前回の利上げ局面では直観に反する結果に
9月21日から22日にかけて、日銀は金融政策決定会合を開催します。最大のポイントは、植田和男総裁のマイナス金利解除に対するスタンスでしょう。9月9日付の読売新聞インタビューは、この点について植田総裁が前向きという見方を急速に強めました。ただし、実際には、財務省による口先介入の強化との連携で、円安を抑制するためのけん制効果が主な狙いだった可能性も考えられます。
一方、日銀が金融政策の正常化をすすめる方向にあることも確かです。野村證券のエコノミストは、今回の会合において、イールドカーブ・コントロールやマイナス金利などの金融政策は維持されると見ていますが、フォワードガイダンス(FG, 先行き指針)については部分的に修正され、ハト派(金融緩和に積極的)の色合いが除去されると予想しています。
植田総裁の会合後の記者会見で、声明文のFG修正以上にタカ派的(金融引締めに積極的)なコメントが出された場合、不動産や円安恩恵を受けるセクター、およびグロース株に一時的な調整をもたらすかもしれません。
しかし、現状と似ている点の多い、2006年の日銀による利上げ開始時を振り返ると、銀行株のパフォーマンスが悪化し、不動産株のパフォーマンスが向上するという、直感に反する動きが見られました。理論的には、金利の上昇は銀行株にとって追い風となり、不動産株にとっては逆風となるはずです。しかし、実際には、銀行株に対しては好材料が出尽くしたとの反応が見られた一方で、不動産株に関しては多少の利上げでは見通しに大きな影響を与えないという楽観的な見方が続きました。
(FINTOS!編集部)
(注)画像はイメージ。
要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年9月14日配信)」(プレミアムプラン限定)