
※2023年11月1日(水)引け後の情報に基づき作成しています。
騰落レシオが低水準の中、株価は反発
今週の日経平均株価は、日銀金融政策決定会合を無難に通過したことに加え、決算発表を受けた個別物色の動きが寄与し、大幅上昇となりました。
日経平均株価の日足チャートで動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、10月24・26・30・31日の4日間共に一時30,500円台をつける等、10月4日安値(30,487円)に対する二番底固めに向けた動きとなっていました。ただ、東証プライム騰落レシオが70-80%台と低水準となる中で、日銀金融政策決定会合を事前の観測報道通りの内容で無難に通過したことから、株価は反発となりました(図1)。
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(注1)直近値は2023年11月1日時点。 (注2)東証プライム騰落レシオは2022年4月4日以降はプライム市場の上昇及び下落銘柄数を使用、同日より前は東証一部ベース。(注3)東証プライム騰落レシオの主なボトムと、その前後の日経平均株価を赤丸囲みで示した。(注4)東証プライム騰落レシオが70~80%の箇所を赤色網掛けしている。
(出所)日本経済新聞社、東京証券取引所より野村證券投資情報部作成
11月1日には25日移動平均線(11月1日:31,468円)を回復しており、この先、75日線(同:32,163円)超えとなるか、そして10月13日戻り高値(32,533円)を上抜けし、10月4日・30日安値でのダブルボトム完成となるか、注目されます。ダブルボトム完成となれば、自律反発の域を超え中長期的な上昇トレンド入りの確度が高まったと考えられます(図2)。
一方、仮に再度調整となった場合は、10月30日安値(30,538円)や10月4日安値(30,487円)等のある30,500円前後の水準で再び下げ止まるか注目されます。

(注1)直近値は2023年11月1日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
中段保ち合いは調整十分と捉えられる
さて中長期な点で見ると、今年7月高値から10月安値にかけての調整によって、下落率は9%を超え、日柄調整も進展しました(図3)。中段保ち合いとしては調整十分と捉えられる中での今回の反発であり、この先本格的な上昇トレンド入りへ向けた動きとなることが期待されます。

(注1)直近値は2023年11月1日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成
ドル円相場、今後の天井が8年サイクル高値へ
ドル円相場は日銀公表値ベース(夜間の高安を含まない)でみれば、昨年10月高値(150.48円)を今年10月に上回りました。そこで、今回はドル円相場の中長期的(1年~数年単位)及び超長期(10年単位)的な相場の方向性(トレンド)について考えてみたいと思います。
まずは、中長期トレンドの観点からみてみましょう。ドルは対円で1975年高値から約8年のサイクルで高値をつけています(図4)。
2015年6月につけた前回のサイクル高値から約7年半経過後につけた昨年10月高値(日銀公表値ベース:150.48円)を、これまでは8年サイクル高値とみていました。しかし、今年10月に昨年10月高値を超えたことで、この先つける天井を8年サイクル高値として捉え直す必要があります。過去の動きをみると8年サイクル高値形成後は、年単位の下落トレンドがみられていました。その点で先行き天井形成後は、注意が必要だと考えられます。

(注1)直近値は2023年10月31日時点。数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)日柄は両端含み。(注3)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成
一方で10年単位の超長期トレンドはどうでしょうか。8年サイクル高値は1975年から4回にわたり値を切り下げてきましたが、2015年(125.66円)にわずかに前回のサイクル高値を上回り、その後の今年10月高値(150.77円)では同サイクル高値を完全に上抜けています。よって超長期トレンドは上向きに転じてきたと考えられ、仮にこの先中長期的な下落トレンド入りとなった場合も、下値は限定的と考えられます。
(投資情報部 岩本 竜太郎)
※画像はイメージです。