中長期の好材料と短期の懸念払拭が後押し

日経平均株価は2023年5月22日に31,000円台に到達しました。日本株の強さは、中長期的な好材料の蓄積と短期的な懸念材料の払拭が要因とみています。具体的には、米国株や中国株と比べた安心感、デフレ経済からの脱却の可能性、ガバナンス改革への期待、そしてインバウンド需要の急増など、ポジティブな要因が影響を及ぼしていると考えられます。一方、日銀のイールドカーブ・コントロール政策の修正や企業業績の下振れといった短期の懸念材料は表面化していません。これらの要素が組み合わさることで、海外投資家からの資金が日本の株式市場に流入しやすくなったとみています。

選挙と株価の関連性に注目

広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の後、岸田文雄首相の支持率は、ウクライナのゼレンスキー大統領の来日の影響も受けて大幅に上昇しました。そのため、6月21日の国会会期末に衆議院が解散され、7月に総選挙が開催される可能性が浮上しています。過去のデータによれば、1990年以降の11回の解散・総選挙期間中には、日経平均株価のリターンは全てプラスを記録しています。これらの経験から、「選挙=株価上昇」のパターンが想起されやすいでしょう。

海外投資家の日本株買いで33,000円へ

米国の債務上限問題が解決した場合、6月14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ見送りや日本の総選挙の期待などが日本株の好材料となります。また、海外投資家からの日本株への投資も期待されます。海外投資家の1兆円の投資は日経平均株価を約500円押し上げると試算されます。先行き5兆円ほどの積み上げが実現すれば、日経平均株価は7月にも33,000円に到達する可能性があります。ただし、中国の製造業の回復の遅さや、米国の景気後退のリスクといった懸念材料もあります。特に8月以降の日本株は、一時的な調整局面を迎える可能性があると考えています。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年5月25日)(5月25日配信)」(プレミアムプラン限定)

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