国内家計の金融商品の選択基準は「安全性」から「収益性」にシフト

新NISA(少額投資非課税制度)の導入による中長期的な影響を考えてみます。日本株への資金流入は起こるのでしょうか。まず、「貯蓄から投資へ」の動きが始まりだしている可能性を確認します。金融広報中央委員会の「家計の金融行動における世論調査」によれば、金融商品を選ぶ基準として「収益性」を重視する家計の割合は2022年に35.9%と、これまで過去最高だった1986年の34.0%を超えました。これまで多くの家計は資産の「安全性」を重視していましたが、インフレの影響により、現金の資産価値が目減りするリスクを意識するようになったようです。

過去を振り返ると、現在と同様に「収益性」と回答した割合が増加傾向にあったのは1977年から1986年にかけてです。同期間では、家計の金融資産に占める株式や投資信託の割合が純取得を伴って増加しました。

日本株への影響について考えると、家計が株式や投資信託の保有を増やす中で、投資対象が海外株ではなく日本株に向かうかが鍵となります。海外・内外株式投信への資金純流入額を見ると、円建てS&P500指数の過去12ヶ月リターンと連動する傾向があります。このことから、多くの個人投資家が過去のパフォーマンスを基に投資判断をしていると考えられます。

そのため、個人投資家が海外株から日本株へと興味を移すには、日本株のパフォーマンスが円建ての海外株を超える必要があるでしょう。もし日本が脱デフレを成功させ、日本株が上昇し、円高も両立する結果となれば、日本株が投資の魅力的な選択肢となる可能性が高まります。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 新NISA・個人投資家動向の3つの注目点(2023年10月13日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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