マクロ環境が改善する2024年前半は特に株価上昇が強いと予想
2023年は日本株市場の力強さが目立ちました。この強さの背景には、①日本経済のデフレからの脱却に向けた動きや、②企業統治(ガバナンス)の改善、そして③アジア地域内でのリスク分散先としての魅力が高まったことがあります。2024年に向けてもこの基本的な状況は変わらない見込みです。ドル安・円高による逆風が想定されますが、日本企業は値上げの文化を取り入れることで利益率を改善させ、2024年度と2025年度も増益基調が続くと予想します。
2023年7-9月期の企業業績は、営業利益率が8.1%と前年同期比1.3%ポイントの改善を見せ、7-9月期としては過去最高を記録しました。企業は輸入コストの低下に対して国内価格を迅速に下げず、利益率の改善を享受しています。このような利益率の改善と為替・原油の前提変更を考慮し、野村證券はTOPIX-EPS(1株当たり利益)予想を更新しました。新しい予想は、2023年度は158.3(前期比+13.3%)、2024年度は163.8(同+3.5%)、2025年度は183.1(同+11.8%)です。
2024年末のTOPIXは2,675と予想、これは2025年度のEPSとPER(株価収益率)14.6倍を基に計算しています。また、日経平均株価をTOPIXで割ったNT倍率は、現在の14.0倍から14.2倍に上昇すると想定し、これに基づいて2024年末の日経平均株価は38,000円と予想します。
2024年の株価動向としては、年前半に上昇の勢いがつきやすいと見ます。これは①春闘の季節にデフレ脱却への期待が高まる、②2024年6月に実施予定の5兆円の定額減税・給付金による消費の押し上げ、そして③米国での利下げ期待が高まることに起因します。しかし、年後半には、⒈ 日銀の金融政策正常化(期待)、2. 円高の定着、3. 業績悪化(前年同期比での一時的な減益)により株価の上昇が鈍ると予想します。2025年は、野村證券が掲げる「日経平均株価45,000円」のシナリオに沿った順調な推移を見込みます。
(FINTOS!編集部)
要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 24年12月末の日経平均は38,000円を予想(2023年11月14日配信)」(プレミアムプラン限定)
(注)画像はイメージ。