中国株からの資金流出が日本株に優位に作用

「順張り」戦略を取るCTA(商品投資顧問)は、わずかながらもロングポジション(買い持ち)の拡大傾向を維持しています。日経平均株価が現在のレンジを上回ると、買い越しのペースが加速する可能性がある一方、ロングポジションが縮小に転換するには株価が32,300円程度まで下落する必要があります。そのため、CTAの需給は株価を押し上げる可能性が高いとの見方を維持します。

特に12月は、中旬から月末にかけて「CTA順張り」戦略が効果を発揮しやすい時期です。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後は、海外投資家がクリスマス休暇に入るため、市場の取引量は減少し、CTA主導の動きが強まる傾向があります。

(経済動向に基づいて売買する)マクロ系ヘッジファンドは、様子見の姿勢を強めていますが、今年は「年末ラリー」に賭ける可能性が高いと考えています。そのため、短期的にはロングポジションを縮小するリスクは低いと見込まれます。さらに、マクロ系ヘッジファンドは「植田日銀」に対して、ハト派(金融引き締めに慎重)との印象を持っている可能性が高く、今後の金融政策に関するイベントも株価下落のリスクとは見なされにくいでしょう。

中長期的な観点から日本株の需給を考えると、中国の影響が注目されます。中国景気は夏場の最悪期を脱し、安定化への動きを見せていますが、中国株市場では海外投資家による資金の流出傾向が続いています。アジア地域での海外投資家の資産配分は、従来は中国株をオーバーウェイトし、日本株をアンダーウェイトする傾向にありましたが、今年に入ってからはその動きが逆転し始めています。日本株が中国株からの資金逃避の受け皿として機能しているようです。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート「野村クオンツ・インサイト – 12月の相場で有効な「CTA順張り」(2023年12月4日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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