三越伊勢丹ホールディングス(3099) 小売業

高感度上質戦略を進める百貨店

百貨店業をコア事業として、クレジット・金融・友の会業、不動産業などを展開している。百貨店業では、三越・伊勢丹・岩田屋・丸井今井の4つの暖簾を持っており、国内外で事業を展開している。伊勢丹新宿本店などで独自の強みを持っており、高感度上質消費の拡大・席巻、最高の顧客体験の提供を基本戦略としている。

好調な高額品消費、経済活動活発化の恩恵を背景に、国内販売は堅調に推移している。また、免税売上高についても、訪日客数の回復等に支えられ高水準が続いている。経費抑制の取り組みも進む中、販売面は順調に推移しており、短期業績は良好に推移すると野村では予想している。

今後も利益成長が続く確度は高い

外部環境の追い風が売上を押上げている面はあるものの、CRM(顧客関係管理)戦略の強化など、当社の施策も売上の拡大に貢献していると野村では評価している。なお、百貨店各社では、若年層顧客の取り込みも進んでおり、中心顧客の高齢化という積年の課題から脱しつつあると野村では考えている。

三越伊勢丹単体にて進められてきた「百貨店の科学」の視点による経費コントロールの取り組みが地域事業会社でも進められることで、地域事業会社の損益も今後さらに改善していこう。販売増と経費コントロールにより、来年度も継続的な利益拡大が予想される。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 山岡 久紘)

プラスアルファ・コンサルティング(4071) 情報・通信

販売活動/人材管理の補助サービスを提供

当社は次の3サービスを提供する。第一にアンケートなど文字情報を分析する「見える化エンジン」である。第二にEC(電子商取引)サイト上の顧客情報の分析やメール配信などで販売を支援する「カスタマーリングス」である。第三に人材管理の効率化や人事の意思決定のために従業員の情報を管理・分析する「タレントパレット」である。3サービスは、①データを可視化する点、②多機能な点、で共通する。営業、開発、コンサルティングの3者が連携し、着実に顧客が望む機能を実装してきた。特にタレントパレットは機能の多さが好感され、中堅・大企業を中心に導入顧客数が増え、高増収となっている。

タレントパレットが増収増益を牽引

野村では2023.9期以降の当社業績を増収増益と予想する。引き続きタレントパレットが増収を牽引しよう。人事業務の効率化への需要や人的資本の重要性の高まりから、今後も堅調に新規顧客の獲得が続くだろう。また、既存顧客には中堅・大企業が多く、顧客の人事の課題は多岐に渡る。採用管理や労務管理など追加機能の付与の進展が見込まれ、増収に寄与しよう。

また、高機能で料金の高いタレントパレットの販売では丁寧な導入支援で着実な顧客の獲得が求められる。顧客数増加ペースの加速のため従業員数や広告宣伝費を急増する戦略を採ることはなく、増収に応じ増益すると野村では予想する。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 平岡 直樹)

サンケン電気(6707) 電気機器

EV軸に復活するパワー半導体メーカー

xEV(電動車)化に伴い数量増が期待されるインバータの重要部品「パワーモジュール」を手掛ける。モジュールに必要なすり合わせ技術に強みを持ち、主力の白物家電向け中心にIPM(高機能パワーモジュール)では世界シェア15%(2021年)。

従来低収益体質に苦しんでいたが、17年以降事業・生産拠点整理や開発体制刷新といった構造改革を推進してきた。現在は好採算な新製品の拡販を進め、なかでも市場拡大の見込まれるxEV向け製品を成長ドライバーに据える。25年3月期にはEV トラクションモータ用モジュール大型案件向けに新工場の稼働開始を控えており、車載モジュールを軸に成長軌道へ復しよう。

磁気センサでも高い成長期待

当社は連結子会社として米国に磁気センサで世界トップのファブレス半導体メーカー アレグロを抱える。磁気センサは、xEV やクリーンエネルギー向け電流センサ、自働化機器向け位置センサ等で需要拡大が著しい。アレグロはこうした成長分野に注力しており、市場拡大の恩恵をより享受し易い。今後も市場拡大を着実に捉えて成長し、連結業績を牽引しよう。

アレグロを収益基盤に24年3月期連結親会社株主利益は前期比34%増の128億円を見込む。中国市場の調整は短期的に重石だが、足元の円安は追い風である。サンケン本体含む成長ストーリーも健在で、成長性の高さを評価したい。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 田村 鈴音)

※野村週報 2023年10月16日号「銘柄研究」より

※掲載している画像はイメージです。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点