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11/25 08:00
【マーケット解説動画】日経平均、20日に年初来高値更新(11月24日引け後収録)
テクニカル展望(11月24日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の岩本ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均、20日に年初来高値更新」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足・月足3.ル円相場:日足4.来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部ストラテジスト 岩本 竜太郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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11/25 07:00
【来週の予定】11月に為替介入は実施されたのか?為替介入実績が公表
来週の注目点:米経済の軟着陸期待は続くか、主要経済指標に注目 市場では米国経済はソフトランディング(軟着陸)するとの期待が徐々に高まっており、米国、翻って日本の株高を支えています。労働市場が急速に悪化することなく、インフレ指標の減速が続くことで追加的な利上げの必要性が低下し、緩やかに米経済が減速してマイナス成長に至らないであろう、との期待です。また、半導体業界では生成AIによる需要増や在庫調整が進展し、製造業が底打ちするとの期待も相場を下支えしています。 米国では、27日(月)に10月新築住宅販売件数、28日(火)に11月コンファレンスボード消費者信頼感指数、全米小売業協会(NRF)による感謝祭週末の売上結果、世界半導体市場統計(WSTS)の秋季半導体市場予測、29日(水)に地区連銀経済報告(ベージュブック)、30日(木)に10月個人消費支出・所得統計、11月シカゴ購買部協会PMI、12月1日(金)に11月ISM製造業景気指数と、重要統計の発表が相次ぎます。 中国では、30日(木)に11月政府版PMI、12月1日(金)に11月財新版製造業PMIが発表されます。中国の住宅市況は足元で更に悪化しており、欧米の景気減速に伴う外需悪化も景況感の下押し材料になると見られます。そのような中、在庫調整の進展、景気刺激策の効果がどの程度現れるかに注目です。 日本では、30日(木)に10月鉱工業生産、11月の外国為替平衡操作の実施状況で通貨当局による為替介入額が発表されます。2022年以来続く歴史的な円安ドル高は、11月中旬に1ドル=151円台後半の攻防を経て、米長期金利の低下に伴い148円台まで調整しています。通貨当局は150円や152円を防衛ラインに置いていると市場では見られており、11月に為替介入が実施されたか否か注目が集まります。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年11月24日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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11/24 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (11月第4週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2023年11月第4週(2023年11月17日~11月22日) 2023年11月月間(2023年10月31日~11月22日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年11月22日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年11月22日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2023年11月第4週(2023年11月17日~11月22日) 2023年11月月間(2023年10月31日~11月22日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年12222日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年11月22日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX︓東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2023年11月24日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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11/24 16:35
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、一時年初来高値を更新も、伸び悩み173円高(11/24)
本日の株式市場 前日は日米ともに株式市場は休場でしたが、22日の米国市場で主要3指数は揃って上昇しました。その流れを受け、本日の日経平均株価は、前営業日比300円高の33,752円で取引を開始しました。寄り前に発表された日本の10月全国消費者物価指数は4ヶ月ぶりに伸び率拡大を示しましたが、市場への影響は限定的でした。一方、外為市場では、1米ドル=149円を超える円安水準となり、円安を背景に輸送用機器の上昇が目立ちました。日経平均株価は寄り付き後も上げ幅を広げ、一時年初来高値の33,753円を上回り、前営業日比366円高の33,817円となる場面もありました。しかし、高値警戒感から上値は重く、33,700円台で一進一退を続けました。後場に入ると上げ幅を縮め、結局、前営業日比173円高の33,625円と続伸して取引を終えました。 休日の谷間で、今晩の米国市場は短縮取引となることから積極的な売買を手控える雰囲気が強く、東証プライム市場の売買代金は3兆2517億円にとどまりました。 本日発表予定の海外経済指標等 【ドイツ】・11月 Ifo 企業景況感指数 (総合) 前月: 86.9 予想: 87.5 【米国】・11月 S&P グローバル PMI 速報値 (製造業) 前月: 50.0 予想: 49.9 (サービス業) 前月: 50.6 予想: 50.3 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/24 12:00
【今週のチャート分析】日経平均、取引時間中ベースで年初来高値更新(11/24)
※2023年11月22日(水)引け後の情報に基づき作成しています。 中段保ち合いを完全に上放れできるか注目 今週の日経平均株価は、急速な円高・ドル安を背景に、週前半は下落しましたが、その後は日米長期金利の低下などを受け、底堅く推移しました。 日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、11月に入り75日移動平均線(11月22日:32,196円)を上抜けたことに加え、10月13日高値(32,533円)を超え10月4日・30日安値でのダブルボトムが完成となったことから、本格的な上昇トレンド入りとなっています(図1)。 20日にはザラバベースで6月19日高値(33,772円)を一時上回り年初来高値を更新しました。その後押しを入れましたが、それら急騰の反動をこなしつつ、11月20日高値(33,853円)を超え中段保ち合いを完全に上放れできるか注目されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2023年11月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 また週足チャートで見ると、今回の中段保ち合い上限への接近は、下落率や調整期間の点で2020年6月~10月末の中段保ち合い時と比較して調整十分となった後の上限接近です(図2)。上限突破となる可能性も十分考えられ、次の上値メドとして心理的フシの35,000円の水準が挙げられます。 (注1)直近値は2023年11月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 一方で、上値が重く一旦調整を入れる動きとなった場合は、11月6日上抜け後に下値支持線として機能した75日移動平均線(11月22日:32,196円)や、上向きに転じた25日線(同:32,125円)が下支えとなると期待されます(図1)。 米長期金利・日米株、中期トレンドに変化やその兆し 10月にかけては米国長期金利の上昇が、株価の下落につながっていましたが、一転11月は長期金利が低下し、株価は上昇しました。チャートで見れば、その動きは揺り戻しの範疇を超え、複数の指数で中期トレンド(数ヶ月単位の方向性)に変化や、その兆しがみられています。 ①米国10年債利回りは、今年4月ボトムから続いてきた上昇トレンドラインを割り込み(図3)、②NYダウは今年8月以降の下降トレンドラインを完全に上抜けました(図4)。 (注1)直近値は2023年11月20日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (注1)直近値は2023年11月21日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成 そして③日経平均株価も大幅上昇し、11月20日に取引時間中ベースでの年初来高値(33,853円)をつけました(図1)。その後は押しを入れていますが、10月安値は下落率や下落期間の面でみて調整十分と捉えられ、同安値で大底を形成した可能性が高いと考えられます(図2)。そのため、この先、急上昇の反動をこなしつつ、中段保ち合いの明確な上放れに向けた動きとなることが期待されます。11月に生まれた相場の新たなトレンド(方向性)が2024年にかけて継続となるか注目されます。 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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11/24 09:30
【テーマ銘柄】SiCパワー半導体、EV向け市場は22年→27年で5倍予想
自動車の電動化ではパワー半導体が主役 パワー半導体は、電力の制御・供給を行う半導体です。EV(電気自動車)などの電動車に必要不可欠なインバーターやオンボードチャージャー(車載用充電器)などに用いられています。 現在EVに搭載されているパワー半導体の主流はSi(シリコン)を材料としていますが、今後は、電力損失の更なる低減や小型化を実現すべく、SiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)を材料とする半導体の採用が徐々に進んでいくと予想されます。 EV向けにSiCパワー半導体市場の拡大が期待される SiCパワー半導体は、従来のSiに比べて動作上限温度が高く、耐圧性に優れています。欧州や米国などでは、EVの電池電圧を現状の2倍となる800Vまで高める取り組みが加速しており、高電圧化がSiCパワー半導体普及の追い風となりそうです。 他社に先駆けてEV大手のテスラは、量産型EV「モデル3」にSTマイクロエレクトロニクス製のSiCパワー半導体を採用しました。2025年には、他の自動車メーカーからもSiCパワー半導体を採用したEVが次々と市場に投入される見込みです。SiCウエハー最大手のウルフスピードによると、2027年のEV向けSiCパワー半導体の市場規模は、2022年比約5倍に成長すると予想されています。 (注)EV向けSiC市場の数値はウルフスピードの推定・予想値(2022年10月31日時点)。(出所)Yole Power「SiC 2022 report」、ウルフスピード「Investor Day 2022」より野村證券投資情報部作成 太陽光発電などでも活用が進む 再生可能エネルギー分野では、太陽光発電用パワーコンディショナーなど電力変換システムで、Siの代替として、SiCパワー半導体の活用が進んでいます。太陽光発電では、太陽光により直流電力を生み出し、それを家庭やオフィスで利用するために交流電力に変換する必要があります。そのため、変換効率と電力密度を向上させることができるSiCが採用されています。 風力発電用では、コスト競争力に優れる現行のSiが依然として用いられているものの、系統蓄電池やEV充電器用ではSiCが主流となっています。 (注1)インフィニオン・テクノロージズが主催するイベントInfineon Power Roadshow(Nov.22)を参照。(注2)半導体搭載金額は、1メガワット(1MW)の電力を生成するために使用される半導体搭載額の費用をユーロで表したもの。(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 ご参考:パワー半導体関連銘柄の一例 ・レゾナック・HD(4004) 2022年9月にSiCパワー半導体に使用されるSiCエピタキシャルウエハーについて、国内メーカーとして初の200mm(8インチ)サイズのサンプル出荷を開始した。 ・ディスコ(6146) SiCの塊(インゴッド)から、高効率かつ高精度にウエハーを切り出す加工技術「KABRA(カブラ)」を開発した。 ・三菱電機(6503) パワー半導体世界大手。SiCパワーモジュールをEV向けに展開するなどして、2031.3期のパワーデバイス事業におけるSiC関連の売上高比率を30%以上に高めるとしている。 ・富士電機(6504) パワー半導体の世界大手。SiCパワー半導体の生産能力を2027.3期に2023.3期比50倍に増強するとしている。 ・ルネサスエレクトロニクス(6723) 2025年にSiCパワー半導体の量産開始を計画している。2023年7月にウルフスピード社とSiCウエハーの長期(10年間)供給契約を結んだ。 ・デンソー(6902) 同社が開発したSiCパワー半導体を用いたインバーターが、トヨタ自動車LEXUSのEV専用モデルに搭載されている。 ・ローム(6963) 2009年にSiCウエハーメーカーを買収した。2022年にSiCパワー半導体の量産を開始した。2028.3期までにSiC事業に5,100億円の投資を計画している。 ・ウルフスピード(A3028/WOLF US) SiCパワー半導体専業メーカー。ウエハーからモジュールまで手掛けている。 ・STマイクロエレクトロニクス(A3910/STM US) 2019年にSiCウエハーメーカーを買収した。当社製のSiCパワー素子がテスラの「モデル3」のインバーターに量産車として初めて採用された。 ・インフィニオン・テクノロジーズ(G0333/IFX GY) 世界トップクラスの車載半導体メーカー。パワー半導体では世界トップシェア。韓国現代自動車グループのEVプラットフォームにSiCパワー素子が採用された。 (注1)HDはホールディングスの略。(注2)外国株式のコードは、野村コード/ブルームバーグコード。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 澤田 麻希) ※画像はイメージ。 ご投資にあたっての注意点
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11/24 08:43
【モーニングFINTOS!】原油安を巡る産油国の動向に注目(11/24)
海外市場の振り返り 22日の米国株式市場は、主要3指数揃って上昇しました。週間新規失業保険申請件数や11月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などの結果は雇用環境や消費者センチメントの改善を示唆する結果となり、年末商戦を前に市場では好材料視されました。23日の米国株式市場は休場でした。欧州各国の株式市場は総じて小幅高となりました。ドイツ・英国の11月HCOB・製造業PMIが市場予想を上回りました。21日、22日に下落していたエネルギー株の反発が上昇をけん引しました。 相場の注目点 22日の米国株式市場では原油安も相場の下支え要因となりました。サウジアラビアを中心に減産延長及び強化の可能性が指摘されていたOPECプラス閣僚級会合が、11月26日から30日への延期が発表されています。サウジアラビア側とアフリカ産油国との間で意見の対立があったことが背景であると報じされており、原油安につながっています。原油価格の動向は、日米の消費者物価あるいは金融政策の動向を占ううえでも注目されます。 本日のイベント 本日国内では、10月全国百貨店売上高が発表されます。前週発表された10月の訪日外国人客数は、コロナ禍前(2019年同月)の水準を初めて上回りました。インバウンドの堅調な消費に対しての期待が高まる中、百貨店売上の好調さが継続しているか注目です。 (投資情報部 大坂 隼矢) (注)データは日本時間2023年11月24日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【野村の動画】投資家に買われた「配当利回り3%以上」銘柄は?トップ20を紹介(2023年8-10月分) 【野村の投資判断】ドル円見通しを修正:2024年12月末は135円と予想 ご投資にあたっての注意点
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11/23 19:00
【野村の動画】いますぐはじめよう!新NISA
インフレの進行に伴い、資産の実質価値を守るインフレヘッジとしての資産運用の重要性が高まっています。その手段の一つとして、来年から話題の新NISAがスタートします。今回はその魅力と有効な使い方について、ご説明させていただきます。 ご投資にあたっての注意点
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11/23 13:00
【市場展望】イスラエルとハマスの紛争と金融市場
中東の地政学リスク 10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエル南部にテロ攻撃を行った。その後、イスラエル軍が反撃のためにガザ地区に侵攻し、戦闘が続いている。 イスラエルに関しては、1947年の建国以降、73年まで、パレスチナ人を支援する周辺のアラブ諸国(エジプト、ヨルダン、シリア)との間で4回に渡り、大規模な戦争(第1~4次中東戦争)が発生している。特に、73年の第4次中東戦争では、サウジアラビアなど湾岸諸国がアラブ諸国を支援した。イスラエルを支援する西側諸国を制裁するため、原油価格を引き上げた結果、第1次石油ショックが発生し、世界の経済や金融市場に多大な影響が生じた。 ハマスの攻撃が発生した直後の金融市場で、イスラエルでの株安、通貨安、米国債利回りの低下、円高といった安全への逃避の動きや、一時的な原油高が見られたのは、そうした過去の反応が思い起こされたためだろう。 戦闘はまだ続いており、犠牲者が増えている。各国で人道的な停戦が協議されてはいるものの、ハマスの再攻撃のリスクを排除したことが確認されるまで、イスラエルがガザ地区への攻撃を停止する可能性は低く、現時点では、大規模戦闘停止の目途は立っていないと考えられる。さらに、大規模戦闘終了後のガザ地区の統治を巡り協議が行われると見られるが、イスラエル、パレスチナ自治政府、欧米諸国、中東のイスラム教国の意見の対立は不可避だろう。 もっとも、現在のガザにおける紛争が、今後、金融市場や経済に与える影響は限定的と見られる。 中東地域における大規模な戦争だったイラン・イラク戦争(80~88年)、湾岸戦争(90~91年)、イラク戦争(2003年)では欧米が紛争に参戦したため、株から債券といった安全資産への逃避が起こり、円高や金価格上昇が見られた。 特に、イラン・イラク戦争では、タンカー攻撃の報復として1987年10月に、米軍がペルシャ湾のイランの石油施設を爆撃したことが、ブラック・マンデーの一因になった。このため、中東の有事は、欧米の投資家の警戒を呼びやすい面がある。 国家間紛争ではなく、産油地帯から遠い もっとも、ハマスは国家ではない。背後にイランが関係しているとはいえ、国家間の紛争ではなく、米国が安全保障協定を理由に介入する可能性は低い。そして、イスラエルの正規軍と比べ、ハマスは圧倒的に劣勢である。欧米が加勢するまでもないと言える。2006、08、14、21年に発生したイスラエルとハマスの衝突は、イスラエル軍の圧勝に終わった。今回の紛争もイスラエルの単独攻撃になろう。また、イスラエルは事実上の核保有国である。ハマスへの核攻撃を示唆したイスラエルの閣僚の発言が物議を醸している。核による報復のリスクを踏まえると、イランなどのイスラム教国が前面に立ち、正規軍を軍事介入させる可能性は低い。金融市場において、イスラエルや中東の周辺諸国以外の通貨や資産については、安全への逃避が生じる可能性は低いだろう。 原油高の材料にもなりにくいだろう。ガザ地区は、産油地帯ではなく、原油の輸送ルートからも離れている。産油地帯、輸送路にあたるペルシャ湾、ホルムズ海峡で発生したイラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争とは異なっている。産油地帯、輸送路における紛争だからこそ、欧米は軍事介入を行うのであり、そうではない地域では、介入を敢えて行わないと言える。 一方、イランの目論見通り、サウジアラビアなどの湾岸諸国は、ハマスの攻撃以降、イスラエルを批判し始めた。そして、直前まで進めていたイスラエルとの国交樹立交渉などは当面見送るだろう。しかし、1973年の第4次中東戦争の時のように、イスラエルを支援する西側諸国への制裁目的に原油価格を引き上げる可能性は低い。エジプトやヨルダンがハマスを支援している訳ではない。ハマスのテロ攻撃を支持すれば、イランの軍事・外交方針に従わざるを得なくなり、欧米との関係が悪化する。湾岸諸国の対応は平和的で、早期の停戦を呼び掛けたり、カタールのように人質の解放の仲介をしたりと、欧米との関係に配慮した対応に終始すると見られる。 ハマスの背後にいるイランへの制裁強化を原油高の理由に挙げる向きもある。しかし、トランプ前米政権時代に米国は核合意から離脱し、現在も復帰していない。バイデン現政権もイランに対して金融制裁を行っている。この制裁によって各国がイランから正規に原油を輸入することは、既に困難な状態だという点に留意したい。今後の追加制裁が世界の原油供給に影響を与える余地は少ないだろう。 (野村證券経済調査部 吉本 元) ※野村週報 2023年11月20日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点