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【注目トピック】自民党総裁選と経済政策の行方

※画像はイメージです。 石破首相が辞意表明 2025年9月7日、石破首相は自民党総裁を辞することを正式に表明しました。石破氏の後任を決める総裁選挙は、自民党所属国会議員295名(衆議院と参議院の議長は無所属扱い)と全国の党員・党友票(国会議員と同数の295票)が投票するフルスペック型で実施されます。9月22日に告示され、10月4日に新たな総裁が誕生します。今後、出馬を目指す候補の動きが活発化するとみられます。 誰が新総裁になるか 総裁選に立候補するためには、自民党所属国会議員の20名の推薦が必要です。前回、2024年9月の総裁選では、過去最多の9名の候補者が立候補しました。 前回(2024年9月)自民党総裁選立候補者 (注1)全てを網羅している訳ではない。(注2)前回自民党総裁選立候補者一覧では選出された石破茂氏は除いている。(出所)首相官邸、自由民主党、各種報道資料より野村證券投資情報部作成 そのうち、高市早苗氏は、前回の総裁選で決選投票に進出した有力候補です。金融緩和や積極財政を主張しており、株価上昇を期待する「高市トレード」なる言葉も生まれました。小泉進次郎氏は石破政権の現職閣僚で、現行政策が継続しやすいとみられます。この他、出馬する候補者は2024年の総裁選に出馬した候補が中心になると考えられます。前回の総裁選で石破首相を支持した層が次の総裁選で誰を支持するかが注目されます。 連立与党の構図はどう変わるのか 2025年7月の参議院議員選挙(以下、参院選)では、自民・公明両党は過半数の議席を維持できず、衆議院に続き、参議院でも少数与党となりました。連立与党が現状の2党体制を続ける場合、少数与党として政権運営が続くこととなり、政策決定が困難となります。そのため、政策が近い政党など野党が加わる形で連立構造が拡張される可能性もあります。 国会党派別議席状況 (注)国会党派別議席状況は、同じ会派に所属する政党も含む。衆議院は2025年5月14日時点。参議院選挙前は、2025年7月2日時点の公示前の議員数。その他には欠員も含まれる。参議院選挙後は2025年7月21日時点。(出所)衆議院、参議院、各種報道資料より野村證券投資情報部作成 10月4日に新総裁が誕生し、その後の首相指名選挙を経て新内閣が発足すると、臨時国会が召集されます。そこで、参院選前に各党が掲げていた給付金や消費税減税の議論が本格化するとみられます。 各党が掲げた政策の違い 2025年7月の参院選前には、物価高対策として、自民・公明の連立与党が国民一人当たり2~4万円の現金給付、野党の多くは消費税減税を公約に掲げました。立憲民主党が「食料品の消費税率を最長2年間0%にする」、国民民主党が「実質賃金が持続的にプラスになるまで一律5%に下げる」、日本維新の会は「食料品の消費税率を2年間、0%にする」などと、税率や規模など足並みが揃っていません。今後の政策協議の過程で消費税減税に踏み込む可能性も考えられますが、自民党が与党にとどまる中では、大規模な消費税減税は回避されるとみられます。 参議院議員選挙で主要政党が掲げた政策 (注)全てを網羅している訳ではない。(出所)各政党、主要報道機関より野村證券投資情報部作成 政策実行には財源が必要 これらの政策を実現するためには財源の確保が必要です。国民一人当たり2万円以上の現金給付には、3兆円台半ばの予算が必要です。消費税減税では、食料品を0%とする場合、1年間で約5兆円、一律5%とする場合は約15兆円、撤廃する場合は約30兆円が毎年必要になると試算されます。 想定必要金額と財源 (注)想定必要金額はそれぞれ1年間の試算。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 これに対して、多くの党が必要な財源として税収の上振れ分を充てるとしています。国の一般会計税収の見積もりと実額の差である税収の上振れ額は、2024年度の場合、当初予算比で約1.8兆円となった模様です。また、政府が保有する外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金の活用や恒久財源として法人税の増税論も浮上しています。 現金給付と消費税減税実施までの時間 現金給付であれば、補正予算案を編成し、早ければ年内に給付が可能です。しかし、消費税減税の場合、年末の税制改正を経て、国会で法案を成立させなければなりません。 まず、各府省庁からの税制改正要望を取りまとめた与党税制改正大綱を踏まえて、毎年12月頃に政府の税制改正大綱が閣議決定されます。これに沿って、国税関連は財務省が、地方税関連は総務省が改正法案を作成し、国会に提出します。衆・参両議会による審議を経て、改正法案が成立します。こうしたプロセスを経るため、消費税減税の実現には一定の時間が必要となります。 税法が改正されるまでの流れ (注)全てを網羅している訳ではない。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 野村證券投資情報部 ストラテジスト澤田 麻希 記者向け場況レクチャーやマスメディアにおける市況解説などメディアを通じた情報発信を行っている。日経CNBC、ラジオNIKKEIに出演中。 ご投資にあたっての注意点

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