継続的な成長回帰見通しを維持できるかに注目が集まります。 大型ハイテク株決算の注目点 ①クラウドの成長性 1つ目の注目点は、GAFAMの成長性をけん引するクラウド(IaaS/PaaS、インフラストラチャー・アズ・ア・サービス、プラットフォーム・アズ・ア・サービス)事業の成長率でしょう。同分野ではアマゾン・ドットコムのAWS、マイクロソフトのアジュール、アルファベットのグーグル・プラットフォームが世界的な3強となっています。2022年10-12月期決算では、最大手のAWSが前年同期比10%台、アジュールとグーグル・プラットフォームでも同20%台へ売上高成長率が落ち込んでいます。ユーザー側の企業は費用削減からクラウド利用を絞っていると見られ、成長性と見通しの確認が必要です。 ②オンライン広告の底打ち 2つ目はオンライン広告事業です。主な収益をオンライン広告から得ているのは、GAFAMではメタ・プラットフォームズとアルファベットの2社です。広告は、出稿側企業にとって裁量性の高い支出であり、上記2社は2022年にGAFAMの中でも比較的早いタイミングで株価は下落に転じていました。足元で株価は反転基調にありますが、アマゾン・ドットコムやネットフリックスなどが広告業に新規参入する中で、2社がどのような成長を見込んでいるかに注目が集まります。 ③ビジネス・ソフトウェアの成長性 3つ目は、ビジネスソフトウェア事業です。同分野はコロナ禍におけるリモートワーク需要の後もDX(デジタル・トランスフォーメーション)を追い風に堅調に推移してきましたが、経済全体が鈍化する中で2022年後半から成長率が低下基調にあります。マイクロソフトは多くのビジネスソフトウェアを商材にしている上、製品別に開示があり、1-3月期あるいは2-4月期決算にも多く発表が予定されるソフトウェアセクターの決算を見通す上でも重要です。セキュリティソフトウェアで好調が続くとみられる一方、Office365などの製品は顧客企業が支出を絞っている可能性も考えられ、成長性には注視が必要です。 ④経済成長鈍化の小売への影響 4つ目として、小売事業が成長を続けられているかが注目されます。マクロ統計である3月小売売上高では、電気製品など裁量的支出と考えられる項目の減退が顕著であり、企業決算への影響に関心が高まっています。GAFAMの内では比較的早く投資を縮小したアマゾン・ドットコムの小売事業の売上高ならびに利益率には注目です。また、先週にはアメリカン・エキスプレスが軟調な決算を発表していることから、25日(火)に発表されるビザ(V)の決算内容も注意が必要でしょう。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
-
04/24 09:07
【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):米国・中国消費堅調、株価は+3.46%
決算概要 売上高、EPSとも市場予想を上回った 米国時間4月21日寄り前に、ブランド化された消費財を製造するプロクター・アンド・ギャンブル(PG US)が2023年1-3月期(2023.6期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を3.8%上回り、調整後EPSは市場予想を3.6%上回りました。 会社は2023年6月期通期について、売上高見通しを上方修正した一方、EPS見通しは据え置きました。 米国、中国本土の消費が堅調 会社は、インフレや中堅銀行の破綻などが懸念された米国について消費がいまだ堅調であることや、中国本土は新型コロナの流行による移動制限が明け景況感が改善し、消費が回復始めていると述べました。一方で、中国人旅行者数は回復が遅く、スキンケア製品「SK-II」の旅行者向けの売上高が軟調なことや、欧州でインフレによる消費への悪影響が大きいことをコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 プロクター・アンド・ギャンブルの株価は、前日比3.46%高で引けました。本社を除く全製品部門で売上高が前年同期比で増加し市場予想を上回ったことや、売上高見通しを上方修正したことに反応していると推察されます。当社はインフレなどの逆風をブランド戦略などによりうまく乗り切っていると考えます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年4月21日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年1-3月期(2023/3)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年4-6月期以降の予想は2023年4月20日時点。(注4)各部門の主な製品は、ファブリック・ホームケアは洗濯用洗剤等、ベビー・フェミニン・ホームケアは紙おむつ・生理用品等、ビューティーはシャンプー・トリートメント・スキンケア製品等、ヘルスケアは歯磨き粉・咳止め・妊娠検査薬等、グルーミングは髭剃り等。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <米国株決算速報>プロクター・アンド・ギャンブル(PG):株価は2.72%安、ドル高・ロシア事業の縮小・中華圏の新型コロナによる移動制限などの悪影響を受けた 野村の米国株決算リンク集:2022年8-10月期・9-11月期・10-12月期 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
04/20 10:44
【米国株決算速報】テスラ(TSLA):値下げによる悪影響で調整後EPS下落、株価は-4.23%
決算概要 調整後EPS実績は前年同期を下回る 米国時間4月19日引け後に、EVの製造販売や太陽光発電事業を行うテスラ(TSLA US)が2023年1-3月期(2023.12期第1四半期)決算を発表しました。 売上高は市場予想を0.5%上回り、調整後EPSは前年同期比-20.6%で、市場予想0.85ドルを0.04%下回りました。 「モデル3」と「モデルY」の値下げが悪影響 部門別売上高は、自動車は市場予想を下回りました。自動車以外の部門では市場予想を上回りました。会社は「モデル3」と「モデルY」の値下げにより、販売台数は増加した一方で、利益率に悪影響を与えたことをコメントしました。また、為替や材料価格の高騰、太陽光発電部門の悪天候なども利益下押し要因でした。見通しについて会社は、自動車販売台数の前年比50%増の長期目標を達成すると見込んでいます。 売上高とEPSの推移 株価は時間外で下落 テスラの株価は、前日比2.02%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比4.23%安の172.96ドルで推移(NY時間17:55)しています。値下げによる悪影響に言及している会社コメントに反応していると考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)データは日次で、直近値は2023年4月19日時点。(注2)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年1-3月期(2023/3)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年4-6月期以降の予想は2023年4月18日時点。(注4)株価:灰色の丸印は引け後時間外取引の直近値で、172.96ドル・終値比4.23%安(NY時間17:55)(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・岩崎 晴弥) <米国株決算速報>テスラ(TSLA):株価は5.48%高、販売台数が好調、高い自動車販売目標を維持 野村の米国株決算リンク集:2022年8-10月期・9-11月期・10-12月期 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
04/20 10:06
【米国株決算速報】ASML:半導体市況の悪影響を受け受注軟調、株価は-3.07%
決算概要 EPS実績は市場予想を上回った 米国時間4月19日寄り前に、リソグラフィー(半導体の回路パターンを基盤に焼き付ける装置)などの半導体製造装置の製造を行う蘭ASML(ASML US)が2023年1-3月期決算を発表しました。売上高は市場予想を6.8%上回り、EPSは市場予想を19.8%上回りました。 また、2023年4-6月期の売上高見通しの中間値は市場予想を5.3%上回りました。 受注軟調も生産はフル稼働 2023年1-3月期の受注額は、前期や前年同期と比較して低調でした。会社は、受注の軟調は予想されたもので、特にメモリー半導体市況の悪化で受注が後ずれしたことをコメントしました。 中国の売上高は低調だったものの、残りの4-12月期に急回復すると会社は見込んでいます。 会社は、まだ需要が供給を上回る状況で、システム販売額の約2年分にあたる受注残があることから、システム生産を最大化させることに注力するとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ASMLの株価(米国上場のADR価格)は、前日比3.07%安で引けました。市場は受注が軟調だったことに反応したと考えられます。一方で、会社が見込む市況の回復や、財政支援を受けた先端半導体工場の新設での需要などにより、市場予想を上回る会社見通しの数字が達成されるかを今後確認する必要があると考えます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:米国上場のADR価格(ドル建て)。データは日次で、直近値は2023年4月19日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年1-3月期(2023/3)。売上高の2023年4-6月期の白丸は会社見通し中間値。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年4-6月期以降の予想は2023年4月18日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) <米国株決算速報>ASML:株価は1.72%高、半導体市況の回復を見据え製造装置需要は堅調 野村の米国株決算リンク集:2022年8-10月期・9-11月期・10-12月期 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
04/17 20:00
【今週の米国株】本格化する米決算、半導体ビッグネームに注目(4/17)
①4月7日~4月14日の振り返り:インフレ指標は鈍化でも利下げは遠く インフレ指標と3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で、金融政策判断に係る材料を確認する週でした。 インフレ減速を示唆も、注視継続 3月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)の総合指数は概ね、市場予想を下回りインフレ鈍化への期待が高まりました。一方で、14日(金)に発表されたミシガン大学調査の4月消費者期待インフレ率(速報値)では、1年先の見通しが+4.6%と3月確報値(+3.6%)から再上昇するなど、インフレ再加速の可能性にも引き続き注意が必要です。 FOMC議事録では、利下げ時期遠く 地銀の破綻が相次ぐ中で0.25%ポイントの利上げが決定された3月FOMC会合の議事要旨は、米中堅銀行の破綻を金融政策の決定プロセスでどう判断したかを確認するうえで、市場からも注目を集めていました。野村米国拠点の雨宮エコノミストの分析によれば「0.50%ポイントの利上げを検討していたタカ派」よりも、「利上げ休止を検討していたハト派」が多くを占めました。銀行セクターの問題に端を発する金融システムへのストレスがディスインフレ要因と捉える発言もあり、「議事要旨の記述は5月会合で利上げを休止するとの野村の見方に沿っている」とコメントしています。 一方で、経済・金融政策の見通しについては、参加者の少なくとも3分の1は大幅に修正しなかったと読み取れます。3月会合で公表された政策金利見通し(中央値)では、2023年中に0.25%ポイント利上げを実施した後、年末まで政策金利を据え置く見通しが据え置かれました。FRBのスタッフ・エコノミストは既に年後半に緩やかな景気後退の可能性を指摘しています。景気に対してFOMC参加者も同様の見方をとっていた場合、景気後退期にあっても政策金利を維持したいとの考えが読み取れます。依然として、夏場頃からの利下げを期待するFF先物市場との乖離が見られます。 ②今週の気になる金融政策:ブラックアウト前の高官発言 22日(土)からは、5月2日(火)~3日(水)のFOMCに向けてFRB(米連邦準備理事会)高官が金融政策に関する公の場での発言を控えるブラックアウト期間に入ります。今週は、現段階でFOMC参加者が銀行の信用リスクをどのように捉えているか、発言が注目されます。特に、19日(水)のグールズビー・シカゴ連銀総裁(利上げに慎重なハト派)、20日(木)のウィリアムスNY連銀総裁(FOMCにおける中心的なメンバー)、ウォラー理事(利上げ議論を牽引してきたタカ派)の各講演が関心を集めています(野村の小清水ストラテジスト)。 ③今週の気になる決算発表:TSMC、ASML、ラム・リサーチ…半導体に注目 S&P500指数のリビジョン・インデックス(RI、直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数)は、下方修正優位ではあるものの、前週から大きく下振れはしていません。 1-3月期が大底だったと言えるか?勝負の決算 発表が始まった2023年1-3月期決算のS&P500指数のEPS(一株あたり利益)アナリスト予想は、前年同期比-7.9%となっています(4月14日リフィニティブ集計)。これは、2022年10-12月期の同-1.5%からマイナス幅が拡大する予想です。また、1四半期先の2023年4-6月期のEPS予想は同-6.1%です。 つまり、市場は、この1-3月期決算が前年同期比の減益率の大底で、落ち込み幅は縮小し、7-9月期には同+1.3%と増益に転じると見ています。当然ながら、EPSが下げ止まり、増益に転じることは株式市場に追い風となります。今決算発表では、4-6月期以降の改善見通しを維持できるかに注目が集まります。 先週発表されたセクターを代表する2社、内容は悪くない 先週は、金融セクター、ヘルスケアセクターを見る上で注目の2社としてJPモルガン・チェースとユナイテッド・ヘルス・グループを取り上げました。いずれも、実績の売上高・EPSでは市場予想を上回りました。 米大手金融の業績に一定の安心感 特にここでは、金融不安の影響が注視されたJPモルガン・チェースのセグメント毎の純収益の市場予想比較を見ておきましょう。 市場予想を最も大きく上回ったのは、消費者&地域金融部門でした。シリコンバレー銀行問題ではALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)上、調達期間と運用期間のミスマッチの問題がクローズアップされましたが、ローンを中心とする同セクターで市場予想を上回る内容となったことは、「米銀行問題は、大手金融機関には影響軽微」と言えそうです。勿論、1-3月期決算ですので、実態景気への影響など銀行の信用リスク問題を十分に反映していないとは言えますが、本日以降の金融機関の決算発表にも注目です。 今週の注目は「半導体」 19日(水)には、ASMLホールディング(ASML)、ラムリサーチ(LRCX)、20日(木)には台湾セミコンダクター(TSMC、ティッカーはTSM)と、半導体の主要企業が決算を発表します。ASML、LRCXは半導体製造装置の世界大手、TSMは半導体受託製造の世界最大手です。 野村のアジア・テクノロジーセクターのリサーチでは、4-5月の決算発表シーズンにかけて株価が不安定に推移すると予想しています。この背景にあるのは、通常半導体のサイクルを見極めるための指標とされる在庫の水準が、世界的なサプライチェーン不安により高止まりしていることです。最終需要も見極めづらく、今決算ではやや慎重な見通しが相次ぐ可能性があるとしています。 一方、同リサーチチームでは「トップダウンの観点では、過去40年間(1980年以降)で半導体の売上が2年連続で減少したのは2001~2002年のみであり、過去4~5回の半導体の調整局面において半導体銘柄の株価が二番底に陥ったのは2002年後半の1度だけ」「ボトムアップの観点では、2023年年央にかけて半導体売上高が減少した後、年後半から2024年にかけてデータセンター用とPC用に牽引されて回復期を迎える」と、年後半にかけた強気見通しを維持しています。エヌビディアなど半導体の川下となるメーカーの決算発表は少し先になりますが、まずは川上となる上記3社の実績と見通しに注目です。 その他も相次ぐ決算発表 また、18日(火)のネットフリックス(NFLX)、19日(水)のテスラ(TSLA)、IBM(IBM)、20日のAT&T(T)、21日のP&G(PG)など、各業界のスターターとなる企業の決算発表も相次ぎます。セクターの株価動向を展望する上で重要な情報となりますので、注視して投資判断を行いたいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
-
04/17 10:44
【米国株決算速報】ユナイテッドヘルス・グループ(UNH):通期EPS見通しが市場予想を下回る、株価は-2.74%
決算概要 調整後EPS実績は市場予想を上回る 米国時間4月14日寄り前に、医療保険給付や薬局サービス、コンサルティングなどヘルスケアサービスを行うユナイテッドヘルス・グループ(UNH US)が2023年1-3月期(2023.12期第1四半期)決算を発表しました。 売上高は919.31億ドル(前年同期比+14.7%)で、市場予想897.8億ドルを2.4%上回りました。 調整後EPSは6.26ドル(前年同期比+14.0%)で、市場予想6.13ドルを2.2%上回りました。 会社の2023.12期EPS見通しは市場予想を下回る 2023年12月期通期の調整後EPSの見通しについて会社は、従来予想の24.40~24.90ドルから24.50~25.00ドルに引き上げましたが、中間値は市場予想(24.94ドル)を0.8%下回りました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ユナイテッドヘルス・グループの株価は、前日比2.74%安で引けました。 会社通期EPS見通しが市場予想を下回ったことに反応していると考えられます。会社は決算説明会で、新しい高齢者向け健康保険給付(メディケアなど)のルール変更について言及しており、市場はこのルール変更が業績の下振れ要因と受け止めたと推察されます。変更の一部は2023年6月5日から適用されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注)データは日次で、直近値は2023年4月14日時点。(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・岩崎 晴弥) <米国株速報>ユナイテッドヘルス・グループ(UNH):株価は0.63%上昇、新型コロナ関連給付減少が追い風 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
04/17 10:41
【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):金融不安を和らげる好決算、株価は+7.55%
決算概要 調整後EPSは市場予想を上回った 米国時間4月14日寄り前に、金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM US)が2023年1-3月期決算を発表しました。純収益は市場予想を8.7%上回り、調整後EPSは市場予想を26.6%上回りました。 純金利収入増加・銀行破綻でもクレジットカード貸倒率の増加を見込まず 会社は、市場部門を除く純金利収入が前年同期比で78%増加したことを報告しました。消費者&地域金融部門で預貸の利益幅が拡大しました。3月に破綻したシリコンバレーバンクのように資産・負債マネジメント(ALM)の失敗が当社には当てはまらないことを示したと考えます。また、破綻後に、(信用力の高い)当社の新規口座開設が急増し、預金やMMFの残高が急増したことを報告しました。 会社は、2023.12期のクレジットカード貸倒率の見通しを2.60%と、前回決算発表時(1月時点)の見通しを据え置きました。今後の消費者の信用状況について、コロナ禍前への「正常化」による上昇はあるものの急速な悪化を見込んでいないといえます。会社は、企業や消費者の状況が健全であるとコメントしました。 市場部門では、金利・クレジット関連が好調でした。 純利益とEPSの推移 株価は上昇 JPモルガン・チェースの株価は、前日比7.55%高で引けました。収益力や貸倒率の見通しなど、金融不安を和らげる決算内容であったためと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)純収益は事業会社の売上高にあたる金利収入や手数料から金利費用などを差し引いた収益。EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益で、実績値4.32ドルは本社部門の純投資損失(一株当たり0.22ドル)を発表値の4.10ドルに比較のために加算した調整後の値。(注2))株価推移:データは日次で、直近値は2023年4月14日時点。(注3))純収益とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年1-3月期(2023/3)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年4-6月期以降の予想は2023年4月13日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】JPモルガン・チェース(JPM):株価は2.52%上昇、カード事業が堅調 野村の米国株決算リンク集:2022年8-10月期・9-11月期・10-12月期 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 ご投資にあたっての注意点
-
04/10 20:00
【今週の米国株】決算発表シーズン到来!スターターはJPモルガンなど金融(4/10)
①3月31日~4月7日の振り返り:雇用情勢悪化や景気減速で上値重い 7日はグッドフライデー(イースター前の金曜日)で株式市場は休場でした。 米中堅銀行の破綻に端を発する金融不安が、現時点で経済や景況感に与えている影響を確認する一週間でした。景気の先行指標とされる3月のISM製造業景気指数、ISM非製造業景気指数はいずれも市場予想を下回り、景気後退に対する懸念が広がりました。また、週末に3月雇用統計を控える中、その前哨戦ともいえる2月JOLTS(ジョルツ、雇用動態調査,4日)や、3月ADP全米雇用レポート(5日)、6日の新規失業保険申請件数(週次,6日)が発表され、いずれも雇用環境の悪化を示唆するものでした。 米国株の主要3指数では、金利低下の恩恵を受けやすいはずのナスダック総合指数が下落しました。足もとの市場は軟調な経済指標を通して、インフレ鈍化とそれに伴う金利低下(によるバリュエーションの切り上がり)という「恩恵」よりも、景気悪化による企業業績下振れという「悪影響」に対して敏感に反応しているようです。なお景況感に連動しやすいNYダウ指数がプラス圏を維持しているのは、景気後退局面で指数に対しアウトパフォームしやすいヘルスケアセクターのウェイトが高いことも一因と推察されます。 ②今週の気になる金融政策:12日(水)のFOMC議事録 3月雇用統計は堅調 欧米株式市場が休場の7日(金)、3月雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は前月比+23.6万人と市場予想の同+23.0万人にほぼ一致し、先週発表された他の雇用関連指標に比して堅調な内容でした。暖冬や地方政府による減税といった一時的な押し上げ効果が剥落し1-2月の同統計からは鈍化しましたが、その分を差し引いても高い伸びを示しました。 需要/供給共に伸びる労働市場、賃金インフレは想定内 「失業率が継続的に上昇するためには雇用の伸びが労働力人口のコロナ前の平均的な伸びである月+15万人を下回る必要があると見込まれますが」(野村の小清水ストラテジスト)、実績はこうした分水嶺を大きく上回って推移しています。一方、労働参加率が2月の62.5%から62.6%へとわずかながらも上昇しており、労働供給も回復傾向です。需要・供給共に上昇した結果、平均時給は前月比+0.3%(2月同+0.2%、市場予想同+0.3%)と、市場予想に一致しました。 今週は12日(水)のFOMC議事録に注目 今週最も注目されるのは、12日(水)の3月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録でしょう。3月FOMCでは、金融不安の中で0.25%ポイントの利上げが発表され、市場は「FRBは金融政策とマクロプルーデンス(信用秩序の維持)政策を明確に区別するべきと考えている」と解釈しました。しかしながら、政策決定のプロセス(政策決定関数)の変化は、議事録の内容でしか確認できない部分もあります。今後の金融政策が、引き続きインフレ抑制を最優先とするのか、ある程度金融安定化に配慮したものとなるのかを議事録を見た上で見極めることになりそうです。 野村は5月FOMCでの「利上げ見送り」を予想 野村の米国拠点の雨宮エコノミストは、5月2-3日のFOMCにおいて、FRBが利上げを見合わせると予想しています。雇用統計の堅調さや今週発表のCPI(野村では、コアCPI上昇率が2ヶ月連続で前月比で大幅な上昇を示すと予想)により、0.25%ポイントの上げの可能性は高まっているものの、「FRBの政策決定関数は変化しつつある」としています。 CPIなど重要な指標が相次ぐ 引き続き、政策決定因子である「インフレ」「消費」に注視が必要です。12日(水)の3月CPI(消費者物価指数)、13日の3月PPI(生産者物価指数)、14日の3月小売売上高、4月ミシガン大学消費者センチメント指数(14日)、など注目指標が相次ぎます。 また、経済環境の変化をより速く知るという意味では、月次統計だけでなく週次統計の注目度も上がっています。13日(木)には4月8日の週の新規失業保険申請件数が発表されます。 ③今週の気になる決算:14日(金)のJPモルガン・チェース&ユナイテッド・ヘルス ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 先週に続き、アナリストの業績予想を集計した指数である「リビジョン・インデックス(以下、「RI」)」の傾向を見ておきましょう。1.0超で「上方修正優位」、1.0未満で「下方修正優位」となります。 決算発表本格化直前となる先週末のRIはFY1(2023年)が0.75、FY2(2024年)が0.81と下方修正優位ではあるものの、急激な落ち込みにはなりませんでした。今週から、2023年1-3月期決算発表が本格化します。「上方修正優位」(RIが1.00超の状態)に回帰できるかに引き続き注目したいと考えます。 JPモルガン・チェースなど金融セクター 今週高い関心を集めるのは、銀行セクターでしょう。金融不安の震源地であることは勿論ですが、米長短金利の逆転、資金調達ニーズの低下など業績の下押し要因になる要素が多く、決算発表前の投資には慎重姿勢が必要です。トレーディング、ローン、投資銀行、アセットマネジメントなどセグメントごとでも業績の差が出る可能性が高く、その中で投資の芽を見つけられればと考えます。特に、14日(金)に決算を発表するJPモルガン・チェースは米国で時価総額最大の金融機関でありビジネスごとの開示もあるため、重要な示唆情報となるでしょう。 ユナイテッド・ヘルスなどヘルスケアセクター また、景気後退が現実味を増してくると、「ヘルスケアセクター」も投資アイデアとして有用になってきます。NYダウ指数の採用銘柄でもあるユナイテッド・ヘルスが14日(金)に決算を発表します。メディケア(低所得層向けの保険)事業では、全事業者で加入者の再審査が必要になるなど利益率の悪化に繋がる外部環境変化がある点は懸念材料ですが、底堅い業績や見通しとなれば、投資を検討できる業種です。最大手の同社決算には注目が集まります。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
-
04/03 20:00
【今週の米国株】ISM、雇用統計…鍵となるマクロ指標が相次ぐ週(4/3)
①3月24日~3月31日の振り返り:インフレ懸念後退、VIX指数は20割れ S&P500:3,970.99→4,109.31(+3.48%) NYダウ:32,237.53→33,274.15(+3.22%) ナスダック総合:11,823.96→12,221.90(+3.37%) 先週は、新たな経営不安に陥る金融機関はなく、米中堅地銀のファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ (FCNCA)が経営破綻したシリコンバレーバンクを買収することで合意するなど、このところの金融不安が和らいだ一週間でした。 インフレを見通す上で注目された31日(金)の経済指標※は総じてインフレ鈍化を示唆するものとなり、FRB(米連邦準備理事会)が再びタカ派化するのではとの懸念も後退しました。 ※…①月個人消費支出・所得統計の中の、変動が大きい食品とエネルギーを除く2月コアPCE(個人消費支出)デフレーター ②3月ミシガン大学消費者期待インフレ率確報値(5年先は市場予想を上振れした一方、1年先は下振れしました) こうした投資環境を受け、VIX指数は24日終値の21.74から31日終値では18.70と20割れとなりました。VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれ、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500を対象とするオプション取引の変動率を元に算出・公表している指数です。将来の相場に対する投資家心理を反映する指数とされており、一般的にVIXの数値が高いほど投資家の先行き不透明感が強いとされます。30が警戒水域、10-20が通常範囲とされるVIX指数の水準からは、「銀行不安に対する相場の反応は、一段落」と捉えられそうです。 ②今週の気になる経済指標:7日(金)の雇用統計 ただ、このところ市場で広がるインフレへの警戒感の後退と「利上げ終了〜利下げへ」という織り込みはやや先走りかもしれません。 今週は、経済の先行指標とされるISM製造業指数(3日・月)、ISM非製造業景気指数(5日・水)、雇用統計(7日・金)と、景気とインフレを見る上での最重要指標の発表が相次ぎ、いずれも投資判断の材料となりそうです。 中でも重要なのは、3月雇用統計でしょう。非農業部門雇用者数増減の市場予想は前月比+24.0万人(2月同+31.1万人)と、減速するものの高水準を維持することが予想されています。1・2月は暖冬の影響により、雇用が例年対比で押し上げられました。3月にはこうした一時的な天候要因による押し上げが剥落することが予想され、前月比+20万人前後であれば、減速は天候要因による押し上げの剥落によるものと考えられ、市場の反応は限定的でしょう。また、7日(金)はイースター休暇で欧米のほとんどの市場が休場となるため、株価の反応が見られない点も注意が必要です。 ③今週の気になる決算:小休止の週、リビジョンインデックスを確認 ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 今週は決算を発表する企業は多くなく、来週後半からの1-3月期決算発表に備える週になりそうです。アナリストの業績予想を集計した指数である「リビジョン・インデックス(以下、「RI」)」の傾向を見ておきましょう。1.0超で「上方修正優位」、1.0未満で「下方修正優位」となります。 アナリストは企業の決算発表シーズン前に、業績予想を保守的に見直すことが多いため、RIは概ね3ヶ月周期で下振れする傾向があります。ただし、図の通り2022年の4-6月期と7-9月期の2四半期の決算発表シーズンでは、アナリストが事前に下方修正したにも関わらず、弱い決算内容により更なる下方修正を余儀なくされ、決算発表後もRIは下振れを続けました。前回10-12月期決算発表のピークでは、下方修正の割合がやや低下した一方で、発表後の反発も弱く、今に至るまで下方修正優位の週が続いている状況です。 こうした環境を踏まえ、注目すべきは2点です。 ・①決算発表前(つまり、今週〜来週)のアナリストの業績予想がどこまでの下方修正となるか? ・②決算発表後に「上方修正優位」(RIが1.00超の状態)に回帰できるか? 2022年の各四半期との方向性の違いを確認しながら、投資に活かしていく場面となりそうです。 先週は、苦境が続くメモリー半導体市場のメインプレイヤーであるマイクロン・テクノロジー(MU)が発表した売上高の見通しから、メモリー市況の底打ちが示唆され、決算発表翌日には当社の株価は上昇しました。このように、経済正常化に伴う、コロナ禍での巣ごもり需要の反動などで評価が下落していたいくつかの業界にも、明るい兆しが見えるかもしれません。ミクロにも引き続き目を配りながら投資先を選別していきたいと考えます。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点