アステラス製薬(4503) 医薬品

新薬販売に伴う業績寄与に期待

4~6月期コア営業利益は、為替影響による販管費や研究開発費の増加で野村従来予想を下回った。販管費にはホットフラッシュ治療薬Veozah の関連費用約50億円が含まれるも、研究開発費では前期に計上したVeozah の優先審査の関連費用が剥落した。

会社はコアベースの2024.3期業績予想を維持もフルベースの営業利益を下方修正。Meppel 工場譲渡による減損73億円と日本の商業構造を含むグローバルでの組織再編に伴う一過性費用200億円を織り込んだ。

Veozah は販売開始に伴う積極的な販促活動と保険適応の拡大などにより、24.3期の売上高は462億円に上ると野村では考えている。

地図状萎縮治療薬Izervay に注目

現地時間8月4日に当社はFDA(アメリカ食品医薬品局)より、地図状萎縮(GA)治療薬としてIzervay が米国で承認されたと発表。足元で上市している治療薬はApellis Pharmaceuticals社のSyfovreと当社製品Izervay のみだが、有効性と安全性の観点からIzervay は競合薬に比べて有用だと野村では考えている。

治験における有効性検討では、GA の症状進行速度をIzervay投与12カ月後で最大35%抑制(Syfovre:投与24カ月後で最大22%抑制)している。安全性では、Syfovreは投薬で重症化した眼内炎が発症しているが、Izervayでは軽度に留まっており、安全性が高い薬剤といえよう。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 松原 弘幸)

クボタ(6326) 機械

農機、小型建機のグローバル企業

1890年の創業以来、水道用鉄管による近代水道の整備、農機による食料増産と省力化などに貢献してきた。農機、小型建機を強みとするグローバル企業で、2022.12期では海外売上高が全社の78%、北米が同41%を占める。建機では6t 以下の小型建機を中心に手がける。

これまでの業績の不透明要因だった北米市場では住宅市場の悪化に伴う主力の小型トラクタの需要減と在庫調整といった悪材料が消化されてきている。住宅向けが過半を占める小型トラクタは24年には小売りが前年比で増加に転じよう。23年4~6月期以降に大幅な減産に入ったが、23年末にはディーラー在庫は適正水準に戻ると見る。

北米での小型トラクタの回復に注目

北米で当社が主力とする小型トラクタについて、野村では小売り台数を23.12期に前期比9%減と見込むが、24.12期では同4%増、25.12期では同3%増と緩やかな回復を予想する。一方、小型トラクタの卸売(当社の売上高)は、在庫調整のため大幅な減産に入っており、23.12期通期では同36%減を野村では予想する。ただし全社業績については円安の好影響が大きく、23.12期では前期比30%営業増益を予想する。

最終需要である米国住宅市場の回復をうけた小売り販売の好影響で、24.12期の卸売は増収に転じると見る。そのため、24.12期では前期比4%営業増益と利益成長の継続を見込む。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 前川 健太郎)

富士通(6702) 電気機器

国内サービス受注は好調に推移

2023年4~6月期の営業損益は前年同期比273億円悪化の17億円の損失となった。顧客の在庫調整の影響でデバイスやネットワークが低迷、海外もIT(情報技術)投資抑制の影響で赤字となった。ただ、注力するサービスソリューションは増益となり、24.3期通期でも業績を下支えしよう。

第1に、国内サービスソリューションの受注は同18%増と好調で、基幹系刷新需要が強く今後も順調に推移しよう。第2に同部門の4~6月期の粗利率は同1.6%ポイント改善した。開発標準化、自動化、内製化の効果が出ている。第3に、値上げ効果が出始めており、24.3期下期からは収益性改善に本格的な寄与が始まると見られる。

サービスシフトでキャッシュ創出力を強化

26.3期中期経営計画では、サービスソリューションに経営資源を集中、海外やハードウェアでは構造転換を重視する方針。営業利益5,000億円目標はやや野心的な印象だが、デジタル変革需要の取り込みとサービスの標準化等で採算性改善が続こう。

第1に、サービスソリューションでは今後3年間で4,200億円の増収効果で1,500億円の営業増益を見込む。課題解決型ソリューションの新ブランドFujitsu Uvanceを中心としたデジタルサービスが成長を牽引しよう。第2に、キャッシュ創出力が強化され3カ年の事業成長投資7,000億円と株主還元6,000億円とバランスの取れた配分が期待される。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 山崎 雅也)

※野村週報 2023年9月25日号「銘柄研究」より

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