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25件
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08/23 07:00
【来週の予定】FRB高官発言、日本の7月生産、ECBの7月議事要旨
8月22日(日本時間23時)にパウエルFRB議長の講演を控えて、前週の金融市場は様子見の色濃い展開となりました。FRBが年内中に利下げを再開すると予想される中、市場の関心は2026年の利下げペースとパウエル議長の後任人事に移行しつつあります。FOMCにおける政策判断に際しては、議長・副議長を含む7名の理事とNY連銀総裁に加え、4名の地区連銀総裁が輪番で投票権を有しています。現時点で利下げを主張しているFOMC委員は2名であり、辞任したクグラー理事の後任を含めても、人事だけで政治が金融政策に介入する余地は限定的です。各委員の政策判断の変化が注目されます。 今週はダラス連銀ローガン総裁、NY連銀ウィリアムズ総裁、ウォラーFRB理事の講演が予定されています。ウォラー理事は早期利下げを支持する姿勢を明確にしていますが、残り2名は7月FOMC直前に利下げに慎重な姿勢を示していました。その後の景気動向を踏まえた政策判断の変化の有無が注目されます。 経済指標では25日(月)の7月新築住宅販売件数、29日(金)の7月個人消費支出・所得統計が注目されます。特にFRBは食品・エネルギーを除いたコア個人消費支出デフレーターをインフレ指標に位置付けているため、関税の影響の有無が注目を集めそうです。 日本では28日(木)に中川日銀審議委員の講演が予定されているほか、29日(金)には8月東京都区部消費者物価指数、7月鉱工業生産が発表されます。7月の貿易統計は関税の影響が自動車・同部品を中心に及んでいることを示唆する結果だったことから、生産実績に加え、業種ごとの生産計画が注目されます。 欧州では28日(木)に7月ECB金融政策理事会の議事要旨が公表されます。ECBは2024年6月以降、累計8回の利下げを講じてきましたが、25年7月には利下げを見送り様子見姿勢に転じています。利下げ再開の条件等が示唆されるかが注目点です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月22日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/16 07:00
【来週の予定】ジャクソンホール会議、金融政策の行方を占う夏の風物詩
来週の注目点:ジャクソンホール会議 足元の日米株の好調の背景には、堅調な企業業績や、FRBの早期利下げ期待があります。米国の7月雇用統計や7月消費者物価指数(CPI)などの結果を踏まえ、市場ではFRBが9月FOMCで利下げに踏み切るとの観測が強まっています。0.25%ポイントの利下げはほぼ織り込み済みで、0.50%ポイント利下げの可能性も浮上しています。足元でベッセント米財務長官が「9月FOMCで0.50%ポイントの利下げが可能」、「日銀は後手に回っており、利上げするだろう」などと発言していることも、材料視されている模様です。日米金利差の縮小観測が強まる場合には、円高米ドル安圧力が強まることが見込まれるため、注意が必要です。 米国の金融政策を占う上では、20日(水)の7月FOMC議事要旨、21日(木)~23日(土)に開催されるジャクソンホール会議に注目です。例年通りであれば、初日に各セッションの詳細を含むアジェンダの公表とレセプション、2日目の22日(金)の冒頭にパウエルFRB議長の講演が行われます。2024年には雇用の軟調を受けてパウエルFRB議長が24年9月会合での利下げを示唆しました。今回はいかなる姿勢を示すのかが最大の焦点となります。 米国の経済指標では、19日(火)に7月住宅着工・建設許可件数、21日(木)に週間新規失業保険申請件数、8月S&PグローバルPMI速報値、7月中古住宅販売件数などが発表されます。 日本では、20日(水)に7月貿易統計、6月機械受注と7-9月期見通し、21日(木)に8月S&Pグローバル日本PMI速報値、22日(金)に7月全国消費者物価指数(CPI)が発表されます。7月貿易統計では、トランプ関税の悪影響が自動車以外の輸出品目に拡大した可能性があります。7月CPIでは、米やエネルギー価格の減速に伴い、コア指数が減速したと野村證券では予想します。 ユーロ圏では、21日(木)にユーロ圏及びドイツの8月HCOB PMI速報値が発表されます。米国の関税引き上げを受けてドイツなどの景況感が悪化している可能性があります。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月15日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/09 07:00
【来週の予定】7月雇用統計の結果を受けて、米金融政策に変化は生じるのか?
来週の注目点:FRB高官発言、米中関税協議、日本のGDP統計 米国ではホワイトハウスへの権力一極集中への懸念が高まっています。8月1日に発表された米国の7月雇用統計は過去2ヶ月分が26万人近く下方修正され、直近3ヶ月平均で雇用者数が3.5万人程度しか増えていないというショッキングな結果でした。同統計発表後、トランプ大統領は労働省労働統計局のマッケンターファー局長を解任しました。また、FRBではクーグラー理事が突然辞任しました。ベッセント財務長官は6月30日、同氏の後任に将来的にFRB議長に昇格させる人物を指名する案があると述べています。後任候補は大統領が指名し、上院で承認されます。財務長官が言及した案が実現すれば、パウエルFRB議長は26年5月の任期満了を待たずにレイムダック化するとの見方から、早期利下げ観測につながる可能性が高まりそうです。 米国では今週も複数のFRB高官の講演が予定されています。7月雇用統計の結果を受けて、政策姿勢の変化の有無が注目されます。また、11日(月)には中国に対する相互関税の上乗せ分の猶予期限を迎えます。米中閣僚級協議ではトランプ大統領が承認すれば90日間再延長することで合意ができているようです。 経済指標では12日(火)に7月消費者物価指数、14日(木)に7月生産者物価指数、15日(金)に7月小売売上高や8月ミシガン大学消費者マインド速報値など、金融政策への影響が大きく、関税の影響を確認するうえでも注目度の高い指標が発表されます。 日本では15日(金)に4-6月期の実質GDP1次速報値が発表されます。2四半期連続のマイナス成長は回避される見通しです。 中国では15日(金)に7月小売売上高、7月鉱工業生産、1-7月固定資産投資・不動産投資が発表されます。野村證券では、中国経済は25年末にかけて減速感を強めていく可能性が高いと予想しています。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月8日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/02 07:00
【来週の予定】金融政策の見極めには丁寧な経済指標の確認が必要
来週の注目点:日米中の企業景況感、米中の貿易統計 前週は各国で金融政策会合が開催される中銀ウィークでした。7月FOMCでは、事前予想通り政策金利が据え置かれました。関税は今後数ヶ月、インフレ圧力となる可能性が高く、労働市場に明確な悪化の兆候がない限り、しばらく政策当局は利下げに慎重なスタンスを続けると野村證券では予想します。また、パウエルFRB議長が政策の方向性はデータ次第との認識を改めて示す中、今後も丁寧に経済指標を確認していく必要がありそうです。米国では、5日(火)に6月貿易統計、7月ISMサービス業景気指数が発表されます。関税発動前の在庫を積み増す動きが落ち着き、財の輸入が落ち込んだと野村證券では予想します。 他方、前週の日銀金融政策決定会合では、政策金利を据え置いた上で、物価見通しを上方修正し、利上げ姿勢を継続しました。今後の日銀の金融政策を占う上では、5日(火)発表の6月日銀金融政策決定会合議事要旨、8日(金)発表の7月日銀金融政策決定会合における主な意見が参考になります。 日本の経済指標では、6日(水)に6月毎月勤労統計が発表されます。一般労働者の所定内給与(基本給等)や、夏季賞与の上昇率に注目です。また、8日(金)発表の7月景気ウォッチャー調査は、日米の関税交渉合意後の7月25日から31日に調査されたことから、合意が企業の景況感や生産計画に与えた影響に注目が集まります。 中国では、5日(火)に7月S&P Global中国・サービス業PMI、7日(木)に7月貿易統計が発表されます。米中の関税一時停止期限の8月を前に行われた輸出の前倒しが失速する可能性があります。また、7月から政府が実施している過度な価格競争を抑制する規制強化が生産を下押しした可能性があります。さらに、公務員等に対して5月から実施している豪華な宴会等を禁止する「倹約令」が消費を下押したと見られます。景気の下押し材料が増えつつあり、足元の企業景況感の悪化が懸念されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月1日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/26 07:00
【来週の予定】中銀ウィーク突入、関税交渉の行方にも注目
来週の注目点:米国の関税協議、日米の金融政策会合 トランプ大統領は各国・地域と関税交渉を継続していますが、8月1日に相互関税の上乗せ分を復活させる意向です。日本との間では7月22日(現地時間)に、相互関税を15%とすることで合意したことが明らかになりました。今後はEUや中国との交渉の行方が注目されます。特に中国との間では、中国によるレアアース輸出制限の緩和に絡んで、半導体等の対中輸出規制の緩和や、米中首脳会談開催に向けた動きが見受けられることから、事態が急展開する可能性もありそうです。 今週は各国で金融政策会合が開催される中銀ウィークです。米国では29日(火)~30日(水)にFOMCが開催されます。金融政策は据え置きが予想されます。FRBの様子見姿勢に対して政府高官から批判が相次ぐ中で、パウエル議長の政策スタンスに変化がみられるか、が注目されます。経済指標では、29日(火)に6月雇用動態調査(JOLTS)、30日(水)に4-6月期実質GDP速報値、31日(木)に4-6月期雇用コスト指数、6月個人消費支出・所得統計、8月1日(金)に7月雇用統計、7月ISM製造業景気指数と重要統計が相次いで発表されます。 日本では30日(水)~31日(木)に日銀の金融政策決定会合が開催されます。日本でも金融政策は据え置きが予想されます。市場では、同時に公表する「展望レポート」で日銀はコアインフレ見通しを上方修正し、利上げに前向きな姿勢を示すとの見方が高まっています。31日(木)の6月鉱工業生産、1日(金)の7月国内新車販売台数なども、景気の先行きを予想する観点から注目を集めそうです。 30日(水)にはユーロ圏、ドイツで4-6月期実質GDP速報値が公表されるほか、30日(水)にカナダとブラジル、31日(木)に南アフリカで金融政策会合が開催されます。また、中国では例年8月初旬頃に北戴河会議が開催されます。協議内容は明らかにされませんが、党の重要方針、幹部人事などが話し合われます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年7月25日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/19 07:00
【来週の予定】参院選の結果、株式市場への影響に注目
来週の注目点:参議院議員選挙、主要国の企業景況感 7月20日(日)は、いよいよ参議院議員選挙の投開票日です。足元の報道によれば、自民党と公明党の連立与党が大幅に議席を減らす公算です。野村證券では、連立与党が過半数を維持した場合には25年度の現金給付、過半数割れの場合には25年度の現金給付と26年度の消費税減税が実施されると見ています。これらは一時的な景気押し上げ効果が期待できる一方、基調的な経済成長率及び物価上昇率を押し上げる効果は期待しにくいでしょう。仮に連立与党が大幅な過半数割れとなった場合には、政策の不透明感が高まり、株式市場が不安定となる可能性があります。また、拡張的な財政が継続するとの見方が強まった場合には、長期金利が一段と上昇するリスクには注意が必要です。 日本の経済指標は24日(木)に7月S&Pグローバル日本PMI速報値が発表されます。トランプ関税の影響が懸念されます。また、25日(金)に7月東京都区部消費者物価指数が発表されます。コアCPIは前年同月比+2.9%と、前月の同+3.1%から減速すると野村證券では予想します。米価格の下落に伴う食料価格の上昇一服が一因です。 米国では、7月29日(火)~30日(水)のFOMCを控え、 FRBは19日(土)から金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入ります。そのため、市場の注目は足元の経済指標に移ると見られます。23日(水)に6月中古住宅販売件数、24日(木)に7月S&Pグローバル米国PMI速報値、6月新築住宅販売件数、25日(金)に6月耐久財受注などの経済指標が発表されます。 ユーロ圏では、24日(木)にECBが金融政策理事会を開催します。今会合では政策金利が据え置かれ、9月、12月に追加利下げを実施すると野村證券では予想します。また、24日(木)にユーロ圏及びドイツの7月HCOB PMI速報値、25日(金)にドイツの7月Ifo企業景況感指数が発表されます。積極的な財政政策への転換や、ECBによるこれまでの利下げが景況感を押し上げると見ています。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年7月18日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/12 07:00
【来週の予定】政策の迷走が続く中、ハードデータの重要性が一層高まる
来週の注目点:FRB高官発言、米国のハードデータ、日本の参院選 米国では7月4日に「OBBB(一つの大きく美しい法案)」が成立し、第1次トランプ政権で導入された減税の延長や連邦政府債務上限の引き上げが決定しました。9日には相互関税の上乗せ分の停止期限を迎え、トランプ大統領は日本を含む22ヶ国(9日時点)に対して、8月1日に上乗せ関税の発動を通告しています。 FRBは7月29~30日にFOMCを控え、今週末から金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入るため、7月FOMC前にFRB高官の発言を確認できる最後の機会になります。6月FOMC議事要旨によると、7月FOMCでの利下げに言及したのは19名中2名に過ぎませんでしたが、トランプ大統領からの利下げ圧力が高まっていることから注意が必要です。 経済指標では15日(火)に6月消費者物価指数、16日(水)に6月生産者物価指数と6月鉱工業生産、17日(木)に6月小売売上高、18日(金)に6月住宅着工・建設許可件数と実際の経済活動を示すハードデータが相次いで発表されます。政策の影響をいち早く把握するためサーベイ調査に関心が集まってきましたが、政策が二転三転していることから、これらハードデータの重要性が増しています。 日本では14日(月)の5月機械受注、17日(木)の6月貿易統計、18日(金)の6月全国消費者物価指数に加えて、20日(日)の参議院選挙の結果が注目されます。与党が参院でも過半数を割り込む結果になれば、米国との通商交渉の遅れや財政拡張に対する市場の懸念が高まるリスクがあります。 15日(火)には中国で4-6月期実質GDP、6月小売売上高、6月鉱工業生産、1-6月固定資産投資と、重要統計が相次いで発表されます。中国経済に底入れ感が確認できるかが注目ポイントです。 17日(木)には南アフリカでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。トランプ関税に対する各国・地域の政策当局者によるコメントが注目されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年7月11日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/05 07:00
【来週の予定】米相互関税の上乗せ分、一時停止期限が9日に迫る
来週の注目点:相互関税の帰趨 米国株(S&P500、ナスダック総合)は史上最高値の更新が続いています。短期的な過熱感が意識される中でも米国株の押し上げ材料となったのは、FRBによる早期利下げ再開観測と、関税政策を巡る通商交渉の進展期待です。 市場で織り込みが進む7月及び9月FOMCでの利下げが妥当か、今後発表される経済指標やFRB高官の発言を踏まえて判断されるでしょう。米国では9日(水)に6月FOMC議事要旨が発表され、10日(木)にサンフランシスコ連銀のデイリー総裁等の講演が予定されています。関税に起因するインフレへの影響が少なく、雇用統計で顕著な労働市場の減速が確認されればFRBが早期利下げに向かう可能性もあります。ただ、3日(木)発表の6月雇用統計の内容は予想外に強く、そのハードルは高いと野村證券では見ています。 また、9日(水)には相互関税の上乗せ分発動の猶予期限を迎えます。足元ではトランプ大統領がベトナムと20%の輸入関税で合意したと発表したことが通商交渉の進展期待を高めています。日米の交渉については、参院選(7月20日)前に日本側が自動車などの分野で踏み込んだ譲歩を示すことは難しいとみられ、本格化するのは参院選後となる可能性があります。しばらくは、関税を巡る不透明感が日本株の上値を抑える可能性があります。 日本の経済指標では、7日(月)に5月毎月勤労統計が発表されます。注目は、現金給与総額(1人当たり名目賃金)の伸びが実質ベースでプラスに転じるかと、一般労働者の所定内給与(基本給)の増加率です。8日(火)発表の6月景気ウォッチャー調査では、トランプ関税が輸出産業の景気判断に与える影響について確認したいと思います。10日(木)発表の日銀支店長会議・「地域経済報告(さくらレポート)」では、トランプ関税による影響を企業がどのように評価し、対処しているかに注目です。 豪州では、8日(火)に金融政策会合が開催されます。インフレの鈍化や、世界的に不確実性が高い状況が続いていることを受けて、今会合で利下げが実施される可能性が高まっており、追加利下げは25年に計3回と野村證券では予想します。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年7月4日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/28 07:00
【来週の予定】米連邦予算案と相互関税問題、金融市場に緊張感続くか
来週の注目点:米連邦予算案、FRBの政策姿勢、米国の重要統計 トランプ大統領は6月23日(米国時間)、イランとイスラエルの停戦合意に達したことをSNSに投稿しました。これを受け、中東情勢の泥沼化による世界経済や株価に対する懸念は一旦後退しています。 トランプ政権は7月4日(金)までに個人所得税減税の延長や連邦政府の債務上限引き上げを含む2026年度(25年10月~26年9月)連邦政府予算案を成立させたい意向です。また、9日(水)には相互関税の上乗せ分の停止期限を迎えます。いずれも注目度の高いイベントであるため、神経質な相場状況が続きそうです。 6月30日(~7月2日)からポルトガルでECB年次フォーラムが開催され、1日(火)には主要中銀の総裁が登壇します。トランプ政権の関税政策や地政学リスクなど、先行きの不確実性が高まる中でどのようなメッセージを発信するのかが注目されます。 米国では今週も複数のFRB高官の講演が予定されています。先行して利下げに言及してきたウォラーFRB理事に続いて、前週はサンフランシスコ連銀のデイリー総裁も今秋ごろの利下げの可能性に言及しました。パウエルFRB議長も半期議会証言での質疑で「インフレ圧力が本当に抑制されたままだということになれば、早めに利下げに踏み切ることになろう」と発言するなど、FRB内の金融政策議論に変化の兆しが見受けられるため注目されます。 米国の経済指標は、1日(火)に6月ISM製造業景気指数、5月雇用動態調査(JOLTS)、2日(水)に6月ADP全米雇用レポート、3日(木)に6月雇用統計、6月ISMサービス業景気指数と重要統計の発表が予定されています。4日(金)は独立記念日のため雇用統計の発表は1日前倒しされ、金融市場は休場です。 日本では30日(月)に5月鉱工業生産、1日(火)に日銀短観(6月調査)と景気動向を予想する上で最重要な経済指標が相次いで発表されます。短観では企業の設備投資に対する積極姿勢に変化がないかが注目されます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年6月27日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点