【野村の朝解説】関税の悪影響が顕在化し、米株下落(8/6)
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
8月5日の米国株式市場では、主要3指数が反落しました。前日引け後に、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が米国の労働市場が軟化していることなどを理由に利下げの時期が近づいているとの認識を示したことがFRBの早期利下げ期待を高め、相場を下支えしました。しかし、午前10時発表の7月ISMサービス業景気指数が市場予想を下回り、個別項目で新規受注が低下し、雇用が悪化、価格が大幅上昇しました。景気後退とインフレが同時進行するスタグフレーションを想起させ、かつ、関税政策の悪影響が遅れて出てきていることを示唆する内容であったことが相場を下押ししました。また、トランプ大統領が、早ければ来週中にも半導体や医薬品などの分野別の関税措置を発表すると述べたことも関税への警戒を強めました。セクター別では、半導体などへの分野別関税への影響が懸念される中、ハイテク株の下落が目立ちました。
相場の注目点
足元の米国株は、前週の米雇用統計の下振れで強まったFRBの早期利下げ期待が下支えしています。次週の米国では、12日の7月消費者物価指数、14日の7月生産者物価指数、15日の7月小売売上高など、金融政策への影響が大きく、関税の影響を確認するうえでも注目度の高い経済指標が発表されます。仮に、消費者物価指数などで関税による物価上昇圧力の強さが確認された場合には、9月会合での利下げ期待が低下する可能性もあります。また、21日-23日にはジャクソンホール会議が開催され、パウエルFRB議長が講演で利下げに如何なる姿勢を示すのかが最大の焦点となります。さらに、今後の金融政策を占う上でFRBの後任人事にも注目です。トランプ大統領は、「FRB議長候補は現在4人に絞られている」とし、また、辞任したクーグラーFRB理事の「後任候補を2、3人に絞った。週内に決める」と述べました。
(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)
(注)データは日本時間2025年8月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。
ご投資にあたっての注意点