来週の注目点:米国の堅調さを確認する一方、中国の減速にも留意

8月入り後、日米の株式市場は上値が重い状態が続いています。米長期金利の上昇が一因と考えられます。足元では米銀の格下げや中国の弱い貿易統計などを受けたリスク回避の流れも相場を下押ししています。米長期金利上昇の背景には、雇用など米経済の堅調さに加えて、米財務省が発表した米国債の四半期入札の発行規模が市場予想を上回ったことなど、需給面での圧力も見られます。

米国では、15日(火)に8月NY連銀製造業景気指数、7月小売売上高、16日(水)に7月住宅着工・建設許可件数、7月鉱工業生産、17日(木)に8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数などの経済指標が発表されます。足元の景況感や、住宅市場の回復度合いに注目が集まります。

日本では、15日(火)に4-6月期実質GDP(1次速報値)、16日(水)に7月訪日外国人客数、17日(木)に6月機械受注と7-9月期見通しが発表されます。野村證券では、輸出の持ち直しを主因に4-6月期実質GDP成長率が前期比年率+4.2%(市場予想は同+2.9%)と、3四半期連続の拡大になると予想します。また、18日(金)には7月全国消費者物価指数が発表されます。インフレ率の基調的な上昇が続くのか、今後の金融政策修正の可能性を推し量る上で重要です。

中国景気は、輸出や不動産市況の悪化を受けて急速に回復の勢いを失っています。8日に発表された7月貿易統計では、輸出入の前年比マイナス幅が拡大しており、生産と内需の弱さが確認されました。15日(火)には7月小売売上高、鉱工業生産、1-7月固定資産投資、不動産投資などの主要統計が発表されます。中国経済が一段の減速を示し、相場を下押しすることが懸念されます。一方でより具体的な景気対策が講じられる可能性にも目配せが必要です。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年8月10日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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