2023年9月(9月4~29日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、個人投資家や証券自己、事業法人、信託銀行などが買い越し、海外投資家などが売り越した。

海外投資家は現物と先物の合計で3兆704億円を売り越した。9月第3、4週の売り越し額がそれぞれ1兆2,533億円、1兆6,377億円と大きかった。同時期に進行した米長期金利の上昇とそれによる景気悪化懸念が悪材料になったと見られる。四半期末ということも相まって、投資家のポジション調整が生じやすかったという可能性も否定できない。

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個人投資家は1 兆2,792億円を買い越した。株価が下落した第3、4週の買い越し額がそれぞれ9,223億円、6,209億円と大きかった。個人投資家が押し目買いを行ったと見られる。

証券自己は9,943億円を買い越した。海外投資家の売り越しに相対する形で買い越したと見られる。

事業法人は3,675億円を買い越した。引き続き、企業が自社株買いを積極的に行っている。なお、第4週には96億円の売り越しに転じたが、決算期末日以前の5営業日は取引所が相場操縦の有無を注視する期間であり、自社株買いが控えられる傾向がある。

信託銀行は2,408億円を買い越した。配当権利落ちにかかるパッシブファンドによる先物買いを背景に、第4週の先物の買い越し額が9,795億円と大きかった。

(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年10月16日号「株式需給」より

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