マイクロソフトとOpenAIの提携強化が生成AI関連株に追い風

下図は、生成AI関連銘柄の株価の推移です。マイクロソフトが、ChatGPTなど大規模言語モデルなどの生成AIを手掛けるOpenAIへの追加出資と提携強化を発表した2023年1月23日の前営業日を100として指数化しています。

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マイクロソフトの株価は主要株価指数であるS&P500を上回って推移しました。

グーグルの親会社であるアルファベットは、下落から上昇に転じました。競争力が劣後するとの思惑から、AI業界全体への追い風に、市場の視点が変化したためと推察されます。

より株価が堅調だったのは、エヌビディアです。同社は、専用に設計されたGPUなどAI向け製品に強みを持ちます。エヌビディアは5月24日引け後に23年2-4月期決算を発表し、翌25日に株価は前日比24%上昇しました。AMD(半導体)やシノプシス(半導体設計ソフト)などのAI関連企業の株価も大幅な上昇となりました。米国のテクノロジー株は、さながら次のエヌビディアを探す「ゴールドラッシュ」の様相を呈しています。

生成AIは「稼げるビジネス」に

エヌビディアが発表した23年5-7月期の売上高見通しは、市場予想を54%上回りました。エヌビディアは、生成AIと大規模言語モデル向け製品への大手テクノロジー企業からの需要が急増し、これに対応して供給能力を大幅に高めていることをコメントしました。会社見通しと市場予想が乖離した理由は、「生成AI向け半導体製品を実際に収益化できるのか」という懸念により、市場参加者の目線が低かったためと推察されます。

強い需要が確認されたことで、今後生成AI向けに設備投資資金が流入し、生成AIの利用が拡大し、関連企業の収益化が進むことが推察されます。これが、上図のようにマイクロソフトだけでなく、競合企業や設備投資の受け皿企業株の堅調さにつながったと言えそうです。

「ゴールドラッシュ」の際は、金鉱以上に「ツルハシ」や「ジーンズ」を制作する会社が儲かったといわれていますが、生成AIの分野も設備投資や利用拡大の恩恵を受ける企業の裾野は広そうです。

(野村證券投資情報部 竹綱 宏行)

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