減税議論

税収が過去最高を更新

2022年度の国の一般会計における税収・税外収入の合計は、約78.5兆円と3年連続で過去最高を更新しました。背景には、消費税、法人税、所得税の「基幹3税」が経済の正常化や企業業績の好調により3年連続で増収となったことが挙げられます。

「減税」議論に注目が集まる

岸田首相は9月25日に5本の柱からなる経済対策の方針を示しました。経済対策の狙いについて、「経済成長の成果である税収増などを国民に適切に還元すべく対策を実施したい」と述べ、「税や社会保障負担の軽減などあらゆる手法を動員する」と発言したことで、減税への期待が高まりました。

減税政策は税制改正で検討

各種報道によると、11月初旬に取りまとめられる経済対策には低所得世帯向けの給付金やガソリン価格の高騰を抑える補助の継続などが列記される模様です。また、期限付きの所得税減税を打ち出す方向で調整しているようです。予算規模は税収増の追い風を受け、ある程度の景気刺激効果を期待できる規模になる可能性があります。一方、減税政策については、減税に必要な法改正に時間がかかるため、11月初旬の経済対策ではなく、例年通り12月以降の税制改正のプロセスで議論される見込みで、そこに向けて与党の税制調査会に具体策の検討が指示される模様です。

今後のスケジュール

本格的な減税を行うためには、税制関連法案を成立させる必要があります。その場合、12月上旬に2024年度税制改正大綱が取りまとめられ、2024年1月の通常国会に関連法案が提出され、3月までに成立させるという段取りになります。減税の効果が現れるのは、来年度以降になるでしょう。近年、税収は増加傾向にあることから、経済・社会の在り方を見極めた上での継続的な減税政策が期待されます。

(野村證券投資情報部 寺田 絢子)

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