来週の注目点:円高の流れが続くか、日米の経済指標に注目

今春から続いた円安・ドル高の流れは急速に巻き戻され、円高・ドル安が進んでいます。日銀が7月27~28日の金融政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)政策を修正し、日米金利差が縮小するとの思惑が、円高につながっています。日本では、19日(水)に6月訪日外国人客数、21日(金)に6月全国消費者物価指数が発表されます。インフレ率の基調的な上昇が続くのか、今後の金融政策を推し量る上で重要です。

また、米長期金利の低下も円高・ドル安を促しています。12日発表の6月米消費者物価指数が市場予想を下回ったことから、FRB(米連邦準備理事会)の金融引き締め長期化懸念が後退し、米長期金利が低下しています。米国では17日(月)に7月NY連銀製造業景気指数、18日(火)に6月小売売上高、6月鉱工業生産、19日(水)に6月住宅着工・建設許可件数、20日(木)に7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、6月中古住宅販売件数などの経済指標が発表されます。米国経済がリセッションを回避し、ソフトランディング(軟着陸)となる期待が高まっていますが、米国景気の持続性を占う上で、足元の景況感や、持ち直しの兆しが見える住宅市場の回復度合いに注目が集まります。

中国景気は、輸出や不動産市況の悪化を受けて急速に回復の勢いを失っています。17日(月)に4-6月期実質GDP、6月小売売上高、鉱工業生産、1-6月固定資産投資、不動産投資などの主要統計が発表されます。中国経済が一段の減速を示す可能性には注意が必要です。

トルコでは、20日(木)に金融政策会合が開催されます。6月の前回会合では政策金利を8.5%から15%に大幅に引き上げましたが、利上げ幅が市場の期待を下回ったことから、リラは下落しました。為替市場においてリラ高に寄与し得る政策金利の目線は21.5%程度と推察されます。  

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年7月14日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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