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03/31 12:00
【オピニオン】日米金融政策における「スターウォーズ」再燃
3月に入り、日米の金融政策会合をこなしながらも、市場では日本株高と円安ドル高が進展しています。 日本銀行は2024年3月18-19日に金融政策決定会合を開催し、マイナス金利政策の解除を含む金融政策の修正を決定しました。日銀の利上げは約17年ぶりです。会合後の記者会見で植田日銀総裁は、追加利上げの可能性を否定せず、「経済・物価見通し次第」としました。ブルームバーグが3月21日に行ったエコノミスト調査では、6割が24年10月会合までに追加利上げを予想しています。 3月19-20日にはFRB(米連邦準備理事会)がFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、予想通り5会合連続での金融政策の据え置きを決定しました。同時に公表された政策金利見通し(19名のメンバーの見通し中央値)では、2024年の利下げ幅が0.75%ポイント、1回当たりの利下げ幅を0.25%ポイントとした場合、年内に3回の利下げ実施との見通しが据え置かれました。先物市場では、24年6月会合での利下げが8割程度織り込まれています(3月25日時点)。 このように日米の金融政策の方向感は真逆です。一方で、両者に共通しているのは、景気に対して引き締め的でも緩和的でもない中立金利を目指して政策変更が検討されているという点です。この中立金利は抽象的な概念であり、経済理論では「自然利子率」と定義され、r*(アールスター)と表記することが一般的です。 中立金利を実際に観測することはできないことから、その水準に関しては、学識経験者を交えて市場関係者の間でも時折議論となり、このような論争は「スターウォーズ」と呼ばれることもあります。 現在、政策金利ベースの中立金利として、日本では0.5%前後との見方が有力なようです。米国ではFRBが2.6%前後(Longer run)との見方を示しています。日銀は追加利上げを模索しながらも金融引き締めを意図している訳ではなく、あくまで中立金利程度か、それ以下の水準への利上げを検討している状況です。同様にFRBも、景気が予想以上に堅調でインフレが粘着性を帯び始めていることを背景に、緩和的な水準まで利下げする意向は見受けられません。 このような状況を背景に、日本では決定会合を挟んで日経平均株価が大幅に上昇し、為替市場でも中銀の次の一手が米国の利下げと日本の利上げの組み合わせにもかかわらず、円安ドル高が進行しました。ただし、ドル円相場は一時151円97銭と、約34年ぶりの円安ドル高水準をつけたことを受け、市場では為替介入という別の「闘い」への懸念が高まっています。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/31 09:00
【基礎から学べる「行動ファイナンス」】 第14回 デフォルトの活用
野村證券金融工学研究センターの大庭昭彦が投資や資産運用の際に人が陥りがちな「バイアス」に関して解説する「基礎から学べる行動ファイナンス」シリーズ。今回は「デフォルト」の選択肢と、人が持つ「デフォルトを選びやすい」といったバイアスについて考察します。 「デフォルト」とは何か? いくつかの選択肢がある時、何も選ばない時に自動的に選択される特別な選択肢を「デフォルト」の選択肢と言います。人にはデフォルトの選択肢を選びやすいといったバイアスがあるので、主に民間企業のネット販売やネット配信サービスのインターフェースで使われているのをよく目にするところです。 また、このバイアスを公的機関が善用して、結果的に人々を合理的な選択に導くといったことも行われています。 例えば確定拠出年金(DC)の運用先で、何も選択しなかった場合、自動的に適用される「デフォルトファンド」があります。 米国のDCでは、あらかじめ平均的な個人に対して適切と判断される商品(多くの場合、退職のタイミングをターゲットデートに定めたファンド)がデフォルトファンドとして使われることが多く、個人の長期分散投資の促進や、金融資産額の拡大に貢献してきました。 「決定麻痺」避ける効果も また、どの金融商品を選べばよいかわからない時、非合理な形で選択を先延ばしにしてしまう「決定麻痺」のバイアスを避ける効果も期待できます。 日本でも2016年の確定拠出年金法の改正によって導入された「指定運用方法」は、合理的にデフォルトファンドを指定する場合にも利用できると考えられ、今後、その進展が期待されています。 DCへの加入を直接的に促す上で成功している事例が、英国の「自動加入制度」です。「加入するか」「加入しないか」の選択肢があり、デフォルトの状態を「加入する」に設定しておけるという制度です。 この制度があると、まず加入するかしないかを決める際に、加入しないままでいるという、良くない決定麻痺バイアスを避けることができるでしょう。また、退職などのタイミングで加入し続けるかどうかを迫られた時には、あえて「脱退する」という意思決定は難しいものです。英国ではこの制度の効果を背景に、DC加入率が大きく上昇しています。 大庭 昭彦 野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 本稿は、野村證券株式会社社員の研究結果をまとめたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではございません。2024年1月掲載時点での情報に基づいております。 (注)画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/30 16:00
【4月の投資戦略】バリュエーション上昇は割高への警鐘とまでは言えない
目次・日米主要株価指数の高値更新が続く・米国利下げは年央以降・米国企業業績の拡大が株価を下支え・中国政府当局の市場の混乱を抑えようとの意志は強い・日本の春闘は歴史的な賃上げ・金融政策の正常化と共に経済・金融市場は新たな局面に 日米主要株価指数の高値更新が続く 日米主要先進国の株価は、史上最高値の更新を続けています。日本銀行はマイナス金利を含む大規模な金融緩和の解除に踏み切ったものの、市場の波乱は見られませんでした。我々は、米国株式市場は金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと進み、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみています。日本銀行は、当面、緩和的な金融環境が続くと表明しており、日米企業業績の拡大が続くとみます。 ▲TOPに戻る 米国利下げは年央以降 2024年の主要国・地域の経済成長率は、日欧では復調に向かい、米国は巡航速度に落ち着くとみられ、景気悪化懸念は見られません。米国では実質賃金が上昇しており、消費を下支えするとみられます。一方、インフレ率の減速も緩やかとなり、利下げのタイミングが年央以降になるとの見方が強まっています。FRBのバランスシート縮小ペースの減速は、次回5月FOMCで表明される可能性が高まっており、金融引き締めの縮小は緩やかに進められてゆくでしょう。 ▲TOPに戻る 米国企業業績の拡大が株価を下支え 米国企業業績のけん引役は、2023年後半は大手テクノロジー企業のV字回復でしたが、徐々にその他の幅広い産業へ広がるとみられます。ただし、半導体を中心にAI(人工知能)関連ビジネスの成長は目覚ましく、関連企業の利益成長にはその期待が現れています。米国株式市場は、金融相場から業績相場へと移行し、当面は上昇局面が続くとみられます。 ▲TOPに戻る 中国政府当局の市場の混乱を抑えようとの意志は強い ユーロ圏について、ECB政策理事会の多くのメンバーが6月の利下げを示唆する発言を行っています。ユーロ圏の金融市場は落ち着いています。一方、中国は、不動産開発企業の問題や景気減速懸念はありますが、政府当局による市場の混乱を抑えようとする意志は強く、2024年3月の全国人民代表大会では、システミックリスクを防ぐことが明言されました。 ▲TOPに戻る 日本の春闘は歴史的な賃上げ 日本の輸出は、自動車や半導体関連など主力製品は数量ベースで増加しています。春闘では5%を上回る歴史的な賃上げ率となり、政府の求める所得増と経済成長の好循環に資するものとなるでしょう。基調的な物価上昇率も安定的に推移しており、日本銀行は、今後、物価安定の目標が持続的・安定的に実現することが見通せる状況に至ったとの判断から、マイナス金利を含む大規模な金融緩和政策の解除に踏み切りました。 ▲TOPに戻る 金融政策の正常化と共に経済・金融市場は新たな局面に 日本銀行の金融政策の正常化に当たり、緩和的な金融政策を継続することが明言され、長期国債の6兆円規模の月間買入れが示されるなど、金融市場に波乱はありませんでした。日本の経済・金融市場は、新たな局面に入ったとみられます。物価の見通しに上振れリスクが高まる場合、追加利上げがあり得ますが、野村證券は年内は10月に1度、0.25%への利上げにとどまると予想します。為替市場は足元で円安が進むものの、米国利下げの見方が強まることで、米日金利差の縮小により米ドル高・円安は修正されるとみます。主要企業の業績拡大が続く中で、野村證券は2024年内の日経平均株価のレンジ高値を43,000円と予想します。 ▲TOPに戻る 投資戦略については、日米ともにPER(株価収益率)でみたバリュエーションは上昇していますが、金利上昇局面における利益の成長期待を先取りした市場の自然な反応とみられ、株価の割高への警鐘とまでは言えないとみます。引き続き、企業業績の拡大が株価を下支えするでしょう。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 4月号」(発行日:2024年3月25日)「投資戦略の概要」より Nomura21Global参考銘柄について ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/30 12:00
【注目トピック】再考トランプリスク ‐ 市場は経済面と政治面を冷静に峻別
※画像はイメージです。 再考トランプリスク 米大統領選挙は現職と前職の対決に 2024年の米大統領選挙は、現職大統領の立場を入れ替えて、再びバイデン氏とトランプ氏の一騎打ちになります。現職大統領と前職大統領との対決となることから両候補の間に決定的な知名度の差はなく、接戦となることが予想されます。 各種世論調査を見ると、大統領選挙戦の鍵を握ると見られる激戦州(選挙の度に勝利した候補の所属政党が変わることから「スイングステート」と呼ばれる)では、これまでトランプ前大統領がやや優位に選挙戦を進めてきました。ただし、最新の世論調査では、バイデン大統領の支持率が盛り返していることを示すものもあり、選挙の行方は依然として予断を許さない状況です。 米大統領選挙を巡る情勢を踏まえて、マーケットでは「まさかのトランプ再選(まさトラ)」といった、トランプリスクに対する警戒感が再び高まっているようです。 トランプ候補が掲げている政策を確認すると、「米国第一」外交の復活、パリ協定からの再離脱、中国に対する強硬政策など、基本的な政策姿勢や主要な政策は、前回のトランプ政権時(2017~2020年)を踏襲していることが確認できます。このため、前回の経験がトランプリスクを検証するうえで有用であると言えます。 前回のトランプ政権時には、主要閣僚の早期辞任やNATO(北大西洋条約機構)内での対立など、政治的混乱が目につきました。一方、実現した主要政策を振り返ると、当時過去最大規模となった大型減税、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定からの離脱や、NAFTA(北米自由貿易協定)の改定など、概ね選挙公約に基づいて政策が実行されました。この点から、経済・通商政策の面では、選挙公約に記載されていないような思いもよらない政策が突然講じられるといったリスクは小さいと言えそうです。 一方、今後新たに懸念されるリスクとしては、ウクライナ紛争や中東情勢への関与の仕方など、地政学リスクへの対応の変化や安全保障面でのパワーバランスの変化などが想定されます。 トランプ前政権に対する市場の評価 トランプ前大統領は2016年11月8日の本選挙を経て、2017年から2020年(2017年1月20日~2021年1月20日)まで大統領の地位にありました。この間の金融市場の動向を振り返ってみると、トランプ氏の勝利が濃厚となると、米ドル円相場は20円程度円安米ドル高が進行しました。その後、コロナ禍に見舞われた2020年初までは、1ドル=110円を挟んで±5円程度と比較的狭い範囲内で上下動を繰り返しました。 特に2018年以降は、米中関係が先鋭化し、貿易面では関税引き上げ合戦の様相を呈しました。この間のドル円相場は、対中関税引き上げの議論が浮上した際にはドルが売られるものの、実際に実行されたのちに買い戻されるといった展開を辿りました。 株式市場では、選挙結果が随時明らかとなった11月9日の日本時間には、日経平均は一時1,000円程度下落しましたが、その後は切り返し、米国大統領選挙の投票日から2020年初までの間に、日経平均は40%程度、S&P500は60%程度上昇しました。すなわち、トランプリスク=米国売りといった構図は確認できませんでした。また、市場では政治面でのリスクとは別に、経済面での影響を冷静に見極めながら投資判断が行われたと言えそうです。 大統領選挙後にはあく抜け感から米株は反発 米主要大型株指数のS&P500は、大統領選挙当日から同年末までに、共和党のトランプ氏が勝利した2016年は5%、民主党のバイデン現大統領が勝利した2020年は11%上昇しました。また、中小型株指数のラッセル2000や日経平均株価も、両年ともに大統領選挙後に上昇しています。 S&P500指数の構成業種のうち、エネルギー株、金融株はともに、2016年と2020年の大統領選挙後は、いずれも勝利した政党と関係なく、S&P500を上回る上昇率となりました。これらの業種は、規制強化を主張する民主党と、規制緩和を主張する共和党で政策が分かれます。選挙後の株価反発は、民主党政権誕生後の規制強化、あるいは、トランプ氏が当選した場合の不確実性に対する懸念から、選挙前には投資を手控えた投資家が、選挙後に投資を復活させたためと考えられます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) ご投資にあたっての注意点
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03/30 09:00
【マーケット解説動画】日経平均、4万円台で上昇一服(3月29日引け後収録)
テクニカル展望(3月29日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の岩本ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均4万円台で上昇一服」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足・過去比較・月足3.ドル円相場:日足・長期月足4.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部ストラテジスト 岩本 竜太郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 【お知らせ】本コンテンツは、4月以降『NOMURAアプリ』では不定期配信となります。毎週ご覧になりたい方は、野村證券ホームページよりご視聴ください。トップページ>野村の投資情報>マーケット解説動画https://www.nomura.co.jp/market/movie/ ご投資にあたっての注意点
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03/30 07:00
【来週の予定】国内では日銀短観、海外では米雇用統計に注目
来週の注目点:日銀短観と米国重要統計と市場の反応 3月に入り日本銀行、FRB(米連邦準備理事会)の金融政策会合をこなし、市場では日米の金融政策の次の一手として日銀の利上げとFRBの利下げの組み合わせが予想されています。それにもかかわらず、両者の3月会合を経て為替市場では円安ドル高が進行し、ドル円相場は一時151円97銭と34年ぶりの円安水準を記録しました。これを受けて財務省・日銀・金融庁の3者会合が急遽開催されるなど、本邦通貨当局による介入警戒感が高まっています。 植田日銀総裁は金融政策判断は「経済・物価見通し次第」としており、市場では追加利上げのタイミングとした7月と10月の見方が拮抗していますが、円安に歯止めがかからなければ早期利上げ期待が高まる可能性がありそうです。 日本では4月1日(月)に日銀短観(3月調査)が発表されます。同統計は調査対象、調査内容ともに広範囲に及び、政策判断にも影響力の大きい調査です。 米国では月初の重要指標の発表が相次ぎます。1日(月)に3月ISM製造業景気指数、2日(火)に2月雇用動態調査(JOLTS)、3日(水)に3月ISMサービス業景気指数、5日(金)に3月雇用統計が発表されます。2024年中の政策金利見通しに関しては市場とFRBの見通しは収斂しています。このため、注目点は重要統計が予想対比で上振れ、長期金利が上昇した場合の米国株の反応です。長期金利の上昇と株高が同時進行するならば、業績相場への移行が視野に入ります。 ユーロ圏では3日(水)に3月消費者物価指数、4日(木)に3月ECB金融政策理事会議事録、5日(金)にドイツの2月製造業受注が発表されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年3月29日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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03/29 19:00
【野村の動画】株式の持ち合い解消が有利に働く銘柄は?
政策保有株の保有比率(持っている)と被保有比率(持たれている)、そしてその変動を示す売却比率(売った)と被売却比率(売られた)に注目します。 ご投資にあたっての注意点
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03/29 15:48
【野村の夕解説】2023年度の日経平均株価は史上最大の上げ幅を記録(3/29)
本日の動き 2023年度最終営業日にあたる本日の日経平均株価は、前日比109円高の40,277円で取引を開始しました。前日に日経平均株価は594円下落しており、その反動もあり幅広い銘柄の上昇に押し上げられ上げ幅を広げました。しかし、40,500円に接近すると勢いは続かず、40,400円を挟んで一進一退となりました。今晩の米国市場はイースターで休場で材料も見当たらず、日経平均株価は動意に乏しいまま前日比201円高の40,369円と反発して取引を終了しました。なお、2023年度の日経平均株価の上昇幅は12,327円と2020年度の上昇幅10,261円を上回り、史上最大の上げ幅となりました。 東証33業種別で下落したのは海運業、ゴム製品の2業種で、大半の業種は上昇しました。東証プライム市場では、値上がり1,367銘柄に対して値下がり253銘柄と全体の8割超が値上がりしました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 週明けの1日(月)に3月調査日銀短観が発表されます。今回、新たに公表される2024年度設備投資計画の調査結果に、人手不足などを背景とした企業の設備投資意欲の強さが見られるか注目されています。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) (注)画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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03/29 12:00
【今週のチャート分析】日経平均は、41,000円台乗せ後に押しを入れる(3/29)
※2024年3月28日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 1月以降の上昇期間は3ヶ月に 今週の日経平均株価は、前週の大幅上昇の反動や、配当権利落ちなども影響し、上値の重い展開となりました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、3月19日の日銀によるマイナス金利解除を大きな波乱なく乗り越えて4万円の大台を回復し、さらに20日の米FOMC後の米国株高を受けて、22日には一時41,087円まで上昇しました。 その後は上値の重い動きとなっていますが、22日高値を上回ってくれば、3月7日から12日にかけての押し幅の倍返し水準(42,673円)が次の上値メドとして挙げられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年3月28日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 一方で、1月に入ってからの大幅上昇の期間は約3ヶ月となるなど日柄が経過しています(図2)。この先一旦押しを入れる場合、これまで下支えとなってきた上向きの25日線(3月28日:39,628円)が次も下支えとなるか注目されます。仮に同線を下放れた場合は、3月12日安値(38,271円)がさらなる下値メドとして挙げられます(図1)。 (注1)直近値は2024年3月28日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 次に長期的な動きを確認してみましょう(図3)。現在は2022年3月安値(24,717円)を起点とする中長期上昇局面を形成中だと考えられます。これまでの上昇倍率は1.65倍となっていますが、これは過去の長期上昇局面(①~③:1.6倍~2.6倍)のうち、最も低い上昇倍率(②:1.6倍)をやや超えた動きに留まっています。 前回(③)の上昇倍率である1.9倍を2022年3月安値に当てはめると46,962円と試算されます。この先、短期や中期の調整を挟む可能性はあるものの、それら押しをこなしつつ、さらなる上昇となると考えられます。 (注1)直近値は2024年3月28日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 東証REITは3月に急反発、中長期下落相場を脱するか 日銀は、3月19日にマイナス金利の解除やJ-REITの新規買入終了等を決定しました。概ね事前報道通りの内容となり、注目イベントを無難に通過したこと等から、東証REIT指数は大幅上昇となりました。 まずはこれまでの大きな流れについて、月足チャートからみてみましょう(図4)。東証REIT指数は、2021年7月高値(2186.18pt)から今年3月安値(1667.87pt)にかけて、中長期的な下落トレンドを形成しています。同下落局面の調整期間は33ヶ月(両端を含む)となりました。 これまでの主要な下落局面の中で最長となった2016年4月から2017年11月までの20ヶ月を大幅に上回っており、日柄面から見て十分な調整となっていると言えます。 (注1)直近値は2024年3月26日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 次に週足チャートをみてみましょう(図5)。今年3月安値形成後に大幅上昇となっていますが、3月27日時点では、これらの上昇は依然として中長期下落トレンド内の反発に留まっています。 (注1)直近値は2024年3月26日。天底の数値は日次終値ベース。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 ただ、3月の大幅上昇は、前述の通り、日柄調整が十分と考えられる中での反発です。この先、2021年7月以降の下降トレンドライン(1,850pt前後)を上放れとなれば、新たな中長期上昇トレンドへ移行する可能性が高まったと捉えられます。 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点