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06/24 09:30
【銘柄特集】配当利回りが魅力的かつ、業績と流動性の不安が少ない銘柄(6/24)
(注)画像はイメージ。 業績や流動性の面で不安が少ない高配当銘柄をスクリーニング 配当金は、企業の価値(株価)を決める重要な指標であり、株式投資の魅力のひとつです。配当利回りは、投資した金額に対して受け取れる予想配当金の割合を示したもので、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)と同様に、株価が割安か割高かを判断するための指標でもあります。 予想配当利回りが高ければ高いほど、少ない投資額で受け取れる配当金は大きくなります。ただし、配当の源泉は企業利益であるため、対象企業の業績悪化により減配・無配となってしまうケースもあります。 以下の表では、2024年6月7日の株価・データをもとに、業績や流動性の面で不安が少ないと考えられる銘柄の中から、通期配当利回りが高い銘柄を抽出しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)諸般の事情により特定の銘柄をリストから削除している場合がある。MS&ADはMS&ADインシュアランスグループホールディングス。株価、業績予想数値はいずれも2024年6月7日時点。1株当たり配当の予想は東洋経済新報社で予想値がレンジの場合、下限値。その他の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部。PERは2024年度基準。PBRは直近実績基準。ROEは2024年度予想税引き利益と、直近実績の自己資本額の比率。経常増益率は、野村證券予想に基づく2024年度経常増益率。ソフトバンクは2024年9月30日を基準日として1:10の株式分割を行う予定。1株当たり配当は株式分割調整後の数値。(出所)東洋経済新報社、野村證券市場戦略リサーチ部、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 エクイティ・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点
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06/24 08:48
【野村の朝解説】米国株は動意薄、進む円安に注目(6/24)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 前週末の米国株式主要3指数は、NYダウが前日比+0.03%、S&P500は同ー0.15% 、ナスダック総合は同ー0.18%となりました。21日に発表された6月S&PグローバルPMIは製造業、サービス業ともに市場予想を上回る内容でした。景気の底堅さが示されNYダウは小幅上昇となった一方で、高値警戒感からフィラデルフィア半導体株(SOX)指数は前日比ー1.27%となるなどハイテク株では下げが目立ち、S&P500やナスダック総合は小幅に下落しました。米ドル円相場は日本時間21日15時の1米ドル=158円90銭台から米ドル高円安が進行し、159円70銭前後(日本時間24日7時)で推移しています。 相場の注目点 4月後半以降、日経平均株価は概ね38,000円~39,000円のレンジでの推移を続けています。本日は、米国ハイテク株安を受け、日本の半導体関連株は下値を試し、日本株の重石となると想定される一方で、進行する米ドル高円安が輸出関連株の追い風となり、株価の下支えとなるか注目されます。 本日のイベント 8:50に、6月日銀金融政策決定会合における主な意見が公表されます。円安に対する評価や追加利上げに向けた姿勢、国債購入減額ペースに関する議論など7月会合に向けた利上げ観測再燃につながるような意見の有無が、米ドル円相場にどう影響するのか注意したいと思います。 (投資情報部 神谷 和男) (注)データは日本時間2024年6月24日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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06/23 12:00
【テーマ銘柄】日本の連続増配企業
※画像はイメージです。 連続増配企業への投資が注目される 株式市場は時折、様々なリスクにより大きな変動を余儀なくされます。2008年のリーマンショックをはじめ、近年では、2020年の新型コロナ感染拡大や2022年のウクライナをめぐる紛争により、株価は大きな影響を受けました。こうした中、長期的な視点で安定的な配当を得ることを目指す連続増配企業への投資が注目されます。 連続増配企業の強みと企業例 連続増配企業は社歴の長い企業も多く、ブランド力や技術力等を武器に、安定的な利益を創出しうる独自の経営スタイルや販売手法を培い、様々な景気変動や各種のショックを乗り越えてきました。そのため、単年度では減益に陥ることがあっても継続的な配当を続ける実力があり、市場で評価され続けています。その代表格として、花王が挙げられます。同社はトイレタリー国内首位で、日本企業で最長の連続増配年数を維持しています。コーポレートガバナンスやESGに関する情報開示にも積極的で、長期成長を見据えた経営姿勢を明確にしています。 (注1)直近値は2024年5月24日。この結果は過去のものであり将来を保証するものではない。(注2)連続増配銘柄の合成指数は、2024年5月24日時点で時価総額4,000億円以上、21期以上連続増配している銘柄を等金額投資ベースで計算したもの。連続増配銘柄とは、花王、三菱HCキャピタル、ユー・エス・エス、リンナイ、シスメックス、ユニ・チャーム、東京センチュリー、KDDI、サンドラッグ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。(出所)野村総合研究所、日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 連続増配企業のパフォーマンス 時価総額4,000億円以上、かつ今期会社予想を含め21期以上連続で増配している10銘柄の合成株価指数(等金額)のパフォーマンスは、長期的な視点でみれば日経平均株価を大幅に上回る傾向がみられます。2024年度の日本企業の企業業績は、5期連続の経常増益が予想されており、企業の株主還元拡大の余地は大きいと考えられます。近年では、資本の収益性を意識した経営を強める企業も増加しており、長期的な視点で、連続増配企業への投資が注目されます。 (注1)2024年5月24日時点。投資情報部の判断により、全ての銘柄を記載しているわけではない。(注2)今期会社予想を含めて連続して増配している企業のうち(ユニバースはREIT(上場不動産投資信託)を含む全上場銘柄)、2024年5月24日時点で時価総額4,000億円以上、かつ今期会社予想を含め21期以上連続増配している企業の例。前期と今期予想(最小値)が同じ場合も増配とカウントした。復配や配当開始は回数に含まず、決算期変更を実施した企業も対象に含む。上場以前の配当実施額、資本異動については、完全に網羅されていない可能性がある。(注3)将来の増配を保証するものではない。HDはホールディングスの略。(出所)野村総合研究所、日本経済新聞社、会社資料より野村證券投資情報部作成 ご参考:日本連続増配企業の一例 花王(4452)国内トイレタリーの最大手である。衣料用・住宅用洗剤、おむつ・生理用品などに加え、化粧品・ヘアケアなど幅広い事業を展開する。主要ブランドには、ビオレやアタック、マジックリン、メリーズなどがある。ユー・エス・エス(4732)中古自動車取扱事業者を会員とする中古自動車オークションの国内最大手である。2023年のオートオークション市場での出品台数シェアは約4割と業界首位である。リンナイ(5947)ガス給湯器、ガスコンロなどガス機器のトップメーカーである。中国や韓国、米国、豪州、アジア各国で現地生産、現地販売の方針をとっており、海外が業績を牽引する。シスメックス(6869)臨床検査機器の中でも血液学(血球計数検査=全血球計算=血算、血液凝固検査)分野の世界トップメーカーである。ヘマトロジー(血球計数検査)や血液凝固検査、尿検査等で世界売上シェアトップである。パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)「驚安の殿堂」をキャッチフレーズに深夜まで営業する総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営している。仕入れから価格設定、商品構成、陳列に至るまで現場に権限を委譲し、顧客ニーズ等に合わせた迅速な対応を可能にしている。ユニ・チャーム(8113)子供用・大人用紙おむつ、生理用品、ペットケア、マスク、ウェットティッシュなど不織布・吸収体製品を製造販売する。主要ブランドには、ムーニーやマミーポコ、ソフィ、ライフリーなどがある。アジア中心に高いシェアを有する。東京センチュリー(8439)情報通信機器に強みをもつ大手リース会社である。伝統的リース事業に留まらず、スペシャルティ事業やオート事業といった専門性の高い事業を営んでおり高い収益性を誇る。三菱HCキャピタル(8593)2021年4月に三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱UFJリースと日立製作所傘下であった日立キャピタルが合併して誕生した大手リース会社である。KDDI(9433)総務省統計では、2023年12月末の移動通信系契約数の市場シェアは約31%である。CATVを含む固定系ブロードバンド契約数の市場シェアは約20%(卸を含む)、IP電話を含む固定電話契約数は約22%となっている。サンドラッグ(9989)「サンドラッグ」などのドラッグストアを全国規模で展開する大手小売チェーンである。ディスカウントストア「ダイレックス」も手がける。全店舗・物流・ベンダー(メーカー、卸)を結ぶ業界最大級の物流・配送システムがローコストオペレーションを支える。 (注)全てを網羅しているわけではない。HDはホールディングスの略。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 寺田 絢子) ご投資にあたっての注意点
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06/23 09:00
【特集】『東証要請』の進捗度(後編):株主還元/政策保有株/事業再編の最前線
※画像はイメージです。 2023年度 総還元性向は低下 (22日配信「【特集】『東証要請』の進捗度(前編):ROEは向上したか?」より続き) まずは『東証要請』に対し、対策が進んでいると見られる、WACC(加重平均資本コスト)を意識した資本構成実現に不可欠な、株主還元(配当、自社株買い)について確認しましょう。 2023年度のラッセル野村Large Cap(除く金融)の総還元性向(配当+自社株買い)は50%と、2022年度の55%に比べ低下しました。なお、総還元性向の低下は、もっぱら税引利益の増加によるもので、総還元額は2022年度に比べて増加しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)S&P500、およびラッセル野村Large Capの税引利益に対する配当、自社株買い、内部留保の比率の推移。各々の比率の小数点以下は四捨五入してあるため、合計しても100%にならない場合がある。2019年度の日本の総還元性向(自社株買い+配当)が上昇しているのは、自社株買い、配当を企業が増やしていることと、税引利益が減益であったこと、などが要因。集計時点や集計方法の違いにより、当レポートに掲載している他の図表と数値が異なる場合がある。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成 配当については、2023年度の配当性向は34%と、トレンドから逸脱するものではありませんでした。減配は投資家が嫌うイベントの一つであり、企業側も大幅な配当性向の引き上げを躊躇したと考えられます。対して自社株買いは、配当に比べ機動的にその額を決定することが可能で、2023年度の自社株買い設定枠は9.9兆円と、それまで最高であった2022年度の9.3兆円を大きく上回りました。 (注)対象は全上場銘柄の普通株式。各年度の4月からの累積額。(出所)QUICKより野村證券市場戦略リサーチ部作成 ただ、現在の日本企業のROE(自己資本利益率)10%前後に対して、50%前後の総還元性向では自己資本の積み上がりを抑制するには不十分で、2023年度は2桁の税引増益を達成したにもかかわらず、ROEは前年度比ほぼ横ばいに留まりました。米国並みとは行かないまでも、ROEの維持/向上のためには総還元性向の引き上げが急務といえるでしょう。 常識外れのスタートとなった2024年度 5月末時点の自社株買い設定枠は7兆円と、過去最高を大きく更新しています。日本企業も自己資本の積上がりの抑制に本格的に取り組み始めたと見られます。また、業績の変動性が相対的に低い医薬品や商社などを中心に、還元性向を引き上げる動きが増えています。東証の要請を受けた事業ポートフォリオの見直しなどにより業績の安定性が改善する企業が増加すれば、企業が目標とする還元性向の中央値が切り上がる可能性が期待できます。 加速する政策保有株削減の動き 日本企業のROE停滞の要因の一つに、資産回転率の趨勢的な低下が指摘されています。資産回転率の向上には、事業ポートフォリオの見直しが不可欠です。ここでは事業ポートフォリオの見直しを、①政策保有株の見直しと、②不採算部門の見直しや新規投資およびM&A、に分けてみてゆくことにしましょう。 政策保有株の見直しに関しては、2023年度より企業側が動きを本格化させていることはほぼ確実と思われます。現時点で、2023年度末の各企業の政策保有株の詳細のデータが明らかでないことや、2024年5月に金融庁が「政策保有株の情報開示が実態を反映していない」可能性を問題視するなど、政策保有株の正確な実態は不明です。 ただ間接的な手段となりますが、政策保有株を保有する事業会社からの(株式)売り付け額の推移をみると、2023年度の売り付け累計額は11.2兆円とこれまでの最高額であった2021年の8兆円を大きく上回っています。2024年度も前年同期に比較して3割増のペースで売り付けられており、政策保有株の削減の動きは継続しているとみてよいでしょう。 (注)データは週次で、2024年度の直近値は2024年5月第4週。事業法人の売り付け額すべてが持ち合い株解消や政策保有株の売却を指すわけではない。(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 緩やかに増加に転じた日本企業のM&A 政策保有株の削減に比べ、事業ポートフォリオの見直しの進捗はやや緩慢に映ります。政策保有株の削減は、(例外はあるにせよ)当該企業の決断で可能であるのに対し、不採算部門の見直しやM&Aの場合には相手企業が存在する確率が高く、最終決断に至るまでに時間が必要、という事情も存在すると考えられます。 ただ足元で、M&A、なかでもIN-IN取引、すなわち日本企業同士のM&Aは件数、金額ともに、緩やかながら増加基調にあり、企業が不採算部門の見直しや新規投資、M&Aに対して積極的な姿勢に転じつつあることがうかがえます。 (注)データは四半期ベースで、直近値は2024年1-3月期。(出所)Bloomberg、野村證券市場戦略リサーチ部より野村証券投資情報部作成 金融環境の変化も事業再編を促す 金融環境の急速な変化も、企業の事業ポートフォリオの見直しを加速させることが期待されます。わが国では、2022年12月に日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)運用の柔軟化に踏み出して以降、金融政策正常化への動きが続いています。これに連動して、リスクフリーレートも上昇基調をたどっています。2022年度に0.4%弱に過ぎなかった(期中平均)リスクフリーレートは、2023年度には0.66%に上昇しており、2024年度は更に上昇することはほぼ確実です。リスクフリーレートの上昇は、WACCの上昇に直結します。こちらも上昇が継続することが見込まれます。 一方、ROIC(投下資本利益率)は、堅調な業績を背景に上昇基調を辿ることが見込まれます。これまで日本企業は外部環境の変化に脆弱で、金利とROICが逆相関となることが頻繁にありましたが、今回の金利上昇局面では、(欧米企業と同様に)金利上昇=ROICの向上というメカニズムが機能し始めているようです。 ただ、ROIC上昇の動きはやや緩慢で、株価が上昇(益利回りが低下)していることもあり、リスクフリーレート/WACC/ROIC/(自社株買いの判断材料となる)株式益利回りの各々のスプレッドは縮小傾向にあります。 WACCに対してROICが十分なバッファーを確保するためにも、企業には収益性の低い事業部門の比率を低め、全体としてのROICの底上げを目指す、といった施策が望まれます。 (注1)WACC(加重平均資本コスト)とROIC(投下資本利益率)はラッセル野村Large Cap(除く金融)のもの。リスクフリーレートは、10年債パーイールドの各年度ごとの期中平均。WACCは、D/(D+E)×Rf×(1-t)+E/(D+E)×(Rf+Rp)。ただし、Dは有利子負債、Eは自己資本、tは税率、Rfは10年債パーイールドの期中平均、Rpはイールドスプレッドとした。ROICは、NOPAT/IC。ただし、NOPATは、営業利益×(1-税率)。ICは、自己資本+有利子負債。株式益利回りは、ラッセル野村Large Capのもの。(注2)データは年次で、直近値はいずれも2024年度の予測・暫定値(2024年6月19日時点)。2024年度のリスクフリーレート、およびWACCの計算に用いるリスクフリーレートは、6月19日時点の実績値。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成 想定以上に素早い企業の動き これまで、ROEの停滞を企業側も問題視しており、自社株買いの増額や、政策保有株の売却などの具体的なアクションが想定以上に出足が速いこと、事業ポートフォリオの見直しに関してもその兆しを感じられるような変化が出始めていることを明らかにしてきました。こうしたアクションを公表する企業は増え続けており、5月末の段階で7割を超える企業から、何かしらの対応が示されています。 (出所)東京証券取引所資料より野村證券投資情報部作成 なぜ企業は前向きなのか? なぜ、これまで掛け声倒れに終わることが多かった、企業行動変革の動きが、今回は想定を上回るほど速く、また多くの企業が取り組むことになったのでしょう?これはROE上昇のために、①中期経営計画や決算短信などで中期的な定量目標を示し、②各年度の業績見通しおよび配当/自社株買い計画との間で整合性をとること、を促す仕組みが機能していることに起因していると考えられます。 (注)DOEは株主資本配当率(Dividend on Equity ratio)。PBRは株価純資産倍率。(出所)東京証券取引所資料などをもとに野村證券投資情報部作成 さらに、2023年12月より、東証要請に取り組む企業の固有名詞の公表がスタートし、さらに毎月アップデートするという取り組みも企業の背中を押すことにつながっていると考えられます。 『要請』の先に株式市場で起こること 最後に、企業が資本効率/事業ポートフォリオ改善に継続的に取り組むことが定着した世界において、株式市場ではどういった変化が起きるかについて考えてみることにしましょう。これまで日本は先進国の中で、『ROEのファクター効果が持続しない』ほぼ唯一の国でした。これは、ROEの水準がそもそも低く、頻繁にROEが株式の期待収益率を下回ってしまうという業績の不安定性に起因すると考えられます。また、企業経営者にとってROEの維持/向上という命題の優先度が低かったことも指摘できるでしょう。『東証要請』により、日本企業の行動パターンが変化したという認知が拡がるにつれ、今後は日本でもROEのファクター効果が明確になる可能性があります。 (注1)ROEのファクター効果は、最もROEが高い銘柄群(上位20%)の買いと、低い銘柄群(下位20%)の売りのリターンスプレッド。1989年末を起点にした月次ベースの累積パフォーマンス。直近値は2024年5月末。(注2)母集団は日本(MSCI-Japan)、米国(MSCI USA)。日本を除く先進国(MSCI KOKUSAI)(出所)野村證券市場戦略リサーチ部 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
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06/22 19:00
【来週の米国株】止まらぬ生成AIへの期待、26日(水)マイクロン決算発表に注目(6/22)
※執筆時点 日本時間21日(金)12:00 今週:生成AIへの期待は高く3指数揃って上昇 ※6月13日(金)-6月20日(木)4営業日の騰落 景気減速懸念は強まる一方、生成AIの企業業績貢献への期待は根強く、引き続きS&P500とナスダック総合は上昇、NYダウは2週間ぶりに反発しました。 5月小売売上高は市場予想を下回る 2024年5月の小売売上高は前月比+0.1%にとどまり、市場予想(同+0.3%)を下回りました。品目別にみると、モノ(財)の品目だけでなく、同統計では唯一のサービスの品目である「飲食店」が同-0.4%と予想外に減少し、広範な品目にわたる消費の鈍化が示されました。株式市場では、景気減速による企業業績悪化への不安を、AIの業績への寄与やインフレ減速による年内利下げへの期待感がやや上回っている状況です。 アクセンチュア決算発表はITへの安心感に 米国時間20日(木)寄り前に、コンサルティング及びITサービスのアクセンチュア(ACN)が、2024年3-5月期決算を発表しました。売上高、調整後一株当たり利益(EPS)ともに市場予想平均を下回ったものの、会社が示した2024年8月期通期の売上高予想レンジの中間値が市場予想平均を上回りました。また、経営陣からは生成AI(人工知能)関連の受注が堅調とのコメントもありました。これを受け、20日にアクセンチュアの株価は前日比+7.29%となりました。売上高見通しが市場予想を上回ったことなどに、ポジティブに反応していると推察されます。 先週のアドビ(ADBE)とオラクル(ORCL)の決算に続き、生成AI関連が利益につながっていることが示唆されました。波及効果がどの分野まで広がっているかに引き続き注目が集まります。 28日(金)PCEやFOMC主要メンバー発言に注目 6月FOMCでは利下げ開始時期の後ろ倒しが示唆されたものの、米景気減速を示す経済指標が続いていることから、市場参加者は、FRBによる利下げ開始時期を探っている状態です。目先では、FRB(米連邦準備理事会)がインフレ指標として注目しているコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーター(28日)が注目されます。 野村では、コアPCEデフレーターが前月比+0.102%に低下し、2023年11月以来の低水準になると予想しています。6月分も同+0.20%を予想しており、4-6月期を通してインフレの減速傾向が示されると考えています。このため、野村ではFRBが9月に利下げを開始し12月に追加利下げを実施すると予想しています。 また、FOMC(米連邦公開市場委員会)主要メンバーの講演も予定されています。特に、議論を主導してきた24日(月)のウォラー理事講演や28日(金)のバーキン・リッチモンド連銀総裁講演が、ここ2ヶ月の消費者物価の減速をどのように捉え、今後どの程度のデータが蓄積されれば利下げへと傾くかが注目されます。 26日(水)マイクロン決算も見逃せない 生成AI関連の企業業績への波及を考えるうえで、26日(水)に予定されているマイクロン・テクノロジーの決算発表が注目されます。年初来で+69%とS&P500(同+14%)や、ナスダック総合(同+18%)を大きくアウトパフォームしています(6月20日時点)。生成AIは当初エヌビディア(NVDA)やアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)のような演算を行うロジック半導体が注目されていましたが、AI処理を行うサーバーに必要なメモリー半導体や電子部品、電力制御装置など隣接業界に好影響が波及しており、当社にも注目が集まっています。 5月に行われたカンファレンスにおいて当社経営陣からは2024年3-5月期の状況や2024年8月期通期の見通しについて新しいコメントはありませんでした。2025年8月期通期に売上高が過去最高を更新するとの見通しを発表されたものの、これは市場予想に既に反映されています。今回の決算発表では、2025年8月期の設備投資計画や、4月に発生した台湾地震の影響なども注目されます。 そのほか、小口貨物のフェデックス(25日、FDX)の決算では産業景気の動向を、カーニバル(25日、CCL)やナイキ(27日、NKE)では、個人消費の動向を確認したいと思います。 27日(木)の大統領討論会も話題か 27日(木)に、バイデン大統領とトランプ前大統領の両候補者が討論会を行います(日本時間28日(金)10:00)。米メディアCNNがホストし、発言を行う候補者以外はマイクがミュートとされています。両者は互いに候補者自身や候補者の親族の犯罪について批判を行うと見込まれますが、現状ではこれらに関する報道を受けても世論調査において両者の接戦状況に変化はありません。新たな論点が議論されるか、討論会後の支持率に変化があるかに注目が集まります。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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06/22 12:00
「行動ファイナンス」で疑問を解決!第2回「買おうとしているうちに株価上昇…」
※画像はイメージです。 野村證券金融工学研究センターの大庭昭彦が、皆さまの投資に関するお悩みを行動ファイナンスの観点から分析、解決法を探っていきます。第2回で紹介するのは、投資を始めようとしたら株価が上昇して買いにくくなってしまったというお悩みです。 お悩み投資は未経験ですが、当面使わないお金が銀行預金に貯まってきたこともあり、投資に興味が湧き、株価の動きや経済ニュースなどにも注意するようになりました。難しいことはよく分からないので、とりあえず知人たちも買っていると聞いた世界の株式に分散投資する投資信託を買ってみたいのですが、買い始めるタイミングがわかりません。すぐ買っても良かったのですが、買おうとしたタイミングで価格が上昇し、「先週買っていたら2万円得したのに」、「待っていれば下がるだろう」などと考えてしまい買えませんでした。しばらく様子を見ていると下落が始まりました。改めてニュースを見ると「もっと下がる」という記事が目につき、やっぱり買えません。いったいどうすれば良いのでしょうか。(Bさん、35歳、会社員) 回答:その状況は「買いたい弱気」かも 未経験の投資を始めてみようということでわくわくしていたのに、いざ始めようとすると相場が気になって、なかなか踏み切れないというわけですね。特にお悩みの「買おうと思ったら上がってしまった」というのは良く聞く話です。 この現象は昔から伝わる相場の格言「買いたい弱気」として、行動ファイナンスで説明できます。 いわゆる「上げ相場」の中で、長期投資を目的にある株式を買いたいと思って株価を見ているとします。ある時点の株価が400円だったので、そのくらいでその日のうちに買おうと思いつつ株価をリアルタイムで見ていると、405円、410円と徐々に株価が上がって、日中に415円まで値上がりしたとします。その時、人はどう感じるでしょうか。 格言が示唆するのは「少しは下がって安いところで買えそうな気がする」と考えているうちに、ややエスカレートして「どうしても下がってほしい、いや下がるはずだ」という弱気の希望的観測が起こるというものです。 もともとは「上がると思っていたから買いたかった」はずが、株価を「見ているうちに下がることを期待する」、さらには「下がると確信してしまう」のが「買いたい弱気」です。そして実際に下がると、今度はなぜ買いたかったのかがわからなくなってしまうのですね。 この状況の原因は、長期投資の意識が緩んで短期的な見方になってしまったことと行動ファイナンスで言う「認知的不協和」(参考:基礎から学べる行動ファイナンス 第5回「すっぱいブドウのバイアス」)にあります。 「余裕資金で世界株式に長期投資したい」と決断した時点では、(周囲の人から影響を受けていたにせよ)長期的な統計データを踏まえていて、短期的な相場予測とは無関係だったはずです。にもかかわらず、下がるまで待っている自分の行動を正当化するため「下がるはずだ」と自身の考えの方を調整してしまうのです。 初心に戻って行動を 株価が長期的に上昇するという見方が変わっていなければ、初心に戻って行動してみましょう。スタートは早い方が合理的ですが、一度に全部投資することに心理的な負担が大きいなら余裕資金の一部から試してみることも良いでしょう。試すことの効果は金額の大小によらず大きいと考えられているからです。 それも難しいなら「積立投資」などの投資の自動化や、必要に応じて信頼できる第三者に合理的な行動を促してもらうのがよいでしょう。(参考:基礎から学べる行動ファイナンス 第9回 「自分の未来にも約束させる」) 「買いたい弱気」は特殊な悩み? さて、今回取り上げた様な「投資したいのに始められない」という状態になるのは特殊なことではありません。2022年7月の論文「投資教育と投資推進に関する研究の新展開」(大庭、証券アナリストジャーナル)で紹介したデータによれば、日本の個人は大きく「投資に興味がなく投資をしていない人」、「実際に投資をしている人」、「興味があるのに投資をしていない人」の3つのグループに分けられます。 内訳は「投資に興味がなく投資をしていない人」が全体の半分程度と最も多く、「実際に投資をしている人」と「興味があるのに投資をしていない人」がどちらも約4分の1でした。一般に考えられている以上に、多くの人が「興味があるのに投資をしていない人」に分類されるのがわかります。 「買いたい弱気」はその理由の一つですが、他の心理的な理由で買えないケースもあります。そうしたお悩みへの対処法についても、今後お答えしていきたいと考えています。 大庭 昭彦野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 ご投資にあたっての注意点
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06/22 09:00
【特集】『東証要請』の進捗度(前編):ROEは向上したか?
※画像はイメージです。 2023年度決算がほぼ出揃い、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2023年度のROE(自己資本利益率)実績が確定しました。ラッセル野村Large Cap(除く金融)のROEは10%となり、2022年度の9.8%からほぼ横ばいでした。ラッセル野村Large Cap(除く金融)は、年度ごとに集計母集団が変化するため単純比較はできませんが、2023年3月末の東京証券取引所による『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の要請に、各企業とも取り組んできたとのイメージが強いだけに、もう少しROEが向上すると思っていた方も多かったのではないかと推察されます。 ラッセル野村Large Cap(除く金融)のROEの、Rに当たる税引利益は前年度比10.8%増でしたので、順当にゆけばROEは向上したはずです。何がROEの顕著な上昇を阻んだのか、デュポン分解によりROEの構成要素ごとに確認してみましょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)デュポン分解とは、ROEをその構成要素である、①売上高税引利益率、②総資産回転率、③財務レバレッジの3要素に分解して分析する手法。ROE(%)=売上高税引利益率(%)×総資産回転率(回)×財務レバレッジ(倍)(出所)野村證券投資情報部作成 まず、売上高税引利益率については、主要産業において業界再編が一巡した2000年代後半以降ほぼ一貫して上昇基調をたどってきていますが、(水準こそ海外企業に比べ見劣りするものの)2023年度もその傾向が継続していることが確認されました。業界再編によって業界内の競争条件が好転し、現在ではシェアよりも採算を重視する企業行動が一般的となっています。ただ、そのほかの総資産回転率、財務レバレッジはともに低下しています。また、この両指標ともに低下しているのはやはり2023年度に突然始まったわけではなく、長期にわたるトレンドであり、日本企業のROEの足かせになっていることは明らかです。 『東証の要請』について改めて確認しておきましょう。 (出所)東京証券取引所などより野村證券投資情報部作成 企業には、WACC(加重平均資本コスト)および、ROIC(投下資本利益率)を意識した経営が求められており、これらに取り組んだ場合、バランスシート全体に影響が及ぶことが見込まれます。例えば、①株主還元(自社株買いや配当)を増額した場合には現預金などに、②政策保有株の見直しや、③事業再編/M&Aを行った場合には、現預金だけでなく運転資本(売上債権、棚卸資産、仕入債務など)にも影響が及びます。東証の要請は、当初考えられたよりも企業のバランスシートに大きな影響を及ぼすものであったことは明らかです。 明日配信予定の後編では、日本企業のROE停滞打破のための企業の取り組みの現状とその課題について、より細かく取り上げています。 ご投資にあたっての注意点
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06/22 07:00
【来週の予定】バイデン・トランプ候補、テレビ討論会で対決
来週の注目点:日米の経済指標、米国大統領候補によるTV討論会 米国では、5月コアCPI(消費者物価指数)の減速や弱い経済指標を受けて市場の利下げ期待が高まっています。引き続き景気鈍化やインフレ鎮静化が確認できれば、長期金利の低下と株高を促す展開が予想されます。 米国の経済指標は、25日(火)に6月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、26日(水)に5月新築住宅販売件数、27日(木)に5月耐久財受注、28日(金)に5月個人消費支出(PCE)・所得統計、6月シカゴ購買部協会PMIが発表されます。FRB(米連邦準備理事会)の今後の政策方針を占う上で、PCEコアデフレーターが予想通り減速するか、個人消費の現状などに注目です。 また、27日(木)にはバイデン大統領(民主党)とトランプ前大統領(共和党)がTV討論会に出席します。11月の大統領選を前に両者の支持率は依然拮抗しています。両候補の具体的な政策方針が焦点になりそうです。 日本では、24日(月)に6月日銀金融政策決定会合における主な意見が公表されます。国債購入の具体的な減額計画の発表を7月会合に先送りした日銀の金融政策には不透明感が残されており、日銀会合での議論の動向に注目が集まります。 日本の経済指標は、28日(金)に6月東京都区部消費者物価指数、5月鉱工業生産が発表されます。6月東京都区部コアCPIは前年同月比+2.1%と、5月の同+1.9%から加速すると野村證券では予想します。他方、5月鉱工業生産は前月比+2.0%と、4月の同-0.9%から持ち直すと予想します。 ユーロ圏では、24日(月)にドイツの6月Ifo企業景況感指数が発表されます。ドイツ景気は足元で停滞感が残りつつも、明るさが見えてきています。今後も緩やかな改善が続くのかが焦点です。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年6月21日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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06/21 19:00
【特集】株主優待 “人気ランキング” 総合編 (6/21)
株主優待 – 人気ランキング – (注)データ取得並び株価の数値は2024年6月7日。(注)ランキングは、野村證券ホームページ、オンラインサービスに掲載の株主優待の月間閲覧数をもとに算出。ホームページランキングは毎月第2営業日目に更新。諸般の事情により一部銘柄をランキングから除外している場合があり、順位が変わることがある。(★)マーク・・・株主優待の権利を取得できる最低株数と最低売買単位が異なる。(※1)毎年進呈するものではない。同一の株主番号で得られる最大のdポイント数は4,500ポイント。(※2)2024年9月末を基準日とする株主優待内容を記載。詳細はホームページ等参照。(※3)2025年度より優待制度変更。2025年3月31日時点で保有期間が1年以上となる株主対象。具体的なサービス、特典内容は今後ホームページ等で案内予定。(※4)株主優待制度を新設。初回は2024年8月末基準日。2回目以降は毎年2月末基準日。詳細は、ホームページ等で案内予定。(※5)株主優待制度を新設。初回は2026年3月末基準日。2025年3月末から2026年3月末の間に継続保有していた株主が対象。詳細は、ホームページ等で案内予定。2024年9月末を基準日として、普通株式1株につき10株の割合で分割。(※6)2025年12月末日を基準日より、継続して1年以上保有の株主へ変更。(※7)2024年8月末を基準日として、普通株式1株につき2株の割合で分割。(出所)野村證券ホームページ、オンラインサービス掲載「株主優待-人気ランキング-」“総合ランキング”より野村證券投資情報部作成 実施されている株主優待が変更・廃止される場合があります。また、保有株数・保有期間などにより株主優待内容や割当基準日が異なる場合があります。ご投資に際しては、株主優待内容の詳細及び最新の情報を各企業のホームページなどでご確認ください。 (野村證券投資情報部 山口 菜穂) ご投資にあたっての注意点