来週の注目点:米国・ユーロ圏の9月金融政策会合議事要旨に注目

金融市場では米国景気軟着陸の可能性を示唆する堅調な経済指標が政策金利高止まり観測を喚起し、長期金利上昇を経由して株安材料視される、「良いニュースは悪いニュース」といった状況が続いています。このような状況を脱却するためにはインフレの鎮静化が待たれるため、米国の物価関連統計が市場の注目を集めることが予想されます。

米国では10月11日(水)に9月のPPI(生産者物価)、翌12日(木)に9月のCPI(消費者物価)が発表されます。コアCPI(除く食品・エネルギー)が前月比+0.3%を下回る上昇率に落ち着けば市場の安心感に繋がりそうです。

同様に、11日(水)発表の9月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨も注目されます。FRB(米連邦準備理事会)は9月会合で政策金利を据え置いた一方で、24年末の政策金利見通しを上方修正しました。今後の政策運営に対するFRB内でのバランスを確認できる材料として市場の関心を集めそうです。

ユーロ圏では、12日(木)にECB(欧州中央銀行)の9月政策理事会議事要旨が公表されます。ECBは9月会合で0.25%ポイントの利上げを決定した一方で、声明文では利上げ打ち止めの可能性を示唆しました。ラガルド総裁も会合後の記者会見で、全会一致の決定ではなかったことを認めています。これらのことから、利上げ決定は微妙なバランスの上での結論だったと見受けられます。ECB内の政策スタンスのバランスを改めて確認し得る材料として、議事要旨が市場の注目を集めそうです。

日本では政府が今月中に経済対策を取りまとめ、臨時国会を開催する予定です。野村證券では対策規模は20~30兆円程度と予想しています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年10月6日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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