メドレー(4480) 情報・通信

医療ヘルスケアの課題解決を目指す

2009年に医療ヘルスケア領域に特化したインターネット企業として設立。「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションを掲げ、事業を通じた社会課題の解決および事業を支える基盤作りを推進する。

ヘルスケア職種の人材紹介を行う人材プラットフォーム事業(人材PF)と、医療機関の業務効率化や患者の医療アクセス向上等を実現する医療プラットフォーム事業(医療PF)が2本の柱である。人材PFは人手不足を背景に契約事業所数を拡大しており、キャッシュカウかつ成長事業である。医療PF は23.12期に損益分岐点到達を予想、収益性の向上が見込まれる。両輪の成長が中長期の業容拡大を牽引しよう。

国策の流れに沿い、追い風とする

人材PFは看護師、介護職を始めリハビリ、歯科関連等多彩な職種を対象とし、オンライン完結・低手数料率を特徴に求人数、求職者を獲得している。米国進出も準備中である。医療PF では日本最大級のオンライン診療・服薬指導システムである「CLINICS」や、電子カルテ等の医療情報システムを展開している。

医師と患者がITを使いこなす基盤を創る当社の事業は、政府が推進する医療DX(デジタルトランスフォーメーション)工程表を後押しするものである。24年より実施の医師の働き方改革では、DX による業務効率化と多職種連携ニーズが高まり、当社に追い風となろう。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 繁村 京一郎)

東洋インキSCホールディングス(4634) 化学

EV材料が成長ドライバーの中堅化学企業

印刷インキを創業とするスペシャリティケミカル企業。ディスプレイ向けレジストインキや接着剤、パッケージインキなどが主力製品。EV(電気自動車)電池向け導電助剤のCNT(カーボンナノチューブ)分散体は高い競争力を誇る。

2023年7~9月期はポリマー・塗加工や印刷・情報を中心に価格転嫁が進み、高水準の利益となった。24.12期は、大型ディスプレイ向けのレジストインキの販売数量は最終需要の弱さにより低調と見込む一方、①台湾の中小型ディスプレイ向けレジストインキの数量回復、②CNT分散体の数量増による赤字縮小、③ポリマー・塗加工などの価格転嫁が打ち返し、増益を見込む。

EV材料のCNT分散体は売上増加が続こう

25.12期以降の当社利益をけん引するEV材料のCNT 分散体はEV の航続距離の増加に寄与するため、バッテリー各社で採用が進んでいる。当社の販売はSK on 向けが主流であるが、23年7~9月期からはCATL向けの販売も始まり、同事業の売上増加を加速させよう。

当社製品は競合に比べてCNT の分散能力が高いため、効率的にバッテリーに導電性を付与することができる。その結果、SK on向けの市場シェアは80%程度と高いと推定している。今後は高い商品性能を生かしてLG Energy Solutionなどにも販売先を広げ、売上を伸ばせる可能性は十分にあるだろう。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 吉武 祐翔)

資生堂(4911) 化学

日本最大の化粧品企業。海外展開も進む

1872年創業の日本最大の化粧品メーカー。SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、エリクシールなど中高価格帯のブランドを中心に展開する。2022.12期の海外売上高比率は71%。中国を中心に欧州、米州などグローバルで事業展開している。

コロナ禍以降は内需低迷やインバウンド売上の減少もあり、コロナ禍前比で業績の回復は鈍い。当社は事業の注力領域をプレステージのスキンケアと定め、パーソナルケア等の低価格帯や一部のメイクアップ、フレグランスブランドを売却。分散していたマーケティング費用等を主力ブランドへ集中することで投資効率化が進み、ROI(投資利益率)は改善傾向にある。

業績改善へ追加的な構造改革を実施

23年7~9月期コア営業利益は前年同期比53%減の88億円。ALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出に伴う日本への風評影響、トラベルリテールでの規制強化等による在庫調整影響を受け、中国中心に販売が減少し、通期会社計画も下方修正された。会社は追加の構造改革を公表。日本、中国等で品目数や人員等の固定費を削減し、25.12期に400億円の利益創出を計画(22.12期比)。また、中国依存度の高さから脱却を目指し、欧米、アジア太平洋へ収益分散を進める。構造改革の進捗に留意は必要ながら、業績はインバウンド売上回復等もあり23.12期を底に24.12期は回復に向かうと野村ではみている。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 大花 裕司)

※野村週報 2023年12月11日号「銘柄研究」より

<お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。
今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。

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