来週の注目点:米国の債務上限協議に注目集まる

米国の堅調な経済統計やFRB(米連邦準備理事会)高官らのタカ派的(利上げに積極的)発言などから、FRBによる利上げ期待が高まり、円安傾向が続いています。ただし、米国連邦政府の債務法定上限問題には進展が見られません。デフォルト(債務不履行)回避が基本シナリオとなっていますが、協議には膠着感が出ており、市場心理の不安定化には注意が必要です。デフォルトを回避できた後は、市場では6月FOMC(米連邦公開市場委員会)や景気動向が焦点となるでしょう。

米国では、5月30日(火)に5月消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、6月1日(木)に5月ADP全米雇用レポート、5月ISM製造業景気指数、2日(金)に5月雇用統計の発表が予定されています。米国では製造業の弱さが明確になっており、景況感の一段の悪化が懸念されます。また、労働需給のタイト化が緩和されなければ、6月FOMCに向けて利上げ期待が上昇すると推察されます。  

中国では5月31日(水)に5月政府版PMI、6月1日(木)に5月財新版・製造業PMIが発表されます。ゼロ・コロナ政策撤廃後の景気回復は勢いを失ってきており、どの程度の景気減速が示されるのかが注目されます。  

その他、ユーロ圏では6月1日(木)に5月消費者物価指数(HICP)が発表されます。基調的なインフレ圧力が継続する場合、ECB(欧州中央銀行)の利上げ継続期待が高まると見込まれます。トルコでは、5月28日(日)に5月14日のトルコ大統領選挙(第一回投票)で上位2候補による決選投票が実施されます。3位となって敗退したオアン候補が1位のエルドアン大統領を支持すると表明しましたが、オアン候補率いる小政党連合の一部には2位となったクルチダルオール野党統一候補を支持する動きもあり、決選投票の結果に注目です。

(野村證券投資情報部 岩崎 晴弥)

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(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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