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08/26 16:16
【野村の夕解説】日経平均株価反落 金融政策の違い意識され円高進行 (8/26)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 先週23日(金)にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が次回FOMCでの利下げを強く示唆し、金融緩和を進める日本との金融政策の方向性の違いが改めて意識されました。また本日朝方に、中東情勢の悪化を懸念したリスク回避の動きもみられました。外国為替市場では9時台に1米ドル=143円台前半となり、約3週間ぶりの円高・米ドル安の水準となりました。本日の日経平均株価は前週末比207円安の38,156円で始まり、9時台には一時前週末比538円安の37,825円となりました。一服後は下げ幅を縮めたものの、輸出関連企業の下落が重石となり38,000円を挟み一進一退の動きが続きました。業種別では、円高進行により輸入コストが下がり業績拡大に繋がるとされる内需関連の銘柄群が上昇し、日経平均株価を下支えしました。大引けは前週末比254円安の38,110円と3営業日ぶり反落となり本日の取引を終えました。東証プライムの売買代金は約3.3兆円と、5営業日連続で4兆円を下回る薄商いが続いています。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 日本では30日(金)に7月鉱工業生産が発表され、景気の一致指標として注目されます。生産回復が思わしくない結果になれば、市場の景気回復期待に水を差すリスクがあります。また、米国で28日(水)にエヌビディア、セールスフォース、クラウドストライク・ホールディングスの決算発表があります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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08/26 08:33
【野村の朝解説】パウエル議長講演を受け米国株大幅上昇(8/26)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 23日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演はハト派的な内容でした。講演で「金融政策について、調整する時が来た」と発言するなど次回9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うことが強く示唆されました。講演を受け低下した米国長期金利を追い風に米株主要3指数は揃って大幅に上昇し、終値ベースでNYダウは7月17日に付けた史上最高値まであと0.06%、S&P500指数は7月16日に付けた史上最高値まであと0.58%に迫りました。 相場の注目点 25日にイスラエル北部のレバノンにあるイスラム教シーア派組織ヒズボラは、イスラエルに大規模な攻撃を開始したと発表しました。イスラエル軍は、この攻撃に先立ち、脅威を排除するとしてレバノンに激しい空爆を実施しています。中東情勢の緊迫で原油供給が滞るとの思惑から、日本時間26日早朝の取引でニューヨーク原油先物相場でWTI原油価格は、一時1バレル75.40ドルまで上げ幅を拡大しています。米国株上昇の流れを受けながらも、米長期金利低下を受けて143円台へと進行する米ドル安円高や原油高といった悪材料も浮上し、東京株式市場は強弱感が拮抗する展開となりそうです。 本日のイベント 本日、ドイツでは8月Ifo企業景況感指数、米国では7月耐久財受注が発表されます。 (投資情報部 神谷 和男) (注)データは日本時間2024年8月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/25 12:00
【9月の投資戦略】時間の経過とともに、企業業績の強さが改めて見直されるだろう
目次・時間の経過とともにボラティリティーは低下へ・米国ではインフレより景気へ配慮・米国企業業績の二桁増益への見通しは不変・ユーロ圏は9月に利下げし、中国の景気減速は続く見通し・日銀は時間をかけて市場が落ち着きを取り戻してから追加利上げを検討・株価調整もファンダメンタルズは変わらず割高感が低下 時間の経過とともにボラティリティーは低下へ 2024年7月中旬以降、主要国の株価は大きく下落しました。株価下落と市場参加者のリスク回避姿勢が、スパイラル的に極端な下落を引き起こしたものの、日米の経済指標や企業業績の悪化は限定的です。時間の経過とともに、高水準のボラティリティー(変動率)は低下してゆき、市場は落ち着きを取り戻すとみられ、実体経済や企業業績などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿った株価に回帰するとみられます。 米国ではインフレより景気へ配慮 主要国・地域の景況感は、製造業と比べて非製造業は比較的良好です。米国では、雇用情勢の緩和が進む中で、景気悪化懸念がみられます。しかし、家計の一部債務の延滞率は上昇するものの、金融機関への信用リスクは高まっておらず、消費関連の統計も巡航速度の拡大が続いています。インフレ率は鈍化しており、景気への配慮に対する優先順位が高まっています。 米国企業業績の二桁増益への見通しは不変 パウエルFRB議長は、9月のFOMCでの利下げを示唆しました。金融市場は、年内は9月のFOMCから連続利下げが行われるとみているようです。米国決算発表で、2024年4-6月期は事前の市場予想からの上振れが幅広く見られ、2024年終盤以降の二桁増益への業績加速見通しは崩れていません。少なくとも、名目GDP成長率の拡大が続き、利下げが行われる局面で、企業業績が減益に陥るリスクは小さく、株価の復調は続くとみられます。米国大統領選挙は、ハリス副大統領が民主党の候補者となり、支持率は上昇しています。 ユーロ圏は9月に利下げし、中国の景気減速は続く見通し ユーロ圏は、景気の回復力が欠ける中で、9月のECB理事会で追加利下げが行われるとみられます。中国では景気減速懸念が続く中で、政府の景気浮揚策は具体性に乏しい状況が続きます。中国の景気減速はしばらく続くとみられます。 日銀は時間をかけて市場が落ち着きを取り戻してから追加利上げを検討 日本では、製造業の在庫循環が改善に向かう中で、賃金上昇が景気を下支えするとみられます。日本銀行による7月末の追加利上げと、植田総裁の更なる利上げを否定しない姿勢が、急激な円高と株価調整の要因の一つとなりました。直後に内田副総裁が、金融資本市場が不安定な状況での利上げを否定しましたが、市場が落ち着きを取り戻し、経済・物価の見通しが実現してゆくならば、それに応じて追加利上げが行われるとみられます。一方、米ドル円相場は、米国の利下げがどこまで織り込まれたのかにも拠りますが、米国が利下げ局面に向かう中では、米日金利差の縮小により円安には戻りにくくなる可能性があります。 株価調整もファンダメンタルズは変わらず割高感が低下 自民党総裁選に向けた動きが開始しています。総裁選挙後の新政権と自民党の支持率の回復によっては、直後に衆議院解散による総選挙の可能性もあります。2024年4-6月期の企業決算を受けて、2024年度通期の業績は上方修正が優勢です。株価の下落により、バリュエーション(株価に基づく企業価値評価)の割高感は大きく低下しています。野村證券は、2024年末の日経平均株価のレンジ上限を40,500円と予想します。 投資戦略については、短期的な調整局面があったとしても、基本観として、日米株式市場は企業業績の拡大に沿って推移するとの見方は不変です。時間の経過とともに、ボラティリティー(変動率)も低下し、企業業績の強さが改めて見直されることで、極端に低下した予想PER(株価収益率)も修正されながら、株価は復調するとみられます。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 9月号」(発行日:2024年8月19日)「投資戦略の概要」より※掲載している画像はイメージです。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点
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08/25 09:00
【動画 3分チャート塾】シーズンⅠ:第1回 ローソク足は3つのパーツで構成
「動画 3分チャート塾」は、株価チャートの見方を学びたい初心者から中級者の方向けの動画シリーズです。 シーズンⅠ「意外と知らないローソク足」初回の今回は、ローソク足の基本的な構造について説明しています。 シーズン I:意外と知らないローソク足(全8回)ローソク足の基本の読み方や中長期的な相場の捉え方などについてわかりやすく解説していきます。シーズンII:相場の見方の強い味方、移動平均線(全9回)移動平均線の基礎や活用法についてわかりやすく解説していきます。シーズンIII:上値、下値のメドを探ろう(全10回)上値、下値メドの探り方についてわかりやすく解説していきます。シーズンIV:相場の過熱感を測るには?(全9回)オシレーター系指標についてわかりやすく解説していきます。シーズンV:トレンドラインを引いてみよう(全9回)トレンドラインについてわかりやすく解説していきます。 ご投資にあたっての注意点
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08/24 19:00
【来週の米国株】天下分け目のエヌビディア決算発表、事前の確認ポイントは(8/24)
※執筆時点 日本時間23日(金)12:00 今週:重要イベント待ちで様子見ムード ※8月16日(金)-8月23日(木)4営業日の騰落 経済指標はまちまち 今週の米国株主要3指標は、総じて小動きでした。住宅関連のデータでは、中古住宅販売件数が市場予想を上回った一方で、ホームセンター大手のロウズ(LOW)決算はホーム・デポ(HD)に続き売上高で市場予想を下回りました。注目されたS&PグローバルPMI速報値では、製造業PMIが市場予想を下回った一方で、サービス業PMIは市場予想を上回りました。各指標が強弱まちまちで、株価は一進一退でした。 市場の期待とパウエル講演にギャップはないか 23日(金)のジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長講演(執筆時点は講演前)と、28日(水)のエヌビディア(NVDA)決算発表を前に、市場参加者は様子見姿勢を続けていると考えられます。先物市場では、執筆時点で年内合計約1%ポイントの利下げが織り込まれています。年内のFOMCは計3回(9月・11月・12月)であるため、今の先物市場は「全てのFOMCで利下げが行われ、かつそのうち1回では利下げ幅が0.50%ポイントとなると示唆している」ことを意味します(金融政策の変更は、通常0.25%ポイント幅で行われることが多い)。ジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長がこうした市場の織り込みをけん制するのか、追認するのかによって株価の反応は分かれそうです。 来週:エヌビディア決算発表 米国株の先行きを決めうるエヌビディア決算 来週の注目点は、28日(水)の米国市場引け後(日本では29日(木)の朝5時すぎ)に発表が予定されているエヌビディアの2024年5-7月期(2025年1月期第2四半期)です。当社の株価は、2024年末の株価(49.52ドル)から約2.5倍(21日(木)時点の株価は123.74ドル)になっていますが、6月の高値(140.76ドル)から13%低い水準です。当社の決算内容は、米国株全体へのセンチメントにも影響するため市場が注視しています。 エヌビディアの事業構成 (注)所在地別の中国は香港を含む。用途別はセグメント間調整後。 (出所)会社資料より野村證券投資情報部作成 当社はロジック(演算)半導体の一つであるGPU(画像処理半導体)が主力製品です。もともとはデータ処理負荷の高いゲーム画像表示のために作られた製品でしたが、その高い処理能力が多用途に展開され、足元では生成AI向けの需要が急激に高まり注目されています。 事業は地域別では米国向け(約4割)、用途別ではデータセンター向け(約8割)が中心になっています(2024年1月期通期ベース)。半導体業界では先端半導体の輸出規制で中国向けの先行き鈍化が懸念されていますが、前回決算である2024年2-4月期には中国(香港を含む)向けの売上高比率は10%未満となっており、相対的な影響は低下しています。 前回(2-4月期)決算は概ね好調 エヌビディアの前回(2024年2-4月期)決算は、一部の部門で市場予想を下回ったものの、主力のデータセンター部門では市場予想を上回り、売上高・EPS(一株当たり利益)、5-7月期の売上高会社見通しなど主たる項目が市場予想を上回りました。また、計算効率が高く省電力の最新プラットフォーム「ブラックウェル」を利用した新製品に対する顧客の需要は高く、需要が供給を上回る状況は少なくとも来年まで継続するとコメントしました。 足元のテックセクター動向 エヌビディアの今回の決算(5-7月期決算)は多くの米国企業より1ヶ月遅いタイミングでの決算期となるため、4-6月期決算を既に発表し終えたテクノロジーセクターの動向も参考になります。テクノロジーセクター全体では、前四半期に続きスマホやデータセンターの回復が堅調な一方で、車載・産業機械は低迷が続き格差が広がりました。データセンター関連の需要は高く、半導体だけでなく電力や重電、電子部品や電線などへ好影響が波及していることも確認されました。 個別企業も概ね「データセンター好調」を示唆 個別企業では、世界の半導体メーカーから製造を受託する台湾のTSMC(米国上場のADR(米国預託証券)のティッカーコードはTSM)の会社見通しが注目されました。当社による24年の半導体市場見通し(除くメモリー)は前年比10%増で不変でしたが、同社の売上見通しは「20%台前半~半ば」から「20%台半ば強」に上方修正されました。引き続きAI関連の需要が牽引しており需給バランスがタイトであると想定されます。 GPUの新製品の立ち上げ遅れ等も指摘されていますが、有力IT企業の設備投資計画のレンジも引き上げられ、2025年以降のAI向け先端ロジックの需要は極めて強いと見られます。ハイパースケーラー5社(アルファベット(GOOGL)、アップル(AAPL)、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT))の4-6月期の設備投資は前年同期比+55%と強く、2024年後半も投資水準を維持ないし、さらに増加させる方針が示されています。 車載・産機関連は全体として回復が遅れる傾向がありますが、企業間格差も大きい状況です。NXPセミコンダクターズ(NXPI)のように在庫を適正水準以下で維持している企業は緩やかな在庫積み増し局面に入っている一方で、マイクロチップ・テクノロジー(MCHP)は依然として在庫調整が続いており回復はやや遅れる傾向にあります。 エヌビディア決算の注目点 足元の状況を踏まえれば、エヌビディアの5-7月期決算は2-4月期決算の傾向(データセンターが強く、自動車向けなどは伸び悩む)の継続が想定されます。個別企業の株価としては、既に株式市場の期待値は高まっているため、好調な業績が確認されても利益確定の売りなどに押されて下落することも想定されます。 但し、個別株価の動向以上に重要なことはエヌビディアの決算内容によって生成AIがけん引してきた米国株全体の見方が転換しうるということです。当社の地域別やカテゴリ別の動向、ブラックウェルなどの最新半導体の出荷状況や販売の状況についての経営陣からのコメントなど、決算内容を精査することが今後の米国株投資に活かされると考えます。29日(木)朝にはNOMURAアプリでも当社決算の速報を予定しており、ぜひ米国株投資全体のご参考にしていただければ幸いです。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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08/24 12:00
【注目トピック】円高反転の日本企業業績への影響は最小限に留まる
※画像はイメージです。 日本:2024年4-6月期決算レビュー 2024年4-6月期決算の着地動向 2024年4-6月期決算が概ね出揃いました。ラッセル野村Large Cap(除く金融)の増収率は、事前コンセンサス予想の前年同期比+3.8%を上回る同+7.4%、営業増益率は事前コンセンサス予想の同+6.7%を上回る同+16.3%となっています。個別レベルでも事前コンセンサス予想を上回る実績となった企業の割合は70%前後と、過去平均の50%台半ばを大きく上回っています。 4-6月期実績が、事前コンセンサス予想を上回ることになった原動力としてまず指摘できるのは円安の進展です。当初、企業側およびアナリストの多くが予想前提を145円/米ドルとしていましたが、実際には、10円/米ドル以上の円安となり、4%以上の営業利益押し上げ要因となったとみられます。 その他にも、不振を極めていた中国において、電子材料や電子部品といった生産財の一部で底打ちの動きが出始めたことも上振れの要因となりました。また、電子材料や電子部品などでは、生成AIへの投資に関連する需要の増加も多くの企業で顕在化しました。 また、ここ数四半期目立ち始めた、非製造業・内需系業種の多くで、コスト増分の製品・サービス価格への転嫁が、4-6月期にも順調に進んだことが確認されています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年1-3月期までは実績値、2024年4-6月期は、2024年8月16日までに四半期決算を公表した企業のみを集計している。(注3)2022年1-3月期以降はソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)野村證券投資情報部作成 利益面で比較的高い進捗率 2024年4-6月期実績が事前予想を上回ったことを受け、通期/半期予想の上方修正も期待されます。ただ、通期業績に対する進捗率は、経常利益や税引利益では、第1四半期の進捗率が過去平均に比較してやや高め、逆に第2四半期は著しく低めとなっています。 円高進展などにより業績懸念が一時広がりましたが、それを勘案しても第2四半期の(予想される)進捗率は不自然です。中間決算発表時には上期業績が上振れ、押し出される形で通期業績が上方修正される展開も想定できるでしょう。 (注1)通期業績に対する、各四半期業績の構成比(進捗率)。(注2)過去平均は2014~2023年度の中央値。2024年度は、2024年8月16日までに決算発表をした企業を集計している。2024年度第2四半期は、2024年度上期野村予想から第1四半期実績を除いたもの。2024年度3~4四半期は、通期野村予想から上期予想を除いたもの。野村予想は、2024年8月16日時点のもの。(出所)野村證券投資情報部作成 為替前提に大きな変化はなかった 会社側の2024年度為替前提は、2024年5月末時点で中央値が145円/米ドルでした。その後、円安が進行したため、6月月初以降に新たに発表された前提は145円/米ドル超の割合が若干上昇していますが、全体としては145円/米ドルが中央値であることには変わりがありません。 なお、150円/米ドル超という全産業平均に比べてかなり円安気味の為替前提を公表している企業群の中では、電力、食品、紙パルプ、非鉄などの業種に属する企業が過半を占めています。これらの業種は原材料を輸入し、製品・サービスの多くを国内で提供しています。一見、楽観的に映る為替前提ですが、これらの業種に属する企業にとっては、逆に保守的な為替前提となっていると考えられます。 2024年7月以降、円高米ドル安が急速に進行しましたが、為替前提のズレが会社側の業績見通しの下方修正要因となるリスクは小さいと見られます。 (注1)全上場企業(1/2/3月決算企業)の2024年度の為替(米ドル円レート)前提の分布状況。(注2)①濃灰色は2024年5月末時点の分布、②淡灰色は6月月初~現在(2024年8月9日)の間に公表された前提の分布、③赤色は2024年8月9日時点の分布。(出所)野村證券投資情報部作成 会社見通しはほぼ不変 2024年4-6月期決算は多くの企業で事前予想を上回って着地しましたが、過去を振り返ってみても期末まで3四半期を残すこの時期に、通期の業績見通しを変更する企業は少数にとどまっています。 2024年度もその例外ではなく、期初の見通しを変更した企業の構成比は7月末時点で4.6%、8月16日時点で8.7%に留まり、過去平均をわずかに下回る推移となっています。なお、少数ながら見通しを修正した企業のうち、上方修正であった企業の構成比は74%で、4社に3社の割合で上方修正が優勢な状況です。 円高の進行や、中国・米国経済への懸念などから株式市場は不安定な状態が続いていますが、企業業績は期初時点の保守的な会社見通し、およびアナリスト予想が温存された状況です。 (注1)上段は、ラッセル野村Large Capの野村予想および会社見通しによる経常増益率。前回は2024年6月3日、今回は2024年8月16日。(注2)下段は、期初(6月)からの東証プライム市場構成企業(2~3月決算企業)の会社側経常利益見通しの修正動向(累計)。赤色の線は2012~2023年度の平均値。期中に複数回見通しを変更する企業が存在するため、累計社数構成比が100%を超えることがある。2024年度8月の値は8月16日時点。(出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
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08/24 09:00
【オピニオン】米利下げ局面移行時の米国株の動向
※画像はイメージです。 足元の市場は9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを完全に織り込み、これを契機にFRB(米連邦準備理事会)は利下げ局面へと移行するとの見方が広く浸透しています。 2023年夏場以降の米金融市場は、長期金利と株価が反対方向に動く「金融相場」の様相を呈してきました。24年入り後は業績改善期待から株価と長期金利がともに上昇する場面もありましたが、米10年国債利回りが4%台後半まで上昇すると、株価が調整を余儀なくされるなど、金利上昇への懸念は残存しています。 このため、米国が利下げ局面へと移行するとの見方は、米国株にとっては朗報だと言えます。それにもかかわらず、8月初旬に株価が大きく下落した背景には、市場参加者の間で「利下げは良いニュース」ながら、「利下げに転じる経済状況」への懸念があることを示唆しています。 ここで、1990年以降の5回の利下げ局面入り前後の米国株の動向を改めて確認してみましょう。ただし、2020年のコロナ禍に伴う2回の利下げは例外として除きます。結論を先取りすれば、景気が底堅い中でインフレ鎮静化(図表の①の利下げ局面)や株価の不安定化(同⑤)、あるいは海外での経済ショック(同②)等に起因して行われた「予防的利下げ」においては、利下げ局面入り前後に米国株が大幅に調整した経験はありません。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)データは日次で、直近値は2024年8月21日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標(レンジの上限)。○数字は利下げ局面で、うち赤字は景気後退と認定されたことを示す。⑤のケースではコロナ禍に見舞われた2020年以降は例外とし、2020年中に行われた2回の利下げは含まない。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 一方で、ITバブル崩壊(同➂)やサブプライムショック、世界金融危機(リーマンショック)(同④)など、米国を発端とした金融ショックに直面したケースでは株価が急落し、FRBは大規模な金融緩和を実施しました。また、5回の利下げ局面のうち景気後退に陥ったのは、米国発の金融ショックが生じた後者の2回(同➂と④)だけです。 現在のFRBの政策スタンスは95年7月以降の利下げ局面(同①)、あるいは2019年の利下げ局面(同⑤)に似ているのではないかと見られます。ケース①では、94年2月から1年余りの間に行った3%ポイントの利上げが奏功し、インフレが鎮静化したことを受け、景気が堅調な中で利下げを行いました。 ケース⑤は利上げを嫌気して株価が下落したことを受けて19年1月に利上げの打ち止めを宣言し、19年7月から3会合連続で「予防的利下げ」を実施しました。 足元の米国では金融不安から景気後退が懸念されている状況ではありません。多くのFRB高官はインフレ鎮静化を好感し、労働需要の鈍化をより重視する中で利下げを検討しています。過去の経験に基づく限り、このような状況下で深刻な株安が継続するリスクは小さいと考えられます。 ご投資にあたっての注意点
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08/24 07:00
【来週の予定】米経済統計で利上げの悪影響は顕在化するか
来週の注目点:米国の個人消費、日本の生産とドイツの実質GDP 最近のFRB(米連邦準備理事会)高官の発言からは、9月17日(火)~18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%ポイントの利下げ実施で意見が集約されつつある様子がうかがえます。このため、市場の関心は今後の利下げペースや政策金利の着地点へと移行することが予想されます。利下げペースに関してFRBは、インフレ動向よりも雇用統計など景気動向を重視すると考えられます。 米国では利上げの影響が家計マインドの悪化や住宅販売の不振として顕在化しています。このため、27日(火)の8月コンファレンスボード消費者信頼感指数、29日(木)の7月中古住宅販売仮契約、30日(金)の8月ミシガン大消費者マインド(確報値)などに加えて、同じく30日発表の7月個人消費支出・所得統計が市場の注目を集めそうです。FRBがインフレ指標として重視しているコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターの減速と同時に、消費下振れ懸念が高まるようならば、市場では9月FOMCで0.5%ポイントの利下げ観測が再燃する可能性もありそうです。 日本では金融政策の判断材料として30日(金)の8月東京都区部消費者物価指数、景気の一致指標として7月鉱工業生産が注目されます。6月の生産が前月比-4.2%(確報)と落ち込んだ一因は一部大手自動車メーカーの認証不正問題の影響でした。経済産業省の調査では自動車生産を含む輸送工業の生産計画は7月、8月とも前月比マイナスとなっています。自動車関連を除いても生産回復が思わしくない結果になれば、市場の景気回復期待に水を差すリスクがあります。 ユーロ圏では26日(月)のドイツの8月Ifo企業景況感指数と27日(火)の4-6月期実質GDP詳報、30日(金)のユーロ圏8月消費者物価指数が注目されます。ドイツの4-6月期実質GDP(速報値)は市場予想(前期比+0.1%)に反して同-0.1%と落ち込みました。詳報では各需要項目の内訳が確認できるため、今後の景気動向を予想する上で重要なヒントを得ることができます。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年8月23日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/23 16:06
【野村の夕解説】日経平均株価続伸、植田日銀総裁の発言に安心感(8/23)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比67円高の38,278円で始まりました。寄り付き後まもなく、植田日銀総裁による閉会中審査の国会答弁を控え、外国為替市場での波乱が警戒され下げに転じました。11時台には1米ドル=145.30円台と朝方からやや円高米ドル安に推移し、一時前日比157円安となりました。植田総裁は午後に参院財政金融委員会に出席し、「金融政策運営の考え方について、内田副総裁との間に違いはない」旨を説明したと報じられました。内田副総裁は、今月7日(水)に「金融市場が不安定な状況で利上げを行うことはない」と発言しており、総裁の方向性は副総裁と同じと確認されたことで市場参加者に安心感が広がりました。再び上げに転じ、一時上げ幅は前日比200円を超えました。その後は今晩米国で予定されているパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の講演の動向を見極めたいという姿勢から上昇は一服し、大引けは前日比153円高の38,364円となりました。東証プライム市場の売買代金は約3.4兆円と4営業日連続して4兆円を割り込む薄商いとなりました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエルFRB議長の講演が予定されています。また、28日(水)にエヌビディアの2024年5-7月期の決算発表が予定されており、市場関係者の注目が集まります。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点