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07/10 16:26
【野村の夕解説】日経平均株価は続伸、連日の史上最高値更新(7/10)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日に799円高と大幅上昇した反動から、本日の日経平均株価は前日比135円安の41,444円で寄り付きました。前日のパウエルFRB議長による米上院銀行委員会での議会証言が利下げ観測を強める内容とならなかったことで円安・米ドル高が進行し、日経平均株価は上昇に転じました。午前中に発表された中国の6月消費者物価指数(CPI)が前年同月比∔0.2%と前月の同∔0.3%から伸び率が低下したことから、中国の内需低迷が懸念され日経平均株価は午後に入って前日比で下落する場面があったものの、前日のS&P500指数やナスダック総合指数の史上最高値更新の流れを継いだ勢いは強く、再度上昇に転じ、前日比251円高の41,831円で本日の取引を終え、連日の史上最高値を更新となりました。個別銘柄では、前日に最大6,000億円の自社株買いを発表したリクルートホールディングスが前日比3.62%上昇しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日、パウエルFRB議長が下院での議会証言を行います。また、シカゴ連銀のグールズビー総裁の講演が予定されています。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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07/10 08:23
【野村の朝解説】S&P500は6連騰で最高値更新(7/10)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 9日の米国株式市場ではS&P500株価指数とナスダック総合指数が6営業日連続で上昇し、最高値を更新しました。ただし、欧州市場では主要国の株、国債ともに下落、米国でもNYダウが前日比小幅安で引けるなど、全体的に勢いに欠ける展開となりました。FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は、上院銀行委員会の公聴会で半期に一度の議会証言に臨み、年内に利下げを実施する意向を示したものの利下げに向けたタイムラインは示しませんでした。為替市場では米金利上昇を背景にドルが堅調に推移し、ドル円は一時161円台半ばまで円安ドル高が進行しました。 相場の注目点 米国の金融政策を巡っては、11日発表の6月CPI(消費者物価指数)が注目されます。ブルームバーグの調査では食品とエネルギーを除いたコアCPIの前月比上昇率は2ヶ月連続で+0.2%と予想されています。また、米国では大手金融機関を筆頭に2024年4-6月期の決算発表が本格化します。市場では利下げ観測を背景に金融機関の業績見通しが注目を集めると見られるほか、個人消費に陰りがみられることから、小売関連企業の売り上げ動向などへの関心が高まっています。 一方、日本では、日銀が国債の買い入れ減額に関して市場参加者の意見を確認する「債券市場参加者会合」の説明資料を公開し、注目を集めています。会合前に集めた参加者の意見を見ると、減額の幅やペースなど、具体策に関しては参加者の間で意見に相当な開きがあるようです。 本日のイベント 本日は下院でパウエル議長が証言を行うほか、グールズビー・シカゴ連銀総裁の講演が予定されています。 (投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2024年7月10日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/09 15:52
【野村の夕解説】日経平均株価、799円高の大幅反発で史上最高値更新(7/9)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は前日比172円高の40,953円と終値ベースの史上最高値を上回って取引を開始しました。前日の米国市場ではインフレ鈍化観測からFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ期待が高まり、S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数は連日の史上最高値更新となりました。米国株上昇の流れを引き継いだ日経平均株価は、寄り付き後も勢い衰えることなく、14時過ぎには一時前日比988円高まで上げ幅を広げました。引けにかけては高値警戒から上げ幅を縮めましたが、前日比799円高の41,580円と反発、史上最高値を更新して取引を終えました。 指数計算上、日経平均株価に大きな影響を及ぼす銘柄の上昇が目立ちました。東京エレクトロンが前日比+3.77%、ファーストリテイリングが同+3.21%、ソフトバンクグループは同+4.08% となり、3銘柄で日経平均株価を約357円押し上げました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 パウエルFRB議長の半期議会証言(7月9日上院、10日下院)が予定されています。利下げ時期のヒントになる発言の有無が注目されます。市場では7月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げは見送られ、利下げの開始時期は9月以降となることが有力視されています。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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07/09 09:30
【銘柄特集】2024年6月IPO銘柄のパフォーマンスと7月IPO銘柄の紹介
2024年6月のIPO銘柄のパフォーマンスと、今後のIPOの予定を紹介します。 6月IPO銘柄のパフォーマンス 6月5日 上場アストロスケールホールディングス(186A)市場区分:グロース市場事業内容:スペースデブリ除去や人工衛星寿命延長、点検・観測等の軌道上サービス事業 6月11日 上場D&Mカンパニー(189A)市場区分:グロース市場事業内容:医療機関等に対する経営サポート事業 6月14日 上場Chordia Therapeutics(190A)市場区分:グロース市場事業内容:RNA制御ストレスを標的とするがん治療薬の開発等 6月18日 上場インテグループ(192A)市場区分:グロース市場事業内容:M&A仲介業 6月19日 上場ライスカレー(195A)市場区分:グロース市場事業内容:自社のSNSデータ分析ツールを駆使した企業のマーケティング支援および自社のブランド販売事業 6月20日 上場PostPrime(198A)市場区分:グロース市場事業内容:PostPrimeの運営 6月20日 上場タウンズ(197A)市場区分:スタンダード事業内容:体外診断用医薬品、研究用試薬等の開発、製造及び販売事業 6月20日 上場WOLVES HAND(194A)市場区分:グロース市場事業内容:一次診療から高度医療まで対応可能な動物病院運営、その他周辺事業(トリミングサロン運営、動物病院向けシステム開発、獣医療関係者向け教育コンテンツ配信等) 6月21日 上場MFS(196A)市場区分:グロース市場事業内容:オンライン住宅ローンサービス「モゲチェック」の開発・提供、不動産投資の総合プラットフォーム「INVASE」の開発・提供 6月27日 上場豆蔵デジタルホールディングス(202A)市場区分:グロース市場事業内容:企業のデジタルシフトを実現し、顧客とともにデジタル競争力を高めるためのクラウドコンサルティングサービス、AI コンサルティングサービス、AI ロボティクス・エンジニアリングサービス、モビリティ・オートメーションサービス 6月28日 上場ロゴスホールディングス(205A)市場区分:グロース市場事業内容:デジタルマーケティング集客およびDXによる効率的なオペレーションを活用した注文住宅事業 (注)初値及び直近月末終値が公開価格に対して上回っているものは赤、下回っているものは青で表示。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報を基に野村證券作成 7月IPO銘柄の紹介 7月2日 上場PRISM BioLab(206A)市場区分:グロース市場事業内容:独自の創薬基盤(PepMetics技術)を用いた新規医薬品の研究・開発 7月18日 上場カドス・コーポレーション(211A)市場区分:スタンダード事業内容:土地活用の提案から設計・施工までトータルプロデュースすることにより、流通店舗の建築工事を受注する建設事業及び当該店舗等をテナント企業に賃貸する不動産事業 7月23日 上場フィットイージー(212A)市場区分:スタンダード事業内容:アミューズメントフィットネスクラブの運営、企画、FC展開事業 7月26日から8月1日のいずれかの日(上場日の4営業日前までに決定予定)上場タイミー(215A)市場区分:グロース市場事業内容:スキマバイトサービス「タイミー」の運営等 7月29日 上場Liberaware(218A)市場区分:グロース市場事業内容:屋内狭小空間点検ドローン「IBIS」をベースにしたドローン等の開発と、点検サービス、ドローンのレンタル・販売、及びドローン等で収集したデータの処理・解析するサービスを提供 7月30日 上場Heartseed(219A)市場区分:グロース市場事業内容:重症心不全患者を対象としたiPS細胞由来心筋球移植治療をはじめとする再生医療等製品の研究・開発 7月31日 上場Faber Company(220A)市場区分:スタンダード事業内容:デジタルマーケティング自動化ツール「ミエルカ SEO」等 SaaS 提供、フリーランス人材等を活用したマーケティング支援 (注1)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注2)全てを網羅しているわけではない。(注3)7月のIPO銘柄は、7月2日時点での予定。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報をもとに野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/09 08:27
【野村の朝解説】NYダウ、下落に転じ31ドル安(7/9)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 8日の米国株式市場では、NYダウが反落した一方、S&P500とナスダック総合は底堅く推移し、連日で史上最高値を更新しました。米利下げ期待の高まりに加え、これから発表が本格化する米企業決算への期待感から、NYダウは続伸して始まり、一時279ドル高となる場面もありました。その後は投資家の様子見姿勢が強まる中でマイナス圏に沈みましたが、97ドル安で下げ渋ると引けにかけて下げ幅を縮め、結局31ドル安で取引を終了しました。 相場の注目点 米国では、6月のISM製造業・サービス業景気指数や雇用統計など、前の週に発表された経済指標が景気減速や労働市場の過熱の緩和を示す内容だったことから、米連邦準備理事会(FRB)が2024年中に2回の利下げを実施するとの観測が強まり、株式市場では経済指標の弱さを受けた利下げ期待の高まりを好感する展開が続いています。今週は、パウエルFRB議長の半期議会証言(9日に上院、10日に下院で実施)や、11日に6月の米消費者物価指数(CPI)が予定されています。米利下げ期待が一段と高まる結果となるのか、景気や物価、金融政策についての見方に変化が生じるか注目されます。 本日のイベント 本日は米国でFRB議長の議会証言(上院)が予定されます。また、豪州では7月のウェストパック消費者信頼感指数が発表されます。豪中銀(RBA)に対しては一部で、8月中銀会合での追加利上げの可能性が意識されています。7月からの減税措置を受けて、消費者のセンチメントが大きく改善し、追加利上げ観測が一段と強まるか注目されます。 (投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年7月9日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/08 19:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(7月第1週)
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年7月第1週(2024年6月28日~7月5日) 2024年月6月間(2024年5月31日~6月28日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年7月5日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年7月5日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年7月第1週(2024年6月28日~7月5日) 2024年6月月間(2024年5月31日~6月28日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年7月5日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年7月5日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年7月5日時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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07/08 16:04
【野村の夕解説】日経平均株価、続落 131円安 (7/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 米国では、5日に発表された6月雇用統計が雇用市場の軟化を示し、長期金利が低下しました。また、日本では本日8時半に5月毎月勤労統計が発表され、基本給にあたる所定内給与が前年同月比2.5%増と、31年4カ月ぶりの高い伸び率となりました。日銀による早期の金融政策正常化が意識され、新発10年物国債の利回りは、前週末比0.015%高い1.085%をつけました。外国為替市場では1ドル=160円30銭台と、前週末比でやや円高に推移しました。14時には、6月景気ウォッチャー調査が発表され、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は47.0でした。旺盛なインバウンド需要を背景とした家計動向を中心に景況感が上向き、前の月に比べて1.3ポイント上昇(改善)、改善は4カ月ぶりとなりました。 本日の日経平均株価は、前週末比49円安の40,863円で始まりました。先週の米国株上昇を受け値がさ株の上昇が起因し、41,112円と史上最高値を付ける場面もありましたが、過熱感もあり大引けは131円安の40,780円となり、続落して本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 米国では、パウエルFRB議長の半期議会証言(7月9日上院、10日下院)が注目されます。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
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07/08 08:07
【野村の朝解説】米雇用統計を受けナスダックは最高値更新(7/8)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 独立記念日の休場明けとなった5日の米国株式市場では、主要3指数がともに上昇し、S&P500とナスダック総合は最高値を更新しました。米6月雇用統計が、労働市場の過熱の緩和を示す内容と受け止められました。非農業部門雇用者数は前月比20.6万人増と、市場予想の同19.1万人増を上回りました。政府部門の雇用が堅調な一方、民間部門の雇用者数が市場予想を下回りました。また、4月分は前月時点の同16.5万人増から同10.8万人増へ、5月分は同27.2万人増から同21.8万人増へと下方修正されました。平均時給は前年同月比+3.9%と市場予想と一致し、5月の同+4.1%から低下しました。失業率は4.1%と、5月の4.0%から上昇しました。雇用統計を受け、市場の利下げ期待値はやや高まり、年内2回の利下げをほぼ織り込みました。 フランスでは7日、議会下院選挙の決選投票が行われ、左派連合「新人民戦線」が最大勢力になる見込みです。左派連合の定年年齢の引き下げなどの公約が財政赤字を拡大させるとの懸念から、週明けのユーロは対ドルでやや下落しました。 相場の注目点 米国では、パウエルFRB議長の半期議会証言(7月9日上院、10日下院)が注目されます。先週ポルトガルのシントラで開催されたECB(欧州中央銀行)主催のフォーラムで、パウエル議長は1年後のインフレ率について、個人消費支出(PCE)物価指数で前年比+2.0%~+2.5%との見通しを示し、市場は金融政策についてハト派的な発言と受け止めました。議会証言でもパウエル議長は同様の説明を行うとともに、労働市場の下振れリスクにも言及すると野村では予想しています。 米国の利下げの観点から、11日の6月米CPI(消費者物価指数)も注目されます。 (投資情報部 竹綱 宏行) (注)データは日本時間2024年7月8日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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07/07 19:00
【特集】慎重派ストラテジスト・大川智宏「個人投資家にとっての優良株の探し方」
文/中城邦子 ※写真は全てイメージです。 個人投資家が株式市場のなかで見落とされている優良銘柄を探すとしたら、どんな視点で探せばいいのでしょう。QUICKナレッジコンテンツ本部の中山桂一さんが、智剣・Oskarグループの主席ストラテジスト大川智宏さんに聞きました(対談日:2024年4月2日)。 日本株の継続的な上昇のカギは内需関連株が握る 中山桂一さん(以下、中山)日経平均株価は2月に1989年以来の高値を更新しましたね。また2023年10月に、およそ34年ぶりの円安水準になって以降、円高になっていないことが、余計日経平均の上昇に弾みをつけました。大川さんは、「慎重派」ともいわれるストラテジストですが、これをどうご覧になっていますか。 大川智宏さん(以下、大川)ひと言で言ったら、びっくりですよ。ただ、日経平均株価の高値についていうと、構成銘柄のうちの半導体大手のウエイトが大きいですよね。日本株全体がそうですが、上昇した背景には外部要因が多く、内需関連株はあまり上昇していません。 中山内需関連株のなかでも、特に医薬品、食料品などでは下がっている銘柄が多い印象です。円安が痛手となっているという見方でいいんでしょうか。 大川輸入物価の高騰は、内需関連株にとってダブルパンチです。円安で製造コストが上がって利益を押し下げる。食料品や日用品が値上がりしているから、消費が伸びない。賃金を上げにくい状況です。すそ野が広い内需株が伸びないので、株価の上昇ほどには市場としても高揚感がない。本来、日本株だったら日本の内需で引き上げるべきなのですが、いびつになっていると見ています。 中山2023年3月に、東証が企業に「資本コストと株価を意識した経営」を要請しました。よくPBR(株価純資産倍率)改革といわれるものです。PBR改革によって、海外投資家がより日本株を買いやすくなるのかもしれません。それも外的な要素ですね。 大川PBRが1倍を割っていて、かつ海外投資家も買うような大型割安株は基本的に外需関連株が多かったですね。そのため内需関連株はフォーカスされにくい状況が続いてきました。そこがキャッチアップしてくるかどうかが、日本株の継続的な上昇の中で一番重要なファクターになると見ています。 決算短信で上方修正の有無、業績進捗率を確認 中山個人投資家の強みを活かした、見落とされている銘柄やまだ値上がりしていない優良銘柄の探し方はあるのでしょうか。 大川プロでない方が、どうやったら「出遅れ銘柄」、つまりこれから株価が上がることが期待できる銘柄を見つけることができるのか。その観点では、私は中小型株に注目するといいと思います。個人投資家の強みは自由にリスクを取れることと、中小型株に手が出せることなんです。機関投資家は手が出せない事情がありますから。 せっかく投資できるのだから、それぞれのリスク許容度に合わせて、個人投資家の強みを生かして投資するスタイルの人が増えてもいいんじゃないかなと思いますね。 そして、大事なのは銘柄を探す際に見る指標です。企業の増益率に注目しがちなんですが、そうではなくて業績予想の修正に注目してほしいと思います。 決算は一度出るとすぐに株価に織り込まれてしまいますが、予想の修正幅がどれぐらいなら株価に何%織り込まれるかは、それほど法則がありません。それがミスプライスを生んでいたり、あまり株価に織り込まれていなかったりすることがあります。 しかも、業績予想の修正は決算短信で簡単に確認できる。業績サマリーの下にある「業績予想」欄の有無を見て、修正内容を見るだけでもわかることなので、時間がない方や詳しくない方にも、有用性が高い情報です。 さらに一歩踏み込むなら業績進捗率です。例えば、第2四半期が終わった時点で進捗率85%なのに上方修正していない、そのせいで株価が上がってきていないという銘柄はよく見るとけっこう見つけられます。新興市場で上場している銘柄とか、特に中小型株は投資家でも見ていない人が多いですから。 中山年度の途中で、前もって見込んだ業績予想よりも大きな上振れや下振れが想定されると、業績予想の修正がされます。それと、通期の予想に対する進捗率を確認したほうがいいということですね。 大川はい。株価に織り込まれていない変化を探すことが、ミスプライスを取るうま味でもあるので、丁寧に見つけていくとなると、内需の中小型株がいいと思うんです。海外投資家が興味を持っていないからこそ、チャンスがまだまだ埋まっています。 中山株式市場の中で見落とされて株価が上がっていないし、業績の上向きにも気づかれにくいところですね。 個人投資家の投資リスクの考え方と出遅れ銘柄の探し方 中山PER(株価収益率)やPBRに注目して割安株を見つけるという方法はどうでしょうか。 大川私の持論ですが、PERやPBRが低い銘柄は、基本的に個人投資家は手を出さないほうがいいんです。割安ということには何か理由があり、リスクが隠れている可能性があるということですから。ただ、超低PERかつ増益予想の銘柄なら選ぶ意味もあるんじゃないかと思います。ここまで株価が下がっているなら多少のリスクは取れるんじゃないかという意味で、PERが8倍以下くらいで、12か月EPS成長率がプラスのものを探すのも一案です。 中山増益が予想できるけれども、割安に放置されているとみることができるわけですね。投資家が注目し始めると、上がる可能性がある。 大川逆にいうと、調整局面で下がりにくいともいえます。持っている投資家が少ないのだから。 中山では、好む人が多いと思われる高配当株はどう見ればいいでしょうか。 一定額を定期的に受け取れる投資商品は、年金生活者を中心に需要があったから、日本では毎月分配型の投資信託の販売が伸びた時期があります。また、高配当銘柄で構成された指数に連動する「高配当ETF」も人気が高まっていると聞きます。 大川高配当株を好む人は、新しいNISAが始まって以降、ますます増えていると想像できますね。ただし、高配当株も低PER・低PBR株と同じで、もらえる配当に対して株価が低いということだから、リスクはあるのです。何かの拍子に株価が急落したり、減配したりするリスクもありますから。 そこで配当利回りが高い銘柄を2つに分けて考えました。それが下の図です。株価が下落して配当利回りが3%になったのか、株価が上昇してもまだ配当利回りが3%あるのかで、意味合いが全然違う。 中山どういう変化率でこうなったのかを見ることが大切ということですね。 出所:智剣・Oskarグループ ※上図はイメージです 大川私は「株価下落型」と「そもそも高配当型」を比較したことがあり、その結果、後者のほうがその後のパフォーマンスがよくなる可能性が高いと考えています。 中山株価が下がって配当利回りが高い銘柄よりも、株価が上がっているから安心して持てるという考え方ですね。株価が低いほうがお得だと考えがちなので、この考えを覚えておくといいですね。 自己資本比率もチェックして負けない投資を目指す 大川もうひとつは、高配当株の選び方として、自己資本比率もチェックするといいです。自己資本比率が高い×高配当利回り株の組み合わせに注目すると、その後もパフォーマンスが上がる可能性が高いと考えています。 配当利回りが高いということは、何がリスクとなるかというと減配や無配に陥るということです。でも自己資本比率が高い企業なら、多少の業績の悪化でも配当を払える可能性が高い。リスクを低減するという意味での整合性がある組み合わせなのです。 この指標も、決算短信の1ページ目にある業績サマリーを見るだけで個人でも簡単に計算できます。業種にもよりますが、例えば配当利回り4%以上で、自己資本比率50%以上などが目安になると思います。 中山減配リスクがないことに加え、東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請があったことで、自己資本比率が高い企業にはもっと株主還元するよう求められていますから、増配ないし資本を圧縮するための自己株式の取得などを行う可能性もありますよね。 大川それによってさらに配当利回りが上がるかもしれませんよね。 中山改善に向けた経営改革策を示した企業のリストを東証が公表していますから、確認することも可能です。日本の企業は横並び気質が高いので、まだ何もしていない企業も今年中に経営計画を出すなどの行動に出るタイミングで、株価も評価されやすいかなというのはありますね。 ※本コラムで取り上げられた投資に関する基本的な考え方などについては、あくまで個人の見解によるものであり、野村證券の意見を代表するものではございません。 ご投資にあたっての注意点