米国の利上げは停止、2023年中は政策金利据え置きを予想

FRB(米連邦準備理事会)は5月2-3日に開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)で事前の市場予想通り0.25%ポイントの利上げを行い、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.00-5.25%へ引き上げました。声明文では従来の「幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれない」との表現を「徐々にインフレ率を2%に戻すために追加的な金融政策の引き締めがどの程度適切かを決めるに当たり」へと修正しました。この点に関してはパウエル議長も「意義のある変化だ」と発言、金融引き締めスタンスの変化を示唆しました。

5月の利上げは全会一致で決定されたものの、FRB内では追加利上げに対して慎重な見方が高まっているようです。背景には、従来の利上げの効果やインフレ見通しの改善に加え、銀行による貸出基準厳格化を通じた景気減速への警戒があるようです。

野村では、FRBは5月の利上げを最後に政策金利の据え置きに転じるとの予想を維持しています。その後、FRBは2024年3月に利下げを開始、7会合連続で0.25%ポイントの利下げを実施すると予想しています。

2023年末のドル円レートは1ドル=120円程度と予想

ドル円レートは、日銀の政策スタンスが予想以上にハト派的(利上げに消極的)であったと受け止められたことや、米連邦政府の法定債務上限問題を巡る協議に対する楽観的な見方から、1ドル=138円台のドル高・円安水準へ上昇しました(5月23日時点)。ただし、23年後半には米国で利下げ観測が台頭する一方、日銀の政策修正期待が高まることが見込まれることから、23年末には1ドル=120円程度の円高になると予想しています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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