目次
・日経平均株価は史上最高値更新に迫る
・米国は年央以降に利下げ
・米国企業業績の拡大が続く
・中国政府当局の政策対応が続く
・日本で賃上げによる経済と物価の好循環が実現するか
・企業業績の拡大が株式市場を支援
日経平均株価は史上最高値更新に迫る
日経平均株価は、34年ぶりとなる3万8000円台を記録しました。NYダウやS&P500などの米国主要株価指数は、史上最高値の更新が続きます。我々は、米国株式市場が金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと進み、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみています。中国不動産市場の問題や日米金融政策の転換など、様々な市場リスクはありますが、日米企業業績は上方修正が続いています。
米国は年央以降に利下げ
主要国・地域における製造業の調整は一巡し、景況感は徐々に好転に向かうとみられます。米国では商業用不動産市況の下落によって、融資を行っている地域金融機関の経営悪化懸念が高まっていますが、金融システム全般へのリスクの波及は見られません。インフレの減速は続きますが、雇用環境が堅調なことから、FRBは早期の利下げに慎重です。利下げ開始は年央以降、緩やかなペースで行われると予想します。3月のFOMCでFRBのバランスシート縮小の議論も始まるとみられ、これらによる金利低下圧力は、株式市場の下支えになるとみられます。
米国企業業績の拡大が続く
米国大統領選挙の行方は不確かですが、好調な景気は現職大統領に優位となります。足元で、米国大手テクノロジー企業を中心に、AI(人工知能)に関連する半導体やサービスに関係する事業が好調で、業績は拡大しています。利益成長は、今後、幅広い産業へと広がってゆくでしょう。金融相場から業績相場へと移行し、米国株式相場は上昇を続けるとみられます。
中国政府当局の政策対応が続く
ユーロ圏ではインフレと景気の減速が進んでおり、米国同様、年央以降に利下げ局面に入るとみられます。中国は不動産開発投資の急減や株価下落など、景気や市場環境は厳しい状況にあります。ただし、中国政府当局は対応を矢継ぎ早に実施し、市場の混乱を抑えようとする強固な意志を示しています。
日本で賃上げによる経済と物価の好循環が実現するか
主要国で製造業の在庫調整が進む中、日本からは輸出が増えています。資本財や生産財の調整は進展しており、日本企業の事業環境の改善や効率化に向けた設備投資が期待されます。インフレによって実質賃金が低下していることから、賃上げ圧力が強まります。賃上げによる経済と物価の好循環が続くかどうか、春闘の結果は大事なポイントとなります。
企業業績の拡大が株式市場を支援
日本銀行は大規模な金融緩和の修正に向け、市場との対話を進めています。内田副総裁は具体的な修正方法の概要を講演で示しました。不連続な金融政策や急激な利上げのようなリスキーな手段は採らないとの方針が市場に浸透すれば、一時的な変動は有るにせよ、政策修正を問題なく進めることは可能でしょう。為替市場は、足元で円安が進むものの、米日金利差の縮小により、米ドル高・円安は修正されるとみられます。2024年2月の日経平均株価の急上昇は、半導体関連が主要なけん引役となっています。ただし、主要企業の業績は価格転嫁の進展などにより増収率が落ち着く中で高い増益率を達成しています。野村證券は業績拡大の継続を基本観に、2024年末の日経平均株価見通しを40,000円へと引き上げました。
(野村證券投資情報部 小髙 貴久)
※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 3月号」(発行日:2024年2月19日)「投資戦略の概要」より
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