先週:エヌビディア絶好調、ナスダック総合は最高値まであと1歩

先週の米国株式市場は、21日(水)引け後のエヌビディア(NVDA)の決算発表後にS&P500とNYダウは史上最高値を更新しましたが、ナスダック総合は史上最高値更新となりませんでした。エヌビディアの決算発表後速報はこちらをご覧ください。

(注)PERの基となる一株当たり利益はLSEG(旧リフィニティブ)集計による12ヶ月先予想ベース。データは月次で、月中平均値。

直近の値は、2024年2月23日時点。

(出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成

ナスダック総合は最高値更新まであと0.4%に迫っています(引け値ベース)。情報技術関連など成長期待が高い企業が多く含まれるナスダック総合の12ヶ月予想基準PER(株価収益率)は約32倍となっています。 この水準は、1990年以降の平均約26倍を上回っています。

現在の予想PERは利益成長期待を先取りしていますが、約2年3ヶ月前の史上最高値(2021年11月19日,16,057.43)達成時の12ヶ月先予想PERである約40倍を下回っています。さらに、ナスダック総合の組み入れ銘柄の成長期待は高く、市場予想通りの業績推移となれば年を追うごとにPERの割高感は薄れていくと考えられます(下図)。

(注) EPS予想は2024年2月23日時点のファクトセット集計による市場予想平均。PERは2024年2月23日時点のナスダック総合指数と各年度の予想EPSとの比率。

(出所) ファクトセット、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成

今週のポイントは2点です。

ポイント1:29日(木)のPCEコアデフレーター

米長期金利(10年国債利回り)動向は大きな株価決定要因です。2023年末に4%を切っていた米長期金利は足元で4.2%まで上昇し、米国株の上値を抑えています。13日(火)発表の1月CPI(消費者物価指数)や16日(金)発表の1月PPI(生産者物価指数)が市場予想を上回り、FRB(米連邦準備理事会)による早期利下げ観測が後退したことも金利上昇の一因となっています。今週、29日(木)に発表される1月コアPCE(個人消費支出)デフレーター(除く食品・エネルギー)では、インフレの鈍化傾向が続いているか確認したいと思います。

金融政策の動向にも注目です。21日(水)に発表された1月FOMC議事録では多くの参加者が2024年中の利下げを急いでいないことが示唆されました。今週はFRB高官発言も相次ぎます。特に、28日(水)に予定されているFOMC中心メンバーのウィリアムNY連銀総裁の講演に関心が集まります。足元のインフレ指標を踏まえ、利下げに対してさらに慎重な姿勢が強まっているか注目されます。  

ポイント2:ソフトウェア決算発表、後半戦へ

23日(金)までに、S&P 500 指数構成企業のうち448社が2023年10‐12月期を中心とする2023年第4四半期の決算発表(注1)を終えました。

(注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2023年10-12月期には、2023年9-11月期決算、2023年11月-2024年1月期決算企業も含む。

(注2)直近4四半期平均とは2022年10-12月期~2023年7-9月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。

(注3)LSEG(旧リフィニティブ)による2024年2月23日時点(売上高について448社、純利益について448社)の集計

(出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成

2023年10-12月期のポジティブサプライズ比率(市場予想に対して決算実績が上振れた比率)を直近4四半期平均を比較すると、売上高はやや下振れた一方で、純利益はやや上振れとなっています。 決算発表の山場は越えましたが、今週も2023年11月-2024年1月期を決算期とするソフトウェア・グロース企業の決算発表が続きます。26日(月)には人材管理ソフトウェアのワークデイ(WDAY)、28日(水)には顧客関係管理ソフトウェアのセールスフォース(CRM)と、クラウドベースのデータプラットフォームを提供するスノーフレーク(SNOW)、29日(木)にはサイバーセキュリティーのゼットスケーラー(ZS)などが発表します。これらの決算発表で2024年以降の強気な見通しが確認されれば、米国株主要3指数揃っての史上最高値更新も期待できそうです。

(FINTOS!外国株 小野崎通昭)

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