欧州関連銘柄のレーティングの引き下げリスクに注意

日本の株式市場が持ち直しています。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から見ると、世界的な金利上昇の圧力が緩和されたことや、第2四半期の決算で利益率が拡大したことが好材料とみなされた模様です。

需給面では、海外の先物投資家の影響が大きいと見られます。具体的には、CTA(商品投資顧問)によるロングポジション(買い持ち)の拡大が目立っています。現在のロングポジションは約8,000億円にまで増加しており、今年6月には約2.5兆円に達したことを考えると、まだ拡大の余地があると言えます。

個別銘柄の物色動向については、中国関連銘柄の反発が目立っています。景気指標と比べて売られ過ぎだった状態から、景気指標とおおむね整合的な水準にまで持ち直しています。中国関連銘柄は、グロース株の色彩が強いため金利低下が好感されたほか、中国景気が緩やかに回復していることも追い風となった可能性があります。

一方で、欧州関連銘柄は低迷を続けています。日本だけでなく、米国の株式市場でも、欧州関連銘柄はパフォーマンスが低迷しており、欧州景気の弱さが影響していると考えられます。しかし、アナリストは欧州関連銘柄に対して総じて強気の見方を続けており、現在の景気低迷が完全に反映されているとは言い難い状況です。決算シーズンの直後であるため、レーティングの引き下げリスクに注意が必要です。ただし、アナリスト予想の下方修正がセリング・クライマックス(売りの最終局面)と見なされる可能性も否定できません。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「野村クオンツ・インサイト – CTAの日本株ロング拡大とドル円ロング縮小リスク(2023年11月20日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

要約編集元アナリストレポートについて

ご投資にあたっての注意点