【オピニオン】日経平均5万円乗せに向けて「休むも相場」か
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日本の政治が風雲急を告げています。石破首相の辞任表明を受けて2025年10月4日(土)に実施された自民党総裁選では、大方の予想を覆して高市早苗氏が当選し、第29代自民党総裁に就任しました。日本憲政史上初の女性首相の誕生の可能性、高市氏が掲げる財政拡張的な主張や日銀の利上げに消極的なスタンスなどから、為替市場では1米ドル=150円を超えて円安が進行し、株式市場では日経平均株価が史上最高値を更新して一時4万8,000円台半ばまで急伸しました。
しかし、少数与党として野党との政策協調や新たな連立の可能性を模索する中、10月10日(金)引け後に「公明党が連立与党から離脱」とのサプライズニュースが飛び込んできました。さらには同日、トランプ大統領が中国に追加関税を課すことを表明したことで米中対立激化への懸念が再燃、いわゆる「高市トレード」は一旦はしごを外される形となりました。
各種報道によれば、10月21日(火)に臨時国会が召集され、首相指名選挙を実施することが決まった模様です(10月17日前引け時点)。次期首相が誰になるのか、新たな政権与党がどのような形でまとまるのか、予断を許しませんが、少数与党のままではその後の政権運営は困難なものとなるでしょう。株式市場は伝統的に政治の不安定化を嫌います。日本株市場が新たな不安要素を抱えることになるのか、重要な局面を迎えています。
政局の混沌や外部環境が不透明な時こそ、チャート面からの示唆は有用でしょう。下図は、リーマンショック以降の主要な上昇局面と今回のトランプ関税懸念後の上昇局面を比較した指数化チャートです。今回の上昇局面は、ここまで①アベノミクス相場や、③コロナショック後の急上昇局面と似通った動きをしてきたことが分かります。これらのケースに倣えば、この先の上昇余地はさらに大きいと言えそうです。
日経平均株価:過去の主な上昇局面と今回(基準日~500営業日)
(注1)直近値は2025年10月16日時点。日数は営業日ベース。(注2)主要な上昇局面は全てを網羅している訳ではない。(注3)起点はそれぞれ以下の安値とした。①当時の野田首相による衆議院解散(2012年11月16日)前の安値、 ②英国の国民投票でEU離脱が多数を占めたブレクジット時の安値、 ③コロナショック時の安値、④2023年3月の東証要請前の安値、今回は2025年4月のトランプ相互関税発表後の安値。(注4)東証要請は、東証が上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営を要請したことを示す。企業ガバナンス改革への期待感が株価を押し上げた。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
一方で、安値(基準日)からの上昇期間に着目すると、今回はすでに営業日ベースで100日を超えています。前述の①③の局面では、急騰後のスピード調整を入れたり、上昇ペースが鈍って上値が重い時期に入っています。日経平均は5万円大台乗せを前に一旦足踏みする可能性が示唆されています。政局の行方を見守りながら「休むも相場」でしょうか。
テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。
ご投資にあたっての注意点