来週の注目点:米地区連銀総裁講演、米10年国債入札に注目

前週は主要な中央銀行の金融政策会合が集中する中銀ウィークとなりました。日本銀行は7月会合に続いてYCC(長短金利操作)の運用柔軟化を決定し、10年国債利回りがこれまで上限としてきた1.0%を上回ることを許容しました。

一方、FRB(米連邦準備理事会)は今回の利上げ局面では初めて2会合連続で政策金利の据え置きを決定しました。会合後、米10年国債利回りは大幅に低下、これを好感して米国株式市場では主要3指数が揃って上昇しました。ただし、パウエルFRB議長は追加利上げの可能性を否定しておらず、今後も経済データに基づいて判断する姿勢を重ねて強調したことから、当面の間は米長期金利の低下基調が定着するかが注目されます。

今週は重要統計の発表も予定されておらず、やや材料難な週になりそうです。米金融政策の先行きを判断する材料としては、7日(火)以降の地区連銀総裁や9日(木)のパウエルFRB議長の講演、米長期国債への需要を確認する上では8日(水)の10年国債入札が市場の関心を集めると想定されます。

欧州では6日(月)のドイツの9月製造業受注、8日(水)のユーロ圏の9月小売売上高が注目されます。特にドイツの製造業受注は、良い景気先行指標であるだけではなく、財別に国内・ユーロ圏・ユーロ圏外の受注動向を確認できることから、情報量の多い統計です。

中国では7日(火)の10月貿易統計、日本では同じく7日発表の9月毎月勤労統計、9日(木)の10月景気ウォッチャー調査が注目されます。日本において前者では実質賃金の上昇率、後者では地方におけるインバウンド需要の動向などが確認できます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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