来週の注目点:米国の軟着陸期待が維持されるか注目

9月1日に発表された米国の8月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を上回りましたが、過去2ヶ月分の下方修正が大きく、3ヶ月平均の雇用者増加ペースは15万人を割り込みました。全体的に労働需給緩和への期待を高める内容となりました。米国経済の軟着陸期待が維持されたことや、ウォラーFRB(米連邦準備理事会)理事やクリーブランド連銀メスター総裁が11月以降の追加利上げに前向きな姿勢を示したことなどからドル円は147円/ドル台へ上昇し、年初来高値を更新しました。

米国では、13日(水)に8月消費者物価指数、14日(木)に8月小売売上高、8月生産者物価指数、15日(金)に9月NY連銀製造業景気指数、8月鉱工業生産、9月ミシガン大学消費者マインド(速報値)が発表されます。パウエルFRB議長は政策決定は経済データ次第との姿勢を維持しており、今後の金融政策を占う上で、足元のインフレ動向が引き続き注目されます。また、比較的堅調な景気動向が示されれば、経済の軟着陸期待が維持されると考えられます。

日本では、11日(月)に8月工作機械受注(速報)、14日(木)に7月機械受注が発表されます。中国の景気低迷による受注減少のリスクには注意が必要です。また、G20首脳会議から帰国した岸田首相が週内にも内閣改造・自民党役員人事に着手する可能性が報じられています。

中国では、15日(金)に8月小売売上高、鉱工業生産、1-8月期固定資産投資、不動産投資などの主要月次経済統計が発表されます。外需の弱さや不動産市況の低迷が継続しているか注目です。

ユーロ圏では、12日(火)にドイツの9月ZEW景況感調査が発表され、14日(木)にECB金融政策理事会が開催されます。前者については8月は市場予想を上回りましたが、引き続き外部環境の悪化を背景に低調であることが予想されます。また、後者については、野村證券では利上げ見送りを予想しています。

(野村證券投資情報部 岩崎 晴弥)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年9月1日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

業種分類、Nomura21 Globalについて

ご投資にあたっての注意点