閉じる
閉じる

21分前

【注目トピック】米国:2025年7-9月期決算レビュー ~実績は上振れ多数、年度予想も上方修正に~

※画像はイメージです。 7-9月期は前年同期比+14.0%推定 2025年11月7日までに、S&P 500 指数構成企業のうち448社が、2025年7-9月期決算を発表しました。 調査会社LSEGの集計では、同期のEPS(1株当たり利益)は、前年同期比+14.0%の72.06ポイントと推定されています。 今回の決算発表シーズンが始まる直前の10月3日時点の集計では、同期のEPSは、前年同期比+6.4%の67.26ポイントと推定されていました。 S&P 500 企業 四半期EPS(1株当たり利益)の推移 (注)推定・予想は2025年11月7日時点のLSEG集計による市場推定・予想平均。2025年7-9月期には、2025年6-8月期決算、2025年8-10月期決算の企業も含む。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 S&P 500 企業 四半期EPS(1株当たり利益)前年同期比増減益率の推移 (注)推定・予想は2025年11月7日時点のLSEG集計による市場推定・予想平均。2025年7-9月期には、2025年6-8月期決算、2025年8-10月期決算の企業も含む。カッコ内の数値は2025年10月3日時点の市場推定・予想平均。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 これまでに同期の決算を発表した企業のうち、決算実績がアナリスト予想を上回った企業の比率(ポジティブサプライズ比率)は、純利益については82.5%と多数を占めています。このため、2025年7-9月期の推定は上振れしているとみられます。 2025年7-9月期決算のポジティブサプライズ比率 (注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2025年7-9月期には、2025年6-8月期決算、2025年8-10月期決算の企業も含む。(注2)直近4四半期平均とは2024年7-9月期~2025年4-6月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。(注3)LSEGによる2025年11月7日時点(売上高について448社、純利益について446社)の集計。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 ヘルスケアや金融でも実績は上振れ 前述のポジティブサプライズ比率の状況をセクター別に見てみると、ヘルスケア、金融、情報技術などで、比率が90%超となっています。 直近の株式市場では、半導体やソフトウエアなどAI関連企業の業績拡大が期待されていますが、これまでに2025年7-9月期決算を発表した企業群では、情報技術関連以外のセクターでも、決算実績が事前のアナリスト予想を上回っています。 S&P 500 指数~セクター別ポジティブサプライズ比率(2025年7-9月期) (注)ポジティブサプライズ比率は、各セクター、S&P 500 指数構成企業のうち、決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2025年7-9月期には、2025年6-8月期決算、2025年8-10月期決算の企業も含む。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 年度予想も上方修正 S&P 500 指数構成企業の年度ベースでのEPSについて見てみると、2025年7-9月期決算の発表が始まる以前から、2025年以降も拡大していくと予想されていました。 2025年7-9月期の決算実績が事前の予想を上回った結果、2025~2027年度のEPSは上方修正されています。 目先は小売の決算に注目 11月7日までに、 S&P 500 指数構成企業のうち、89%の企業が2025年7-9月期決算発表を終えましたが、今後、2025年8-10月期(業績集計としては2025年7-9月期に含まれる)を決算期とする、小売企業やソフトウエア企業の決算発表が本格化します。 2025年11月6日にNRF(全米小売業協会)は、2025年の年末商戦の売上高見通しを発表しました。その中でNRFは、関税の影響について、企業が価格抑制に努めていると指摘しています。小売企業などが、関税による仕入れ価格上昇分を、販売価格に反映していないということを示唆していると考えられます。 今後、小売企業が2025年8-10月期決算を発表した際には、足元の業績動向に加え、会社の2025年11月-2026年1月期業績見通しや、経営陣のコメントなどを通して、関税が業績に与える影響などを見極めていきたいと考えます。 S&P 500 企業 EPS(1株当たり利益)の推移(年度) (注)予想はLSEG集計による2025年11月7日時点の市場予想平均。カッコ内の数値は2025年10月3日時点の市場予想平均。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 リビジョンインデックスは概ね1超で推移 アナリストの企業業績予想の修正動向を示すリビジョンインデックスの推移を見ると、2025年前半は1を下回って(下方修正優位で)推移していました。2025年4-6月期決算の発表が始まった2025年7月中旬から1を超え始め、その後大きく上昇し、2025年4-6月期決算の発表が一巡すると、一旦低下しました。 しかし、2025年10月中旬から2025年7-9月期決算の発表が始まると再び上昇し、2025年11月5日時点では、FY1(予想1期目)については1.50、FY2は1.11となっています。 米国企業リビジョンインデックスの動向 (注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。FY1は予想1期目、FY2は予想2期目。直近値は2025年11月5日時点で、12月決算企業の場合、FY1は2025年12月期、FY2は2026年12月期。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 AI関連が引き続き業績のけん引役 今後3年間(2025~27年)におけるEPSの平均年率成長率予想をセクター別で見ると、情報技術とコミュニケーション・サービス、資本財・サービスの3セクターが、S&P 500 指数平均を上回る成長率が予想されています。 情報技術はAI普及の主力セクターですが、コミュニケーション・サービスではAIを活用したインターネットサービス等の利用拡大が、資本財・サービスではデータセンターで用いられる電源関連機器に対する需要拡大などによる業績寄与が、織り込まれていると推察されます。 今後の米国企業の業績拡大は、引き続きAI関連がけん引役と予想されていることが見て取れます。 S&P 500 指数~セクター別中期EPS成長率予想 (注)2025年11月7日時点のLSEG集計による市場予想平均。中期EPS成長率予想は、2025~2027年における平均年率成長率予想。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト村山 誠 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。 ご投資にあたっての注意点

新着 矢印

431