2021年5月(5月6日~28日まで、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、信託銀行、生保・損保、証券自己などが買い越し、海外投資家、個人投資家などが売り越した。

 信託銀行は現物と先物の合計で4,103億円を買い越した。TOPIX(東証株価指数)が大きく下落した翌週である5月第3週の買い越し額が3,516億円と特に大きく、株価下落を受けた押し目買いやリバランス目的の買いが入った可能性がある。野村では、年金基金によるリバランス目的の売りのリスクを警戒していたが、少なくとも当月にはそうした動きは見られなかった。

 生保・損保は2,910億円を買い越した。かんぽ生命保険が5月17日に3,589億円の自己株式取得を実施した。相対した日本郵政が同株式を売却したことから、事業法人は1,607億円を売り越した。

 海外投資家は4,156億円を売り越した。売り越しの中心は先物で3,562億円を売り越した。特に第2週の売り越し額は6,934億円と、20年9月第5週(6,966億円の売り越し)以来の大きさとなった。現物は594億円の売り越しと20年9月以来の売り越しとなったが、金額は小さい。

 21年5月に個人投資家は3,372億円を売り越した。第2週には5,419億円を買い越したが、それ以外の週では利益確定売りが優勢であったと見られる。5月の委託売買代金シェアは21.4%と前月比3.8%ポイント低下し、20年3月(17.1%)以来の低水準となった。日本株取引の関心が低下した可能性に注意したい。

(藤 直也)

※野村週報2021年6月14日号「株式需給」より

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