60%以上の企業が事前予想を上振れて着地

11月14日時点で、ラッセル野村ラージキャップ(除く金融)の2023年7-9月期決算は、前年同期比2.2%増収、同19.3%営業増益となった模様です。今回の決算シーズンでは、事前の市場コンセンサスに対して60%を超える企業が上振れて着地しています。通常であればこの比率は50%台半ばなので、今回の決算では事前予想に対して上振れて着地する会社の比率がかなり高かったといえるでしょう。

また増益率の水準も、コロナ禍からのV字回復が一巡し、インフレ圧力が高まった2021年から2022年にかけては増益率が一時、一桁台にまで落ち込んだことに比べると、今回の決算では営業増益率はかなり高い水準を達成しています。

ラッセル野村ラージキャップの営業利益実額は、2022年度第2四半期に12.2兆円でしたが、今回の2023年度第2四半期には14.4兆円と、前年同期と比べて2.2兆円の増益となっています。業種ごとに増減益寄与額をみてゆくと、化学、鉄鋼・非鉄、機械、電機・精密などが前年同期比で減益となっています。これらの業種では、長引く中国経済の低迷により、電子材料や電子部品などの生産財、工作機械などの資本財が不振で直撃を受けた格好です。ただ、中国でも生産財を中心に在庫調整が進み始めたことが決算発表時に確認されており、業績の最悪期を脱しつつあるとみられています。

逆に、挽回生産が本格化している自動車、コスト増の価格転嫁が順調に進んでいる食品、小売、公益など幅広い業種が増益となっています。また、人流の回復により運輸、サービスなどの業種も増益寄与となりました。

(野村證券投資情報部 伊藤 高志、澤田 麻希)

(注)画像はイメージ。

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