新年度ガイダンスは事前の懸念と比較して堅調に推移

2023年3月期の決算発表が最終段階に入っています。現時点で市場予想を下回るガイダンスを出した銘柄の割合は68.5%と2010年以降の中央値65.9%と比較すると若干高めですが、懸念されていた下振れ銘柄の大幅な増加は見られませんでした。この理由としては、市場予想が事前にリスクを織り込み、下方修正されていたことが挙げられます。

※5月15日時点の新年度税引利益ガイダンスがIFISコンセンサス予想を下回った銘柄。

弱気ガイダンス常連銘柄が決算発表翌日に大きくアウトパフォーム

決算への警戒感が強かった反動もあり、決算発表翌日の株価は上昇傾向が目立っています。これは特に、弱気ガイダンス常連銘柄で顕著です。これは、ガイダンスのリスクが既に株価に反映されていたからだと考えられます。

注目すべきは、過去に弱気なガイダンスを出していた銘柄が今年は相対的に強気なガイダンスを出していることです。これは、弱気ガイダンス常連銘柄の好パフォーマンスの一因となっています。3月に東京証券取引所から出された要請を受けて、企業の資本コストへの意識が高まり、ガイダンスの出し方に変化があった可能性もあります。弱気ガイダンス常連銘柄であっても、収益性が低いとみられるような過度に保守的なガイダンスは避けたのかもしれません。

弱気常連かつ新年度ガイダンス上振れ銘柄に追い風か

弱気ガイダンス常連銘柄は、決算発表後にも株価が緩やかに上昇する傾向があります。しかしながら、上述のとおり、今年はこれまでのような保守的なガイダンスが出されにくくなっている可能性があります。これがパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

結論から申し上げると、弱気ガイダンス常連でありながら予想を上回る(サプライズ)ガイダンスを出した銘柄は、そのサプライズ効果によって株価パフォーマンスが向上する可能性があります。これは、その銘柄の良好なパフォーマンスが「保守性の織り込み」と「サプライズの織り込み」の2つの効果の和によるものだからです。つまり、弱気ガイダンス常連銘柄が強気なガイダンスを出すと、「保守性の織り込み」の効果は減少するかもしれませんが、一方でポジティブな「サプライズの織り込み」効果は増大すると考えられます。当面は新年度ガイダンスが予想を上回った弱気ガイダンス常連の銘柄に注目します。

弱気常連かつ新年度ガイダンス上振れ銘柄

要約編集元アナリストレポート「日本株クオンツストラテジー – 「弱気ガイダンス常連銘柄」の保守性が薄まる(5月16日配信)」(プレミアムプラン限定)では、弱気ガイダンス常連かつ新年度ガイダンスが上振れた35銘柄を紹介しています。

(FINTOS!編集部)

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