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08/04 09:00
【特集】元証券ディーラー・たけぞうさんに聞く TOBやMBOが増えている背景は
文/斎藤 健二(金融・Fintechジャーナリスト) 写真/竹井俊晴 2023年以降、TOB(公開買付け)、MBO(経営陣が参加する買収:マネジメント・バイアウト)が増加しています。自分が保有する銘柄がTOB、MBOの対象になったら、どのように考えればよいでしょうか。TOB、MBOが増える背景と個人投資家にとっての影響について、元証券ディーラーの個人投資家たけぞうさんに、QUICK社中山桂一さんが聞きます。 TOBとは、企業の発行する株式を保有する不特定多数の人に対して、あらかじめ買付「期間」「数量」「価格」を提示し、通常の市場売買でなく市場外で一括して買い付けることを言います。公開買付けの対象となる会社の取締役会の賛同を得ないで、買付者が公開買付けをおこなう場合を同意なき買収(敵対的TOB)といいます。 MBOとは、会社の経営陣が、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収する手法のことです。 中山桂一さん(以下、中山)最近、TOBやMBOが増加傾向にあるように感じています。QUICKのデータで他社へのTOBの件数を集計すると、リーマンショック前の2007年には年間100件程度ありました。その後、一旦減少しましたが、近年は再び増加傾向にあります。2024年に関しては、5月中旬までの時点で既に28件発生しています。TOBには季節性はなく、案件ごとに発生するという特徴があるので、このペースが続けば過去最高の件数になるかもしれません。 MBOについても、2023年度の株式取得額が過去最高となったと報じられています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 TOBは2023年に79件と多く発生 出所:QUICKデータベース 2024年5月28日までの集計 たけぞうさんは、TOBの件数増加の背景にはどのような日本市場の変化があるとお考えでしょうか。 たけぞうさん(以下、たけぞう)今後もTOBは増加すると予想されます。その主な要因は、東京証券取引所(以下、東証)がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対して改善を要請していることと、金融庁が打ち出した政策保有株の縮減方針だと考えています。企業は、政策保有している株式を売却するのか、一部をTOBにより株式を取得し、子会社化するのか等の判断を迫られるでしょう。 中山東証による要請は大きな影響を与えていますね。マーケットではどのような反応が見られましたか。 たけぞう東証が本格的に動き出したのは、2022年1月にPBR1倍割れ企業に対して改善を要請する方針を打ち出した頃で、続いて2023年3月に「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。2023年のTOB件数が79件に上ったのは、こうした東証の要請が影響していると考えられます。 すでに投資家の間では、PBR1倍割れ企業はTOBの標的になりやすいと見られ始めています。そういった企業が、決算発表を遅らせるなどの変化がある際には、「TOBがあるのではないか」との憶測が広がり、株価が大きく変動することもあるほどです。 中山東証による要請により、経営のあり方そのものを見直すきっかけになればと期待しています。 たけぞうおっしゃる通りだと思います。東証の本質的な目的は、PBR1倍割れ企業を減らすことではなく、企業に資本コストを意識した経営方針を示すよう求めることだったでしょう。実際、企業の姿勢にも変化が見られるようになりました。株主還元の強化や自社株買いなどに動く企業が増えています。 中山一方で、プライム市場とスタンダード市場では、要請への対応に違いがあるようにも感じます。プライム市場の企業の方が、積極的に取り組みの開示を進めているというイメージがあります。 たけぞうその通りですね。要請に対して、2024年5月末時点でプライム市場の約72%の企業が開示(検討中を含む)を進めています。一方、スタンダード市場での開示はあまり進んでいません。 背景として、スタンダード市場の企業では、取り組みの開示に必要な人材が不足していることなどが考えられます。ただし、スタンダード市場であっても、ステークホルダーに対する説明責任を果たすことは重要です。今後、徐々に開示姿勢に変化が表れてくるかもしれません。プライム市場とスタンダード市場の違いは、注目すべきポイントの1つだと思います。 TOB、MBOの増加から学ぶべきこと 中山TOBやMBOの増加という観点から見ると、最近の事例で個人投資家が学ぶべき点はどのようなところでしょうか。具体的な企業の例などがあれば、ぜひ教えてください。 たけぞう1つの象徴的な事例は、大正製薬ホールディングスのMBOです。金額的にも7,000億円強の巨額案件で、消費者からも名前がよく知られている企業だけにニュースになりました。大正製薬ホールディングスは、もともと創業家が多くの株式を保有していたのも特徴です。 もう1つの事例は富士ソフト(9749)です。同社は子会社4社を上場させていましたが、TOBを実施してこれらを非公開化しました。背景には、”物言う株主”(注1)といわれる投資ファンドから、同社が株主提案を受けていたことがあると考えられます。 (注1)株式を一定程度取得した上で、その保有株式を裏づけとして、投資先企業の経営陣に積極的に提言をおこない、企業価値の向上を目指す投資家のことをアクティビストという。いわゆる「物言う株主」。 TOBやMBOは、創業家の意向や株主との関係性などが密接にかかわっています。個人投資家としては、株式の所有構造や機関投資家などの株主との対話の状況(注2)など、企業ガバナンスの観点からも企業を見る必要があるでしょう。 (注2)機関投資家等が投資先企業や投資を検討している企業に対して行う「建設的な目的をもった対話」のことをエンゲージメントと言う。日本では、2014年に制定されたスチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の諸原則)に基づき、機関投資家はエンゲージメントを通じて投資先企業の持続的な成長を実現していくことで、顧客や受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることが求められている。 中山一般の人にとって身近な企業のMBOも目立っていますね。2024年にMBOが成立したベネッセホールディングスもそうで、金額も大規模でした。同社も、創業家が多くの株式を保有していた企業です。そうした企業がMBOやTOBを選択するようになったということは、企業経営者のマインドにも変化が起きているのでしょうか。 たけぞう経営者の考え方に変化が生じていると感じます。創業家が株式の多くを保有する企業では、株主から経営方針とは異なる要求を受けるなら、経営の自由度を高めるために非公開化を選択する、という流れは今後も増えていくでしょう。 上場を維持するには、社外取締役の登用やIR活動の強化など、ガバナンス体制の整備が求められます。こうした対応が負担となることもあるでしょう。投資家としては、創業家など経営陣の動向を注視することが重要だと考えます。 中山2023年には、エムスリー(2413)のベネフィット・ワン買収に対抗して、第一生命ホールディングス(8750)がTOBを表明しました。同意なきTOBや対抗TOB(カウンターTOB)など、新しい事例も増えてきています。これは日本市場にどのような変化をもたらすのでしょうか。保険会社が事業会社のTOBに名乗りを上げたことの意味合いも気になるところです。 たけぞう第一生命の事例は、保険会社の成長戦略を模索する中での投資として、ベネフィット・ワンに注目したのでしょう。成長性への投資として対抗TOBを行った点が象徴的でした。 会社に潤沢な資金がある場合、自社株買いなどの手もありますが、成長戦略の一環として他の企業を買うのも企業価値を高める重要な方法です。 保険会社だけでなく、事業会社同士のTOB合戦も増えてくるかもしれません。政策保有株の売却で得た資金を成長投資に振り向けると明言している企業も多く、M&A(企業の合併・買収)は有力な選択肢になるでしょう。 自分の保有銘柄がTOBの対象になったら 中山TOBが増加傾向にある中で、個人投資家がTOBを投資機会ととらえるべきなのか、それとも慎重になるべきなのか。この点について、たけぞうさんのお考えをお聞かせください。 たけぞう例えば、PBR1倍割れで、親会社が50%以上の株式を保有している銘柄などは、TOBの可能性があります。しかし、実際にTOBが実施されるかどうかは、予測が難しいのが実情です。TOBの可能性がある銘柄を絞り込むことはできても、それが実現に至るかは予想が難しいですね。 個人投資家は、TOBを当てにするのではなく、企業の本質的な価値に注目してほしいと思います。割安な株価水準にあり、業績の改善が見込める銘柄を選ぶことが重要だと考えます。 中山なるほど。TOBが増えれば、保有銘柄が対象になる個人投資家も増えるでしょう。その際、個人投資家はどのような点に注意すべきでしょうか。 たけぞう開示資料をよく読み、TOB価格と買収予定の株式数の割合を見てください。一般的にTOB価格は、市場株価にプレミアムが載せられて高く設定されることがほとんどですが、市場価格よりも低く設定されるディスカウントTOBもあります。 全株式を対象とするTOBの場合は、応募すれば基本的には買収価格で売却できます。市場での株価がTOB価格に近づいて上がる傾向があり、TOBの手続きをするより市場で売却するほうが楽だと考える人もいるでしょう。TOB価格よりも株価が上昇することもありますが、競合する買い手が現れなかったり、TOBが不成立となり株価が急落するようなことも考えられます。TOBが成立したら最終的には上場廃止になるので、投資家はそれまでに株価を注視しながら市場で売るか、TOBに応募するかを決めるのが妥当です。 一方、買収予定数が50%程度の場合は、連結子会社化が目的だと考えられます。その場合、上場廃止になるケースは少なく、TOB価格までは株価が上昇しない可能性があります。 いずれにせよ、TOBが開始されたら開示書類を丁寧に確認して、マーケットに注目することが重要ですね。 中山TOB開始後、株価はTOB価格に近づいて上がる傾向があるとのことですが、TOB価格よりも若干低い水準で推移することが多い印象を持っています。例えばTOB価格が1,500円なのに、株価は1,450円前後で推移するといったケースです。なぜこのようなギャップが生じるのでしょうか。 たけぞうTOBがなにごともなく進行していけば、決済の開始日(注3)にはTOB価格での売却ができます。それまでには、TOB価格以上に株価が上昇しないケースも多いので、TOB価格より時間分、また不成立や撤回のリスクの分だけ少し安く取引されることも多いと思います。 (注3)TOB成立後、買付者が応募株主に対して株式の引き渡しをし、買付者に代金が支払われる日。20営業日以上の公開買付期間後に設定される。 成功可能性を市場が見極めようとしている面もあると考えられます。仮に競合他社からの対抗TOBなどがあれば、買収価格が上振れする可能性もあるため、様子見の投資家もいるのだと思います。TOBの期間や撤回条件など、よく確認しておくことが大切ですね。 グロース市場の見直し 中山プライム市場では改革が着実に進む一方、グロース市場の見直しが注目されていますね。東証の市場区分の見直しについては、フォローアップ会議で議論が行われています。 プライムとスタンダード市場については一定の方向性が示されていますが、現在議論の焦点となっているのがグロース市場です。グロース市場の上場維持基準を厳格化すべきという意見がある一方で、一律に厳しくするのは適切ではないという意見もあり、意見が分かれている状況だと聞いています。 たけぞう現在、グロース銘柄には、新規上場から10年経過しても時価総額が40億円に満たない場合、上場廃止になるという基準があります。この基準の厳格化が検討されており、存続期間を10年から3〜4年に短縮することや、時価総額基準を100億円に引き上げることなどが議論されています。 仮に基準が厳しくなれば、多くの銘柄が上場廃止になるかもしれません。上場廃止を避けるために、一時的に株主優待を充実させるなどで、時価総額を引き上げる企業も出てくる可能性があります。株価を上昇させ、時価総額の基準をクリアしようとする動きですね。 ただし株主優待は廃止することができるので、投資家は注意が必要です。優待を充実させて上場維持の基準をクリアしたとしても、その後優待を廃止すれば株価は下落し、本質的な問題は解決しません。 中山グロース市場の見直しは、新興企業の成長をサポートする一方で、投資家保護の観点からも重要な論点ですね。バランスの取れた市場運営を目指す必要がありそうです。 たけぞうその通りだと思います。スタートアップ企業の支援は重要ですが、放漫経営を助長するようでは本末転倒です。一定の規律を求めることで、グロース市場の信頼性を高めていくことが求められます。市場の公平性・透明性を維持しつつ、企業の成長を後押しする。そのためのルールづくりが問われているのだと思います。 中山変化の方向性を理解した上で、投資判断に生かしていくことが重要ですね。個人投資家の皆さんには、市場の変化を意識しながら銘柄選択をしていただきたいと思います。 たけぞう投資において大切なのは、変化を恐れることなく、機会を見出す姿勢だと思います。TOBやMBOの増加は、日本企業の構造的な変化を反映したものだと考えます。個人投資家の皆さんには、こうした変化を前向きにとらえ、企業の成長力やガバナンスの状況などの分析を欠かさないことが何より大切だと考えます。 個人投資家たけぞうさん1988年に証券会社へ入社し約30年間勤務し、独立。証券会社勤務時には、20年間以上証券ディーラーとして活躍した。現在は個人投資家である傍ら「誰にでも、わかりやすく」にこだわりラジオ、セミナーなどで投資手法を伝える。メールマガジン「たけぞうの50億稼いだ男のメルマガ」(パンローリング社)を毎日配信。午前4時前に起床し国内の主なニュースや株価に影響のある記事を新聞4~5誌からまとめ、早朝に終わるNY市場の動向も配信している。 QUICK ナレッジコンテンツ本部 コンテンツグループ 副部長中山桂一さん2008年QUICKに入社。2013年に日本経済新聞社商品部(当時)に出向し記者職に就く。日経QUICKニュース社への2度の出向を経てQUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントでマーケット記事の執筆業務に携わる。 ※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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08/03 07:30
【マーケット解説動画】日経平均大幅安、36,000円割れ(8月2日引け後収録)
テクニカル展望(8月2日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の岩本ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均大幅安、36,000円割れ」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価と主な出来事3.日経平均株価:日足・週足4.ドル円相場:週足5.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部ストラテジスト 岩本 竜太郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、NOMURAアプリではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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08/03 07:00
【来週の予定】米国の対中関税引き上げは8月中旬を見込む
来週の注目点:日銀決定会合における主な意見、日米中の景況感調査 前週の日銀金融政策決定会合では、政策金利の0.25%への引き上げと国債購入ペースの減額を決定しました。利上げは予想外に早めのタイミングでしたが、会合後の会見での植田総裁の発言を「円安による物価上昇が、2%の物価目標達成に向けたトレンドと比べて上振れさせるリスクがあることに早めに対応した」とのニュアンスで市場は受け止め、円高ドル安が進行しています。今後の日銀の金融政策を占う上では、5日(月)発表の6月日銀金融政策決定会合議事要旨、8日(木)発表の7月日銀金融政策決定会合における主な意見が参考になります。 日本の経済指標では、6日(火)に6月毎月勤労統計が発表されます。6月の現金給与総額は、前年同月比+2.1%と、5月(同+2.0%)から小幅に加速したと野村證券では予想します。2024年春闘の成果は5月までに概ね反映したため、追加的な影響は限定的と見ています。また、8日(木)発表の7月景気ウォッチャー調査では、景気の現状判断DIが前月から改善したと予想します。円高進行が家計の物価高への懸念を和らげたか、注目されます。 米国では、5日(月)に7月ISMサービス業景気指数が発表されます。米国の景況感は、製造業が悪化傾向にある一方、サービス業は堅調さが継続しています。今回も同様の傾向が見られるか、注目です。 中国では、5日(月)に7月財新版・サービス業PMI、7日(水)に7月貿易統計が発表されます。人民元安の進行に伴う価格競争力の向上や、世界的なテクノロジーセクターの持ち直しなどが中国の輸出を下支えすると予想します。一方、EU(欧州連合)が7月4日から中国製電気自動車に対し、暫定的な追加関税を課しています。また、米国では8月中旬から中国製輸入品に対する関税引き上げが見込まれます。このような欧米による追加関税の中国の輸出への悪影響が懸念されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年8月2日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/02 18:30
【野村の夕解説】日経平均株価2,216円安、史上2番目の下落幅 (8/2)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日発表された7月のISM(サプライマネジメント協会)製造業景況感指数など、米国の経済指標は市場予想を下回る結果となり、景気減速への懸念が高まり株式市場では主要3指数が揃って大幅に下落しました。本日の日経平均株価は前日比682円安の37,444円で取引を開始しましたが、寄り付き後しばらく売り気配で値を下げる銘柄が多く、直後には36,000円台前半まで約1,000円下げ幅を広げました。米国ハイテク企業の決算で失望的な内容も出始めており、前日はインテルが2四半期連続の赤字決算を発表し、時間外取引で大幅安となり投資家心理を冷やしました。東京エレクトロン等の日経平均株価採用の主力ハイテク株も大きく株価を下げ日経平均株価の重石となりました。為替市場では円高トレンドが維持され、1米ドル=149円台での推移が続いたことで、前日に続いて輸出関連株の下値模索も続きました。結局終日ほぼ全面安となり、日経平均株価は前日比2,216円安の35,909円と続落して本日の取引を終えました。下げ幅は1987年10月20日以来、約36年10ヶ月ぶりの大きさで今年最大、史上2番目の下げ幅となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、米国では7月雇用統計が発表されます。労働環境のゆるやかな緩和が予想されていますが、波乱含みの市場環境下で好材料となるか悪材料となるか見極めたいと、発表を控えて緊張感が高まっています。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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08/02 11:15
【今週のチャート分析】日経平均株価、再び大幅安、指標面は短期的な売られすぎを示唆
※画像はイメージです。 ※2024年8月1日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 再度、底値固めなるか 今週の日経平均株価は、円高進行を受けて8月1日に4営業日ぶりに大幅反落しました。ドル円相場は日米の金融政策決定会合を経て、約4ヶ月ぶりに1ドル=150円台を割り込みました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、7月11日高値(取引時間中ベース:42,426円)形成後に大幅安となり、26日安値(37,611円)にかけて次々とフシを抜けて下落しました。 その後一旦値を戻し75日移動平均線(8月1日:39,006円)を回復しましたが、円高・ドル安が加速したこと等を受けて、8月1日は大幅下落となりました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年8月1日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 この先、7月26日安値(37,611円)を下回った場合は、200日移動平均線(同:36,837円)や4月19日安値(36,733円)に向けて再度下値を固めにいく展開が見込まれます。一方で、RSI(8月1日:21.2%)は昨年10月以来の低水準となる等、一部テクニカル指標は短期的な売られすぎを示唆しています(図1)。 また、今年7月高値から同月安値までの下落率(終値ベース:10.8%、図2)は、既に過去の中長期上昇局面内の一時的調整時(図2中:①~④)における下落率(7.1~11.3%)のレンジ内に入っています。一部テクニカル指標や下落率の面からみれば、調整一巡後は底入れ反発に向けた動きとなることが期待されます。 ※2024年8月1日時点のデータを基に執筆しています。 (注1)直近値は2024年8月1日。 (注2)日柄は両端を含む。(注3)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 米国長期金利の中長期上昇トレンドは転換したか 米国長期金利が低下基調となっています。7月30-31日に開催された米金融政策決定会合では市場予想通りとなる政策金利据え置きが決定されました。ただ、パウエルFRB議長は記者会見で、9月の利下げの可能性を強調したことを受けて、市場ではややハト派的(政策緩和に前向き)と受け止め、長期金利は大幅に低下しました。 今回は米国10年債利回りについてチャート面からみてみましょう。米国10年債利回りは、今年4月の4.735%を昨年10月ピーク(5.018%)に対する二番天井として再び低下基調となっています(図3)。 チャート上は今年7月末時点で、①昨年10月ピーク以降の下降トレンドを形成中であり、さらに、②今年4月以降は、やや急な下降トレンドも形成中です。 (注1)直近値は2024年7月31日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 また、7月末時点(4.029%)で、2020年3月ボトムからの中長期上昇局面で概ね下支えとなってきた12ヶ月移動平均線(7月末:4.315%)を明確に下回っており、昨年10月ピーク(5.018%)を天井とする本格的な利回り低下トレンドに入っている可能性がさらに高まったと捉えられます(図4)。 (注1)直近値は2024年7月31日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 過去の天井形成後は、1年を超える利回り低下トレンドとなるケースも多くみられています。チャート面からは米長期金利が大きな転換点を迎えている可能性が高いと言えそうです。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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08/02 10:31
【米国株決算速報】アマゾン・ドットコム(AMZN):消費者の低価格志向強まる・AWSは順調、株価は-7.75%(時間外取引)
決算概要:2024年4-6月期(2024.12期第2四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間8月1日引け後に、イーコマースやメディアサービス、クラウド事業のAWSなどを運営するアマゾン・ドットコム(AMZN US)が2024年4-6月期(2024.12期第2四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.4%下回り、EPSは市場予想を22.6%上回りました。 会社の2024年7-9月期売上高見通しは市場予想を下回りました。 消費者の低価格志向強まる、AWSは順調 会社は、小売事業について、想定以上の消費者の低価格志向が販売単価の低下につながり、高価格帯商品のPCや電子機器でも好景気時に比べて売上高成長率の鈍化がみられたとコメントしました。 一方で、AI・クラウド事業のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の売上高は市場予想を上回りました。会社は、設備投資額の増加は今後も継続し、増加分のほとんどはAI関連であるとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で下落 アマゾン・ドットコムの株価は、前日比1.56%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比7.75%安の169.80ドルで推移しています(NY時間19:15)。 長引く高インフレを背景に、会社の想定以上の消費者の低価格指向などにより、売上高の実績や見通しが市場予想を下回ったことに市場が反応したと考えられます。一方で、設備投資増額は、AI事業への投資の回収の確実性が高まったことを示唆していると考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2024年8月1日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2024年4-6月期(2024/6)。2024年7-9月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG集計による市場予想平均。2024年7-9月期以降の予想は2024年7月31日時点。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) ご投資にあたっての注意点
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08/02 10:00
【米国株決算】アップル(AAPL):増収回帰鮮明・生成AI強化へ、株価は+0.75%(時間外取引)
決算概要:2024年4-6月期(2024.9期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間8月1日引け後に、モバイル端末の製造販売とクラウドサービス事業を行うアップル(AAPL US)が2024年4-6月期(2024.9期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.5%上回り、EPSは市場予想を4.0%上回りました。 増収回帰鮮明・生成AI強化へ 会社の2024年7-9月期の売上高見通しは、2024年4-6月期と同水準の前年同期比成長率(+4.9%)で、市場予想を上回りました。コロナ禍中の需要急増の反動減を受け、売上高成長率は2022年10-12月期以降、ほぼ横ばいや、マイナスが続いてきましたが、増収への回帰が鮮明となりました。一方で、香港・台湾を含む中華圏の売上高は、景気減速や中国政府機関での米国製通信端末の使用禁止などによる悪影響の継続を受け、実績が前年同期比-6.5%で、市場予想も6.0%下回りました。 会社は、開発者会議WWDC 2024で発表した生成AIサービスの「アップル・インテリジェンス」などのAIテクノロジーへの投資を大きく拡大するとコメントしました。 売上高とEPSの推移 株価は時間外取引で小幅高 アップルの株価は、前日比1.68%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比0.75%高の219.99ドルで推移しています(NY時間18:00)。増収基調を確認したことや、AI事業の成長のための設備投資の増額を市場が好感したためと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2024年8月1日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2024年4-6月期(2024/6)。2024年7-9月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG集計による市場予想平均。2024年7-9月期以降の予想は2024年7月31日時点。(出所)会社発表、LSEGより野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) ご投資にあたっての注意点
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08/02 08:15
【野村の朝解説】景気指標悪化で米金利低下、株価下落(8/2)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 1日の米主要3指数は揃って反落しました。7月のISM製造業景気指数が46.8と、市場予想(48.8)を下回り、前月(48.5)から悪化し、景況感の境目となる50の水準を4ヶ月連続で下回りました。また、新規失業保険申請件数は24.9万件と、市場予想(23.6万件)以上に増加し、2023年8月以来の高水準となりました。これらを受け、米国の景気減速懸念が強まり、米10年国債利回りは低下し、約半年ぶりに4%台を割り込みました。株式市場では、景気敏感株を中心に下落しました。 相場の注目点 昨日の日経平均株価は、大幅に下落し、下げ幅は一時前日比1,363円まで拡大する場面がありました。金融政策決定会合を経て、日米の金融政策の方向性の違いが改めて意識され、為替市場で約4ヶ月ぶりに1ドル=150円台を割り込み、円高が進行したことが株式市場の重石となりました。そのような中、前日引け後に好決算を発表した日清製粉グループ本社や日立製作所、アドバンテストなどは逆行高となりました。重要イベントを通過し、市場の関心は日本企業の決算発表に集まるとみられますが、決算を受けた個別物色の動きは続きそうです。足元で急速に円高が進行する中、業績への悪影響が懸念されているため、決算発表において、為替動向に関する会社側のコメントにも注目です。 本日のイベント 日本では、100社を超える企業決算発表が予定されています。米国では7月雇用統計が発表されます。失業率が4.1%で横ばいとなることが予想されていますが、失業率の上昇傾向が一段と明確化すれば、市場のFRBへの利下げ期待がさらに高まるとみられます。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年8月2日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/01 15:48
【野村の夕解説】日経平均株価大幅反落、975円安 円高が重石(8/1)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比320円安の38,781円と反落して取引を開始しました。昨日発表された日銀の国債購入減額と追加利上げに加え、FOMCの声明文、及びパウエルFRB議長の記者会見を受け、市場では日米の金融政策の方向性の違いが改めて意識されました。これを背景として、外国為替市場では10時台に1米ドル=148円50銭台後半と今年3月以来の円高米ドル安へ進行し、日経平均株価は一時前日比1,363円安と下げ幅を拡大させました。その後、自律反発のような動きがみられ、昨日引け後に今期業績予想の上方修正を発表したアドバンテストが大幅に上昇し、相場を下支えしました。業種別では金利上昇をうけ銀行株や、円高が企業業績の追い風になる空運業や紙・パルプ業株などが底堅く推移しました。後場に入り38,000円を挟んで一進一退の動きとなり、大引けは975円安の38,176円となりました。取引時間中にはトヨタ自動車の4-6月期決算が発表され、営業利益が市場予想を下回ったことや、通期業績予想が据え置かれたことなどから、終値は前日比-8.47%となりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では7月のISM製造業景気指数が発表されます。同統計が仮に市場予想を下回れば米国金利の低下を招き、さらなる円高ドル安の材料となりそうです。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点