米国:2023年4-6月期決算プレビュー

4-6月期は前年同期比-8.3%推定

7月中旬から、S&P 500 指数構成企業の2023年4-6月期決算の発表が本格化します。

2023年7月7日時点の調査会社リフィニティブ集計による市場予想平均では、同期の四半期EPS(1株当たり利益)は、前年同期比-8.3%と推定されています。

前回の2023年1-3月期決算では、発表が本格化する直前の4月7日時点では、同期の四半期EPSは前年同期比-7.6%と予想されていました。  

しかし、7割超の企業で四半期EPS実績が市場予想平均を上回ったこともあり、実績は同+0.1%とほぼ横ばいでした。

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(注) 2023年7月7日時点のリフィニティブ集計による市場推定・予想平均。
2023年4-6月期には、2023年3-5月期決算、2023年5-7月期決算企業も含む。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成

アナリスト達は慎重に見直している模様

リビジョンインデックスの動向をみると、2023年7月5日時点では、FY1(予想1期目)は0.77、FY2は0.87となっています。  

米国企業のリビジョンインデックスは、概ね3ヶ月周期で循環的に動く傾向がみられます。これは、決算発表直前にアナリスト達は慎重な予想を示す傾向があるためで、今回も同様と推察されます。

(注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2023年7月5日時点。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2023年12月期)、FY2は予想2期目(12月決算企業の場合、2024年12月期) 。
(出所) リフィニティブより野村證券投資情報部作成

決算発表時の注目点

上記の業績予想の傾向を踏まえると、2023年4-6月期についても、実績は現在の予想よりは減益率が縮小する可能性は高いと考えられます。一方で、現時点では前年同期比-0.5%と予想されている2023年7-9月期の業績予想については、下方修正される公算が大きいとみられます。

年度EPSについてみると、2023年は前年比+0.5%とほぼ横這い予想ですが、2024年は同+11.7%、2025年は同+11.6%となっています。2024年以降は増益基調が予想されていて、米国企業が独自の技術力やビジネスモデルで中長期的に業容を拡大していくことが織り込まれていると推察されます。  

今後、2023年4-6月期決算の発表が本格化した際には、足元の業績動向を確認しつつ、年度ベースでの予想がどのように変わるかにも注目したいと考えます。

(野村證券投資情報部 村山 誠)

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