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09/29 08:08
【野村の朝解説】米国株は4日ぶりに反発(9/29)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 26日の米国株式市場では主要3指数が揃って4日ぶりに反発し、為替市場では米ドルが主要通貨に対して全面安となりました。FRBがインフレ指標として注目している8月のコアPCE(個人消費支出)デフレーターが前月比+0.2%、前年比+2.9%といずれも市場予想と一致し、インフレ再燃懸念が後退したことが、市場の利下げ観測を後押し、株高・米ドル安につながったとみられます。 相場の注目点 今週、米国では月末月初の重要統計の発表が控えているうえ、FRB高官の講演も多数予定されています。足元の米国株は米国の景気拡大期待よりも利下げ観測を好感する、いわゆる「金融相場」の色彩が色濃いことから、FRB高官の利下げに慎重な政策スタンスの示唆はもちろんのこと、景気堅調を示唆する指標に対してもネガティブに反応する可能性がある点には注意が必要です。今週最大の注目イベントは、3日(金)の9月雇用統計です。ブルームバーグの調査によれば前月差+5万人増と、増加ペースは横ばい圏で推移する見通しです。注意が必要なのは、過去2ヶ月分が大きく修正される可能性がある点に加えて米国議会が10月1日までに暫定予算に合意できない場合には、発表が延期される可能性がある点です。 日本では30日(火)に日銀の9月金融政策決定会合の「主な意見」が発表されます。日銀は同会合では予想通り5会合連続で政策金利の据え置きを決定すると同時に、日銀が保有するETF(上場投資信託)等の売却を決定しました。売却決定のタイミングが市場コンセンサスよりも早かったことから、市場の一部では日銀が金融緩和の正常化(≒利上げ)に積極的になっているのではとの見方が高まっています。日銀の政策姿勢を確認する上で市場の注目を集めそうです。 (野村證券 投資情報部 尾畑 秀一) 注)データは日本時間2025年9月29日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、中心限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ご投資にあたっての注意点
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09/28 17:00
【#データセンター】AI抽出15銘柄/セコム、KDDI、SCSKなど
データセンター建設加速へ、電力インフラ見直し進む 生成AIの普及などにより、データセンターの需要が急拡大しています。しかし、建設ペースに対して送配電網の整備が追いつかず、電力供給までに長期間を要するケースが課題となっています。経済産業省は、データセンターが早期に電力系統へ接続できるよう、ルールの見直しを進めており、送配電会社と連携したインフラ整備の加速を目指しています。AI「xenoBrain」は、「データセンター需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ※ xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)母集団はTOPIX500採用銘柄。xenoBrainのデータは2025年9月18日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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09/28 15:00
シリーズ 「近年の米事情を探る」 需要曲線・供給曲線から考える今後の米価と米価安定の必要性
執筆:野村證券株式会社フード&アグリビジネス・コンサルティング部 シニア・アソシエイト 李 元(2025年9月24日) はじめに 本稿はシリーズ「近年の米事情を探る」の第2弾である。先月発刊した第1弾では、近年の米価高騰の背景として、国内生産力の低下や温暖化による品質低下、ふるい下米の減少、そして訪日外国人の増加が要因であることを論じた。 本稿では、米に対する需給の変化が米価に与える影響について需要曲線・供給曲線から分析する。また、今後の米価の変動要因が需要曲線・供給曲線に及ぼす影響を考察した上で、米価安定の必要性とそれに向けて政府へ期待する点に触れると共に、民間企業の取組み事例も紹介する。 なお、ミクロ経済学における需要曲線・供給曲線の考え方には様々な論点が残されているが、「価格は需要と供給によって決まる」という前提のもと、本稿を執筆した。 1. 需給の変化が米価に与える影響 (1) 米の需要曲線と供給曲線 一般的に、モノは価格が上昇すると需要は減少し、供給は増加する。これを可視化したものが需要曲線と供給曲線である。前者は価格と量が負の傾きとなり、後者は価格と量が正の傾きとなる(図表1)。これに対して、米の需要曲線と供給曲線は、それぞれが垂直に近い特殊な形を示す(図表2)。その理由は、米が日本人にとって代替が難しい主食であり、価格が多少変動しても購入しなければならないものだからである。実際、ここ数年で米の価格は倍以上になっても、消費量が極端に下がらなかったことがそれを裏付けている。 また、供給についても、気候や作付面積に大きく左右される米の生産量は、価格が上がったからといってすぐに増やすことは難しい。増産は農地整備まで考えると1年以上を必要とし、減産するにも次の作付けまで待たなければならない。このように価格の変動に対して需要量・供給量がほとんど変化しないことを「需要・供給の価格弾力性が低い(非弾力的)」という。 ・図表1(左):一般的な需要曲線・供給曲線 ・図表2(右):米の需要曲線・供給曲線 (出所)野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部 (2) 需要曲線・供給曲線から見た近年の米価高騰 米の需要曲線・供給曲線がどちらも非弾力的であるという性質は、米価の変動をより大きくする。近年の米価高騰を例に見てみる。第1弾でも述べた通り、今回の米価高騰は基本的に需要の増加(インバウンド需要増や家計購入量の増加等)と供給の減少(国内生産力の低下、温暖化による品質低下、ふるい下米の減少等)にあるわけだが、需要の増加は需要曲線を右側にシフトさせ、供給の減少は供給曲線を左側にシフトさせることとなる。そこで一般的なモノの需要曲線・供給曲線を示した図表1と米の需要曲線・供給曲線を示した図表2の需要曲線と供給曲線を実際に動かしてみる。図表3と図表4の通り、動かした幅は同じでも価格の上昇幅が大きく異なることが分かる。このように、米には価格弾力性が低い性質があるため、少しの需要量・供給量の変化が大きな価格変動を引き起こす。 ・図表3(左):一般的な需要曲線・供給曲線のシフト ・図表4(右):米の需要曲線・供給曲線のシフト (出所)野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部 2. 米価変動要因と需要曲線・供給曲線へ与える影響 米価の変動要因には、構造的要因と偶発的要因が複数存在し、複雑に絡み合っている。需要側の主な構造的要因としては、少子高齢化の進行と食習慣の変化(米に代わる主食としてパンや麺の普及・定着等)があり、いずれも需要の減少へと繋がる。また、供給側では、農業従事者の高齢化と担い手不足による稲作農家数の減少、それに伴う米生産・供給量の減少が懸念される。つまり、米価変動要因のうち構造的要因は、将来的な「米余り」と「米不足」の両面にリスクを秘めている。 このような構造的変動要因による長期的な需要と供給の減少は、需要曲線と供給曲線をそれぞれ左にシフトさせる。どちらも左にシフトするのであれば問題ないようにも思えるが、それは左にシフトするタイミング・量が全く同じである場合に限る。言い換えると、どちらかが先行して左にシフトした場合や左にシフトする幅(需要と供給の減少量)が異なる場合などは、理論上、急激な米価の変動を引き起こす。 次に、供給側の偶発的要因としては、供給の減少へと繋がる気候変動(地球温暖化等)や病害虫(カメムシ等)の発生等が挙げられる。これらの要因は供給曲線が左へシフトすることを指し、米価高騰へと繋がる恐れがある。需要側では、インバウンドの増加が挙げられ、これは需要曲線を右へシフトさせる。政府としてはインバウンド増加を掲げているが、為替動向等による不確実性もあることから偶発的要因とする。 これらを踏まえると、筆者は中長期的に「米不足」に陥る可能性を想定する[1]。確かに、構造的要因には需要減少と供給減少の両面があるわけだが、わが国の稲作の基幹的農業従事者に占める年齢割合は、一般企業の定年退職にあたる60歳以上が、およそ9割にのぼる。わが国の人口に占める60歳以上の割合が3割程度であることからも、この数値は異常に高く、稲作農家が激減してもおかしくない状況にある。また、偶発的要因で触れた地球温暖化とそれに伴う害虫被害も、近年は供給を減少させる構造的要因となりつつある。インバウンドによる需要増加は、当面、年間消費量の1~3%と見込まれるため他の要因と比較すると影響力は小さい。このような観点から、今後、米不足のリスクが高いと考える。 3. 米価安定の必要性と政府への期待、民間企業の取組み (1)米価安定の必要性 米は日本人の主食であり、安定した価格で供給されることが社会的にも重要である。米価の急騰は消費者の家計を圧迫するだけでなく、過度な下落は生産者の経営を困難にし、国内の米生産基盤の維持を脅かす。政府による米価安定に向けた対応策や民間企業(特に卸・小売)による取組みが求められる。 稲作農家は小規模な場合が多く、経営の安定化や改善・改革等を稲作農家だけに期待することは難しい。そのため、政府による取組みはもちろん、稲作農家から米卸、流通までのサプライチェーン上に位置する民間企業各社の戦略・取組みが必要となってくる。 (2)米価安定に向けた政府への期待 まず、米価安定に向けた政府による取組みという際、これまでのような減反政策に近い取組みに偏ってしまっては、生産力が落ちる一方となる。供給を増やしながらも米価を安定させるという目的に向かった対応策が求められる。 そのために、米価安定化のための対応策として、まず必要となるのが供給増加である。2025年7月30日の農林水産省発表によれば、2024年産主食用米の需要量が711万トンに上振れした一方、生産量は679万トンにとどまる見通しとなった。需要が生産を上回るのは4年連続で、需要と供給が均衡していない状況が続いている。早急に供給不足分を埋めることが求められる。 しかし、データを発表した2025年7月には、既に2025年産米の田植えは終わっており、増産要請があったからと言って、稲作農家がすぐに対応出来るものでもない。 政府はすでに増産へ方針転換を示しており、具体的な施策が迅速に打たれることを期待するが、私たち消費者としても、場合によっては数年の間は、政府の具体的な施策とそれにより供給が増加すること、最終的に店頭価格が下落することを待つ必要があるかもしれない。 また、増産への方針転換に向けた具体的な施策も重要ではあるが、供給過剰になった場合に備えた対応策も検討が必要である。繰り返しとはなるが、米の需要曲線・供給曲線は極めて非弾力的であり、構造的要因による需要減少と政府の施策による供給増加の発生タイミング次第では、供給過剰により米価は暴落してしまう可能性がある。そうなれば稲作農家の経営が悪化し、離農に拍車をかけることになる。そうならない為にも、政府は供給過剰になった場合に備えて、供給量を調整できるよう、例えば、輸出の推進などの米の新規需要開拓に真剣に取り組む必要があると考える。 (3)民間企業の取組み事例 米の供給増加や米価安定の実現のためには、当然ながら、政府単独の取組みにも限界がある。米のサプライチェーン上にいる米卸や流通はもちろん、それ以外の企業のマーケティング力や商品開発力、資本力をフル活用するべきだ。そのような民間企業の当該分野での戦略・取組みをサポートすることも政府の役割の1つとなるだろう。米分野における民間企業の主な取り組みを以下、数事例(数社)紹介する。これらの事例は今後、民間企業が当該分野に参入する際の参考にもなるかもしれない。 【株式会社プレナス(東京都)】 「ほっともっと」や「やよい軒」を運営する当社は、年間4万tの米を使用する。1994年に精米センターを福岡県に設立したのを皮切りに、現在では全国4か所に同センターを構える。2021年には稲作事業(米生産)にも参入しており、ドローン等を活用したスマート農業にも挑戦している。 【アイリスオーヤマ株式会社(宮城県)】 当社は、2013年に農業法人の株式会社舞台ファームと組んで精米事業へ参入した。備蓄米流通の課題の1つであった精米を自社で解決することで、随意契約で調達した備蓄米1万tを8月31日までに完売した。 【株式会社神明ホールディングス(兵庫県)】 米卸大手の当社は、2025年7月に株式会社舞台ファームと共同でソーラーシェアリングの実証に取組むことを発表した。ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光パネルを設置して営農と発電事業を両立させる取組みである。農業者の所得向上に繋がることから、担い手の確保へ繋がることが期待される。 【株式会社クボタ(大阪府)】 農業機械メーカー大手の当社は、10年以上前から米の輸出に取組んでおり、2023年度の「輸出に取り組む優良事業者表彰」にて、日本産米輸出への貢献による農林水産大臣賞を受賞している。香港やシンガポール等へ玄米を輸出しており、現地で保管・精米・販売を実施している。 【株式会社ヤマザキライス(埼玉県)】 埼玉県で稲作を手掛ける当社は、「節水型乾田直播栽培」に取組んでいる。水を張らない状態で田んぼに種を播くことで、労働時間やコストを大幅に削減している。今後、稲作農家の減少が危惧される中で、大規模に効率よく生産することの重要性はますます高まるものと考えられる。 おわりに 近年の米価高騰が象徴するように、米価は低い価格弾力性のもと、複数の構造的・偶発的要因が複雑に作用して決定する。米の需要曲線・供給曲線は、野菜など他の農産物と比べても、需要・供給ともに垂直に近い特徴を有しており、わずかな需給のズレが大きな価格変動となって表れる。 こうした特性を踏まえると、米価安定のためには政府、民間企業による国内生産力の強化、輸出の推進等に加えて、政府による需給の的確な把握と柔軟な政策対応が不可欠となる。特に、米の生産量を把握するのは非常に困難なことではあるが、日本には独自の優れた技術を持った企業が多く存在するわけで、官民が一体となって把握に努める必要がある。 また、本稿では触れなかったが、供給を増加させる策として今後、消費者に選好される米の輸入を拡大することが出来るのであれば、店頭に様々な種類や価格の米を並べることで、消費者の選択肢を増やすことが可能となる。ミクロ経済学的に言えば、需要曲線のフラット化にも寄与する。今後とも米産業の持続的発展と国民生活の安定のため、関係者が一丸となって取り組むべき課題は多岐にわたる。本稿がその一助となることを願うものである。 [1] 米価がいくらとなるかを予測するものではなく、また必ずしも今より米価が高くなると予測するものでもない。 ディスクレイマー 本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。 国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。 外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
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09/28 09:00
【注目トピック】プラザ合意の舞台裏と教訓~「歴史は韻を踏む」のか~
※画像はイメージです。 プラザ合意とは… 「歴史は繰り返さないが韻を踏む」とは米国の作家マーク・トウェインの言葉とされています。トランプ政権は、貿易赤字削減と製造業の国内回帰を掲げ、米ドル高の調整に言及してきました。このため市場では、「プラザ合意」のように、米ドル安誘導策(プラザ合意2.0などと呼ばれる)を講じるのではないか、との懸念が根強く残存しています。 プラザ合意とは、1985年9月に発表されたG5(日・米・英・西独・仏)の協調行動に関する合意です。「参加国が外国為替市場で協調介入し、米ドルに対して、参加国の通貨を切り上げる」というもので、調整幅は10~12%程度が想定されていたようです。 第1次レーガン政権は米ドル高を放置 1981年に誕生した第1次レーガン政権は「小さい政府」と「市場主義」を標榜し、経済政策の4本柱として、①政府支出の削減、②減税、③規制緩和、④金融引き締めを掲げました。結果、財政赤字は急拡大し、金融引き締めで金利が大幅に上昇、米ドル高を招きました。 図表1:国際的な為替政策と米国金融市場の動向 (注)データは月次で、直近値は1995年12月。FF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標は上限金利で、1971年1月以降。ニクソンショックはニクソン大統領(当時)による米ドルの金兌換の停止の発表。クリスマス合意はG7による為替レート安定化に関する緊急声明。(出所)BIS(国際決済銀行)、FRB、LSEGより野村證券投資情報部作成 これが貿易赤字の増大にもつながり、米国では「双子の赤字」問題が深刻化しました。レーガン政権は「米ドル高は強い米国の象徴」として放任したことから、国民の不満が高まり、保護主義が急速に高まっていきました。 図表2:米国の双子の赤字(経常収支・財政収支) (注)データは四半期で、直近値は財政収支が2025年4-6月期、経常収支は同年1-3月期。財政収支は原系列、経常収支は季節調整済み。見やすさを優先して縦軸を制限している。(出所)米商務省、米財務省資料より野村證券投資情報部作成 米国経済政策のかじ取り役の二派 米国の経済政策のかじ取り役を巡っては、資本重視派と通商派の二派があります。前者の典型例はウォールストリート出身者であり、金融資本市場の調整力を重視し、小さな政府や規制緩和を志向する傾向にあります。一方、後者は産業界出身者を中心に、米国産業界の利益を重視し、政府の介入も辞さない政策姿勢が特徴です。 かじ取り役のシフト、保護主義圧力の強化 1985年に発足した第2次レーガン政権では、財務長官が資本重視派から、通商派のジェームス・ベーカー氏へと交代し、経済政策を主導していきました。 米国の貿易赤字の増大は本来、円高・米ドル安を喚起し、貿易赤字の削減につながるという、為替の調整メカニズムが働きます。しかし、当時の市場ではこの調整メカニズムが機能せず、主要通貨に対する米ドル名目実効為替レートは上昇傾向にありました(図表1)。 こうした中、米国では対日貿易赤字拡大の主因を、日本の輸出偏重の経済構造や非関税障壁などの閉鎖性に求める見方が広がり、1985年3月、米上院本会議は大統領に対日報復措置を求める決議を全会一致で可決し、同年4月には米上院財務委員会が議会決議に法的拘束力を持たせるための対日報復法案を可決するなど、保護主義圧力が高まりました。これにより日米間では米ドル高是正に向けた通貨調整と経済政策調整協議が水面下で進展していきました。 プラザ合意から資産バブルへの経路 プラザ合意に向けた協議は主に日米財務省(大蔵省)主導で行われ、日銀総裁に伝わったのはプラザ合意の4日前でした。G5の介入で米ドル安が十分に進まず、調整の負荷が介入から各国の金融政策へと移り、特に日銀への利下げ圧力が強まりました。米国は日本の内需拡大による貿易赤字の削減と円高を求めたことから、日本政府は日銀に対する金融緩和圧力を強めていきました。プラザ合意前に5.0%だった日本の公定歩合は、1987年2月には2.5%まで引き下げられました。 日本では1987年には株高と地価高騰が問題視されていましたが、日銀が利上げに転じることができなかった背景には、米国の非難を恐れた日本政府からの圧力があったと言われています。 図表3:日本の金融政策と日米株価指数の動向 (注)データは月次で、直近値は1995年12月。ニクソンショックはニクソン大統領(当時)による米ドルの金兌換の停止の発表。クリスマス合意はG7による為替レート安定化に関する緊急声明。(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 プラザ合意の教訓 トランプ大統領はまさに通商派を地で行く人物です。FRBに対して連日のように強力な利下げ圧力を掛け、FRB人事にも積極的に関与しています。米国では1986年2月にレーガン大統領(当時)が送り込んだFRB理事が副議長と手を組み、ボルカーFRB議長(当時)の意見に反して4対3で利下げを決定するといった事件が発生しました。このような展開を見ると「歴史は韻を踏む」との言葉の重みが増して聞こえます。 プラザ合意の舞台裏を見ると、市場を人為的にコントロールすることは容易ではなく、実態とかけ離れた過度な金融緩和策は過剰流動性を生み、それが市場のユーフォリア(陶酔感)と結びついた場合、資産バブルを生みかねない、そのような教訓が得られます。 野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト尾畑 秀一 1997年に野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。入社後、一貫してエコノミストとして日本、米国、欧州のマクロ経済や国際資本フローの調査・分析に従事、6年間にわたり為替市場分析にも携わった。これらの経験を活かし、国内外の景気動向や政策分析、国際資本フローを踏まえ、グローバルな投資戦略に関する情報を発信している。 ご投資にあたっての注意点
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09/27 17:00
【#中国自動車】AI抽出15銘柄/本田技研、双日、スタンレー電気など
中国自動車市場、1-8月の生産・販売がともに過去最高に 中国自動車工業協会が9月11日に発表したデータによれば、2025年1-8月期における中国の自動車生産台数は前年同期比12.7%増の2,105万台、販売台数も同12.6%増の2,112万台となり、いずれも初めて2,000万台を突破しました。特に、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)などを含む新エネルギー車(NEV)は、生産台数が前年同期比37.3%増の962万台、販売台数が同36.7%増の962万台と大きく伸びました。中国国内の旺盛な需要と新エネルギー車分野での急速な成長は、関連産業やグローバルな自動車サプライチェーンにも影響を及ぼすとみられます。AI「xenoBrain」は、「中国自動車需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ※ xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)母集団はTOPIX500採用銘柄。xenoBrainのデータは2025年9月18日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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09/27 15:00
農食分野における電子商取引(EC)ビジネスの要諦
執筆:野村證券株式会社フード&アグリビジネス・コンサルティング部 シニア・アソシエイト 津田 瞳美(2025年9月24日) はじめに インターネットの普及は、人々の生活や商取引活動を大きく変化させ、現在ではなくてはならないインフラとなっている。今回は国内の農食分野における電子商取引(以下、「EC」と記載)に焦点を当てる。 インターネット上で商品やサービスを取引するEC市場は急速に拡大している。動画やゲームなどデジタルコンテンツの提供、宿泊予約、オンライン学習といったサービスの提供、そして商品の売買など、あらゆる分野でECは伸長している。産業やセクター、業種などの各分野におけるECの普及度合は、「EC化率」という指標で測ることができる。自社ECの分析にもEC化率が活用されるなど、EC市場における重要指標の1つとなっている。多くの分野でEC化率が高まる一方、農食分野のEC化率は相対的に低い。 本稿では、農食分野でEC化率が低い要因を探るとともに、先進事例を通して、当分野におけるECビジネスの成功要因を分析する。 1. 国内EC市場の現状と農食分野におけるECビジネスの課題 現在、我が国のEC市場はAmazonや楽天市場を筆頭に、様々なプラットフォームやオンラインショップが軒を連ねている。国内における物販系分野のBtoC-EC市場規模は2023年に14兆6,769億円に達し、EC化率は9.4%である[1]。EC化率の高い分野は書籍、映像・音楽ソフトで53.5%、次いで生活家電、AV機器、PC・周辺機器が42.9%である。それに対して農食分野のEC化率は4.3%に留まり、BtoC-EC市場規模は2兆9,299億円である。その中では、ミネラルウォーター、お茶、炭酸水など重量がある飲料や、ストックできる冷凍牛丼の具などの売上が上位に位置している[2]。 全体平均と比較しても農食分野のEC化率は著しく低い。その要因として、農食分野のEコマース参入には、例えば、利便性や鮮度などの「顧客提供価値」、生産や梱包、保管・配送、賞味期限などの「コスト・管理」の観点からみても、他分野にはない課題が存在している(図表1)。 図表1 農食分野のECビジネスにおける主な課題 (出所)野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部 上記に加えてプラットフォーム利用の場合は、手数料を踏まえた価格設定が必要となる。それぞれの段階で課題を乗り越えて、再生産可能な利益を出すためには一定の利幅が必要である。さらに、認知度向上やスーパーマーケットなどで取扱う商品と差別化をするためには、EC上でのプロモーションは必須であり、そのコストを考えた時、高付加価値化(高付加価値商品の開発)の視点が不可欠となる。 その際、農食分野のECが抱える各課題の解消に資する商品の開発・選定を前提とし、これまでとは異なる視点で消費者へ訴求する高付加価値商品の開発が求められよう。 2. 高付加価値食品のEC成功事例と戦略 消費者へ訴求する高付加価値商品の開発の要諦は何か。様々な考えがあるが、議論の余地がないポイントの一つはブランド化(ブランド開発)であろう。筆者が考えるブランド化の基本要素は次の4つである。製品開発や製造者の想い、ストーリー(背景)を伝えることにより、その製品は消費者にとって価値のある体験へと変化する。 ① 使用している原材料や生産者、製造者が開発にたどり着くまでのストーリー② 製造工程のストーリー③ ①②を反映したこだわりの製品が消費者に届くまでのストーリー④ ①②③のストーリーを明確に消費者へ訴求できる商品の写真や説明 現在、食に関するオンライン市場では、比較的高価格帯の商品やブランドが目立つ。いずれも上記①~④をクリアしているブランドが多い印象である。ここでしか取れない原料やストーリーを含めて特徴のある原産地、その原料が保有する機能やサービス、古来より伝わる製造工程など、生産者や製造者のこだわりなどの特徴的なストーリー(メッセージ)がたっぷりと詰まった商品などだ。それらに加え、少し贅沢をしたい日の“ご褒美”、時間を短縮できる“手間の減少”、十分な“栄養の摂取”など、生活の質の向上に資する付加価値の高い商品が多く見受けられる。 また、食品は、手に取って鮮度や品質を直接確認したいという消費者も多く、特に生鮮食品はその傾向が顕著である。生鮮食品にはどうしても旬、産地のブランドや製造方法の特徴などが強く影響する。そのため、筆者は、上記のようにブランドストーリーを明確に設定した付加価値のある製品を唯一無二で提供することを強く推奨する。食品小売店で手に取る商品の背景にあるこだわりや魅力を伝えることができるのはEコマースの最大のメリットでもある。 食品EC分野で、このような高付加価値な商品を取り扱う主な事業者を図表2にまとめた。それぞれが明確なコンセプトを持ち、原料や世界観など他にない商品を開発し、高付加価値な商品として販売されている。例えば、ミツカンの「ZENB」であれば、「開発のためにあらゆる植物を試した結果、『黄えんどう豆』に辿り着いた」というストーリーの記載がある。これには、健康志向で主食を控える人が増える中、ごはんや麺を我慢せず美味しく食べ続けることで健康になれる主食を作りたいという開発者の想いがある[3]。 図表2 食品EC分野で高付加価値な商品を取り扱う主な事業者 (出所)各社HPより、野村證券フード&アグリビジネス・コンサルティング部作成 その他、特徴的な商品としては、原料にヒュウガトウキ(日本山ニンジン)を使った製品などもある。いずれの商品もブランドの世界観、ストーリーが確立しており、コンセプトが明確である。そして各商品に共通する戦略は、他にない唯一無二のブランドとして尖った商品開発、ブランディングの実践であろう。 このような商品開発やブランディングの実践に向けて、商品開発の段階で、ターゲットとなりうるセグメントの消費者にヒアリングしながら改良を行うことが望ましい。その段階で、響く訴求ポイントも明確になるとなおよい。Eコマース展開時には、自社ECであればMETA広告やLINE広告、TikTokなど対象に合わせたプロモーションの場で検証を重ねる。プラットフォームでは、その中での動画広告やキーワード広告の運用に注力する。プロモーションにおいては、訴求に合わせた写真や動画、キャッチコピーなど、様々な仮説を立てた上で、まずは反応のよい広告を探り検証を進め、マーケティングの精度を高める。高い反応率のプロモーションが確定した後も、継続すれば反応は落ちてくるため、定期的に見せ方、伝え方を変えていく必要がある。 3. 農食分野のEC参入を後押しするサービスと今後の有望市場 商品開発後は、新規顧客を獲得し、優良顧客からロイヤルカスタマーへと「育成」する仕組みづくりが必要となる。そのためのプロモーションや世界観づくりに最適なのは自社ECサイトである。自社ECサイト構築のサービスとしての筆頭は、世界シェアNo.1のShopifyである。ノーコードで本格的なネットショップを開設・運用できる。 他にも国内サービスであれば、BASE、STORESなどがある。EC市場は動きが速いため、各タイミングで、よりよいサービスを選択するのがよい。 自社ECサイトである程度の認知を獲得した後に、Amazonや楽天市場などの大手プラットフォームでの販売や、ギフトになりうる商品であればLINEギフトなどへの応用も可能だ。ギフト全体の国内市場規模は2024年に11兆円に及び、そのなかでもソーシャルギフトの認知と市場の拡大が見込まれる。2023年にLINEギフトで贈られた贈答品ランキングでは、女性向け、男性向けともに、上位をスイーツやグルメが占める。 また、現在、筆者が最も注目している市場は、メタバース市場である。メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことで、利用者は自身に代わるアバターを操作し、他者との交流やメタバース上で商品を購入するなど、現実世界と連動した経済活動も可能となる。さらにBtoBでの仮想的なワークスペースとしても活用が期待されている。総務省「令和7年版 情報通信白書」によると、世界のメタバース市場は2024年の744億ドルからCAGR(年平均成長率)37.7%で伸長し、2030年には5,078億ドルまで拡大すると予測されている。その内訳はメタバース内でのEC分野が最も大きい。次いでゲーム、ヘルス&フィットネス分野となる。日本でも2024年に2,750億円(前年度比47.6%増)、2028年には2兆程度までの急速な拡大が見込まれている。 おわりに コロナ禍による後押しもあり加速したEC市場の拡大は、コロナ禍の収束により2024年はいったんリアル回帰が起こったものの、2025年は再び拡大傾向にある。農食分野のECビジネスへの参入や売上高の拡大には様々なハードルがあるが、農食分野の商品は継続購入割合も高く、解決を見越した商品やブランド開発で乗り越えられる可能性は十分にある。また、その先には国内だけでなく海外、ソーシャルギフト市場、メタバース市場など、今後大きく拡大しうる市場が拡がっている。 それらの市場開拓を見据えた中長期のビジョンを持ちながらも、足元の農食分野のECが抱える課題解決は必須となる。顧客の需要や市場の変化を捉えながら、商品やブランドそのものの改良や検証、再構築など、日々の地道な活動を積み重ねていくことが肝要となる。 [1] 経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」 [2] 株式会社Nint 「2024年のECトレンド振り返り&2025年の売れる商品予測【食品・ファッション・コスメ】」(2025年1月16日公開)https://www.nint.jp/blog/2024-2025trend/ [3] 株式会社ミツカンHP「ZENBについて」https://zenb.jp/pages/about ディスクレイマー 本資料は、ご参考のために野村證券株式会社が独自に作成したものです。本資料に関する事項について貴社が意思決定を行う場合には、事前に貴社の弁護士、会計士、税理士等にご確認いただきますようお願い申し上げます。本資料は、新聞その他の情報メディアによる報道、民間調査機関等による各種刊行物、インターネットホームページ、有価証券報告書及びプレスリリース等の情報に基づいて作成しておりますが、野村證券株式会社はそれらの情報を、独自の検証を行うことなく、そのまま利用しており、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。また、本資料のいかなる部分も一切の権利は野村證券株式会社に属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようお願い致します。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等(国内株式取引の場合は約定代金に対して最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料、投資信託の場合は銘柄ごとに設定された購入時手数料(換金時手数料)および運用管理費用(信託報酬)等の諸経費、等)をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。 国内株式(国内REIT、国内ETF、国内ETN、国内インフラファンドを含む)の売買取引には、約定代金に対し最大1.43%(税込み)(20万円以下の場合は、2,860円(税込み))の売買手数料をいただきます。国内株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。国内株式は株価の変動により損失が生じるおそれがあります。 外国株式の売買取引には、売買金額(現地約定金額に現地手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対し最大1.045%(税込み)(売買代金が75万円以下の場合は最大7,810円(税込み))の国内売買手数料をいただきます。外国の金融商品市場での現地手数料や税金等は国や地域により異なります。外国株式を相対取引(募集等を含む)によりご購入いただく場合は、購入対価のみお支払いいただきます。ただし、相対取引による売買においても、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただくことがあります。外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。 野村證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
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09/27 09:00
【オピニオン】AIデータセンターの着工でAIブームは継続へ
※画像はイメージです。 AIブーム(生成AIや機械学習の活用拡大)は、関連企業の受注状況からは、当面は継続する可能性が高いと考えられます。 下図は、AIブームのフェーズと代表的な米AI関連企業の株価の推移を示しています。2022年には、コロナ禍によるデジタル活用の拡大とブロックチェーン技術を中心とした「Web3」の人気が一段落したことで、テクノロジー株は下落しました。 AIブームのフェーズと代表的な米AI関連企業の株価の推移 (注)AIブームは、本稿では2022年11月のChatGPT発表以降の生成AIや機械学習の活用拡大を指す。米AI関連企業や出来事は全てを網羅している訳ではない。データは日次で、直近値は2025年9月19日時点。S&P500は米国株式市場のベンチマークとして記載。 (出所)LSEGより野村證券投資情報部作成 転機となったのは、2022年11月にOpenAIがChatGPTを発表し、2023年1月にOpenAIとマイクロソフトが提携を強化したことです。これがAIブームの黎明期と位置付けられます。ChatGPTは革新的でしたが、有料版の利用者は限定的であったため、一部の市場参加者は将来の成長継続に懐疑的な見方を示していました。 一方、マイクロソフトはビジネスソフトにアシスタント機能「Copilot」を導入するとともにクラウドサービスAzureにAI機能を加えました。また、メタ・プラットフォームズはAIモデル「Llama(ラマ)」をSNSや広告に活用しました。アマゾン・ドットコムはクラウドサービスAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)にAI機能を加え、アルファベットはAIモデル・ツール「Gemini」をGoogle Cloudに組み込みました。これらAI・クラウド大手を中心に、AI関連の設備投資が加速し、AIの活用も急速に進展しました(流行期)。 2025年1月に中国のDeepSeekが発表した推論モデル「R1」を用いたアプリが米国のダウンロードランキングで上位となりました。推論モデルの普及によって、AIの必要演算量が大幅に減少すると予想されたため、関連株は一時下落しました(幻滅期)。その後、実際には推論モデルの活用で演算量が増加すると判明し、株価は回復しました(回復期)。 現在では、2025年1月に発表された米国での2029年までに5,000億ドル規模のAIデータセンター・プロジェクト「スターゲート」、および、これに触発された世界中での大規模AIデータセンター・プロジェクトが、関連企業の業績の追い風となっています。 データセンターとネットワーク間や、サーバー間の通信に使用されるOS(オペレーティング・システム)やイーサネットスイッチを提供するアリスタネットワークスの製品・サービスの繰延収益(顧客と契約済で今後計上される売上高)は、2025年3月末比で同年6月末に約6割増加しました。「スターゲート」の初期出資者であるオラクルの2025年8月末の残存履行義務は、同年5月末比で約3.3倍に急増し、今後更に増加する見込みです。AI関連製品の受注残にあたる数値が増加していることは、AIデータセンターが計画から着工段階へ移行し、需要が供給能力を上回っていることを示唆しています。AI活用とその設備投資の拡大を背景に、AIブームはもうしばらく継続しそうです。 ご投資にあたっての注意点
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09/27 07:00
【来週の予定】自民党総裁選、短観、FRB議長選任、米雇用統計
日本では、10月4日(土)の自民党総裁選挙の投開票に向けて候補者による討論会や演説会が開催されています。総裁選の結果は株価や金利、為替などに影響を与える可能性があり、要注目です。また、10月1日(水)に日銀短観(9月調査)が発表されます。7月23日(水)に日米が関税交渉に合意し、9月4日(木)にトランプ大統領が自動車関税率を15%に引き下げる大統領令に署名するなど、ここ数ヶ月で米国の関税政策を巡る環境は大きく変化しており、日銀短観ではその影響を確認したいと思います。 米国では、2026年5月のパウエルFRB議長の議長としての任期満了を控えて、次期FRB議長候補の1回目の面談を10月第1週までに終わらせる見込みです。ベッセント米財務長官は候補者10人程度と面談の上、最終候補者のリストをトランプ大統領に提出するとみられます。新議長の政策スタンス次第で今後の金融政策運営が大きく変わる可能性があります。また、今後の利下げペースを占う上では、9月30日(火)の9月シカゴ購買部協会PMI、9月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、10月1日(水)の9月ISM製造業景気指数、9月ADP全米雇用レポート、3日(金)の9月雇用統計、9月ISMサービス業景気指数などの重要指標にも注目です。 欧州では、10月1日(水)にユーロ圏の9月消費者物価指数(HICP)が発表されます。野村證券では、2025年後半にインフレ率が政策目標の+2%に到達する一方で実質GDP成長率が加速するとみており、25年6月でECBの利下げ局面は終了したと予想しています。 8月の経済指標の悪化を受けて景気減速懸念が強まった中国では、9月30日(火)に9月政府版及び9月RatingDog版の製造業及び非製造業(サービス業)PMIが発表されます。政府による過剰生産と低価格競争を是正する政策や、消費財下取り制度の効果が剥落することによる消費需要の反動減、公務員の会食を禁止する倹約令による飲食店売上の減速などが景況感を下押ししたと予想されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年9月26日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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09/26 16:32
【野村の夕解説】日経平均株価は4営業日ぶり反落 399円安(9/26)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 26日の日経平均株価は、4営業日ぶりに反落となりました。寄り付き前には日本の9月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表され、生鮮食品を除くコアCPIは前年比+2.5%と前月から伸びが横ばいとなり市場予想を下回ったものの、株式相場への影響は限定的でした。日経平均株価の寄り付きは、25日の米利下げ観測の後退による米国株安を受け前日比120円安の45,634円となりました。直近で相場のけん引役となっていた値がさの半導体関連株や、業種別では非鉄金属、電気機器などが下落し相場の重石となり、終日軟調な動きが続きました。米10年国債利回りの上昇を受け、外国為替市場で円安米ドル高が進行したことが相場を下支えしたものの、日経平均株価の終値は前日比399円安の45,354円と安値引けとなりました。一方TOPIXは、不動産や食料品、建設業などの内需セクターが堅調となり、前日比+1.67ポイントの3,187ポイントとなり、4営業日続伸し最高値を更新しました。個別株では、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロンの終値はそれぞれ前日比-3.72%、同-3.75%、同-4.23%となり、3銘柄で日経平均株価を約420円押し下げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時45分頃。米ドル/円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。米ドル/円は11:30~12:30の間は表示していない。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では8月の個人消費支出・所得統計が発表され、PCEコアデフレーターが注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点