新着
949件
-
2023/10/19 12:00
【米国野村證券エコノミストが語る】米国の景気後退を予想するポイント “持てる層”と“持たざる層”の綱引き
野村では、2023年10月6日時点で米国の景気後退を予測している。その理由と来年の大統領選挙に向けてのポイントについて、米国野村證券の雨宮愛知エコノミストに詳しく聞いた。 ※インタビューは2023年10月6日に実施しています。本記事の情報は2023年10月6日時点のものであり、その後変更されている可能性があります。 不況入りとは、雇用を失う人が出てくること ――米国景気、インフレ動向をふまえて、金融政策の見通しについて教えてください。 野村では、米国経済が近いうちに不況入りすると考えています。具体的には、今年の第4四半期の終わりから不況色が強くなり、2四半期連続のマイナス成長となることを見込んでいます。 ――市場のコンセンサスは、「米国経済はマイナス成長を免れる」という見方が多いです。「ソフトランディングまたはノーランディングとなる」と見越している金融機関も多い中で、マイナス成長を見越すのは野村證券の特徴ともいえます。そのポイントはどこにあるのでしょうか。 まず、不況入りとは何を指すか、定義を明確にしておきましょう。一言でいうと、雇用を失う人が出てくるということです。雇用者数の伸びがマイナスになり、失業率が上がるという状態が起きると予想しています。GDPがマイナスになることは不況でなくても一時的にはありますが、そうではなく、雇用がポイントなのです。 なぜそのような予想をしているのか。理由を語るには、なぜこれまで米国の金融政策が効かなかったのか、という理由から話を始めたほうがいいですね。 2019年末から始まった新型コロナウイルスの流行を機に、米国はじめ多くの主要国で大胆な金融緩和を行いました。その結果、米国ではインフレが深刻な問題となり、これをいかに抑制するかが課題となっています。 こうした状況のなか、インフレを抑制する目的で、米国の金利は大幅に引き上げられています。またバイデン政権は2022年8月、米国内の半導体産業を支援する「CHIPSおよび科学法」と、大企業への課税を強化して気候変動や医療費負担軽減に資金を投じる「インフレ抑制法」を成立させました。 しかしこうした政策によるインフレ抑制の成果は芳しくありません。その理由は、「持てる層」と「持たざる層」の綱引きにあると考えています。 富裕層は金利が高止まりしても困らない 「持てる層」、つまり金融資産を十分に持っている富裕層は、2021~2022年の金融緩和の際に、住宅ローンなどの長期債務を、低金利なものに借り換えが終わっています。また、設備投資をする大企業も、この時期に償還までの期間が長い社債を発行するなどして、資金調達が済んでいます。 彼らはいくら利上げしても、困らないわけです。それどころか、金利が高止まりしていると預金収入が増え、更に株高によってもますます資産が増えていくという循環があり、彼らが景気を下支えする強い層となっています。 一方、「持たざる層」はどうでしょうか。彼らは金融資産がないため金利上昇や株高の恩恵を受け難い一方で、高金利のローンを組まなければならず苦しんでいます。その証左として、クレジットカードの延滞率や自動車ローンの延滞率などはじわじわと上がっているのです。 コロナ禍の特例で約3年半の間猶予されてきた学生ローンの支払いも始まります。マクロでみると300億ドルから400億ドルと大きな額ではないのですが、学生ローンを抱えるのは「持たざる層」に多く、彼らの経済的な苦しさを表す象徴的なイベントとなる可能性があります。 そうはいっても、「持てる層」もどこかではローンの借り換えが行われるわけで、高金利によって資金力が削られるタイミングが来るはずです。問題はそれがいつなのか、ということなのです。 ――つまり景気の冷え込みがじわじわと起きているものの、利上げの効果は、セオリー通りに出ていないということですね。これから利上げの効果が出てくるとしたら、まずどこから顕在化してきますか。 過去を振り返ると、実は消費から始まる不況はあまり存在しないのです。やはり金利に敏感なセクターから経済がスローダウンすることが多い。まず企業の設備投資に影響し、次に自動車や住宅などの耐久財に影響が及んできます。それが企業収益の悪化を招き、雇用へと波及していきます。そして、人々の所得が落ち込むことによって、その後消費全体に景気悪化の波がくるという経路を想定しています。 雇用は不況入りの直前まで変わらない ――よく不況に至る経路として、過剰貯蓄など消費が落ち込む経路が議論されることがあると思いますが、雨宮さんの指摘はそうではなくて、企業の設備投資から出てくるという点が面白いです。雇用に不況が影響するのは遅いという理解で正しいですか。 はい。雇用は景気に関しては遅行指数なんですね。よく、「これだけ労働市場が強いのだから不況にならないのでは?」と質問を受けるのですが、労働市場は、不況入りする直前まで良い状態に見えるというのが通例です。今も毎月発表されている雇用統計では、非農業分野の雇用者数に15万人以上の伸びがありますし、失業率も上がっていませんよね。 ところが、労働市場を細かく見ていくと、一人当たりの労働時間のトレンド、人材派遣業の雇用者数、転職を目的とした自己退職数、企業の総採用数などの指標でいずれも悪化のサインがあり、雇用だけが変わっていないという状況です。 つまり労働市場のクールダウンは確実に起きている。あとは時間の問題です。レイオフ(解雇)がどこかのタイミングで増えていき、それが不況入りとなると考えています。 もともと野村では2023年7~9月にもマイナス成長が始まると予想していましたが、それは起きませんでした。「持てる層」が景気を下支えする力が、野村が予想していたよりも強かったため不況入りが遅れているのですが、どこかのタイミングでいずれ不況入りすると見ています。 ――そもそも、不況入りを免れることはできないと考えるべきでしょうか。 FRB(連邦準備理事会・米国の中央銀行を意味する)の立場でみると、好景気が続くということはインフレ再燃リスクがなくならないことを意味しています。今、FRBは長期金利の上昇は許容していますよね。株価のバリュエーションが圧力を受け、株価が下がって富裕層の消費力が減ることにつながることを期待しているのでしょう。 それで十分効果があればいいですが、効果がない場合、次は量的引き締め(QT)が議論の俎上にのるかもしれません。なんとかして富裕層の体力を奪わないと、インフレ再燃リスクがなくならない。そのために、不況をもたらさなければならないとも解釈できます。 ――来年は、大統領選挙を控えています。もし不況入りしたら現職にとっては向かい風となりませんか。 過去の大統領選挙では、夏場の失業率と株価で、11月の大統領選挙の行方がわかると言われてきました。ところが、インフレがその状況を変えてきていると思います。 2022年11月の中間選挙では、景気が強いにもかかわらず、民主党は連邦議会下院の議席を失いました。インフレがある以上、好景気の恩恵を感じられない有権者が多かったということでしょう。 つまり来年の選挙に向けては、これまでのように景気減速を防ぐための拡張的な財政政策が打たれるという法則は成り立ちません。「ちょっとやそっとの景気の減速が起きても、助け船を出すのを我慢する年になる」と考えています。 もしトランプ氏が当選したらどうなるか ――米国民の所得格差をついて下馬評を覆し大統領に就任したトランプ元大統領が、共和党候補として出てくるだろうと言われています。 前回、トランプ氏が大統領に当選したときは、上下両院で共和党が過半数議席を取ったため、財政対策を打ちやすかったんですね。議会の選挙がどうなるかによっても市場の反応は大きく変わるでしょう。 トランプ氏が大統領となり共和党が上下両院で過半数議席を取り返すと仮定すると、トランプ減税の第2弾が始まると思います。今回は財政赤字やインフレが問題となっていますので、減税のために社会保障を削るなどの政策が出ると予想されます。 一方、上下両院での過半数議席が取れずにねじれ議会になると仮定すると、ホワイトハウスだけでできる外交、安全保障、規制改革などでトランプ色が出てくることになります。 例えば、バイデン政権が進めている電気自動車へのシフトなどのエネルギー対策についても規制緩和をし、シェールオイル(地下深くの地層に含まれる原油)の増産を認めるなど、自国でのエネルギー生産を増やし、OPEC(石油輸出国機構)への依存を減らすでしょう。 また、バイデン政権では、大企業に対して独占禁止法違反の訴えを起こすなどの動きがありますが、これも取り下げになるでしょう。移民政策も停滞し、労働市場がタイト化すると予想できます。トランプ氏が、ロシアのプーチン大統領と個人的に懇意にしていたことも踏まえると、対ロシア・ウクライナとの関係がどうなるかも不透明です。 バイデン政権がはらむ矛盾 一方、バイデン政権が継続となる場合も、問題含みです。今のバイデン政権は政策と支持層の矛盾があちこちにあり、身動きが取れない状態となっています。 自動車業界のストライキをとってもそうです。バイデン政権はグリーンエネルギーの普及を推進していますが、自動車業界の労働組合を支持母体としています。組合から見ると、自動車のエンジンがモーターに置き換わると雇用が減ってしまうという矛盾をはらんでいるのです。 また、環境団体が支持母体にいるので、原油生産を進めたくてもできず、OPECに増産をお願いすることになるというジレンマもあります。 移民政策についても、バイデン政権は有色人種の支持層が厚いので、移民に厳しい政策は取れません。しかし、不法移民が大量に入ってきており、ニューヨークなどの都市では不法移民のシェルターが財政を圧迫しています。 いずれにせよ、来年の大統領選挙から金融市場をみると、不確実性が高まるのは確かです。来年は選挙に向けて市場のボラティリティが上がることに注意が必要です。そのときに利下げがあると安心材料にはなりそうです。 ――2023年10月、米国史上初めて、米連邦議会下院議長が解任されるという騒動が起きました。今は政府閉鎖こそ免れているものの、正式な予算案は成立していません。格付け会社大手3社のうち2社が米国債券をAAAからAAプラスへと格下げしており、今後も格下げが進むのではないかという見方もありますが、どう考えますか。 格付け会社大手3社が、米国債をAAAからAAプラスに格下げした場合に、売らざるを得ない投資家がいるのか、というところから考えましょう。結論から言うと、私の考えでは「いない」です。 今回議論になっているのは、米国債の長期債の格付けのため、短期債の運用をしている人には影響がありません。長期債で運用している年金基金や保険会社の機関投資家からすると、気にしなくてはならないのは格付けではなくインベストメントグレードです。投資適格か不適格かが投資対象から外す見分けどころであり、格付けがAAプラスになったからといって機械的に売る投資家は出てこないでしょう。 しかし格下げのインパクトは、心理的なものとして出てきます。 米国の好景気が長期で保たれる場合、長期金利も高止まりする公算が大きいです。連邦政府の利払い負担はどんどん膨らんでいき財政赤字は深刻化します。そのため、長期債に投資する投資家が利回りの上乗せを要求する「財政プレミアム」の議論になります。格付けの件が加わり、やはり米国の信用力がおかしいのではないか、財政の持続性がないのではないかと議論になるわけです。 そしてまた長期金利が上がる、利払い負担が増えるという悪循環に陥ってしまいます。この循環が、不況入りするまでは続いてしまうのです。 不況入りはこの状況を変えるためには必要であり、不況入りまでの期間が長ければ長いほど、反動が大きくなるのです。 ――不況入りというとネガティブなイメージがある人も多いと思いますが、今の米国にとっては単純に悪い現象ではない、ということですね。ありがとうございました。 無登録格付けに関する説明書 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/19 10:00
【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る、株価は+2.58%
決算概要:2023年7-9月期(2024.6期第1四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月18日寄り前に、ブランド化された消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(PG US)が2023年7-9月期(2024.6期第1四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を1.4%上回り、EPSは市場予想を6.4%上回りました。 2024年6月期通期の売上高見通しは+2%~+4%と、為替の不確実性を理由に従来の+3%~+4%から下限を引き下げました。 値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る状況が継続 前年同期比での売上高成長率(+6%)の要因は、値上げが+7%、数量が-1%、為替が-1%、製品構成が+1%と、値上げの恩恵が数量減少の逆風を上回る状況が継続していることが確認されました。 売上高とEPSの推移 株価は上昇 プロクター・アンド・ギャンブルの株価は、前日比2.58%高で引けました。 高いブランド価値により、インフレで消費者の購買力が低下する中でも当社が市場予想を上回る実績を残したことに株価は反応したと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。 (出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】プロクター・アンド・ギャンブル(PG):販売数量減を値上げが補う、株価は+2.83% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/19 09:45
【米国株決算速報】ASML:受注急減・半導体市況好転はやや後ずれ、株価は-4.17%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を上回った 米国時間10月18日寄り前に、リソグラフィー(半導体の回路パターンを基盤に焼き付ける装置)などの半導体製造装置の製造を行う蘭ASML(ASML US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を0.6%下回り、EPSは市場予想を4.8%上回りました。 会社の2023年10-12月期売上高見通しは市場予想を上回りました。 受注急減、半導体市況好転は2025年 純受注額は26.02億ユーロと、2023年4-6月期の45.00億ユーロや、前年同期の89.20億ユーロから急減しました。 会社は、顧客である半導体メーカーは年内(2023年10-12月期)に半導体市況が底打ちすると予想している、とコメントしました。一方で、保守的な見方としながらも、当社の2024年12月期通期の売上高は2023年12月期通期に近い水準で、大幅な成長は2025年12月期通期とコメントし、半導体市況の回復に時間がかかることを示唆しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 ASMLの株価(米国上場のドル建てADR価格)は、前日比4.17%安で引けました。 低調な受注額と、半導体市況の回復が後ずれするとの見通しに反応したと推察されます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:米国上場のADR価格(ドル建て)。データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。2023年10-12月期の売上高の白丸は会社見通し中間値。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。 (出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】ASML:EUV売上高見通しを引き下げ、株価は5.45%安 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/19 09:30
【米国株決算速報】テスラ(TSLA):サイバートラックの出荷や年間生産台数の目標を維持、株価は-2.13%(時間外取引)
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を下回った 米国時間10月18日引け後に、EVの製造販売や太陽光発電事業を行うテスラ(TSLA US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を3.1%下回り、EPSは市場予想を9.0%下回りました。 会社は、設備の刷新で一部の生産ラインが停止したことや、部品の供給拡大が間に合わず米テキサス州工場での電動SUVの「モデルY」の生産拡大のペースが緩やかになっているとコメントしました。 サイバートラックの出荷時期と年間生産目標を維持 会社は、電動ピックアップトラックの「サイバートラック」の出荷を2023年10-12月期に開始することや、EVの生産台数を年間50%増加させる長期目標に沿って2023年12月期通期に180万台を生産する見通しを改めて示しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 テスラの株価は、前日比4.78%安で引けた後、決算発表を受けて時間外取引では、終値比2.13%安の237.52ドルで推移しています(NY時間18:00)。 株価は決算発表当初上昇したものの、決算説明会でサイバートラックの黒字化には1年半程度かかるとコメントしたことなどに反応して下落に転じたと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月18日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月17日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】テスラ(TSLA):自動運転技術を他社へ提供へ、株価は-4.11%(時間外取引) 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/19 08:26
【モーニングFINTOS!】米長期金利上昇が米国株の重石(10/19)
海外市場の振り返り 18日の米国株式市場は、主要3指数揃って下落しました。発表された米国9月住宅着工件数は135.8万件となり、約3年ぶりの大幅な落ち込みとなった前月(126.9万件)からプラスに転じました。高い金利水準が継続する中で住宅市場が底堅いことが確認され、FRBによる金融引き締めが長期化するとの懸念が強まりました。また、中東情勢が緊迫化する中、WTI原油先物価格が前日から1.9%超上昇したことなどもあり、米10年債利回りが上昇し、株価の重石となりました。NYダウは4営業日ぶりに反落しました。 相場の注目点 日本では、本日発表のディスコを皮切りに製造業の決算発表が本格化します。市場コンセンサスでは、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の2023年7-9月期は、前年同期比12.5%営業増益、同13.7%経常増益が見込まれています(10月13日時点)。前回4ー6月期同様、製造業を中心に交易条件の改善が引き続き確認されるのか、人流回復に伴う好影響が観測されるのか、などが注目点になるとみられます。また、企業の持ち合い解消や自社株買いなどの取り組みが確認されれば、株式市場の評価につながると期待されます。 本日のイベント 米国では日本に先行して決算発表が本格化しています。本日はアメリカン・エアラインズ・グループやAT&Tなどが決算発表を予定しています。その他、パウエルFRB議長やジェファーソンFRB副議長の講演は、FRBの金融政策の動向を見極める上で注目です。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2023年10月19日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【銘柄ランキング】NISA口座で買われた個別銘柄は?トップ20を紹介(2023年9月分) 【#全固体電池】AI抽出15銘柄/GSユアサ、東洋インキ、リコー… ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 19:00
【銘柄ランキング】NISA口座で買われた個別銘柄は?トップ20を紹介(2023年9月分)
中間配当の権利取りや急落銘柄の押し目狙いとみられる買いが目立つ 一般的に、9月は3月期決算企業の中間配当の権利取りを狙った買いが発生します。そのため、配当利回りが高いとされる銘柄が複数ランクインしています。例として、前月の11位から4位に順位を上げたソフトバンク(9434)は、高配当株として有名です。また、前月と同じく7位だった三菱HCキャピタル(8593)は、連続増配株として知られています。 直近、原油価格が乱高下しています。前月の13位から6位に上昇した石油元売りのENEOSホールディングス(5020)の業績は、原油価格の影響を強く受けるため、株価も連動して大きく変動しています。 本田技研工業(7267)は、前月はランキング圏外でしたが、10位に急上昇しました。ホンダは、2023年10月1日付で1株を3株に分割しています。株式分割は、個人投資家からの新規資金流入への期待を高め、多くの場合ポジティブに評価されますが、権利落ち日が材料出尽くしのタイミングとなりやすい点には、注意が必要です。 鉄鋼セクターの2社が前月から順位を上げています。日本製鉄(5401)が9位(前月:28位)、神戸製鋼所(5406)が12位(前月23位)にランクインしました。鉄鋼セクターは、9月末から10月初めにかけての日本株の調整局面で下落率が相対的に高くなりました。年初来のパフォーマンスが非常に良好だったことから、利益確定売りが先行した可能性があります。 IHI(7013)が、前月のランキング圏外から15位にランクインしました。米航空防衛大手RTXは9月中旬に、傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が製造した航空エンジン「PW1100G」の不具合に関して、補償金などを含め、今後数年で30億~35億ドルの費用負担が発生すると発表しました。この発表を受けて、共同開発に参画した重工大手3社の株価は大きく下落しました。「PW1100G」の開発参加比率は、IHIが15%と3社中で最も高く、株式市場の注目を集めました。 (FINTOS!編集部) (注1)画像はイメージ。(注2)各種データは2023年10月10日時点。 NISA口座のご利用にあたっての留意事項 ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 16:18
【イブニングFINTOS!】日経平均株価、前日比横ばい。米長期金利上昇が重石(10/18)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比6円安の32,033円で取引を開始しました。寄り付き後は、前日の米国株式市場で、FRBによる年内追加利上げに対する警戒感から米長期金利が上昇したことに加え、米国が対中半導体輸出規制を強化したことなどが重石となり、下げ幅を前日比173円安の31,866円に広げるなど、軟調となりました。一方、11時に発表された中国の7-9月期実質GDP成長率など中国主要経済統計は、市場予想を上回る結果が多く、株価は小幅に上昇へと切り返す場面もありました。 後場に入り、半導体設計を手掛けるソシオネクストが、2ナノの半導体開発において、アームやTSMCと協業すると発表すると、当社の株価が大きく上昇し、他の半導体関連銘柄にも上昇の流れが波及しました。日経平均株価への影響の大きい東京エレクトロンなどの値嵩株が前日比上昇に転じたことが寄与し、一時、前日比59円高の32,101円を付けましたが、終値は前日比1円高の32,042円と前日比横ばいで取引を終えました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】・9月住宅着工・建設許可件数(年率) (着工)前月:128.3万件 予想:139.3万件 (許可)前月:154.1万件 予想:145.0万件・ウォラーFRB理事講演(19日1:00)・NY連銀ウィリアムズ総裁が討議に参加(19日1:30)・地区連銀経済報告(ベージュブック)(19日3:00)・フィラデルフィア連銀ハーカー総裁講演(19日4:15) (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 15:30
【株式需給解説】海外投資家は9月に6カ月ぶりの売り越し
2023年9月(9月4~29日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、個人投資家や証券自己、事業法人、信託銀行などが買い越し、海外投資家などが売り越した。 海外投資家は現物と先物の合計で3兆704億円を売り越した。9月第3、4週の売り越し額がそれぞれ1兆2,533億円、1兆6,377億円と大きかった。同時期に進行した米長期金利の上昇とそれによる景気悪化懸念が悪材料になったと見られる。四半期末ということも相まって、投資家のポジション調整が生じやすかったという可能性も否定できない。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 個人投資家は1 兆2,792億円を買い越した。株価が下落した第3、4週の買い越し額がそれぞれ9,223億円、6,209億円と大きかった。個人投資家が押し目買いを行ったと見られる。 証券自己は9,943億円を買い越した。海外投資家の売り越しに相対する形で買い越したと見られる。 事業法人は3,675億円を買い越した。引き続き、企業が自社株買いを積極的に行っている。なお、第4週には96億円の売り越しに転じたが、決算期末日以前の5営業日は取引所が相場操縦の有無を注視する期間であり、自社株買いが控えられる傾向がある。 信託銀行は2,408億円を買い越した。配当権利落ちにかかるパッシブファンドによる先物買いを背景に、第4週の先物の買い越し額が9,795億円と大きかった。 (野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也) ※野村週報 2023年10月16日号「株式需給」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/10/18 12:00
【#全固体電池】AI抽出15銘柄/GSユアサ、東洋インキ、リコー…
次世代電池の本命、全固体電池の量産化へ トヨタ自動車(7203)と出光興産(5019)は、10月12日にBEV(バッテリー式電気自動車)向けの全固体電池の量産を目指した協業を開始することを発表しました。全固体電池は、充電時間の短縮や航続距離の延長が可能とされ、BEV向けの次世代電池として注目されています。仮に全固体電池への需要が増加した場合、日本企業にどのような影響を与えるのでしょうか。AI「xenoBrain」は、「全固体電池需要増加」が他のシナリオにも波及する可能性を考慮し、影響が及ぶ可能性のある15銘柄を選出しました。 ニューストピック:全固体電池需要増加 「xenoBrain」は全固体電池の開発に携わる企業や関連材料を扱う企業から、15銘柄をリストアップしました。 ・ジーエス・ユアサ コーポレーション・東洋インキSCホールディングス・リコー・ENEOSホールディングス・東邦チタニウム・日揮ホールディングス・フェローテックホールディングス・レゾナック・ホールディングス・TOTO・AGC・アイダエンジニアリング・フルサト・マルカホールディングス・アマダ・住友金属鉱山・東海カーボン ※xenoBrain 業績シナリオの読み方 (注1)本分析結果は、株式会社xenodata lab.が開発・運営する経済予測専門のクラウドサービス『xenoBrain』を通じて情報を抽出したものです。『xenoBrain』は業界専門誌や有力な経済紙、公開されている統計データ、有価証券報告書等の開示資料、及び、xenodata lab.のアナリストリサーチをデータソースとして、独自のアルゴリズムを通じて自動で出力された財務データに関する予測結果であり、株価へのインプリケーションや投資判断、推奨を含むものではございません。(注2)『xenoBrain』とは、ニュース、統計データ、信用調査報告書、開示資料等、様々な経済データを独自のAI(自然言語処理、ディープラーニング等)により解析し、企業の業績、業界の動向、株式相場やコモディティ相場など、様々な経済予測を提供する、企業向け分析プラットフォームです。(注3)時価総額500億円以上の銘柄を表示している。xenoBrainのデータは2023年10月16日時点。(注4)画像はイメージ。(出所)xenoBrainより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点