日経平均株価は約33年ぶりの高値を更新

バブル期を超えた市場規模

日経平均株価は2023年6月に3万3,000円台を回復し、約33年ぶりの高値を更新しました。

この33年の間には、バブル崩壊、日本の金融危機、米国のリーマン・ショックなど様々な経済の波乱がありました。日経平均株価は、1989年に3万8,915円の史上最高値を付けた後、最悪時には5分の1程度まで下落しました。その後、アベノミクスをきっかけに株価は底入れし、コロナ禍を乗り越えて現在に至ります。

日経平均株価は現時点で1989年の史上最高値には届いていませんが、東証プライム市場の時価総額は、1989年の時価総額を超え、過去最高となっています。  

持続的に成長する企業は市場から評価され続けています。

2023年度以降も過去最高益の更新が予想される

株価上昇の背景の一つに、日本企業の業績拡大への期待があります。  

ラッセル野村Large Capの経常利益を確認すると、足元の水準は1989~1990年度当時と比べると、およそ3倍に拡大しています。

また、ラッセル野村Large Capの2023年度の経常増益率は前年度比+7.6%と、3期連続の最高益更新が見込まれています。

2023年度は、挽回生産が本格化する自動車や、前年度の投資先企業の評価額低迷の影響がなくなる通信、燃料価格の料金への価格転嫁が遅れていた公益(電力)、加えて人流の回復の好影響が見込まれる空運や電鉄、百貨店、外食など、事業環境が正常化する業種の増益寄与が大きくなるとみられます。  

2024年度は、自動車など製造業を中心に増益が見込まれ、前年度比+8.0%の経常増益が予想されています。日本企業の業績は、実体経済の下方屈折がない限り、さらなる過去最高益更新となりそうです。

日本の景気回復が続く

日本景気の復調が見込まれている点は、企業業績を後押しすると期待されます。

野村證券では、2023年の実質GDP成長率について、日本は前年比+1.7%と、前年を上回る成長を見込んでおり、主要先進国・地域の中で、米国と並んで経済成長率が最も高くなると予想しています。  

ただし、米国や欧州は、これまでの積極的な利上げによる影響などから、前年から伸び率が鈍化するとみられます。

歴史的な賃金上昇率によるデフレ脱却への期待も日本株の追い風に

2023年の春闘賃上げ率は前年比+3.91%と、1992年の+4.95%以来、およそ31年ぶりの上昇になりそうです。日本の消費者物価上昇率が、同+3%台の伸び率が続き、インフレが進んだことに対して、企業側が賃上げに応じた結果です。賃金上昇が来年の春闘以降も続けば、消費が活性化され、経済や物価の安定につながるとみられます。

その他、2022年10月以降、入国者数の上限撤廃など水際対策の緩和が進み、世界的に旅行需要が回復していることを背景とした訪日外国人の増加が見込まれます。

また、日本政府支援の下、日本国内で半導体関連の設備投資が拡大していることなどもあり、日本の景気が一段と活発になることが期待されます。  

こうした日本景気にとっての追い風を受け、今後も企業業績の拡大が継続すれば、日経平均株価の最高値更新も期待されます。

(野村證券投資情報部 澤田 麻希)

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