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08/07 16:26
【野村の夕解説】日銀の追加利上げ懸念が後退し、日経平均株価は続伸(8/7)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日に史上最大の上げ幅を記録した反動から、本日の日経平均株価は前日比553円安の34,122円で寄り付き、一時下げ幅を936円にまで拡げました。その後の日経平均株価は米ドル円相場の動きに沿って荒い値動きが続きましたが、日銀の内田副総裁が講演で、「金融資本市場が不安定な状態で利上げすることはない」との見方を示したことが伝わると、日米の金利差拡大の思惑により為替市場では1米ドル=147円台半ばまで円安が急進しました。これを受けて日経平均株価も上げ幅を拡大し、前日比∔1,174円まで急上昇しました。ただ、その後は更なる上値を追うだけの材料は無く、取引時間終了が近づくにつれて円安に歯止めがかかり、株価は徐々に上げ幅を縮小し、前日比414円高の35,089円で本日の取引を終了しました。個別銘柄では、取引時間中に大和ハウス工業や日本電信電話が決算発表等と同時に自社株買いを発表し、大和ハウス工業の株価は一段高となりましたが、日本電信電話は業績が失望されて株価の上昇幅が縮小しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 明日、日本で7月の景気ウォッチャー調査が発表されます。足元で進む円高・ドル安の影響をどれだけ反映し、景況感が変化しているかが注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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08/07 08:13
【野村の朝解説】米国株は4営業日ぶりに反発(8/7)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 6日の米国株式市場では、主要3指数が4営業日ぶりに反発しました。売られ過ぎに対する押し目買いの動きと見られますが、前週木曜日から3営業日連続の株安の後、火曜日に反発する典型的な「アラウンドチューズデー」の動きであるため、今後も一定のボラティリティが残る可能性があります。国債市場では緊急利下げ観測が後退し、長期債を中心に金利が上昇、ドル円相場は一時144円目前まで円高が進行する場面もありましたが、概ね145円を挟んで取引されています。 相場の注目点 8月に入り、米国の景気後退懸念から世界的な株安に見舞われました。ただし、5日発表のISM非製造業指数が大きく改善したことなどから、市場の不安心理は緩和されたようです。6日は日経平均株価が前日比10%超、TOPIXも同9.3%反発するなど、世界的な株安は一旦一息をついています。ただし、CME日経225先物は3万3,605円と前日の日経平均の終値3万4,675円を1,000円以上下回るなど、依然として調整含みの状態です。米国でもVIX指数が前日から30%近く低下しましたが、27.71ポイントと心理的節目とみられる20ポイントを上回っており、当面は変動の大きい相場展開が継続するリスクには注意が必要です。今週の米国では重要統計やFRB高官の講演などが予定されていないことから、やや手掛かり難の状況が続きそうです。このため、景気の先行きに対する手がかりとしても企業業績の結果が注目を集めそうです。 本日のイベント 24年4-6月期の決算発表が本格化しています。日本ではソニーグループ(6758)やソフトバンクグループ(9984)、米国ではウォルトディズニー(DIS US)の決算発表が予定されています。 (投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2024年8月7日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/06 08:13
【野村の朝解説】世界同時株安、ダウは一時1200ドル超安に(8/6)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 週明け5日の米国株式市場は、アジア、欧州の主要株価指数下落の流れを受けて大幅続落でのスタートとなり、NYダウの下げ幅は一時1,200ドルを超える場面もみられました。先週発表された、米国の7月ISM製造業景況指数や雇用統計が市場予想を下回ったことで、ハードランディング(景気の急速な失速)への警戒感が強まっています。5日発表の7月ISM非製造業景況指数が前月から改善したことはひとまず安心材料となりましたが、主要3指数は続落となりました。 相場の注目点 世界的に株安の連鎖が続いています。特に米国では6月下旬からハイテク株の不安定化が続いていましたが、米景気全体の後退懸念から市場心理が急速に冷え込んでおり、当面は市場の不安定な状態が続くとみられます。今後は経済指標の改善や米連邦準備理事会(FRB)による利下げによって、景気のソフトランディング(軟着陸)期待を回復できるかどうかがポイントです。野村證券では先週の米雇用統計を受けて、米国の年内の利下げ見通しをこれまでの9月、12月の2回から、11月を加えた年3回の利下げへと変更しました。また、リスクシナリオとして9月の利下げが0.50%ポイントとなる可能性もあると予想しています。FRBの対応が後手に回ったと判断された場合は一段とリスクオフが進む可能性があり、目先は8月22日-24日に開催されるジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長の発言が注目されます。 なお、米国市場で取引された日経平均のCME先物は33,190円であり、本日の日経平均株価は昨日終値(31,458円)から上昇して寄り付くことが想定されますが、引き続きボラティリティの高い展開が想定されます。本日は6月毎月勤労統計が発表されます。企業の賃上げにより基本給にあたる所定内給与は前年比+2.3%と伸び率は29年6ヶ月ぶりの高さとなりましたが、実質賃金は25ヶ月連続のマイナスです。実質賃金がプラスになるか注目されています。 (投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年8月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/05 21:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(8月第1週(7月第5週))
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年8月第1週(7月第5週)(2024年7月26日~8月2日) 2024年7月月間(2024年6月28日~7月31日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年8月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年8月2日。HDはホールディングスの略。FGはフィナンシャルグループの略。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年8月第1週(7月第5週)(2024年7月26日~8月2日) 2024年7月月間(2024年6月28日~7月31日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年8月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年8月2日。 HDはホールディングスの略。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年8月2日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/05 09:30
【特集】過去の円高時に上昇した銘柄ランキング 4つの傾向で分類すると
(注)画像はイメージ。 日米の金融政策決定会合を受けて、円高が進行 7月31日に、日米の金融政策決定会合の結果が公表されました。FOMC(連邦公開市場委員会)については、政策金利が据え置かれる一方で、パウエル議長が「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性がある」と発言し、9月の利下げがメインシナリオとなっていることが示唆される内容でした。 一方、日本銀行の金融政策決定会合では、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の0.25%への引き上げや、国債買入れの減額計画の策定などが決定されました。 日銀は現状の金融環境が緩和的であることを強調し利上げを正当化しましたが、FRB(米連邦準備理事会)は現状の金融環境が景気抑制的であることを強調し、将来の利下げを示唆しました。この点で、両者は対照的でした。為替市場はドル売りで反応し、ドル円は一時的に150円を割り込むまで調整しました。 野村では、当面は150円を中心とした推移を基本としながらも、下振れリスクに注意が必要と考えています。円高・米ドル安に備えた投資アイデアの検討を行うのも一案でしょう。 では、過去に円高が進行した時にはどのような銘柄が上昇したのでしょうか。また、それらの銘柄にはどのような特徴があるのでしょうか。 これを分析するために使った指標が、「対米ドル円ベータ値」です。これは米ドル/円の為替変動に対して、市場全体の変動を超えて動く傾向のある(為替感応度が高い)個別銘柄に注目できる指標です。 ベータ値がマイナスで値が大きい銘柄ほど、円高ドル安の為替変動の影響を受けて上がったということを意味します。また、ベータ値=0は、その銘柄は為替変動の影響を受けなかったということを意味します。 (注1)対象はREITを除く野村アナリストカバー銘柄。レーティングが保留の銘柄は除外している。対米ドル円ベータ値の下位25銘柄を記載。全ての銘柄をグループ化しているわけではない。(注2)ベータ値は、直近60ヶ月(5年)の月末ベースの月間騰落率より算出(修正株価を使用)。米ドル円相場は日銀公表値終値(売り気配)を採用。直近値は2024年7月26日。1円の円安米ドル高による影響は、対米ドルで1円円安が進行した場合の営業利益への影響額で、野村證券エクイティ・リサーチ部の予想(2024年6月24日時点)。ただし、川崎汽船は経常利益、住友金属鉱山、レーザーテック、太陽誘電、HOYAは税前利益が対象利益。1円の円安米ドル高による影響が記載されていない銘柄は為替の業績への影響が小さいと判断される銘柄。(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社、日本銀行、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 円高時に上昇した銘柄の特徴とは? 過去(5年間)、円高米ドル安が進行した際に上昇した銘柄は、概ね下記のようなグループに分けられます。 ① 円高メリットグループ小売・食品など、円高により商品や原材料の仕入コストが低下すると期待される業種 ② 円高無関係グループヘルスケア、インターネットサービスなど、為替の影響を受けにくいとされる業種 ③ 高成長期待グループ成長期待の高い(実際に過去の増収率が高い)半導体・電子デバイス関連銘柄 ④ 高ROEグループ内需、外需問わず、ROEが高い銘柄 一般的には、①や②のように、他の業種に比べ、円高米ドル安が業績に好影響(あるいは影響が限定的)であるグループの銘柄が上昇すると考えられがちです。 ただ実際には、円高が業績的には不利に働くことが多い高成長期待銘柄や、ブルーチップ性の高い高ROE銘柄も数多く名を連ねています。 (野村證券投資情報部 大坂 隼矢) ご投資にあたっての注意点
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08/05 08:25
【野村の朝解説】雇用の悪化を受けて米株下落、円高が進行(8/5)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 2日の米国株式市場では、主要3指数が下落しました。朝方発表の7月非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回り、失業率が4.3%と予想を上回ったことで、労働市場の急速な冷え込みが確認され、景気大幅減速懸念が強まりました。また、前日発表の24年4~6月期決算が市場予想を下ぶれたアマゾン・ドットコム(AMZN)が8.78%安、インテル(INTC)が26.05%安と株価が大幅下落した他、一般消費財セクターが相場の下げを主導しました。米10年国債利回りは一時3.78%と2023年12月下旬以来の水準に低下し、為替市場では1ドル=146円台半ばまで円高ドル安が進行しました。 相場の注目点 米国株の下落と円高進行が日本株の下押し要因となりそうです。これまでは、景気のソフトランディング(軟着陸)と米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が相場を下支えしてきましたが、足元の弱い経済指標を受けてハードランディング(景気の急速な失速)への懸念に変わりつつあります。また、人工知能によるテクノロジー企業の成長期待は、足元の業績を受けて成長性に疑念が生じ、相場の下げをもたらしています。株式市場では市場心理が急速に悪化しており、「恐怖指数」と呼ばれる米株の変動性を表すVIX指数は、23年3月以来の高い水準を付けました。ただし、足元の株価の調整は、投機的な動きや投資ポジションの調整が一因と見られます。また、足元の経済指標の悪化や相場の変調を受けて、FRBがハト派化(景気への配慮を重視)すると野村證券では見ています。米国の利下げ期待と景気軟着陸期待が回復すれば、相場反転のきっかけになる可能性があります。米国では5日に7月ISMサービス業景気指数の発表とFRB高官の講演が予定されています。景況感の悪化は市場心理の一段の悪化につながります。FRB高官がどのような政策スタンスを示すのか注目です。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年8月5日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/04 12:00
【注目トピック】TOPIX高値更新までの34年:栄枯盛衰と新陳代謝
※画像はイメージです。 日本:TOPIX高値更新(34年前との比較) TOPIXも高値更新 2024年7月4日、日経平均株価に続き、TOPIXも、資産バブル期に記録した史上最高値を約34年半ぶりに更新しました。その後もTOPIXは上昇を続け、7月11日には2,929.17ポイントに達しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)株価およびPER(株価収益率)は注記がない限り、いずれも月末値。直近値は2024年7月31日時点。(注2)予想12ヶ月先EPS(1株当たり利益)は、今期の残存期間に応じて、今期/来期の予想EPSを時間按分したもの。予想は東洋経済新報社。棒グラフのEPSは2022年度以前が実績で、2024年度以降は予想。なお、赤字だった年度は表示していない。(注3)PERが80倍以上、あるいは計算不能の場合は表示していない。(出所)JPX総研、東洋経済新報社、野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 一方、東証プライム(2022年4月以前は東証一部)の時価総額は、2015年5月時点で既に資産バブル期の最大値を超えており、2024年7月10日には、初めて1,000兆円の大台を超えました。東証市場改革や企業の資本政策・自己変革の成果の表れと言えます。 その後、TOPIXは円高の進展などもあり、水準を切り下げていますが、株価に割高感はなく再度の高値更新にバリュエーション面からはそれほどの困難は伴わない、と考えられます。1989年12月当時のTOPIXのPERは48.8倍(益利回り2%)に達していたのに対し、現在では15.6倍と1/3にすぎません。 また、債券利回りとの比較では、当時は10年債利回りが5%を超えており、益利回りから株価水準を正当化するのは困難でした。 業種別 経常利益構成比 次に、TOPIX史上最高値更新に貢献した業種を経常利益の側面から見てみましょう。1989年当時に比べて銀行の比率が大きく下がり、代わって輸出企業(輸送用機器、電気機器)、成長セクター(通信業、小売り)が全体業績を牽引する構図に大きく変化していることがわかります。 (注)東証一部/東証プライム市場の業種別経常利益構成比。1989年度は実績値、2024年度は東洋経済予想(2024年7月17日時点)。両時点ともに利益構成比上位10業種を表示している。円グラフの中央の数字は、経常利益総額。(出所)JPX総研、東洋経済新報社などより野村證券投資情報部作成 当時は、1980年代中盤より本格化した規制緩和が進行中で、多くの業種で護送船団方式とよばれる行政手法が残存していました。銀行や証券、電気・ガスなどは、その後の自由化進展とともに利益構成比は低下しました。逆に、通信や小売りでは、通信自由化や、出店規制の緩和が追い風となり大きく利益構成比が上昇しました。経営資源を成長率の高い海外に集中投下した、輸送用機器や電気機器なども利益構成比を上げています。 時価総額構成比 時価総額においても同様の傾向が見られます。1989年当時代表的な規制業種であった銀行業の順位が大きく下がり、輸出産業や、規制緩和にともなう内需・非製造業系の業種の構成比が大きく上昇しています。 (注)東証一部/東証プライム市場の業種別時価総額構成比。2024年7月17日の値は概算値。両時点ともに時価総額構成比上位10業種を表示している。円グラフの中央の数字は、時価総額。(出所)JPX総研などより野村證券投資情報部作成 なお、足元で時価総額の比率が最も大きい電気機器は、厳しい業界再編により業種内のプレイヤーが減った結果、現在も存続している企業の評価が高くなっていることが特徴です。 PERと同じく、TOPIXのPBRは1989年末時には5倍を超えていましたが、現在は1.4倍と1/3以下の水準です。対して、電機精密(注)セクターのPBRは1989年末時点で2.5倍、現在も変わらず2.5倍と、業種レベルでPBR水準を保っている数少ない業種です。なお蛇足ながら、電機精密以外でPBR水準が当時に比べて不変~上昇しているのはソフトウエア・セクターのみです。 (注)本文中のPBRはいずれもラッセル野村Large Capおよび、電機精密セクター、ソフトウエア・セクターのもの。 TOPIX 新陳代謝の状況 米国のNYダウやS&P500、日本の日経平均株価などに比べて、TOPIXは構成企業の新陳代謝が乏しい指数と言われてきました。 1989年12月末当時に上場していた企業のうち12.1%の企業がその後上場廃止となっていますが、これは主に不良債権処理により破綻/廃業を余儀なくされた企業が大半だと見られます。またその過程で、日本経済が大きく混乱し、収拾のために官民ともに多額のコストを費やしたことは広く知られています。 (注)各時点で、東証一部(現東証プライム)市場に上場している企業を、①1989年12月以前より上場していた企業、②1989年12月以降に上場した企業、③各時点以降に上場廃止になった企業、の3グループに分け、各々のグループの時価総額構成比を示したもの。合併などにより社名や証券コードが変わっているものについては、野村證券投資情報部の判断により、1989年12月以前より上場していた、あるいは1989年12月以降に上場した、グループに振り分けている。(出所)JPX総研などより野村證券投資情報部 混乱が収拾に向かった2000年以降は、TOPIXへの企業の出入りは、『入り』はともかく、『出』はめっきり減少しています。1989年末時点にすでに上場していた企業の時価総額構成比は、現在に至るまで60%台後半から80%程度で推移しています。2022年4月に東証プライム市場がスタートしましたが、今のところ継続/新規上場企業の比率に大きな変化は見られません。 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
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08/04 09:00
【特集】元証券ディーラー・たけぞうさんに聞く TOBやMBOが増えている背景は
文/斎藤 健二(金融・Fintechジャーナリスト) 写真/竹井俊晴 2023年以降、TOB(公開買付け)、MBO(経営陣が参加する買収:マネジメント・バイアウト)が増加しています。自分が保有する銘柄がTOB、MBOの対象になったら、どのように考えればよいでしょうか。TOB、MBOが増える背景と個人投資家にとっての影響について、元証券ディーラーの個人投資家たけぞうさんに、QUICK社中山桂一さんが聞きます。 TOBとは、企業の発行する株式を保有する不特定多数の人に対して、あらかじめ買付「期間」「数量」「価格」を提示し、通常の市場売買でなく市場外で一括して買い付けることを言います。公開買付けの対象となる会社の取締役会の賛同を得ないで、買付者が公開買付けをおこなう場合を同意なき買収(敵対的TOB)といいます。 MBOとは、会社の経営陣が、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収する手法のことです。 中山桂一さん(以下、中山)最近、TOBやMBOが増加傾向にあるように感じています。QUICKのデータで他社へのTOBの件数を集計すると、リーマンショック前の2007年には年間100件程度ありました。その後、一旦減少しましたが、近年は再び増加傾向にあります。2024年に関しては、5月中旬までの時点で既に28件発生しています。TOBには季節性はなく、案件ごとに発生するという特徴があるので、このペースが続けば過去最高の件数になるかもしれません。 MBOについても、2023年度の株式取得額が過去最高となったと報じられています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 TOBは2023年に79件と多く発生 出所:QUICKデータベース 2024年5月28日までの集計 たけぞうさんは、TOBの件数増加の背景にはどのような日本市場の変化があるとお考えでしょうか。 たけぞうさん(以下、たけぞう)今後もTOBは増加すると予想されます。その主な要因は、東京証券取引所(以下、東証)がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対して改善を要請していることと、金融庁が打ち出した政策保有株の縮減方針だと考えています。企業は、政策保有している株式を売却するのか、一部をTOBにより株式を取得し、子会社化するのか等の判断を迫られるでしょう。 中山東証による要請は大きな影響を与えていますね。マーケットではどのような反応が見られましたか。 たけぞう東証が本格的に動き出したのは、2022年1月にPBR1倍割れ企業に対して改善を要請する方針を打ち出した頃で、続いて2023年3月に「資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。2023年のTOB件数が79件に上ったのは、こうした東証の要請が影響していると考えられます。 すでに投資家の間では、PBR1倍割れ企業はTOBの標的になりやすいと見られ始めています。そういった企業が、決算発表を遅らせるなどの変化がある際には、「TOBがあるのではないか」との憶測が広がり、株価が大きく変動することもあるほどです。 中山東証による要請により、経営のあり方そのものを見直すきっかけになればと期待しています。 たけぞうおっしゃる通りだと思います。東証の本質的な目的は、PBR1倍割れ企業を減らすことではなく、企業に資本コストを意識した経営方針を示すよう求めることだったでしょう。実際、企業の姿勢にも変化が見られるようになりました。株主還元の強化や自社株買いなどに動く企業が増えています。 中山一方で、プライム市場とスタンダード市場では、要請への対応に違いがあるようにも感じます。プライム市場の企業の方が、積極的に取り組みの開示を進めているというイメージがあります。 たけぞうその通りですね。要請に対して、2024年5月末時点でプライム市場の約72%の企業が開示(検討中を含む)を進めています。一方、スタンダード市場での開示はあまり進んでいません。 背景として、スタンダード市場の企業では、取り組みの開示に必要な人材が不足していることなどが考えられます。ただし、スタンダード市場であっても、ステークホルダーに対する説明責任を果たすことは重要です。今後、徐々に開示姿勢に変化が表れてくるかもしれません。プライム市場とスタンダード市場の違いは、注目すべきポイントの1つだと思います。 TOB、MBOの増加から学ぶべきこと 中山TOBやMBOの増加という観点から見ると、最近の事例で個人投資家が学ぶべき点はどのようなところでしょうか。具体的な企業の例などがあれば、ぜひ教えてください。 たけぞう1つの象徴的な事例は、大正製薬ホールディングスのMBOです。金額的にも7,000億円強の巨額案件で、消費者からも名前がよく知られている企業だけにニュースになりました。大正製薬ホールディングスは、もともと創業家が多くの株式を保有していたのも特徴です。 もう1つの事例は富士ソフト(9749)です。同社は子会社4社を上場させていましたが、TOBを実施してこれらを非公開化しました。背景には、”物言う株主”(注1)といわれる投資ファンドから、同社が株主提案を受けていたことがあると考えられます。 (注1)株式を一定程度取得した上で、その保有株式を裏づけとして、投資先企業の経営陣に積極的に提言をおこない、企業価値の向上を目指す投資家のことをアクティビストという。いわゆる「物言う株主」。 TOBやMBOは、創業家の意向や株主との関係性などが密接にかかわっています。個人投資家としては、株式の所有構造や機関投資家などの株主との対話の状況(注2)など、企業ガバナンスの観点からも企業を見る必要があるでしょう。 (注2)機関投資家等が投資先企業や投資を検討している企業に対して行う「建設的な目的をもった対話」のことをエンゲージメントと言う。日本では、2014年に制定されたスチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の諸原則)に基づき、機関投資家はエンゲージメントを通じて投資先企業の持続的な成長を実現していくことで、顧客や受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることが求められている。 中山一般の人にとって身近な企業のMBOも目立っていますね。2024年にMBOが成立したベネッセホールディングスもそうで、金額も大規模でした。同社も、創業家が多くの株式を保有していた企業です。そうした企業がMBOやTOBを選択するようになったということは、企業経営者のマインドにも変化が起きているのでしょうか。 たけぞう経営者の考え方に変化が生じていると感じます。創業家が株式の多くを保有する企業では、株主から経営方針とは異なる要求を受けるなら、経営の自由度を高めるために非公開化を選択する、という流れは今後も増えていくでしょう。 上場を維持するには、社外取締役の登用やIR活動の強化など、ガバナンス体制の整備が求められます。こうした対応が負担となることもあるでしょう。投資家としては、創業家など経営陣の動向を注視することが重要だと考えます。 中山2023年には、エムスリー(2413)のベネフィット・ワン買収に対抗して、第一生命ホールディングス(8750)がTOBを表明しました。同意なきTOBや対抗TOB(カウンターTOB)など、新しい事例も増えてきています。これは日本市場にどのような変化をもたらすのでしょうか。保険会社が事業会社のTOBに名乗りを上げたことの意味合いも気になるところです。 たけぞう第一生命の事例は、保険会社の成長戦略を模索する中での投資として、ベネフィット・ワンに注目したのでしょう。成長性への投資として対抗TOBを行った点が象徴的でした。 会社に潤沢な資金がある場合、自社株買いなどの手もありますが、成長戦略の一環として他の企業を買うのも企業価値を高める重要な方法です。 保険会社だけでなく、事業会社同士のTOB合戦も増えてくるかもしれません。政策保有株の売却で得た資金を成長投資に振り向けると明言している企業も多く、M&A(企業の合併・買収)は有力な選択肢になるでしょう。 自分の保有銘柄がTOBの対象になったら 中山TOBが増加傾向にある中で、個人投資家がTOBを投資機会ととらえるべきなのか、それとも慎重になるべきなのか。この点について、たけぞうさんのお考えをお聞かせください。 たけぞう例えば、PBR1倍割れで、親会社が50%以上の株式を保有している銘柄などは、TOBの可能性があります。しかし、実際にTOBが実施されるかどうかは、予測が難しいのが実情です。TOBの可能性がある銘柄を絞り込むことはできても、それが実現に至るかは予想が難しいですね。 個人投資家は、TOBを当てにするのではなく、企業の本質的な価値に注目してほしいと思います。割安な株価水準にあり、業績の改善が見込める銘柄を選ぶことが重要だと考えます。 中山なるほど。TOBが増えれば、保有銘柄が対象になる個人投資家も増えるでしょう。その際、個人投資家はどのような点に注意すべきでしょうか。 たけぞう開示資料をよく読み、TOB価格と買収予定の株式数の割合を見てください。一般的にTOB価格は、市場株価にプレミアムが載せられて高く設定されることがほとんどですが、市場価格よりも低く設定されるディスカウントTOBもあります。 全株式を対象とするTOBの場合は、応募すれば基本的には買収価格で売却できます。市場での株価がTOB価格に近づいて上がる傾向があり、TOBの手続きをするより市場で売却するほうが楽だと考える人もいるでしょう。TOB価格よりも株価が上昇することもありますが、競合する買い手が現れなかったり、TOBが不成立となり株価が急落するようなことも考えられます。TOBが成立したら最終的には上場廃止になるので、投資家はそれまでに株価を注視しながら市場で売るか、TOBに応募するかを決めるのが妥当です。 一方、買収予定数が50%程度の場合は、連結子会社化が目的だと考えられます。その場合、上場廃止になるケースは少なく、TOB価格までは株価が上昇しない可能性があります。 いずれにせよ、TOBが開始されたら開示書類を丁寧に確認して、マーケットに注目することが重要ですね。 中山TOB開始後、株価はTOB価格に近づいて上がる傾向があるとのことですが、TOB価格よりも若干低い水準で推移することが多い印象を持っています。例えばTOB価格が1,500円なのに、株価は1,450円前後で推移するといったケースです。なぜこのようなギャップが生じるのでしょうか。 たけぞうTOBがなにごともなく進行していけば、決済の開始日(注3)にはTOB価格での売却ができます。それまでには、TOB価格以上に株価が上昇しないケースも多いので、TOB価格より時間分、また不成立や撤回のリスクの分だけ少し安く取引されることも多いと思います。 (注3)TOB成立後、買付者が応募株主に対して株式の引き渡しをし、買付者に代金が支払われる日。20営業日以上の公開買付期間後に設定される。 成功可能性を市場が見極めようとしている面もあると考えられます。仮に競合他社からの対抗TOBなどがあれば、買収価格が上振れする可能性もあるため、様子見の投資家もいるのだと思います。TOBの期間や撤回条件など、よく確認しておくことが大切ですね。 グロース市場の見直し 中山プライム市場では改革が着実に進む一方、グロース市場の見直しが注目されていますね。東証の市場区分の見直しについては、フォローアップ会議で議論が行われています。 プライムとスタンダード市場については一定の方向性が示されていますが、現在議論の焦点となっているのがグロース市場です。グロース市場の上場維持基準を厳格化すべきという意見がある一方で、一律に厳しくするのは適切ではないという意見もあり、意見が分かれている状況だと聞いています。 たけぞう現在、グロース銘柄には、新規上場から10年経過しても時価総額が40億円に満たない場合、上場廃止になるという基準があります。この基準の厳格化が検討されており、存続期間を10年から3〜4年に短縮することや、時価総額基準を100億円に引き上げることなどが議論されています。 仮に基準が厳しくなれば、多くの銘柄が上場廃止になるかもしれません。上場廃止を避けるために、一時的に株主優待を充実させるなどで、時価総額を引き上げる企業も出てくる可能性があります。株価を上昇させ、時価総額の基準をクリアしようとする動きですね。 ただし株主優待は廃止することができるので、投資家は注意が必要です。優待を充実させて上場維持の基準をクリアしたとしても、その後優待を廃止すれば株価は下落し、本質的な問題は解決しません。 中山グロース市場の見直しは、新興企業の成長をサポートする一方で、投資家保護の観点からも重要な論点ですね。バランスの取れた市場運営を目指す必要がありそうです。 たけぞうその通りだと思います。スタートアップ企業の支援は重要ですが、放漫経営を助長するようでは本末転倒です。一定の規律を求めることで、グロース市場の信頼性を高めていくことが求められます。市場の公平性・透明性を維持しつつ、企業の成長を後押しする。そのためのルールづくりが問われているのだと思います。 中山変化の方向性を理解した上で、投資判断に生かしていくことが重要ですね。個人投資家の皆さんには、市場の変化を意識しながら銘柄選択をしていただきたいと思います。 たけぞう投資において大切なのは、変化を恐れることなく、機会を見出す姿勢だと思います。TOBやMBOの増加は、日本企業の構造的な変化を反映したものだと考えます。個人投資家の皆さんには、こうした変化を前向きにとらえ、企業の成長力やガバナンスの状況などの分析を欠かさないことが何より大切だと考えます。 個人投資家たけぞうさん1988年に証券会社へ入社し約30年間勤務し、独立。証券会社勤務時には、20年間以上証券ディーラーとして活躍した。現在は個人投資家である傍ら「誰にでも、わかりやすく」にこだわりラジオ、セミナーなどで投資手法を伝える。メールマガジン「たけぞうの50億稼いだ男のメルマガ」(パンローリング社)を毎日配信。午前4時前に起床し国内の主なニュースや株価に影響のある記事を新聞4~5誌からまとめ、早朝に終わるNY市場の動向も配信している。 QUICK ナレッジコンテンツ本部 コンテンツグループ 副部長中山桂一さん2008年QUICKに入社。2013年に日本経済新聞社商品部(当時)に出向し記者職に就く。日経QUICKニュース社への2度の出向を経てQUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントでマーケット記事の執筆業務に携わる。 ※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。 ご投資にあたっての注意点
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08/03 07:30
【マーケット解説動画】日経平均大幅安、36,000円割れ(8月2日引け後収録)
テクニカル展望(8月2日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の岩本ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均大幅安、36,000円割れ」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価と主な出来事3.日経平均株価:日足・週足4.ドル円相場:週足5.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部ストラテジスト 岩本 竜太郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、NOMURAアプリではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点