来週の注目点:6月FOMCに向けて米国の実体経済をチェック

米連邦政府債務の法定上限引き上げを巡る問題は、イエレン財務長官が資金繰りが行き詰まるとした6月5日(月)の期限を前に、大詰めを迎えています。債務上限の効力を2025年1月まで停止する法案が5月31日に下院で可決しました。上院は同法案の採決手続きを始めており、現地時間の6月1日中にも可決する可能性があります。上院で可決した場合には、大統領の署名を経て法案が成立します。市場で懸念されていた米国債の債務不履行は回避される公算です。

今後、世界景気の先行きや、6月13日(火)~14日(水)に開催される6月FOMC(米連邦公開市場委員会)に焦点が当たると見ています。足元の米国の経済指標において根強いインフレ圧力が確認されており、6月又は7月のFOMCで利上げし、その後は政策金利を据え置くとの見方が大勢です。米国景気を下支えしているサービス業の先行きを占う上では、5日(月)発表の5月ISMサービス業景気指数に注目が集まります。

ユーロ圏では、6日(火)にドイツの4月製造業受注が発表されます。ドイツの製造業は景況感が悪化しており、国内外の需要停滞による悪影響が見込まれます。

中国では、5日(月)に5月財新版・サービス業PMI、7日(水)に5月貿易統計が発表されます。対面のサービス業は堅調な推移が予想される一方、世界的な財の需要低迷の影響を受け、輸出の減速が予想されます。

日本では、8日(木)に1-3月期実質GDP(2次速報値)が発表されます。1次速報値では前期比年率+1.6%と、3四半期ぶりにプラス成長に転じました。外需が減少する中でも、個人消費、インバウンド需要、設備投資が景気下支え要因になると見られます。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年6月2日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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