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2023/10/15 09:00
【業界展望】業績安定性と成長性を兼ね備える総合電機
事業ポートフォリオ改革が進む 電機業界を取り巻く事業環境が大きく変化している。インフレ傾向による消費低迷、サプライチェーンの混乱、地政学リスクの高まり、マクロ景気の先行き不透明感の増大がみられる。とはいえ、総合電機や日系半導体各社の業績は比較的安定している。主要8社の営業利益は2023年度に前期比1%増益の2兆2,990億円を予想する。事業ポートフォリオの再構築が進み業績変動の大きい事業が減り、需要の強い分野のウエイトが高まっているためである。 00年からの10年間はIT バブル崩壊やリーマンショックまで総合電機の国際競争力が低下した時代だった。不採算事業や低収益事業から撤退し、自社の強みが生かせる分野に経営資源を集中させた。再編が進むと同時に収益力の強化と安定化が進んだ。 事業ポートフォリオを大きく入れ替えた代表例として日立製作所が挙げられる。かつて20社以上あった上場子会社は22年度にゼロとなり、日立Astemoも23年中に非連結化させる。コア事業である社会イノベーション事業にポートフォリオを集中し、グリーン、デジタル、コネクティブの3つの社会潮流に対応して資産獲得もした。 コロナ禍でも最高益を更新し続けた企業に富士電機がある。事業ドメインをエネルギー・環境と明確化し、利益の源泉である工場の体質改善に向け「ものつくり」を強化した。内製化・自動化の推進、グローバル調達、集中購買体制の成果を発揮した。 半導体業界の再編を経て誕生したルネサスエレクトロニクスはマイコン、アナログ、パワー、ソシオネクストはカスタム・ロジックと強みが発揮できる分野に注力することで収益性が高まっている。 デジタルとグリーンの成長領域に注力 中長期的な成長テーマとしてデジタルとグリーンは健在で、24年度以降の利益成長を牽引しよう。 デジタル領域では、海外でIT(情報技術)投資に抑制傾向があるものの生成AI(人工知能)やデジタルエンジニアリングの需要は依然強い。国内のIT投資意欲は旺盛で、以前は企業業績が悪化するとIT 投資が抑制されていたが、昨今のDX(デジタル変革)投資は企業の競争力に直結するため、予算削減対象にならない場合が多くなった。投資内容もコロナ禍において非接触や非対面対応のフロントシステム構築が優先されていたが、いよいよ基幹系システムの刷新需要が本格的に立ち上がってきた。 IT 企業各社は、請負主体の人月単価型事業モデルから、社会や顧客の課題を解決するソリューション型事業に転換を図っている。タイトな人的資源に対応して生産性を改善するため、開発成果の再利用、開発プロセスの標準化によるオフショアへのシフトを積極的に進めている。最近では生成AI の活用も模索している。このようにソリューションによる提供価値に見合う価格体系への変更と生産性の改善により、主要な大手IT 部門の収益性が向上している。 グリーン領域では、カーボンニュートラル(温室効果ガス純排出ゼロ)の流れからエネルギーインフラ投資が活発化し、創エネルギー、省エネルギー、エネルギー需給管理の全分野で事業機会が拡がっている。 創エネルギー分野では太陽光発電や風力発電の普及率上昇へ取り組みが進んでいる。実現のためには発電できる立地条件や電力系統につなぐための技術ハードルが上昇する。高圧直流送電技術、直流電源の整流化や交流化、直流電源への蓄電装置導入といった技術変化がエネルギー需給管理に不可欠となる。エネルギーネットワーク分野への投資は年間6,000億ドルに上る。こうした追い風もあり日立製作所のパワーグリッドの受注残高は23年6月末時点で3.6兆円に積み上がっている。 省エネルギー分野では、自動車の電動化をはじめ様々なエネルギー効率向上が図られており、キーデバイスとしてパワー半導体が注目される。グローバルに競争力を維持できている分野であり、各社積極投資を続けている。生産能力拡大とコスト競争力の強化のため、現在主流のSi(珪素)では12インチの製造ラインが24年から3社で本格離陸し、SiC(炭化珪素)でも24年から25年にかけて2社の新ラインの本格量産が始まる見通しである。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山崎 雅也) ※野村週報 2023年10月9日号「産業界」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/14 19:00
【特集】会社四季報を読破してわかった「秋号」の注目点
「会社四季報」編集長・冨岡耕氏×野村證券「四季報の会」代表・大坂隼矢氏対談(前編) 野村證券で「会社四季報」(東洋経済新報社刊)を読破し、相場観を掴む独特の企業文化がある。今回は、会社四季報の編集トップである編集長の冨岡耕氏と、野村證券投資情報部ストラテジストで、「四季報の会」代表でもある大坂隼矢氏が対談した。 「業績改善」が鮮明に ――まず秋号を読破した感想を聞かせてください。 大坂 総じて企業の業績がかなりよくなってきている印象を受けました。巻頭の「見出しランキング」などを見ていても、総じて好況が反映されていた印象です。 前回もすごく良かったなっていう感じはあったんですけども、さらに良くなってたという印象です。そして、前号を読んで少し懸念していた点も解決された印象です。 前号は電力会社の値上げがこれから始まるので、高熱費が懸念材料だという記述が目立っていました。特にサービス業で目立っていたので、秋号はどうなるのかという点をすごく気にしていました。しかし、秋号ではコストの増加を値上げで吸収できている企業が多かったなという印象を受けました。 予想営業利益が「増額」されていた企業が、特に外食業で目立ちました。外食に限らず内需に関連するセクターが強かったと思います。コロナ禍で取り組んでいたコスト改革が進展したうえで、値上げの浸透やリオープンの需要が加わったことが要因であると感じました。 外需の方は中国関連や、一部の業種で弱含んでいるものもあります。ただ、自動車だけは相変わらず強いですね。毎号、前回号と比較して、業績やコメントが改善していたり、悪化していたりする銘柄に付箋を貼るのですが、今回は改善を示す色の付箋ばかり貼っていました(笑)。 冨岡 私も第一印象は多くの企業の業績がよくなっているという点でした。各企業のページの端に載っている矢印が上を向いていると、四季報の予想が前号発行時から上方修正されていることを示しています。 編集作業中も上向きの矢印が多いなと感じていました。上場企業の約6割が 3月期決算企業ですが、2023年度の第1四半期決算発表後に各記者が取材して、早くも期初計画から上方修正するケースが増えています。記者が取材をする中で変化を感じることが多かったようです。 私たちの独自予想が会社予想より相当強気な場合、記事に「独自増額」という見出しをつけるのですが、それも非常に増えています。 私は製造業、非製造業で分けてチェックすることがあります。製造業は自動車を中心に、サプライチェーンや供給サイドが正常化し、業績が拡大しています。自動車に関連し、素材系の企業の業績も回復していますね。 さらに、懸念されていた原材料高は値上げが浸透して経営への影響が落ち着いてきています。期初から円安に振れていることもあり、追い風にもなっていると思います。非製造業の方はコロナ禍が終わり、経済再開、いわゆるリオープンが他国より遅れていたこともあって、宿泊業や空運業などの業績拡大が目立っていました。 一方で、資源相場が前期まで高騰していたので、その恩恵を受けていた石油関連や海運業、商社などの卸売業は業績が一服してきた印象がありますが、総じて悪くはなかったですね。 企業は第1四半期の決算で業績修正はあまりしませんが、四季報では先んじて修正しているケースが目立っています。そうした企業は今後修正発表する可能性もあるため、秋号は「お宝銘柄」を探しやすく、お買い得ですね(笑)。 冨岡 耕 氏(とみおか こう)早稲田大学理工学部卒業。全国紙の経済部記者を経て、2007年に東洋経済新報社入社。第一編集局に配属、『会社四季報』編集を担当後、企業情報部チームリーダー、『週刊東洋経済』副編集長を歴任。2021年4月に『会社四季報』副編集長となり、同年10月に編集局会社四季報センター会社四季報編集部担当部長兼『会社四季報』編集長に就任。 「飛躍」の見出しが示す意味 ――前号では「ChatGPT」やAIに関する記述が増えました。秋号では変化がありましたか。 大坂 前号からやや増えている印象です。そして、AIの導入が具体的な戦略や足元の業績などの形で表れ始めている企業もありました。例えば、コールセンターやIRの資料作成でこういった使い方をしていると具体的に言及されている企業が、すごく増えた印象があります。 冨岡 そうですね。AIに関する記述は少し前から増えていましたが、 今年になって急増しました。企業の人手不足といった状況もあり、DXやAIへの投資が増えています。業種を問わず企業の社内での利用が増えているケースのほか、特にIT企業では、新しいサービスを商用化しているケースの両方があると思います。 大坂 ブレインパッド(3655)の欄では生成AIの引き合いの増加に言及されています。同じように、AI活用したり、AI活用のコンサルティングを手掛けたりする企業が目立ちました。GMOリサーチ(3695)、アドバンスト・メディア(3773)、テラスカイ(3915)など、具体的な事業に触れている企業も増えました。 ――原材料価格や燃料価格の上昇についてはいかがでしたか。 大坂 冒頭でも話したように、値上げが進んでいるという強い印象を受けました。例えば伊藤忠食品(2692)などは見出しが「一転増益」となっています。燃料価格も同様に、会社の業績の進捗率の高さにも現れていると考えています。 会社がコストをある程度想定し、上手に吸収していますね。イオン九州(2653)に代表される小売も同様に「一転増益」になっています。読み進めていくと、上向きの矢印が次から次に出てきた印象です。 冨岡 特に食品関連は値上げが続いている印象があるのですが、かなりそれが浸透してきています。極洋(1301)やニッスイ(1332)など、純利益ベースで過去最高水準に到達する勢いがありますね。 大坂 ニッスイは見出しも「飛躍」でしたよね。これは最高評価ともいえる見出しです。 冨岡 水産業に限らず、日本経済がよい循環に入ってきているという感覚はありますね。ちなみに「飛躍」のような見出しは、記者が取材した際の印象や感覚を反映し、読者の方にお伝えするためにあえて使用しています。 会社四季報編集長の注目ポイントは ――中国の景気や経済政策が日本の企業に何らかの影響を及ぼしているような印象は秋号から感じ取れましたか。 大坂 中国の市況悪化の影響は4000番台から6000番台、素材や化学、機械関連の企業から見て取れたと思います。先ほど、自動車は勢いがあるとお話ししましたが、中国の自動車販売はやや低迷しています。日本の自動車メーカーの業績は、主戦場である日本と米国がけん引していますが、自動車関連でも、中国の売り上げが大きい企業では影響が多少表れていた印象です。 また、短期的なものではなく、政治リスクなどから長期の経営計画を変更している企業もありました。例えばテラプローブ(6627)が中国で半導体関連の小会社設立を計画していたのを取りやめるなど、中国を取り巻く情勢の変化が、経営判断に影響を及ぼし始めている印象です。また、中国政府の政策の影響で、中国での環境や水質系の案件が急減した企業もありましたね。 冨岡 中国についてはやはり影響は出ていて、マイナスの影響について触れた企業は多いです。以前は中長期的に、中国への投資を進めるなど、中国事業の今後について比較的前向きなキーワードが多かった。 しかし、秋号では中国で何かを始めるなどといった記述が少なくなっていました。中国に代わってインドやベトナムでの事業に関する言及がより増えたのではないかと思います。中国の今後の不透明感、景気の影響は当面変わらないと考えています。 ――今までお聞きした値上げや生産性の向上、インバウンドの影響については野村證券でもアナリストが注視しているテーマです。会社四季報の編集者や記者の方はいかがですか 冨岡 もちろん注視しています。そういったテーマは業績などに相当影響しますし、今最も動きが激しいので、四季報にもたびたび登場します。 秋号で私が編集したり、チェックしたりしている中で注目したのは、日本の財政に絡む話です。防衛予算増額による、製品の受注増加のような話題ですね。また、産業関連の政府の補助金に関する話題も増えています。例えば蓄電池や半導体などの業種では、前号よりかなり目立っていると思いますね。 大坂 防衛関連では重工各社は恩恵を受けていると思います。三菱重工業(7011)などは「受注大幅拡大」とありますね。これまで、防衛はある程度決まった予算内での発注しかないという認識が固定観念としてあったんで「こんなに良くなるんだ」と驚きました。 冨岡 (侵攻する相手方の艦艇などに対して、脅威圏外の離れた位置から対処を行える)「スタンド・オフ・ミサイル」など、あまり見慣れない言葉も出てきました。 (後編「【特集】会社四季報編集長と「四季報の会」代表が語り尽くす日本企業の動向」はこちら) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/14 13:00
【注目トピック】日本株決算プレビュー:通期見通し修正が本格化へ
日本:2023年7-9月期決算プレビュー 2023年7-9月期の決算発表がはじまる 2023年10月下旬より、3月決算企業の7-9月期決算発表が本格化します。市場コンセンサスでは、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2023年7-9月期は増収率はほぼゼロ(前年同期比)、同12.5%営業増益、同13.7%経常増益が見込まれています。 前回4-6月期決算時には、コストプッシュや価格転嫁浸透の不透明さ、中国需要の不振などが懸念され、事前の市場コンセンサスでは経常減益が予想されていましたが、結果的に同9.6%増益となりました。中国事業は想定通り不振を極めましたが、それ以上に企業の価格転嫁力が強く、交易条件の改善が多くの業種で確認されました。 今回の決算シーズンでは、製造業を中心に交易条件の改善が引き続き確認されるのか、非製造業では人流の回復に伴う好影響が観測されるのか、などが注目点になるとみられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 幅広い業種で増益が見込まれている 全体として経常増益が見込まれているラッセル野村Large Capの業種ごとの寄与額を見てみると、減益が見込まれているのは、中国経済停滞の影響が大きい、運輸(海運)や商社、人件費を中心としたコスト増とコロナ特需消滅の影響が大きい医薬・ヘルスケアなどに限られています。 同じく中国経済の影響が大きいはずの、化学や鉄鋼・非鉄、電機・精密などの業種は2023年4-6月期は経常減益となりましたが、同年7-9月期は増益転換が見込まれています。素材セクターでは前述の交易条件の改善、電機・精密では一部の企業で中国向けの在庫調整が徐々に進み始めたことなどが背景にあるとみられます。 非製造業は、製造業に比べて利益額そのものが小ぶりな業種が多いことから、寄与額そのものは少額ですが、ほとんどの業種で増益が見込まれており、人流の回復の恩恵が幅広い業種に及ぶとみられています。 会社側見通しの変更は 2023年4-6月期決算では、事前の経常減益予想を覆し増益で着地しました。好調に推移した4-6月期決算実績をうけて、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のアナリストによる2023年度通期経常増益率の予想は、6月月初時点の+4.2%(前年度比)から足元で同+6.0%にまで上方修正されています。 対して、会社見通しは6月月初時点の同2.5%減益予想が、足元でも同2.4%減益とほとんど変化はありません。その結果、4-6月期実績経常利益の、2023年度通期会社見通しに対する進捗率は30%と、過去平均の20%台半ばに比較すると高い水準です。 4-6月期決算発表時に会社側が利益見通しを変更しない傾向にあることは今回に限ったことではなく、9月末時点までに通期見通しを変更した企業の構成比は過去10年間平均とほぼ同じ水準です。10~11月にかけての7-9月期決算の発表時に、見通しを変更する企業が相次ぐことが見込まれます。 期初想定から乖離が大きい為替前提 急速に進んだ円安も、企業が2023年7-9月期の決算発表時に通期見通しを変更する理由として指摘できます。 実質2023年度の期初にあたる2023年5月末時点では過半の企業が、2023年度通期業績の前提を130円/米ドルとしていました。その後、為替前提は円安方向にシフトし、6月以降に公表された為替前提の中央値は135円/米ドルです。ただ、為替前提を公表している企業のうち45%の企業では5月末以前のまま据え置かれており、全体としては依然為替前提の最頻値は130円/米ドルのままです。 下期の為替の見通しについては不透明ですが、実績の上期の期中平均は141円/米ドルで既に確定していることから、よほど極端な円高を見込まない限り相当数の企業が円安を理由に利益見通しを変更するとみられます。 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/14 07:00
【来週の予定】ブラックアウト期間入り直前のFRB高官の発言に注目
来週の注目点:米経済指標とFRB高官発言、日本の物価に注目 日米の株価が値を戻しています。FRB(米連邦準備理事会)高官の発言を契機に、追加利上げへの懸念が後退したことが大きいと見られます。米長期金利の上昇が引き締め効果を生み、利上げ代替効果を生むとの見方が強まっていますが、FRBが利上げを終了し、長期金利の上昇が止まるか否かは不透明感が残ります。今週は米国でパウエル議長に加えて、地区連銀総裁の講演が複数予定されており、注目を集めます。 また、米国では、16日(月)に10月NY連銀製造業景気指数、17日(火)に9月小売売上高、9月鉱工業生産、18日(水)に地区連銀経済報告(ベージュブック)、9月住宅着工・建設許可件数、19日(木)に9月中古住宅販売件数が発表されます。 日本では、20日(金)に9月全国消費者物価指数(CPI)が発表されます。生鮮食品を除くコアCPIは減速が見込まれますが、賃上げ継続を背景に物価の粘着性は徐々に増すと野村證券では予想します。10月30日-31日の日銀金融政策決定会合ではインフレ見通しの修正が検討されている模様です。今後の金融政策を占う上で物価動向には引き続き注目が集まります。 ユーロ圏では、17日(火)にドイツの10月ZEW景況感調査が発表されます。利上げに伴う内需の減速が引き続き景気を下押ししています。インフレ圧力が緩和しつつある中、製造業の景況感に底打ちの兆しが見えれば相場の下支えとなると見られます。 景気に安定化の兆しが見える中国では、18日(水)に7-9月期実質GDP、9月小売売上高、鉱工業生産、1-9月固定資産投資、不動産投資などの主要月次経済統計が発表されます。製造業の循環的な回復、不動産市場の支援策や金融緩和などの政策効果が注目されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年10月13日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/13 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (10月第2週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2023年10月第2週(2023年10月6日~10月12日) 2023年10月月間(2023年9月29日~10月12日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年10月12日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年10月12日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2023年10月第2週(2023年10月6日~10月12日) 2023年10月月間(2023年9月29日~10月12日) 2023年年間(2022年12月30日~2023年10月12日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2023年10月12日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX︓東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2023年10月13日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/13 16:20
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、反落 米国株式の下落を嫌気(10/13)
本日の株式市場 この日の日経平均株価は前日比166円安の32,328円で取引を開始しました。前日の米国株式市場で、米長期金利が上昇したことが嫌気され、主要3指数が揃って反落したことが嫌気されました。寄付き後は、前日終値をやや下回る水準でもみ合いとなりました。後場に入ると、中東情勢の混乱に沈静化の兆しが見えない中、週末を控えていることもあり、日経平均株価は徐々に水準を切り下げる展開となりました。結局、前日比178円安の32,315円と、この日の安値圏で取引を終えました。 東証33業種の鉱業以外、全ての業種が下落する中、ファーストリテイリングが前日引け後に発表した決算内容が好感され、株価は前日比+5.74%と大幅に逆行高し、1銘柄で日経平均株価を193円押し上げ、下支えしました。一方で、TOPIXは前日比-1.44%となり、東証マザーズ指数は同-3.58%と大幅に下落しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・10月ミシガン大学消費者マインド 速報値 前月:68.1 予想 :67.4 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/13 15:30
【市場展望】米国株式市場は業績回復を織り込む局面に
米企業業績は23年7~9月期に回復へ 野村では、米国の実質GDP 成長率は2022年の前年比+1.9%に対し、23年は同+1.9%、24年は同-0.1%と小幅ながらマイナス成長を予想する。インフレ抑制のためにFRB(米連邦準備制度理事会)が積極的な政策金利引き上げを行ってきたため、経済成長の減速をもたらすと予想されるためだ。 野村では、今回の利上げサイクルにおける政策金利の到達点は現在の5.25~5.50%で、24年3月FOMC(米連邦公開市場委員会)から利下げを開始し、7会合連続で0.25%ポイントずつ引き下げ、24年末の政策金利水準は3.50~3.75%と予想している。 FRB は、量的緩和で拡大したバランスシート(証券ポートフォリオ)を縮小させている。野村では、バランスシートの縮小は当面、現行のペースで行われ、24年4月以降に終了すると予想する。 次に企業業績をみると、調査会社リフィニティブによる9月29日時点の集計では、S&P500指数構成企業のEPS(1株当たり利益)は、23年7~9月期は前年同期比-0.2%と予想されている。22年10~12月期から3四半期連続で前年同期比減益となっていたが、ほぼ横ばいに回復する見込みだ。23年10~12月期には同+9.4%へと増益に転じ、以降は増益と予想されている。 年度では、23年は前年比+1.3%と微増益が予想されているが、24年は同+12.1%、25年は同+11.9%と予想されている。今後、米国景気が悪化すると想定される中で上記のような企業業績予想となっている要因としては、米国には独自の技術力やビジネスモデルでグローバルに競争力を発揮し業容を拡大している企業が多数あることが考えられる。そのような企業は人工知能(AI)の普及など新しい事業機会を捉え、業績を拡大していくと期待される。 米長期金利(米10年国債利回り)は、原油価格上昇等によるインフレ再燃とそれに伴う金融引締め長期化が警戒され、足元で上昇している。だが野村では、米国経済が鈍化するに従い、今後は低下すると予想しており、今後、米株式市場では米企業業績の回復を織り込む局面となろう。 業容拡大が期待できる企業に着目 米国株式の銘柄選別の視点としては、独自の技術力やビジネスモデルで、今後も業容拡大が期待できる企業群に着目したい。 一例として、GPU と呼ばれる画像処理半導体の大手、エヌビディアに着目したい。ゲーム用PC のグラフィック処理に注力していたが、より複雑かつ市場機会の大きいAI や自動運転の分野に対象領域を広げ、AI用半導体では圧倒的なシェアを有する。 画像編集やイラスト制作ソフトウエアで競争力の高いアドビにも着目したい。電子商取引やソーシャルメディアの普及に伴い、当社製品への需要も拡大している。AI を組み込んだ製品の提供でユーザー層の拡大を図るなどの取り組みを行っており、今後AI 技術の収益化が予想される。 クラウド型で企業向けに営業支援や顧客関係管理のシステムを提供するセールスフォースにも着目したい。大型企業買収が続き、22.1期、23.1期と業績は足踏みが続いたが、買収した企業の業績貢献もあり24.1期以降は増益が予想される。 企業のアプリケーションシステムのインフラを監視、管理するソフトウエア群を提供するダイナトレースにも着目したい。企業が監視し分析すべきデータの加速度的な増加というトレンドが同社製品への追い風となっている。 売上高で世界最大のソフトウエア企業、マイクロソフトは、PC の基本ソフトウエアや表計算等のアプリケーションソフトウエアで構築した顧客基盤を生かし、業容を拡大している。米国の新興企業、OpenAIが開発した対話型ソフトウエアChatGPTを自社の検索エンジンBing と連携させるなど、積極的にAI を事業に取り込んで、他社に先行している。 eコマース(電子商取引)の最大手企業のアマゾン・ドットコムは、コロナ禍で急増した需要に対応するための能力増強投資で損益は悪化していたが、今後業績の回復が期待できる。 それぞれの分野で競争力を発揮し、着実な業容拡大で長期間増配を続ける優良企業も紹介したい。過去25年以上増配を継続している企業で構成される「S&P500配当貴族指数」採用で、かつNY ダウ指数の構成銘柄でもある企業は、シェブロン、スリーエム、キャタピラー、マクドナルド、プロクター・アンド・ギャンブル、コカ・コーラ、ウォルマート、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、IBM等である。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ※野村週報 2023年10月9日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/13 12:00
【今週のチャート分析】米国長期債、ナスダック総合指数は自律反発の範囲内か(10/13)
※2023年10月12日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 日経平均は10月4日安値形成後に急反発、25・75日線回復 今週(10月10日〜)の日経平均株価は大幅上昇となりました。FRB(米連邦準備理事会)高官の発言を契機とし米国長期金利が低下したことで米国株が上昇したことや、日本の長期金利も低下したこと等が好感されました。 チャート面として、まずは日経平均株価の日足チャートをみてみましょう(図1)。日経平均株価は、10月4日安値(30,487円)にかけての急落で短期的な売られすぎ感が強まっていたこともあり、その後大幅反発となりました。急落時に空けたマドを次々に埋め、10月12日には直近の戻りで上値を抑えられた25日移動平均線(12日:32,303円)や75日線(同:32,436円)を回復しました。同線を完全に上放れとなれば、まずは、9月15日高値(33,634円)や6月19日高値(33,772円)などがある今年6月以降の中段保ち合い上限水準を目指す動きとなると考えられます。一方で、再度調整となった場合、10月4日安値(30,487円)に対する二番底固めの展開へ移行すると見込まれます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2023年10月12日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 日柄調整進展、保ち合い上抜けに向けた動きを期待 次に中長期的な相場の流れについて確認してみましょう(図2)。今夏以降の日経平均株価は、大きな上昇局面内の一旦の調整である「中段保ち合い」をこなしていると考えられます。10月にかけての調整によって下落率は9%を超え、初夏に上値を抑えられてからの日柄調整も進展しています。この先、中段保ち合い上抜けに向けた動きとなることが期待されます。 (注1)直近値は2023年10月12日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 米国長期債、ナスダック総合は自律反発の範囲内か 米国10年債利回りは、10月に約16年ぶりとなる4.8%台まで上昇しました(図3)。その後9月雇用統計にて雇用者数が事前の予想を上回り、一時的には一段と上昇したものの続かず、利回り低下に転じました。チャート上では、10月3日に今年7月以降の上昇トレンドの上限を上抜けるなど、今まで以上のスピードでの上昇となっていたので、それらの上昇に対する反動という捉え方ができます。現状の低下(10日ボトム:4.6%台)は反動の域を出ていませんが、仮にこの先、7月以降の利回り上昇トレンドライン(4.4%前後)を下回った場合、ここ数ヶ月続いた利回り上昇局面が終了した可能性が高まったと捉えられます。 (注1)直近値は2023年10月10日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 また、これまで米国長期金利上昇を嫌気し下落傾向となってきたナスダック総合指数は、9月27日安値(12,963pt)と10月3日安値(13,008pt)によってダブルボトムを形成し、その後反発となりました(図4)。この先、75日移動平均線(10月11日:13,731pt)や7月高値(14,446pt)形成後の下降トレンドラインを上抜ける動きとなれば、自律反発の範疇を超えてきたと捉えられます。 (注1)直近値は2023年10月11日。 (注2)トレンドライン等には主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)ナスダックより野村證券投資情報部作成 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/13 09:30
【チャート分析】JT、2016年以降の2/3戻しを目指す動きに(10/13)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2023年9月分) 今回は2023年9月に新規登録された銘柄第5位の日本たばこ産業(2914)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 主要移動平均線は上向き維持 当社は、たばこ事業を核に置き、食品や医薬品も展開している企業です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、今年に入り角度のついた上昇トレンドを描いています。今年3月には2020年2月高値(728円)を、5月には2018年5月高値(760円)を奪回し、9月には史上初めて1,000円の大台に乗せました。 今年6月に高値形成後は一旦押しを入れる展開となりましたが、7月に上向きの13週移動平均線を下支えに反発し、再び上値追いの展開となりました。主要移動平均線は上向きを維持しており、この先2016年2月高値以降の下落幅に対する2/3戻し(3,832円)水準を目指す展開が期待されます。 押しを入れる場合は、13週線が最初の下値メド (図2)一方7月以降の上昇で、2022年3月安値を起点とした角度のついた上昇トレンドの上限に達しました。仮にこの先上昇一服し、押しを入れる展開となった場合は、上向きの13週線(9月29日:3,183円)が最初の下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月29日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点