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2023/09/26 15:58
【イブニングFINTOS!】米国や日本の長期金利上昇を受け、日経平均株価反落(9/26)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比38円安の32,640円で取引を開始しました。前日の米国株式市場では、主要3指数揃って小幅に反発しましたが、米国長期金利は4.5%を上回り、約16年ぶりの高水準となりました。これを引き継ぎ、日本でも長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.745%まで上昇しました。金利上昇が嫌気され、グロース(成長)株が下落し、とりわけ半導体関連株の下落が重石となり、日経平均株価は寄付き後わずか30分ほどで前日比312円安まで下げ幅を広げました。長期金利の上昇で、収益環境の改善が期待された銀行業や保険業は逆行高となりました。しかし、その後の日経平均株価は新規の材料に欠き、32,400円を挟んで一進一退を続けました。引けにかけては再度下げ幅を広げ、前日比363円安の32,315円と本日の安値で取引を終えました。 東証プライム市場全体では幅広い銘柄が下落し、値上がり495銘柄に対して値下がり1,280銘柄と、全体の約7割にあたる銘柄が下落しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・9月消費者信頼感指数(コンファレンスボード、総合) 前月:106.1 予想:105.5・8月新築住宅販売件数(年率) 前月:71.4万件 予想:69.8万件 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/09/26 15:30
【新産業紹介】生成系AIが加速させるデータセンターの光化
生成系AI(人工知能)の普及により、データセンター(DC)の光化が加速しよう。 生成系AIの使用時には、背後で大量の計算が行われる。文字で入力された質問・要望は、クラウド処理のためにDC へ送られ、DCで高度なAI 処理がなされる。 DC では、AI が質問・要望の文章を分析したうえで、回答の文章あるいは画像データを生成する。AIは、あらかじめ既存の情報で深層学習を行った巨大なデータベースを使って、入力された文字情報の内容を理解しているかのような回答を作成する。分析とデータ生成を行うため、文章での回答であっても膨大な計算が必要となる。 この計算処理のため、DC ではAI 処理ボードを何枚も搭載した高性能サーバを多数使う。現在の生成系AI の開発は100億円単位のサーバ投資が推定され、次世代開発では1,000億円単位とも言われる。 生成系AIの利用者は、質問・要望の入力後、AI の回答を待つ。迅速な回答には、DC での計算の高速化が必要である。これには、IC(集積回路)の性能向上に加え、データ伝送の高速化という方法がある。 現状、DC 内のネットワークの一部には銅回線が残っている。これを光ファイバ回線に置き換えれば、データ伝送を高速化できる。さらに、サーバ内部のボード同士の接続も、光ファイバへ変わりつつある。 近年、1枚のボード上に、電気が通る銅配線に加え、光が通る光配線(導波路)を設けるシリコンフォトニクスと言われる技術が出てきた。光ファイバとボードの接続部分だけでなく、ボード上のIC間も光配線でのデータ伝送により高速化ができる。さらに、IC内部に光配線を用いる光電混載ICの開発も進められている。 光配線では、データ伝送に伴う電力消費量を銅配線の100分の1に削減できる。DCと発電の将来予測から、2050年にはDC の電力消費が全世界の発電量の10倍以上になるとの試算もある。これに生成系AIのためのDC需要も加わるため、DCの光化は脱炭素の観点でも必要である。 DC の光化が加速することによって需要が拡大する要素技術として、光信号を電気信号へ変換する光電変換やシリコンフォトニクス、光電混載ICなどが挙げられる。こうした光と電気の融合領域は、生成系AI関連として注目したい。 (野村證券フロンティア・リサーチ部 小澤 育夫) ※野村週報 2023年9月25日号「新産業の潮流」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/09/26 12:00
【知って得する株主優待】家族みんなで楽しめる株主優待ランキング(9/26)
家族みんなで楽しめる株主優待ランキング 本記事は『知って得する株主優待 2023年版』 より作成しました。 「知って得する株主優待」は優待実施企業の情報を網羅している「元祖」株主優待専門誌として投資家に愛読されています。 ※ご投資に際しては株主優待以外の要素についてもご確認ください。また、保有期間中に優待内容の変更や廃止等が発表されることがあります。各企業のリリース等最新情報をご確認ください。 (注)・データ取得並び株価の数値は2023年9月1日。・(★) 株主優待の権利を取得できる最低株数と最低売買単位が異なりますので、株主優待に必要な株数を必ずご確認ください。・実施されている株主優待が変更、廃止される場合もあります。保有株数、保有期間などにより、株主優待内容や割当基準日が異なる場合があります。・ご投資に際しては、株主優待内容の詳細及び最新の情報を各企業のホームページなどでご確認ください。・諸般の事情により特定の銘柄をランキングから除外させて頂いている場合があり、順位が変わることがあります。・本資料の株主優待ランキングの著作権は野村インベスター・リレーションズ株式会社に属します。・(※1)2024年3月末現在の株主名簿に記載される株主優待内容を記載しています。詳しくはホームページをご確認ください。・(※2)2024年12月末基準日までの株主優待制度を記載しています。 2025年12月末基準日より変更になります。詳しくはホームページをご確認ください。・(※3)2023年9月末基準日として普通株式5株につき1株の割合で併合します。株主優待制度は2024年3月末基準日より変更になります。詳しくはホームページをご確認ください。 (出所)野村インベスター・リレーションズ株式会社『知って得する株主優待 2023年版』“家族みんなで楽しめる株主優待ランキング” より野村證券投資情報部作成 ※ランキングは、「知って得する株主優待」2022年版で実施した読者アンケートの結果(有効回答数1,631件)に基づいています。4つのテーマ(「マイベスト」「家族みんなで楽しめる」「女性にうれしい“美と健康”」「株を長く保有したい」)に該当すると思う株主優待実施銘柄を、同誌掲載の1,456社を対象に1つ以上3つまで選択する方式で実施(ただし、その後上場を廃止した銘柄、株主優待を廃止した銘柄は除く)、項目ごとに集計しています。 (野村證券投資情報部 山口 菜穂) ご投資にあたっての注意点
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2023/09/26 09:30
【チャート分析】三菱商、史上最高値更新の動き続く
このたび、日本株の年初来騰落率上位銘柄をチャート分析しました。 【TOPIX100採用銘柄】年初来騰落率上位ランキング(2022年12月末~2023年8月末) (注)対象はTOPIX100採用銘柄。騰落率は、2022年12月末値と2023年8月末値の比較で算出。(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 今回は8月末時点で上昇率第2位の三菱商事(8058)を取り上げました。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 主要移動平均線は角度のついた上向き 当社は、資源エネルギー分野等を強みに持つ日本トップクラスの総合商社です。 (図1)当社の株価は、2020年8月安値形成以降、長期上昇トレンドが続いています。今年3月には2022年6月高値を奪回し、その後より角度のついた上昇トレンドに移行しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 主要移動平均線はいずれも上向きとなっており、この先13週移動平均線などを下値サポートにしながら、引き続き史上最高値更新の動きが続く展開が想定されます。 押しメドはまず13週線が挙げられる (図2)ただ、今年6月高値形成時に長い上ヒゲが現れ、その後は上昇の動きが一時的に緩やかになりました。 仮にこの先上昇一服となり、押しを入れる展開となった場合は、まず13週移動平均線(9月15日:7,104円)で下げ止まりとなるか注目されます。同水準を割り込んだ場合は、さらなる下値メドとして2022年7月安値~2023年9月高値の上昇幅に対する1/3押し(6,401円)の水準が挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月15日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/09/26 08:32
【モーニングFINTOS!】米国株 5営業日ぶりに反発(9/26)
海外市場の振り返り 25日の米国株式市場で、主要3指数は揃って5営業日ぶりに反発しました。一部の大型株が個別要因で上昇したものの、FRBによる金融引き締めが長期化することへの懸念が、相場の重しとなりました。 相場の注目点 9月に公表されたFRBのドットチャートでは、2023年内に1回の追加利上げと、2024年はそこから2回の利下げの予想が示されました。市場の過度な金融緩和期待が高まるのを防ぐ効果とともに、長期金利の上昇を誘発しています。一方、米国企業の業績見通しについては、テクノロジー企業を中心に拡大が予想されています。10月中旬からは、米国企業の2023年7-9月期決算発表が始まります。S&P500指数EPSは、2023年4-6月期の決算発表シーズンの山場を越えた後も一部企業で業績予想の改善が進み、2023年7-9月期から前年同期比で増益に転換する予想になっています。そして、2024年には2桁増益に達する見通しです。米国企業業績は上方修正局面入りしており、増益率が拡大する場合、株式市場の追い風になるとみられます。 本日のイベント 本日は、米国で7月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、9月の消費者信頼感指数が発表されます。また、ボウマンFRB理事が日本時間翌2:30に講演を行います。22日に同理事は複数回の追加利上げが望ましいとの考えを示しており、考え方に変化がないか注目されます。 (投資情報部 寺田 絢子) (注)データは日本時間2023年9月26日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【今週の米国株】ストライキ、原油高…インフレかく乱要因を注視/決算はマイクロンに注目 (9/25) 【知って得する株主優待】マイベスト総合ランキング(9/25) ご投資にあたっての注意点
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2023/09/25 20:00
【今週の米国株】ストライキ、原油高…インフレかく乱要因を注視/決算はマイクロンに注目 (9/25)
1分でわかる今週の米国株 先週の9月FOMC(米公開市場委員会)では、政策金利は大方の予想通り据え置かれたものの、2023年末の政策金利見通しについては、現行水準よりも0.25%ポイント高い6月FOMC時点の見通しが維持されました。FRB(米連邦準備理事会)は、今回の会合では利上げを見送ったものの、今後のデータ次第では、利上げを行う用意があることを示しました。 また、2024年末、2025年末の政策金利見通しを6月時点より共に0.50%ポイント引き上げました。これをタカ派的と受け止めた市場参加者が多く、株式市場は軟調に推移しました。 今週のPoint1. 12月FOMCまでの論点 先物金利を見ると、FRBの政策金利見通しを受けて年内に追加1回の利上げが5割程度織り込まれています。いずれにせよ、米国の利上げ局面が最終盤にあるならば、市場参加者の関心は、利下げ開始時期に移行すると予想されます。仮に1回当たりに金利変更幅を0.25%ポイントとした場合、2024年中に2回の利下げが予想されています。その場合、利下げ開始は早くても9月以降になると予想されます。 今週のPoint2.政府閉鎖とストライキ、2つの市場かく乱要因に注意 政府閉鎖 10月1日(日)から始まる2024財政年度に向けて、予算協議が難航しています。9月30(土)までに予算が成立せず、暫定予算案も合意に達しない場合、政府閉鎖となります。短期的にはそのリスクが高まっています。2024財政年度予算を巡っては、既に2023年6月に成立した財政責任法によって大枠が決定したはずでしたが、足元では、下院共和党保守派が財政責任法による規定よりも大幅な歳出削減を主張しています。政府閉鎖となれば共和党も責任を問われ、支持率が低下する恐れがあるため、政府閉鎖は短期間で収束すると想定されますが、長引けば株式市場の重石となる可能性があります。 UAW(全米自動車労組)ストライキ 9月15日(金)よりUAWがストライキを開始しています。自動車在庫/売上比率は、依然としてコロナ前の水準を大きく下回る中で、生産が停滞すれば再度需給が逼迫、価格が上昇しやすいと考えられます。景気への影響のほか、これまでインフレ率全体の低下に寄与してきた自動車価格の再上昇は物価の再加速に繋がりかねません。足元ではWTI原油価格も1バレル=90ドル前後で高止まりしており、こうしたインフレのかく乱要因には注意が必要です。 今週のPoint3.メモリ大手のマイクロン・テクノロジーなど6-8月期決算に注目 2023年6-8月期決算発表が本格化しており、今週はマイクロン・テクノロジー(MU、27日(水)引け後)等の発表が予定されています。マイクロン・テクノロジーはメモリー半導体大手で、売上高で見て世界3位(1位はサムスン電子、2位はSKハイニクスと韓国企業が占める)です。 米国株全体を見通すうえで、当社に注目すべき理由は2点あります。 1点目は、メモリーが半導体市場全体に与える影響です。製品別で見ると、メモリーはロジックについで市場規模が大きいうえ、年ごとの振れ幅が大きいため、メモリーの回復度合いが2024年以降の市場に影響を与えると考えられます。 2点目として、設備投資動向の重要性です。一般論として、メモリー半導体メーカーの多くはファブレス(工場を持たない業態)ではなく、IDM(垂直統合、自社で工場を持ち生産する業態)であることから、投資計画が半導体製造装置や素材などサプライチェーン全体に影響を及ぼします。加えて、足元では経済安全保障の観点から、半導体のサプライチェーンも米国内に置く動きが加速しています。半導体メーカーの投資動向がアプライド・マテリアルズ(AMAT)やラム・リサーチ(LRC)など米半導体製造装置企業の業績を左右しうるため、当社にも今まで以上に注目度が高まっています。 そのほか、26日(火)にはディスカウントストア大手のコストコ・ホールセール(COST)が、28日(木)にはコンサルティング大手のアクセンチュア(ACN)やスポーツ用品大手のナイキ(NKE)が発表を予定しています。いずれも、10月中旬から始まる7-9月期決算を見通すうえで重要な示唆情報となりそうです。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点
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2023/09/25 17:00
【銘柄紹介】アステラス製薬/クボタ/富士通
アステラス製薬(4503) 医薬品 新薬販売に伴う業績寄与に期待 4~6月期コア営業利益は、為替影響による販管費や研究開発費の増加で野村従来予想を下回った。販管費にはホットフラッシュ治療薬Veozah の関連費用約50億円が含まれるも、研究開発費では前期に計上したVeozah の優先審査の関連費用が剥落した。 会社はコアベースの2024.3期業績予想を維持もフルベースの営業利益を下方修正。Meppel 工場譲渡による減損73億円と日本の商業構造を含むグローバルでの組織再編に伴う一過性費用200億円を織り込んだ。 Veozah は販売開始に伴う積極的な販促活動と保険適応の拡大などにより、24.3期の売上高は462億円に上ると野村では考えている。 地図状萎縮治療薬Izervay に注目 現地時間8月4日に当社はFDA(アメリカ食品医薬品局)より、地図状萎縮(GA)治療薬としてIzervay が米国で承認されたと発表。足元で上市している治療薬はApellis Pharmaceuticals社のSyfovreと当社製品Izervay のみだが、有効性と安全性の観点からIzervay は競合薬に比べて有用だと野村では考えている。 治験における有効性検討では、GA の症状進行速度をIzervay投与12カ月後で最大35%抑制(Syfovre:投与24カ月後で最大22%抑制)している。安全性では、Syfovreは投薬で重症化した眼内炎が発症しているが、Izervayでは軽度に留まっており、安全性が高い薬剤といえよう。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 松原 弘幸) クボタ(6326) 機械 農機、小型建機のグローバル企業 1890年の創業以来、水道用鉄管による近代水道の整備、農機による食料増産と省力化などに貢献してきた。農機、小型建機を強みとするグローバル企業で、2022.12期では海外売上高が全社の78%、北米が同41%を占める。建機では6t 以下の小型建機を中心に手がける。 これまでの業績の不透明要因だった北米市場では住宅市場の悪化に伴う主力の小型トラクタの需要減と在庫調整といった悪材料が消化されてきている。住宅向けが過半を占める小型トラクタは24年には小売りが前年比で増加に転じよう。23年4~6月期以降に大幅な減産に入ったが、23年末にはディーラー在庫は適正水準に戻ると見る。 北米での小型トラクタの回復に注目 北米で当社が主力とする小型トラクタについて、野村では小売り台数を23.12期に前期比9%減と見込むが、24.12期では同4%増、25.12期では同3%増と緩やかな回復を予想する。一方、小型トラクタの卸売(当社の売上高)は、在庫調整のため大幅な減産に入っており、23.12期通期では同36%減を野村では予想する。ただし全社業績については円安の好影響が大きく、23.12期では前期比30%営業増益を予想する。 最終需要である米国住宅市場の回復をうけた小売り販売の好影響で、24.12期の卸売は増収に転じると見る。そのため、24.12期では前期比4%営業増益と利益成長の継続を見込む。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 前川 健太郎) 富士通(6702) 電気機器 国内サービス受注は好調に推移 2023年4~6月期の営業損益は前年同期比273億円悪化の17億円の損失となった。顧客の在庫調整の影響でデバイスやネットワークが低迷、海外もIT(情報技術)投資抑制の影響で赤字となった。ただ、注力するサービスソリューションは増益となり、24.3期通期でも業績を下支えしよう。 第1に、国内サービスソリューションの受注は同18%増と好調で、基幹系刷新需要が強く今後も順調に推移しよう。第2に同部門の4~6月期の粗利率は同1.6%ポイント改善した。開発標準化、自動化、内製化の効果が出ている。第3に、値上げ効果が出始めており、24.3期下期からは収益性改善に本格的な寄与が始まると見られる。 サービスシフトでキャッシュ創出力を強化 26.3期中期経営計画では、サービスソリューションに経営資源を集中、海外やハードウェアでは構造転換を重視する方針。営業利益5,000億円目標はやや野心的な印象だが、デジタル変革需要の取り込みとサービスの標準化等で採算性改善が続こう。 第1に、サービスソリューションでは今後3年間で4,200億円の増収効果で1,500億円の営業増益を見込む。課題解決型ソリューションの新ブランドFujitsu Uvanceを中心としたデジタルサービスが成長を牽引しよう。第2に、キャッシュ創出力が強化され3カ年の事業成長投資7,000億円と株主還元6,000億円とバランスの取れた配分が期待される。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山崎 雅也) ※野村週報 2023年9月25日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/09/25 16:21
【イブニングFINTOS!】日経平均株価 5営業日ぶりに反発 日銀の政策維持が支え(9/25)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は、前週末比114円高の32,517円で取引を開始しました。22日に日銀が金融政策の維持を決定し、引け後の記者会見では、日銀の植田総裁が金融政策の修正時期について明言を避けたことで、早期の利上げへの過度な懸念が後退しました。寄付き直後は下落に転じる場面もありましたが、前週の一週間で日経平均株価は約1,130円下落していた反動もあり、徐々に上げ幅を拡大する展開となりました。後場に入っても、新たな材料がない中、高値圏で一進一退となりました。結局、日経平均株価は前週末比276円高の32,678円とこの日の高値圏で取引を終えました。 個別では東京エレクトロンやソフトバンクグループ、アドバンテストといった値嵩株や半導体関連株の一角が上昇し、日経平均株価を約141円押し上げました。また、第一三共は22日に英アストラゼネカと開発中の抗がん剤について、臨床試験結果で改善を示したと発表したことが好感され、株価は前週末比+7.55%となり、値上がり率は首位となりました。 本日発表予定の海外経済指標等 特にありません。 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/09/25 15:30
【市場展望】歳出膨張よりも硬直化が問題
過去最高となった概算要求額 9月5日、財務省から2024年度予算の一般会計概算要求・要望額が公表された。要求総額は、22年度の111兆6,559億円を上回る114兆3,852億円と、過去最高となった。メディアにおいては、要求額が過去最高を記録した点を含め「110兆円を上回るのは3年連続で、100兆円を超えるのは10年連続」(23年9月5日付日本経済新聞電子版記事)など、際限ない歳出の膨張を問題視する論評が目立つ。 財政規模の拡大に歯止めが効かなくなることも問題ではある。しかし、24年度予算概算要求に関しては、むしろ歳出の硬直化の方を問題視するべきであるように思われる。歳出の硬直化とは、事後的に柔軟に増減することが困難な支出の全体に占める割合が上昇することを指す。 日本の財政の歳出を硬直化させる要因としては、高齢化の進行に伴う社会保障関係費の増加がもとより存在していた。それに加え、22年12月16日に閣議決定された防衛力整備計画(23~27年度の5カ年)では計画実施に必要な防衛力整備経費の水準が43兆円程度とされ、一般会計予算における防衛関係費は27年度に8兆9,000億円程度まで増加していくことになる。岸田政権の下で打ち出された「次元の異なる少子化対策」も、歳出硬直化に繋がり得る一因となる。6月に策定された「こども未来戦略方針」においては、こども家庭庁予算を30年代初頭までに倍増させ、同方針の少子化対策加速化プランの下でそのうち「3兆円半ば」の規模増額を3年間で実現させるとしている。24年度予算は、これら新たな歳出固定化・硬直化要因が現実の予算に組み込まれはじめるタイミングでもある。 24年度予算概算要求では、国債費の増加も目立ち、これも歳出の硬直化要因と評価できる。概算要求における国債費は、28兆1,424億円と、23年度予算比で2兆8,921億円増となっている。概算要求に当たっての国債の元利払いの想定金利を1.5%と、23年度予算政府案決定時の1.1%から0.4%ポイント、同概算要求時点の1.3%から0.2%ポイント引き上げたことが影響している。「金利のある世界」の再来を前提とすれば、相応の国債利払い費が財政コストとして固定化されるのは必然である。 歳出構造の柔軟化は急務 本来あるべき姿としては、こうした歳出の硬直化・固定化に対応し、備えるために、①安定的な財源を確保する、②更なる歳出改革により裁量的な支出の部分で適切な効率化や弾力化を行う、といった取り組みが必要となる。これまでの議論を見る限り、①の点では、増税を視野にいれた税制改革、社会保険料改革は先送りが続いている。②の点では、裁量的支出の歳出効率化に向けた改革が進むどころか、経済対策と補正予算編成を通じた比較的大規模な歳出の追加が半ば常態化している。 岸田首相は、9月13日の内閣改造と自民党役員人事を経て、臨時国会に向けた経済対策の策定に入る見込みである。9月10日にG20(20カ国首脳会議)終了を受けて行われた記者会見では、「新たな体制で思い切った経済対策をつくり、早急に実行していく」「必要な予算にしっかりと裏打ちされた思い切った内容の経済対策を実行したい」と表明しており、今年度も補正予算編成によって歳出規模がさらに拡大する流れは不可避となりつつある。 今次概算要求においても、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費並びにウクライナ情勢経済緊急対応予備費」については、金額を定めない事項要求扱いとされており、後の更なる歳出膨張の萌芽を残しているとも評価できる。 当初予算編成において必要な政策経費を精査した上で予算を措置しながら、事後的に大規模な補正予算編成が慣例化することは本来避けなければならないはずだが、逆に事後的に相当規模で歳出を拡大させる必要が見込まれるのであれば、その分、当初段階では歳出構造を十分に弾力化しておく必要があるとも考えられる。 さらに中長期的にみれば、防衛力大幅強化の動機ともなっている地政学的リスクの増大、日本が地理的な特性上避けることのできない南海トラフ地震などの大規模災害リスクの存在を踏まえた場合には、有事の際に相応の規模の歳出拡大余地を確保し、また、そうした緊急の大規模歳出によっても財政運営の持続可能性が損なわれない状態を維持する必要がある。財政の歳出構造は予め相当程度の柔軟性を確保しておく必要があるとも言える。このような点でも、24年度予算概算要求における歳出構造の硬直化は憂慮すべき問題であろう。中期的な防衛力強化、少子化対策がスタートするのを契機として、歳出構造の硬直化を如何に回避するかの議論とそのための仕組みづくりが急がれるところであろう。 (野村證券経済調査部 美和 卓) ※野村週報 2023年9月25日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点